僕のヒーローアカデミア~諦めから始まる物語~   作:キョンP

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大変お待たせいたしました!
第70話です!
それでは、どうぞ!


第70話 ジレンマ

Side:Izuku

 

「「今度こそ必ずエリちゃんを……!! 保護する!!」」

「それが私達の目的になります」

 

 ミリオさんとともにエリちゃんの保護を力を込めて宣言する。ナイトアイさんも『エリちゃんの保護』が今回の事案の目的であることを出席者全員に示した。多くの人が事の重大さを理解し、力強く頷いている。

 

「イキがるのは大いに結構。ビビッて日和ってるよりは遥かにマシだ」

 

 そんな中で再びロックロックが声を上げる。

 

「だが、推測通りだとして若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった『核』なんだろ? それが何らかのトラブルで外に出ちまってだ! あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった! 素直に本拠地に置いとくか? 俺なら置かない。攻め入るにしてもその子が『いませんでした』じゃ話にならねえぞ。どこにいるのか特定できてんのか?」

「確かに、どうなのナイトアイ」

 

 ロックロックの指摘にリューキュウも同意してナイトアイさんに質問した。少し気持ちが昂っちゃったけど、ロックロックが言ってることはもっともだ。実際にそうしているかは断言できないけど、治崎が本当にエリちゃんの身体から個性を破壊、もしくは無効化するものを作り出しているのならエリちゃんを僕達に保護されないようにするはずだ。

 

「問題はそこです。何をどこまで計画しているのか不透明な以上、一度で確実に叩かねば反撃のチャンスを与えかねない。そこで八斎會《はっさいかい》と接点のある組織・グループ及び八斎會の持つ土地! 可能な限り洗い出しリストアップしました!」

 

 ナイトアイさんの言葉を合図に背後の大型モニターに日本地図が表示され、全国各地に次々に点がプロットされていく。関東・中部近辺が多いけどそれ以外にもスポットされている。こんなに範囲が広いのか……。

 

「皆さんには各自その個所を探っていただき、拠点となり得るポイントを絞ってもらいたい!」

「なるほど、それで俺達のようなマイナーヒーローが……」

「?」

「見ろ、ここにいるヒーローの活動地区とリストがリンクしてる! 土地勘のあるヒーローが選ばれてんだ」

 

 地方で活動しているMr.ブレイブ……たしか個性は『毟毛』……がモニターを見て、自分達が会議に招集された意図に気付いたみたいだった。そこまで考えてナイトアイさん達は動いていたんだ……。

 

「オールマイトの元サイドキックな割にずいぶん慎重やな、回りくどいわ!! こうしてる間にエリちゃんいう子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」

「我々はオールマイトにはなれない! だからこそ分析と予測を重ね、救けられる可能性を100%に近付けなければ!」

「……」

 

 ファットガムがナイトアイさん達の方針に声を荒らげた。かなり厳しい言葉だけど、会ったこともないエリちゃんを想ってのことであることはよくわかる……。でも、同時にナイトアイさんの言うこともわかる……。

 

 『我々はオールマイトにはなれない!』

 

 確かに……僕達はオールマイトにはなれないし、足元にも及ばない……! でも、だからこそOFAを受け継いだ僕が頑張らなきゃいけないのに……!

 

「……焦っちゃあいけねえ。下手に大きく出て捕らえ損ねた場合、火種がさらに大きくなりかねん。ステインの逮捕劇が連合のPRになっちまったようにな。むしろ一介のチンピラに『個性』破壊なんつー武器流したのもそういう意図があっての事かもしらん」

「……考え過ぎやろ! そないな事ばっか言うとったら身動き取れへんようになるで!!」

 

 ファットガムの熱が伝播していくように強行すべきか慎重に行くべきかで議論が白熱してきた。どちらの考えも間違いではないだけになかなか意見がまとまらない。

 

 

 スッ……

 

 

 そんな中で相澤先生が手を挙げた。

 

「あのー……一つ良いですか? どういう性能かは存じませんが、サー・ナイトアイ。未来を予知できるなら俺達の行く末を見ればいいじゃないですか? このままでは少々……合理性に欠ける」

 

 相澤先生がナイトアイさんにそう提案し、他のヒーローも頷きながらナイトアイさんの言葉を待つ。作戦の方向性を決めるためでもあるが、謎の多いナイトアイさんの個性に純粋に興味があるからだと思う。

 

 この中で僕はナイトアイさんの個性を知っている数少ない1人だけど、ナイトアイさんの答えはおそらく……。

 

「それは……出来ない」

「……?」

「私の予知性能ですが、発動したら24時間のインターバルを要する。つまり、一日1時間1人しか見ることが出来ない。そしてフラッシュバックのように一コマ一コマが脳裏に映される。発動してから1時間の間、他人の生涯を記録したフィルムを見られる……と考えて頂きたい。ただし、そのフィルムは全編人物のすぐ近くからの視点。見えるのはあくまで個人の行動と僅かな周辺環境だ」

「いや、それだけでも充分過ぎる程色々わかるでしょう。出来ないとはどういうことなんですか?」

 

 ナイトアイさんの説明に相澤先生が疑問を口にする。他のヒーローの表情からも同様の考えがあるのが分かる。デメリット、というよりは使いづらい部分はあるが、それでも個人を対象に予知ができるのはかなり大きなメリットだ。

 

 ……でも、僕は知っている。この個性の『残酷な一面』を……。

 

「例えば、その人物に近い将来……死……ただ無慈悲な死が待っていたら、どうします?」

 

 その言葉に会議室にいる全員が沈黙してしまう。

 

 死……。

 

 プロヒーローはもちろん、僕達もプロヒーローを目指している以上いろんなところで見聞きしているし、家族や親戚の葬式とかに立ち会ったこともあるかもしれない。

 

 ただナイトアイさんの言葉は予知とはいえ……いや、予知だからこそ『死の恐怖』がより強く感じられた。

 

「この『個性』は行動の成功率を最大までに引き上げた後に勝利のダメ押しとして使うものです。不確定要素の多い間は闇雲に見るべきじゃない」

「はあ!? 死だって情報だろう!? そうならねェ為の策を講じられるぜ!?」

「占いとは違う。回避できる確証はない!」

「ナイトアイ! よくわかんねえな。いいぜ、俺を見てみろよ。いくらでも回避してやるよ」

 

 ナイトアイさんの言葉にロックロックがかなり強気な発言をする。彼なりに作戦を積極的に進められるように考えての事なのかもしれない。

 

「ダメだ」

「「「……」」」

 

 ナイトアイさんの否定の言葉に再び会議室が沈黙に包まれる。事情を知っている僕とグラントリノ以外の全員、不遜だったロックロックでさえもその頑なな態度に口を噤むことしかできなかった。

 

「とりあえずやりましょう。『困ってる子がいる』これが最も重要よ」

 

 リューキュウが固まった場を動かすように言った。そうだ! 困ってる子、エリちゃんがいるんだ!何としてでも救けなくちゃ!

 

「娘の居場所の特定・保護。可能な限り確度を高め早期解決を目指します。ご協力、よろしくお願いします」

 

 ナイトアイさんが立ち上がり全員に向けて協力を依頼した。どの範囲まで、どのくらいの時間がかかるのか現時点で僕にはわからない……。でも、やるんだ! エリちゃんを救けるんだ!!

 

「え、えー!! では個別に詳細をお渡ししますので……」

 

 

 

「そうか、そんな事が……。悔しいな……」

「デクちゃん……」

「……(こんなに落ち込んでいるミリオは……初めてだ……)」

 

 会議が終わった後、僕達はエレベータホール傍の休憩スペースに集まっていた。僕とミリオさんが関わった状況説明を聞いて他の5人もやるせない表情をしており、重苦しい雰囲気が漂っていた。

 

 

「……通夜でもしてんのか?」

 

 

 声のした方向を見ると相澤先生がエレベーターら降りたところだった。

 

「「先生!」」

「あ、学外ではイレイザーヘッドで通せ。いやァいかし……今日は君達のインターン中止を提言する予定だったんだがなァ……」

「「「「!!」」」」

 

 相澤先生がいきなり爆弾発言をする、なんで!?

 

「ええ!? 今更なんで!?」

「連合が関わってくる可能性があると聞かされたろ。話は変わってくる」

 

 切島君の抗議を当然と言わんばかりに相澤先生がバッサリ切る。確かに敵連合が関わってくるとなると、ミリオさん達はともかく僕達1年生は中止を検討されても仕方ないかもしれない。

 

 ……でも……。

 

「ただなァ…………緑谷。この中で一番の懸念はお前だ」

「相澤先生……?」

「林間合宿の時に大怪我でも爆豪を救けようとしただろ。そこを考えるとここで止めたらお前はまた飛び出してしまうと、俺は確信してしまった」

「……」

 

 そう言いながら相澤先生がしゃがんで僕に目線を合わせてくる。僕はもう『エリちゃんを絶対に救ける』って意気込んでる。この状態でインターン中止を言われたら普段の生活でも気になって集中できないだろう。さすがに学校を抜け出してまではやらないと思うけど……相澤先生が言っていることを明確に否定することができない……。

 

「俺が見ておく。するなら正規の活躍をしよう、緑谷」

「相澤先生……」

「わかったか、問題児」

「……はい」

 

 そう言って右拳を僕に向ける。普段の相澤先生からはあまりイメージできない行動に一瞬驚いたが、気を取り直して自分の右拳を出して突き合わせた。

 

「ミリオ……顔を上げてくれ」

「ねえ、私知ってるの。ねえ通形、後悔して落ち込んでてもね仕方ないんだよ! 知ってた!?」

「……ああ」

 

 天喰さんと波動さんがミリオさんを励ます。それにミリオさんも力強く答える。そうだ、落ち込んでても仕方ない! 頑張るんだ!

 

「気休めを言う。掴み損ねたその手は、エリちゃんにとって必ずしも絶望だったとは限らない」

「!」

「前向いて行こう」

「はい!!!!」

 

 相澤先生が滅多に言わない言葉で僕を励ましてくれる。先生にここまで言ってもらって、へこんでいられないよね!

 

「俺……イレイザーヘッドに一生ついていきます!」

「一生はやめてくれ」

「すいァっせん!!」

「切島君声デカイ……!」

 

 切島君の大きい声でいつもの雰囲気が戻ってきた。僕達が……人を救ける側が暗くなってちゃダメだよね! 頑張ろう! 皆と一緒に!

 

—————————————————————————————————

「今回の案件、小娘の奴は大丈夫か?」

「……確かに、『超人社会』の闇を表す事案ではあります。……しかし緑谷君はオールマイトが認めた後継者、乗り越えてくれますよ」

「それもそうだな……」

 

 会議が終わった後、ホールの一角でナイトアイとグラントリノが言葉を交わしていた。ナイトアイが口にしたように今回の事件は『個性』が前提である『超人社会』の暗部を示すものであり、ヒーローを目指す出久達には精神的に負担のかかるものであった。しかし、その中でも出久達は自身の原点……『困っている人を救ける』を再認識し、前向きに取り組もうとしていた。

 

「オールマイト、俊典にはこのことは話してるのか?」

死穢八斎會(しえはっさいかい)を追っている事、敵連合が関わっていることは緑谷君を通して間接的にですが伝えています。ただ、今日の会議内容については直接伝えようと考えています」

「それがいいだろうな。小娘を信用しないわけじゃないが、こういうのは人を挟まない方が情報が洩れるリスクは少ない」

「それに……」

「ん? 何かあるのか?」

「少々相談したいこともありますので……」

「ならなおさら直接話した方がいいな。ちなみに俊典をこの件に呼ぶ予定は……」

「ありません。この件の最重要項目は隠密性、相手に気取られないこと。一線を退いたとはいえ彼は目立ちすぎます」

俊典(あいつ)の数少ない欠点だな……」

「……ある意味、それも『彼らしさ』と言えます」

「……違いない」

 

 ここにいないオールマイトをいじりながら、2人は今後の調査の確認や雑談を時間をかけて行った。

 

 

 Prrr……Prrr……

 

 

 オールマイトの持つスマホ……ナイトアイとの連絡専用のもの……が鳴る。翌日の授業の準備をしていたオールマイトは少し不思議に思いながら電話に出た

 

「こちらオールマイト。どうしたナイトアイ?」

『夜分にすまない。少々話したいことがあってね……。今回緑谷君がインターンに来ている件なんだが……』

「ああ、確か死穢八斎會というヤクザ組織に敵連合が関わってきているという……」

『それについて、現時点での情報を共有しておきたい』

「! わかった、詳しく教えてくれ」

 

 それからナイトアイは時間をかけて今日の会議で話した内容や今後の方針を伝えた。

 

 

『……現時点の情報はこんなところだ』

「なるほど、ありがとうナイトアイ。しかし、これはなかなか難しいね。どこまで広がっているのかが見当つかないよ」

『ああ、しかも調べるにしても奴らに気取られないようにしないといけない」

「……これは私ができることはないね……」

『すでに土地勘のあるヒーローに要請している。貴方は学内で緑谷君達をサポートして欲しい』

「ああ、そうしよう。君もインターン中は目を配ってやってくれ」

『わかってるよオールマイト』

「ふむ、それじゃあ今日はこの辺りかな……」

『オールマイト、実はもう一つ話さなければならないことがあるんだが』

「お、そうか。何かな?」

『爆豪君についてなんだが……』

「爆豪少年?」

 

 

 

 Prrr……Prrr……

 

 

 今日の課題と明日の準備を終えてそろそろ休もうとしていた勝己の電話が鳴った。こんな時間に電話してくるのは家族か出久くらいしかいないと思っていた勝己はスマホの画面を見て少々驚いた。

 

「オールマイト? なんでだ?」

 

 多古場海浜公園で電話番号を交換していたが、これまで電話が来たことはなかった。疑問に思いながらも憧れの人からの電話に出ない選択肢はなく、そのまま電話に出た。

 

「爆豪だ」

『おお、爆豪少年! オールマイトだ』

「なんかあったのか?」

『ええ~っと、その調子はどうかな?』

「? 別に悪くねえな」

『そ、そうか。それは良かった』

 

 掛けてきたにしては歯切れの悪いオールマイトに勝己はますます訝しむ。

 

「何か用があるんだろ?」

『あ、ああ。実はナイトアイが君と話したいと言っていてね。連絡先を教えてもいいか確認したかったんだ』

「ナイトアイが?」

 

 その内容に勝己は驚いた。ナイトアイとは護衛してもらったり多古場海浜公園でも出久、オールマイトとともに4人で話し合ったりして面識自体はあるが、名指しで連絡が来るとは思っていなかった。

 

「別に構わねえけど」

『ありがとう。彼に伝えて、5分以内で電話が来ると思うからよろしく頼む。それじゃあ、おやすみ』

「ああ……』

 

 通話が切れてしばらくすると、再びスマホが鳴る。

 

「もしもし、爆豪だ」

『もしもし、サー・ナイトアイだ。急に連絡して申し訳ない』

「いや、大丈夫だ。それより、オールマイトから俺に話したいことがあるって聞いたけど……」

『ああ、君に伝えなければならないことがある』

「伝えなければならないこと?」

 

 疑問に思う勝己に対してナイトアイは努めて落ち着いた口調で話した。

 

『以前、病院で初めて君と会って別れ際に握手した際、君の未来を予知した』

「!?」

『緑谷君と会った時もだが、意図せずに予知が発動してしまった。とはいえ、君の未来を無断で予知してしたことは事実だ。申し訳ない』

「いや、それは……もう仕方ねえ。それで……その内容は?」

 

 

 勝己の問いに、ナイトアイは数秒の間を空けて答えた。

 

 

『そう遠くない将来、君は死ぬかも……しれない』

「……!?」

 

—————————————————————————————

Side:Katsuki

 

『そう遠くない将来、君は死ぬかも……しれない』

「……!?」

 

 電話越しに信じられない……死刑宣告にも近い言葉を伝えられる。思考がまとまらず今聞いたことを反芻するように口にすることしかできなかった。

 

「俺が……死ぬ?」

『現時点でそうなるかもしれない、ということしか言えない』

「……詳しく教えてくれ」

 

 

 どこかの庭か広場であった戦闘の形跡。ヒーロースーツ姿で胸に傷を負っている俺。そして、そんな俺を見て慟哭するヒーロースーツ姿の出久……。

 

 

 ナイトアイから聞いた内容はおおむねそんなものだった。とても信じられなかったが、同じように死ぬ予知を伝えられたオールマイトはどんな気持ちだったのかと別の部分で妙に冷静だった。

 

『……内容としては以上だ』

「……以前、出久にあんたの予知が当たる確率は100%だって聞いたことある。その辺りはどうなんだ……」

『……正確に言うと『今までの実績で確率は100%』が正しい』

「……オールマイトの件か?」

『オールマイトに聞いたのかい?』

「偶然というか不可抗力でだけどな……」

『? まあ、オールマイトの件は彼からも聞いたと思うが、予知が変わった後なのか、それともこれから予知通りの未来がやって来るのかはまだわからない』

「そう、か……」

 

 仮に……オールマイトの予知が変わった後だとしても、はっきり言ってオールマイトはいろいろ規格外すぎて参考にならねえ。

 

 出久……。

 

「ナイトアイ、このことは出久には……?」

『伝えていないよ。本来ならオールマイトにも伝えるべきではなかったんだが、緑谷君に知られずに君とコンタクトを取るには彼にも知ってもらう必要があると判断した。事後になってしまい申し訳ない』

「いや、それは構わねえ。……ナイトアイ、このことは出久には黙っておいてくれ」

『いいのかい?』

「あいつはOFAの継承で精一杯だ。余計なこと話して不安にさせたくねえ」

『……わかった。彼女には秘密にしておこう。ただ……』

「なんだ?」

『秘密を一人で抱え続けるというのは想像以上に辛いものだ。今すぐとは言わないが、いつかは緑谷君にも話した方がいい。私に言えるのはそれだけだ』

「……ああ、覚えておくぜ」

『夜分にこんな深刻な話をしてすまなかったね。君とは直接会ったり連絡を取るのが難しいからこのような形になってしまった』

「いや、こっちこそわざわざ連絡をしてくれて、ありがとう……」

『爆豪君、緑谷君と一緒に頑張るんだよ』

「……ああ」

『オールマイトとも話し合うといい。それでは、おやすみ』

「ああ」

 

 そう言って、ナイトアイとの通話を終えた。

 

 ……俺が、死ぬ、か……。

 

 今まで考えたこともない。……いや、林間合宿で出久と敵連合のアジトから逃げる時は一瞬よぎった。だが、ナイトアイの予知確率を加味しても今回ほど明確に『死』をイメージさせられたことはない。

 

 ……出久。とても今のあいつには言えねえ……。……これも、今まであいつにしてきたことの報いかもしれねえな……。

 

 

 Prrr……Prrr……

 

 

 スマホが鳴り、通知を見るとオールマイトからだった。即座に応答する。

 

「爆豪だ」

『こちらオールマイトだ。ナイトアイから聞いたみたいだね』

「ああ」

『先に内容を聞いてしまってすまなかった』

「いや、あんたは聞く資格がある。オールマイト、あんたもこんな気持ちだったんだな……」

『そう言ってくれて助かるよ。爆豪少年、このことは緑谷少女には……』

「……今は言うつもりはねえ」

『……そうか、わかった。今まで世間を欺いてきた私に君の判断を批判できない。ただし……』

「なんだ?」

『いずれ言う必要はあると思う。それまでは一人では抱え込まないでくれ。私やナイトアイ、それにグラントリノもいる。それを忘れないで欲しい』

「……わかった、ありがとな」

『夜にすまなかったね。また、連絡を取りながら進めていこう。それじゃあ、おやすみ』

「ああ、おやすみ」

 

 オールマイトとの通話を終えてため息をつく。この短い時間にいろんなことが起き過ぎた。

 

 ……今までは出久やオールマイトが俺に対して秘密を抱えていたが、立場が逆になっちまったな。正直なところ、今は何ができるかわからねえ。だが、やるしかねえ!

 

 そう自分に言い聞かせて、無理矢理ベッドに入り目を閉じる。脳裏で抗議する出久の姿が浮かんだが、俺は何も言えずに眠りに落ちた。




というわけで第70話でした♪リアルが忙しすぎてだいぶ間が空いてしましましたw出久ちゃんの方はほぼ原作通りですが、かっちゃんサイドはだいぶシリアスでハードです。この時点で自分の死を予知されたら原作かっちゃんならもしかしたらプレッシャーで周囲(主に出久)にイライラをぶつけるかもしれませんが、こっちのかっちゃんはスパダリで精神的に比較的安定しているので、なんとかなる、かもしれませんw
今後もマイペースで進めていくので、応援の程よろしくお願い致します!
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