原神 アチーブメント『軌道は放り出ず、逆巻く』獲得RTA   作:底無ノどろ沼

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前の二話、書き直してるので初投稿です。


俺の神様 前編

何時も傷だらけの父を見ていた。

 

何かから隠れるように洞窟を転々としながら暮らしていた。

 

食べ物は父が外から取ってきたものを食べる。

自分は外で食べて来たと言ってはいるが、父は痩せこけ傷の治りが前より遅くなっていた。

 

少し前は寝る前にお話を聞いていたが、今父は洞窟の中で壁にもたれて眠っている。

服などで隠してはいるが、血の匂いが濃い。

 

父が限界であることなんて明らかだった。

何故こんなことになっているかは分からなかったが、自分が父を苦しませていることは分かった。

 

だから父が寝ている間に洞窟を出て、父を解放したかったんだと思う。

 

「さよなら、とうさん」

 

そう言って洞窟を出て、全速力で走った。

右も左も分からなかったが、ただただ走って走って…

雨が降ってきた。

 

近くの木陰で雨をしのごうと近づく。

そこにいる存在に気づかずに。

 

気づいたときには遅かった。

四足の黒い獣が起き上がり、覆い被さられた。

 

弱肉強食。

教えられなくても本能に理解できる自然のルール。

 

獣が口を開き、顔に涎がかかる。

両腕を交差させ何とか耐えようとするが、牙や爪が身体を傷つけていく。

 

両腕を前脚で押さえつけられ、食べられると思った瞬間、獣が吹き飛んだ。

 

無事か、と父の声が聞こえ泣きながら父に抱きついた。

 

叱られていたと思うが、恐怖からの安心感で何も分からなかった。

 

しばらくして、父が勢い良く振り返ったのが分かった。

 

そこでようやく自分が父に何も言っていないことに気づき口を開こうとした。

 

その時、父は自分を抱えて逃げ出した。

 

少しして自分を降ろし、逃げろとだけ言われた。

 

自分が外に出たせいで見つかってしまった。

そのせいで自分が捨てられると思った自分は父に縋ろうとしたが、父の胸から剣が生えた。

 

父の血が顔に生暖かい感触を残す。

 

父は倒れながら、逃げろと力なく呟き、敵に組み付いた。

 

父を助けようと一歩踏み出すと、逃げろと今度は力強く叫ばれた。

その後の生きて幸せに、という言葉が耳に届き、後ろに振り向いて走り出す。

 

心の中は後悔しか無かった。

雨の中、頬を濡らして走る。

途中足を滑らし、崖から川に落ち流されていく。

何とか泳いで陸地に上がり、歩き続ける。

 

しかし、傷つき水で体温を失った少年は倒れ、意識が暗闇に落ちた。

 

目が覚めると布団の中だった。

身体中に包帯が巻かれ、誰かに手当てされていることが分かった。

 

「良かった、目が覚めたんですね」

 

透き通るような声が聞こえ、その方に目を向けると美しく神々しい女性がいた。

 

「私はヘウリア、この集落の長です。貴方の名前は?」

 

「…帆藻、帆藻です」

 

「そう、いい名前ね」

 

そこから色々と話をした。その途中で父を思い起こして泣くと優しく抱きしめられた。

それは父に助けられた時と同じ暖かさがあった。

 

そんな日々が続き、傷も治って来た頃

 

「外に出て太陽を浴びましょう、集落を案内しますよ」

 

そう言われ、ヘウリア様に連れられ外に出る。

太陽が眩しくて目を細めた。

目がなれるとそこには多くの人々がいた。

 

「ここが私達の集落です。良いところでしょう」

 

そう僅かに胸を張って誇らしげに言うヘウリア様は笑顔だった。

 

そして

 

「貴方もここに居ていいのよ、帆藻」

 

その言葉は自分にすっと入って、心から暖かくなっていき

 

声を上げて泣いた。

 

ただ嬉しくて泣いた。

 

ヘウリア様は泣いた自分をどうしたらいいか分からなくてあわあわしていたけど、それでも俺は貴方に救われたんです。

 

ヘウリア様、貴方は俺の神様です。




ヘウリア様視点作ろうとしたけど無理で主人公視点になっちゃた。

小説パート書いてる途中でRTAパートも色々と書き直しました。これ小説パートから書いたほうが良いかも

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