昔、艦これにハマっていた頃に書いたものが出てきたので供養のためにあげます。


機械と流行に疎い不知火がipodとやらを買いに行くだけの話。
不知火メインと見せかけての雪風メインという感じの謎の話。
内容はタイトルの通り。
落ち度はない。

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――3月24日――

初風「今日の買い出しも大変ね……絶対二人でどうにかできる量じゃないわよ、これ」

 

雪風「うちの姉妹全員分、ですからねえ」

 

初風「大体、こんなの私達の仕事じゃないでしょうに。ああ、重い……」

 

雪風「間宮さんだって休日くらい休ませてあげましょうよ。どうせ当番制なんですから」

 

初風「はいはい。雪風はやさし……」

 

雪風「?」

 

初風「……あれ、不知火姉さんじゃない」

 

雪風「本当ですね。……電気屋で神妙な顔をして」

 

初風「面白そうね。見に行きましょう」

 

雪風「ええ……」

 

 

不知火「……あら、初風。雪風も」

 

初風「不知火姉さん、何を見ているの?」

 

不知火「ええ。……あいぽっど、というのを、買いに来たのですが」

 

初風「へー……」

 

初風・雪風(!?)

 

 

初風(バカな……あの姉さんが、ipodに興味を……っ!?)

 

雪風(艤装の解体は10秒を切るけどテレビは叩いて直そうとする姉さんが!?)

 

初風(戦闘知識は並外れてるのに、機械に関してはドが付くオンチな不知火姉さんが、ipod……!?)

 

不知火「けれど、いっぱいあって迷ってしまって。……どう違うのかしら、これ」

 

初風「……そ、しょうなのねえ~!」

 

雪風(初風! 動揺が隠せてません!)

 

初風(しかたないじゃない!)

 

不知火「……そうだ、あなたたちは知っている? もし暇なら……」

 

雪風「え……」

 

初風「あー、あー! 私は買い出しの途中だったわ! そうだ雪風、あなたのも持ってあげる!」

 

雪風「え、ちょっと……初風今重いって言ってませんでした?」

 

初風「細かいことはいいのよ。あ、雪風の手が空いたわね。不知火姉さんの用事に付き合ってあげれば!?

 じゃ、あでゅー!」

 

雪風「ちょっ! 逆賊ー!」

 

不知火「…………」

 

雪風「……ええとぉ」

 

雪風(……ピンチです!)

 

 

雪風(実を言うと……雪風はあまり不知火姉さんが得意ではありません)

 

雪風(あまり喋らないし表情もよめないし……何を考えているのかわかりませんし)

 

雪風(そもそも、なぜipod? いえ、いいんですけども。行動原理が謎過ぎます……)

 

不知火「……ねえ、雪風」

 

雪風「は、はい!? べ、別に何も考えてはいないですよ!?」

 

不知火「? いえ。そうではなく。このあいぽっど、ボタンがないのだけど。

 どうすればいいのかしら」

 

雪風「ええ……えっと、タッチパネルなんですよ」

 

不知火「たっちぱ……? ……それは、回転寿司で選ぶ画面のような?」

 

雪風「偏った知識な上に何故そこから出てきたのかわかりませんが、大体あってます」

 

不知火「……最近のおーでぃおははいてくなのね」

 

 

不知火「ねえ、雪風。これとこれだとどう違うの」

 

雪風「ええと、それは……容量が違うというか」

 

不知火「容量。……同じ大きさに見えるけど」

 

雪風「中に入る曲の数が違うんです。なんというか、重さというか……」

 

不知火「重さ……」

 

雪風(手に持って神妙な顔で比べてる……)

 

雪風「でも、今は大抵、大容量ですから、あまり気にする必要はないと思います。

見た目で選んでもいいんじゃないですか」

 

不知火「見た目……」

 

不知火「雪風、貴方ならどれが似合うと思う?」

 

雪風「ゆ、雪風に選ばせるんですか!?」

 

不知火「ええ。ちょうどいいし。貴女、詳しそうだもの」

 

雪風(ええ~……不知火姉さんに似合う感じ……ですか)

 

雪風「じゃあ、その黒くてクールなのとかどうです?」

 

不知火「……似合わないんじゃないかしら?」

 

雪風「ええ? 似合いますよ?」

 

不知火「?」

 

雪風「?」

 

――――――――――

 

不知火「それにしても、色々と種類があるのね。大きさも……」

 

雪風「はあ……」

 

不知火「あら、良い形状。感謝します」

 

雪風「……なんなんです?」

 

不知火「さすがに気分が高揚するわ」

 

雪風「不知火姉さん。それパクりです」

 

 

不知火「……どうしたの?」

 

雪風「いいえ……なんでもないです」

 

不知火「なんでもない、という顔ではないと思うけれど。私に言いにくいこと?」

 

雪風「言いにくいことというか……そのぉどうして、ipodなんて買おうと思ったのかと」

 

不知火「ひみつ」

 

雪風(ええ……)

 

雪風「はあ……不知火姉さん、何考えてるかわからないです……」

 

不知火「そう……そうかしら? 私って、そんなに分かりにくい?」

 

雪風「あ、いえ。悪い意味では……」

 

不知火「いいけれど。陽炎にも言われますし。もっと愛想よくしろと」

 

不知火「でないと妹達が怖がると」

 

不知火「……でも、そんなに怖い?」

 

雪風(……ゆ、雪風にどう答えろと)

 

 

不知火「――まあ、いいけれど。無意識のことなのだから、意識しようもないし」

 

雪風「はあ……不知火姉さんは変わりませんね」

 

不知火「そう? ……そうかもしれないわ。私は、何も変わらない」

 

不知火「――でも、貴女は変わったわね」

 

 

雪風「雪風が?」

 

不知火「ええ……ふっ」

 

 

不知火「…………怒るようになった」

 

雪風「…………」

 

 

不知火「貴女が鎮守府に来たばかりの頃は、いつも笑ってばかりだったけれど。

 ……本心から笑っているようには、見えなかったから。色々なことを諦めて、隠しているように見えた」

 

不知火「笑ってばかりで……心に踏み込ませない貴女が、笑ったり、怒ったり。

 困ったり、気取ったり。……最近はせわしなく表情が変わるようになったわ」

 

不知火「きっといいことね」

 

雪風「…………あんまり褒められてる気がしません」

 

不知火「ほら、そういう拗ねた顔も」

 

雪風「うぐう……」

 

 

不知火「多分、妹達が増えたからかしらね、あなたが変わったのは」

 

雪風「……仕方ないじゃないですか」

 

雪風「雪風はお姉ちゃんなんですから。こんなでも、お姉ちゃんなんですから」

 

雪風「妹のことを心配したり、怒ったり……。その、まああとはええと……」

 

雪風「……とにかくそういうの、するの当たり前なんです」

 

雪風「だからこれは仕方がないんです」

 

不知火「……それって姉のことは心配してないってこと?」

 

雪風「ああああいえ! そういうわけでは!」

 

不知火「冗談よ」

 

 

雪風「むう……」

 

不知火「でも。少しだけ、妹達に嫉妬はします」

 

雪風「嫉妬、ですか……」

 

不知火「貴女が妹達に感じていることを……不知火も、陽炎も黒潮も。初風だって。

 貴女に感じていることは、わかってほしいわ」

 

雪風「……………………」

 

雪風(――それは。嫉妬なんてものではなくて)

 

雪風(でも――)

 

不知火「だから、貴女をどうにかできるわけじゃないのだけれどね。……雪風?」

 

雪風(……でも)

 

 

雪風「……わかって、ますよ」

 

雪風(わかってます。わかってますよ。気にしてくれていることも。

 見ていてくれていることも全部)

 

雪風(私を――心配してくれていることも)

 

雪風「でも、雪風は……」

 

 

――雪風は、そんな風に思われるような良い妹じゃないのに。

 

 

不知火「――ねえ、雪風」

 

雪風「…………?」

 

 

不知火「このパーツ、何処の部品だと思う?」

 

 

雪風「ちょっ! 何を壊してるんですか!? 店頭の商品を!?」

 

不知火「壊したんじゃないわ。壊れたのよ。勝手に」

 

雪風「壊す人は皆そういうんです! み、見せてください!」

 

不知火「大丈夫? 動くかしら。叩いた方がいいんじゃ……」

 

雪風「不知火姉さんのバカ力で叩いたら完全にご臨終されます! 黙っててください」

 

不知火「はい」

 

 

雪風「びっくりした……。店頭用の電源が外れただけなんですね……」

 

不知火「大げさね」

 

雪風「大体姉さんが悪いんだから、反省してください」

 

不知火「……引っ張れば取れるような電源にしているのが悪いのよ。不知火に落ち度は」

 

雪風「あります」

 

不知火「…………」

 

 

不知火「とりあえず、これを買ってくるわね」

 

雪風「あ、はい」

 

不知火「雪風。今日はありがとう。おかげで、助かったわ」

 

雪風「…………」

 

雪風(ほんと……もう、なんなんですか)

 

 

――――――――――

 

不知火「今日はありがとう。おかげで助かったわ」

 

雪風「いえ~……」

 

雪風(つ、疲れました……)

 

不知火「じゃあ、はい」

 

雪風「はい?」

 

不知火「受けとって」

 

雪風「これ、今さっきかったipodじゃないですか。何故、雪風に?」

 

不知火「……? 何故って、元々貴女への贈り物のつもりだったから」

 

雪風「はえ!?」

 

 

不知火「貴女、今日が何日か覚えている?」

 

雪風「ええと……3月24日ですけど、それが」

 

不知火「そう。貴女の……『雪風』の進水日ね」

 

雪風「あ」

 

 

不知火「人間は、こういうのを誕生日プレゼントと呼ぶらしいわ」

 

雪風「……雪風は人じゃありませんよ。艦娘です。艦です」

 

不知火「娘でしょう?」

 

雪風「……雪風が生まれた日なんて、祝われてもいいのでしょうか」

 

不知火「どうして?」

 

雪風「だって、雪風は……」

 

雪風「やっぱり、もらえません……」

 

不知火「気に入らなかった?」

 

雪風「そうじゃないんです。ただ雪風には……資格がありませんから」

 

不知火「資格、ねえ」

 

不知火「貴女がこう、何を色々考えているかわからないけれど」

 

不知火「そんなに複雑に考えることはないわ。これはただの自己満足。

不知火の大事で少し心配な妹を、お祝いしようというだけの」

 

不知火「貴女が、妹達を想う気持ちと変わらない」

 

雪風「でも……」

 

不知火「それとも、貴女は妹達が生まれた日を、祝福出来ない?」

 

雪風「ぐぬ……そ、その言い方は卑怯じゃありませんか……」

 

不知火「じゃあ、貰ってくれる?」

 

雪風「…………」

 

 

雪風(結局貰ってしまいました……)

 

不知火「雪風」

 

雪風「なんですか……」

 

不知火「似合うわよ」

 

雪風「………………………あ~ううう」

 

不知火「それじゃあ、また鎮守府で」

 

雪風「……はい、『また』」

 

 

――――――――――

 

雪風「ただいまです……」

 

初風「あら、遅かった……いえ、早かったのかしら? どしたの?」

 

雪風「今日って雪風の進水日らしいですよ」

 

初風「あっ」

 

雪風「…………」

 

初風「……ももちろん覚えてたわよ? はっぴーばーすでーゆっきー!」

 

雪風「うざっ」

 

 

初風「……で、曲って何を入れたの? ていうか雪風ってどんな曲が好きなの?」

 

雪風「ええ……初風には教えませんよ」

 

初風「まだ拗ねてるの? いいじゃない。プレイリスト見せないよ。そらっ!」

 

雪風「ちょっやめ……」

 

初風「……………全部Cocco」

 

雪風「…………」

 

初風「……あー」

 

END.


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