「あなたの瞳、とても綺麗ね。
そうやってわたしが愛想よくお世辞を言うと、眼前の彼女は微かに小首を傾げながら、これまた妙なことを言い出したのだった。
「……たしかにわたしの名前はルリ子よ。けれど、それがいったいどうしたの?」
「……はい?」
彼女:緑川ルリ子がいったい何を言っているのか、はじめわたしはわからなかった。わたしが話しているのはルリ子の瞳の話であって、名前のことなんか言っていない。
けれど、そうこうしているうちにわたしはようやく思い当たる。この子、ひょっとして。
「……まさかあなた、『瑠璃を知らない』の?」
「!」
恐る恐る訊ねたつもりだったのだけれど、途端にルリ子はひどく不満げな顔をした。さては図星か。どうも『自分に知らないことがある』というのを思い知らされてしまったのが、ルリ子にとっては心底不愉快であるらしい。
逡巡の末、ルリ子は渋々頷いた。
「……ええ。知らない」
そしてわたしを睨みつけながら言う。
「ちょっと、何が可笑しいの?」
そう問われて、わたしは自身の口元がにやけていたことにようやく気が付いた。眉をしかめて頬を膨らませているルリ子の表情。そんな、日頃の彼女なら絶対見せないような子どもっぽい態度が、このときのわたしにはなんだかとても面白かったのだ。
「ごめんなさいね」
至極申し訳なさそうな笑顔を取り繕いながら、わたしはルリ子に教えてあげた。
「瑠璃っていうのは
わたしに指摘され、ルリ子はすぐさま自身の目元へと手をやった。その細指に覆われた綺麗な顔で、ルリ子の瞳が海よりも深い青に輝いている。
普段のルリ子の瞳はごく普通の黒色のはずだったけれど如何なる理由によるものか、時々このように青く光るらしい。あるいはルリ子の産みの親である緑川博士も、この瞳の性質にちなんで彼女にこんな名前を与えたのかもしれない、なんてことが頭をよぎった。
……あ、そうだ。わたしはルリ子に呼び掛けた。
「ねえ、緑川ルリ子さん。あなたのこと、今度から『ルリルリ』って呼んでもいい?」
「……なによそれ」
むくれた態度を隠さないまま、わたしを真正面から睨みつけてくるルリ子。そんな彼女に、わたしはにっこり微笑みかける。
「名前が緑川
わたしからの素晴らしい提案にルリ子はこれまた酷くご機嫌斜めだったが、言い返しても無駄だと悟りでもしたのか、やがてそっぽを向いて吐き捨てた。
「……勝手にすれば」
こんな塩梅で、わたしと緑川ルリ子の関係は始まったのだった。
緑川ルリ子は、秘密結社:
彼女が一流の情報収集分析能力を持っていることはわたしも風の噂で聞いていたけれど、『情報端末からデータをインストールするときは瞳が瑠璃色に光り輝く』なんてのは親しく付き合うようになって初めて知った。
……いけ好かない女。
それが緑川ルリ子に対する、わたしの第一印象だった。
わたしたちのSHOCKERは実力主義の世界だ。派閥同士での壮絶な内部抗争が繰り広げられていた往年よりは落ち着いているらしいのだけれど、今でも構成員同士の利害がかち合って対立に至ることはあるし、そういった場合は最終的に当事者同士でカタをつけるのが通例になっている。
そんな中、緑川ルリ子だけは特別扱いだった。
SHOCKER上級構成員の中でも筆頭格である緑川イチローさんや、同じくプラーナ技術研究の第一人者である緑川弘博士とも血縁を持ち、そしてその実態は緑川グループの虎の子である生きたスーパーコンピュータ。それが緑川ルリ子だ。
つまり、下級の幹部候補生から成り上がるところからスタートするしかなかったわたしのような凡人とは全然格が違う、生まれついての成功が約束された『勝ち組』ってわけ。構成員同士の利害がかち合って~という状況があるのは先述したけれど、緑川博士の娘であるルリ子の場合なら却って譲ってもらえるのが常であったろう。
……なのに、どうしてあんなに不幸せそうな顔をしているのかしら。
緑川ルリ子ときたらあれだけ恵まれた地位にありながら緑川家の人間以外とは誰ともつるまず、組織内の地位や権力にもさほど興味が無さそうに見える。派閥も創らず、力を振るうこともせず、むしろ『この世に生まれついたことが不幸!』とでも言わんばかりの辛気臭い表情ばかり浮かべている。実際にはSHOCKERの上級構成員、それも緑川の御姫様ってだけでこれからの幸せは約束されているはずなのに。
そんなに自分の境遇が不満? だったら、わたしが代わってあげたいわ。そんな気持ちを憤懣混じりに抱いたのを、よく覚えている。まあ、今にして思えば、それはひがみ以外の何物でもなかったんだろうけれど。
そんなルリ子だったから、幹部候補生であるわたしたちのあいだでは嫌われ者だった。嫌われ者といっても相手は緑川グループの御令嬢なので表立っていじめたりするわけではないのだが、そのややこしい境遇が却って事態を陰湿にしていった。
そんなわけで、この頃の緑川ルリ子には、まあ多分今もだろうけど、同年代の友達と呼べるものがいなかった。このわたしが親友になって
「ね~え、ルリルリ?」
「…………。」
「ルリルリってば~?」
「…………。」
「もしもーし、ルリルリ~?」
「…………。」
隣席にいるわたしからの呼び掛けに応えないまま、目の前の携帯情報端末へ熱中しているルリ子。
……あらら。このわたしを完全スルーとは良い度胸ね。ちょっぴり腹が立ったので、わたしは仕返ししてやることにする。
ルリ子の隣をいったん離れたあと、背後から音も無く忍び寄り、情報端末へ見入っているルリ子の両目に掌をかぶせてやった。
「えいっ」
「っ!?」
不意に両目を塞がれたことで、流石にルリ子も無視一辺倒というわけにはいかなくなったようだった。すぐさまわたしの手を払い除け、苛立った様子で振り返った。
「……なに」
いつもどおりのお人形さんみたいな顔に、眉間へ皴の寄った表情。ようやく返事をしてくれたルリ子に、わたしは努めて楽しげな口調で話し始めた。
「ルリルリって、いつもインターネット検索してるのね。それ、なんか面白いの?」
わたしからの質問に、ルリ子は不承不承と言わんばかりに不機嫌そうな目つきで答える。
「……べつに。情報収集はわたしの役割だから」
「役割?」
思わぬ返答にわたしは面食らってしまった。情報収集が、役割??
そんなわたしに、ルリ子は言った。
「わたしは緑川博士の生体電算機。この世のすべての情報を収集し、解析する。わたしはその役割を果たしているだけよ」
ふーん……つまんなそうね。
そんなわたしの何気ない呟きに、ルリ子はいつになく食って掛かってきた。
「は? つまらない、なにが?」
「だって、そうでしょう?」
不審げに眉をしかめているルリ子へ、わたしは笑いながら告げる。
「インターネット検索で情報収集するだけなら、普通のスパコンAIでも出来る。そんなのちっとも面白くないわ。生体電算機だというのならそのメリットを生かすべきでしょう?」
「生体電算機の、メリット?」
その指摘は自他共に認めるほどに優れた生体電算機である緑川ルリ子にとって『青天の霹靂』という奴らしかった。おかしな話よね、誰よりも賢いはずだっていうのに、これまでそんなことも考えてこなかったなんて。
わたしは言った。
「ねえルリルリ、思い出して御覧なさい。わたしたちSHOCKERのスローガンが何だったか」
わたしからの提起に、ルリ子は少し考えてから答えた。
「……“IF YOU WANT TO BE HAPPY,BE:幸せになりたいのなら、なりなさい”」
「そう、それよ。あなたもそうあるべきだわ」
「……??」
ここまで言われても、ルリ子はまだきょとんとしていた。
……ルリ子の奴、生きたスパコンのくせに意外とニブいのね。そんなルリ子の鈍感さにうっすら溜息を吐きながら、わたしは説明してあげることにした。
「つまりね、生体電算機であるあなたもまた“幸せ”になるべきなのよ。そうやって延々とインターネット検索し続けるのがルリルリの“幸せ”だというのなら止めないけれど、そうでないならせめて趣味くらいは持つべきじゃない?」
「趣味……」
わたしの言葉にいよいよ考え込んでしまうルリ子。
……まあルリ子本人がそれでいいなら本来知ったことではないのだけれど、余計な御節介を焼いてあげるのも嫌いではないので、わたしは一つ提案してみた。
「情報収集が好きなら、読書とかどう? 読書体験は人生を豊かにしてくれるわよ」
このときルリ子はわたしが何を言うか一瞬期待したように見えたのだけれど、その答えが『読書』だとわかった途端あっけなく醒めてしまったようだった。すぐにそっぽを向いて素っ気なく答える。
「……本は非効率よ。一括インストールも出来ないし、1ページずつめくらないといけない。時間もかかるわ」
あらら、それがいいんじゃない。わたしは反論した。
「オチから醍醐味まで全部一度にわかってしまうなんて、退屈でしょう? 次のページをめくらないとどんな展開が待っているかわからないし、自分の読みたいペースで読みたいように読むことが出来る。だからこそ面白いんじゃない」
「……そうかしら?」
少しは興を惹かれつつもやっぱり納得していない様子のルリ子に、わたしはとっておきの言葉を教えてあげることにした。
「『Life is either a daring adventure or nothing:人生とは、大胆な冒険か無のどちらかだ』、ヘレン=ケラーの言葉よ。インターネット検索なんて、所詮は既に知っていることの拡張でしかない。だけどそればっかりじゃあ、こういう素晴らしい言葉にも出会えないんじゃあなくて?」
「……なるほど」
わたしからここまで説明されて、ルリ子もようやく腑に落ちたようだった。なら、とわたしにこんなことを訊ねた。
「ヒロミ、あなたが好んでいる本を教えて。まずはそこから読んでみる」
今のルリ子の表情は、先程までの彼女のそれとは違ってキラリと輝いているようにわたしには見えた。
わたしは微笑みながら答えた。
「いいわ、オススメを選んであげる」
ルリ子と付き合うようになってからしばらくして、上級構成員の最終選抜試験があった。
今回選ばれた上級構成員の候補はわたしを含めて13人。最終選抜試験の内容は至ってシンプル、バトルロイヤル形式による闘技場での殺し合いだ。
SHOCKERの上級構成員には単に力が強いだけの存在など求められてはいないけれど、叶えたい幸せの形、願い、その強さはそのまま個人の力量差へと繋がると考えるのはごく自然なことだ。だからこそSHOCKERは実力主義の世界となっているわけだしね。
そして決勝戦。並みいるライバルを叩き潰したわたしと最後に対峙したのは、わたしの同期であるアルキメデスだった。
SHOCKER上級構成員候補生、アルキメデス。古代の天才科学者と同じコードネームを持ち、その頭脳と科学力で自分自身を強化改造したクレージーな奴。アルキメデスは、今回の選抜試験における大本命として注目されていた。
わたしと二人きりで対峙したとき、そのアルキメデスはわたしにこう言った。
「……生き残ったか。ふしだらな女王蜂め」
あらら、ひどい言い草。
女王蜂、というのは『周囲を食い物にする悪い女』の比喩だと聞いたことがある。周囲の雄蜂を食い殺して力をつけてゆく邪悪な女王蜂。要するにアルキメデスは、わたしのことを『阿婆擦れ』だと罵っているのだ。
聞き流しても良かったけれど、一応わたしも応えておくことにした。だってホラ、その方が気分が“アガる”じゃない?
「わたしが女王蜂だというならアルキメデス、あなたは差し詰めアリンコでしょうね。空も飛べずに地を這いつくばり、ただ上から踏みにじられるだけ、そうでしょう?」
「き、貴様……っ!」
わたしの挑発にアルキメデスは逆上した。全身の肉体が変態を遂げ、筋骨隆々の巨体へと変わる。
「いいだろう。貴様ごとき羽虫、真正面から捻り潰してくれる……っ!」
戦闘モードに入ったアルキメデスを前に、わたしはちらりと考える。
……それにしても女王蜂ねぇ。
うん、悪くない。気に入った。いつかどこかで使わせてもらおう。
勝敗は呆気なく決まった。
当然だ。アルキメデスのような力任せのパワー馬鹿ごときに、このわたしが負けるわけがない。まぁ、ほんのちょっとばかり『苦戦した』くらいは言ってやっても良いかもしれないけれど。
「……ふう」
わたしは一息つきながら闘技場の隅、仰向けで倒れているアルキメデスへ目をやった。アルキメデスは自慢の怪力を繰り出す両手足を砕かれ、今や起き上がることすら出来ないようだった。もはや上級構成員試験どころではない、人間としても再起不能だ。
「……こんなのおかしい」
「あん?」
ふと見ると、アルキメデスがなにか譫言を呟いていた。何言ってんのかしら、というわたしの目線にアルキメデスも気づいたようで、怒りを爆発させるかのように声を張り上げた。
「“IF YOU WANT TO BE HAPPY,BE:幸せになりたいのなら、なりなさい”、それが本来あるべきSHOCKERの姿ではなかったのか!? 貴様のような、支配欲に狂った
……あらら。つい笑みがこぼれる。
「何が可笑しいっ!」
ぷふっ、あっはっはっは!
歯軋りしながら激昂するアルキメデスに堪えかねて、わたしはとうとう噴き出してしまった。お腹を抱えて涙目になりながらひとしきり笑い転げたあと、わたしはようやく口を開く。
「いやあ、意識高い系の負け犬がなんか無様に吠えてるなあ、と思っちゃって」
「なんだと……!?」
唖然としているアルキメデスに、わたしは続ける。
「だって、SHOCKERが実力主義の世界なのはもともとわかっていたことでしょう? そんな風に言うのなら、上級構成員の選抜試験なんて最初から挑まなければよかったじゃない」
「ぐ……!」
痛いところを突かれて口を噤んだアルキメデスを、わたしはウキウキ気分で見下ろした。そして、アルキメデスが忘れてしまっているであろうSHOCKERの流儀について、改めて教えてあげることにする。
「SHOCKERで生きてゆくにはね、生まれついての『センス』が必要なの。今のあなたみたいに、自分の無能を棚に上げて誤魔化すような敗北主義者に、SHOCKER上級構成員の座は相応しくない」
でもね、とわたしはにっこり微笑んだ。
「あなたにはとても感謝しているわ、アルキメデス。あなたのおかげで、わたしは『本当の自分』を勝ち取ることが出来た!」
そしてわたしは周囲へ向けて両手を大きく広げる。わたしの手が差し示したのは、激しいバトルロイヤルの果てに八つ裂きにされ、切り刻まれ、そしてSHOCKERの特殊処理で泡となって消えていった他の候補たちの
ああ、今日はなんて幸せな一日なのかしら! わたしは高笑いを響かせた。
「いいやアルキメデス、あなただけじゃあない、他の候補生たちもそうよ。あなたたちのような有象無象の敗者がいてくれるから、わたしのような一握りの勝者も存在できる。わたしの幸せは皆のおかげ、だから皆には感謝しなくっちゃあね」
わたしはごく当たり前の事実を言ったつもりなのだけど、アルキメデスは「イカレ女め……!」と怒りと嫌悪に顔を歪ませただけだった。
……嗚呼、わたしの感謝の想いをわかってもらえないのは残念だわ。まあ別にいいけど。わたしは動けないアルキメデスの傍へと歩み寄り、手にした剣を高々と振り上げる。
「そこで感謝の想いを込めて、せめてあなただけは苦しませずに殺してあげる。わたしに幸せをありがとう、アルキメデス。あなたのことは忘れない」
「ま、まって……!」
いいや、待たない。
そしてわたしは、アルキメデスの胸を深々と刺し貫いた。
かくして、わたしはSHOCKER上級構成員の地位を手に入れた。
上級構成員としての
それと同時に、最新鋭の人外合成型オーグメンテーション手術を受ける権利も手にした。実際に受けるのはもう少し先のことになるけれど、その際はハチの特性を持つハチオーグにしてもらうと決めた。文字通り、わたしはSHOCKERの女王蜂として君臨することが認められたのだ。
そのことを、わたしはルリ子に報告しに行った。
「……そう」
如何にも『あんたのことなんかちっとも興味ありませんよ』と言わんばかりの、素っ気ない態度はいつもどおり。けれど今日のルリ子はさらに一言、こう付け加えた。
「……おめでと、ヒロミ」
ちょっぴりほんの一滴、いつもと違うルリ子の表情。その微かな変化を、わたしは見逃さない。すかさずにんまりほくそ笑み、思いきりぎゅっと抱き締める。
「えへへ、ありがとルリルリっ!」
「ちょ、ちょっと、抱き着かないでよ……っ!」
嫌がるルリ子を押さえつけて、わたしは思う存分に頬擦りしてあげる。ルリ子の肌はすべすべさらさら、天国みたいに触り心地が良かった。
「こ、このっ……は、な、し、な、さいっ!!」
「ああんっ、いけずっ」
そうやってわたしを引きはがそうとするルリ子、けれどそんな彼女の頬はほんのちょっぴり恥ずかしげな紅を帯びているようにも見えた。ルリ子は、そんな自分自身を隠すかのようにわたしを突き放すと「と、ところでっ」と話題を切り替える。
「今日の本は持ってきたのかしらっ、ヒロミ?」
ああ、そうそう、今日は“読書会”の日だった。いつだったかの約束から始まった、わたしとルリ子、二人っきりの読書会。わたしたちは読んだ本の感想を語り合いながら、一緒にお茶を淹れるのが通例となっていた。
「ええ、もちろん!」とわたしは自信満々に答えながら、カバンを開ける。
「今日持ってきたのはSF小説、『幼年期の終わり』よ」
そう言ってわたしがちょっと厚めの文庫本を取り出した途端、ルリ子がすぐさま口を挟んだ。
「『幼年期の終わり』、作者はSF作家の大家であるアーサー=チャールズ・クラーク。アメリカ合衆国で1952年に刊行されたのち、クラークの代表作としてのみならず、SF史上の傑作として国際的に広く愛読されている古典的名作……だったかしら?」
「あらら。よく知ってるわね」
感心するわたしに、ルリ子は言った。
「次はSF小説だって言ってたでしょう? だからあらかじめ“予習”しておいたの。まさか当たるとは思わなかったけど」
「ふーん、なるほど。ルリルリって、“用意周到”なのね」
何気無いわたしの言葉に、ルリ子はいつもどおりの仏頂面で、だけどどことなく得意気な様子でこう答えた。
「ええ、そうよ。わたしは常に用意周到なの」
ふーん、そうなんだ。ところで、ルリルリ。
「あなた、その話は今“ググった”でしょう?」
「えっ」
得意になっていた途端に虚を突かれた様子のルリ子。すかさずわたしは続ける。
「いや、だって今、あなたの瞳が瑠璃色をしているもの。『データをインストールするときは瞳が青く光る』、そうよねルリルリ?」
「馬鹿な、そんなはずは……あっ」
慌てて自分の目を隠そうとするルリ子。だがしかし、目の前でにんまりしているわたしを見て、すぐに気がついたようだった。
「ヒロミ、あなた、カマをかけたのね……!?」
「さあ、何のことかしら」
屈辱でわなわなと震えるルリ子を見ながら、わたしは満ち足りた気分で微笑む。
「ふぅーん、ルリルリは“常に用意周到”なんだぁ? へぇ~? ほぉ~?」
「も、もう、ヒロミったら!」
ルリ子はわたしをぽかぽか叩いて、わたしは心から笑った。
⇒To be continued to “Shin-Kamen Rider”...
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