改造人間でも無ければドーパントでも無い怪人。
戦太郎が持ち込んだ変身ベルトの一つであるゲーマドライバーを奪い、姿を晦ます。
警視総監の一人娘で右腕をシェードに改造された過去を持つ女子高生。
改造人間と言うレッテルを張られ、ドーパントからの襲撃を受ける。
版権キャラ
何故かこの世界に既に居る通りすがりの仮面ライダー。しかも春香が通う高校の生活指導員をしている。
神先戦太郎が来て一ヵ月後、世界に量産された分のガイアメモリが流通し、それによる犯罪が多発していた。
だが、世界はガイアメモリの存在を知らず、ガイアメモリを使ってドーパントとなった人間が起こした犯罪を、改造人間の仕業と思い込んでおり、世間が改造人間に対する嫌悪は、より一層に増すばかりであった。
「あれだ…」
改造人間抹殺を目的とする人類守護戦線のアジトにて、改造人間でも無ければドーパントでも無い謎の怪人が、身を隠しながらある物を見付けた。それは机の上に置かれたケースであり、二人の見張り番が守っていたが、何なのか聞かされておらず、退屈そうな表情を浮かべ、雑談を交わしている。ケースを見付けた謎の怪人は、二人の見張りに気付かれぬように、息を殺し、足音を立てないように近付く。
「なぁ、このケースの中身ってなんだ?」
「知るか。あのガイアメモリを持ってきた神崎が、一緒に持って来た奴だ。中身は、こっそり開けて見た奴の話によれば、仮面ライダーが使うベルトに似てたとよ」
「仮面ライダーのベルトか。俺も信楽さんみたいに、仮面ライダーになれるかな」
「へっ、俺たちみたいな下っ端には無理かもな。信楽さんは特別なんだ」
彼らの雑談で、ケースの中身は仮面ライダーのベルトと分かった。それを盗み聞きしていた怪人は、手近な距離に居る見張りの背後に忍び寄る。やる気のない二人は、怪人の存在に気付くことなく、交代が来るまでの間の時間潰しである雑談に熱中していた。
「ぐぁ!?」
「わっ!?」
自分の存在に気付かない見張りの一人を、背後からの一突きで殺害した怪人は素早く突き刺した右腕を引き抜き、左手で自分の存在にようやく気付いた二人目を掴みかかる。
「ヒィィィ!?」
敵の存在にようやく気付いた見張り番は、慌てて懐から出したガイアメモリを起動しようとするが、それを握っている右腕の骨を怪人が掴んだ左手の握力で握り潰される。
「がァァァッ!? 右腕がァァァ!」
自分の右腕の骨を握り潰された見張り番は悲鳴を上げる中、怪人は血だらけの右手で首を掴み、絞め殺すことなくある言葉を告げる。
「絶望しろ!」
「ワァァァッ!? た、助けてくれぇぇぇッ!!」
ただその言葉を呟けば、首を絞められている見張り番は絶望の表情を浮かべ、両目を見開き、恐怖のあまりに失禁して助けを呼ぶ。怪人に首を絞められている所為なのか不明だが、見張り番の顔だけでなく、身体中にひび割れが走っていた。これが何を意味するか、仮面ライダーウィザードを知る者には理解できるだろう。
『おい、どうした!?』
見張り番の絶叫のおかげか、アジト内に居る構成員らが集まって来た。多勢に無勢と判断してか、怪人は首を絞めている男から手を離し、机の上に置かれているケースを手に取り、アジトから逃走した。
「一体何が…!?」
「大丈夫か!? しっかりしろ!」
「な、なんで顔にヒビが…!?」
仲間の助けを呼ぶ声を聴き、集まった構成員らは、ケースを持って逃走した怪人を見失ってしまった。余剰な人員らは全身にヒビが入っている見張り番に寄り添い、大丈夫なのかと問う。直ぐに医療キットを持った構成員が治療を始めるが、身体のひび割れは収まるどころか、広がるばかりだ。
「どうした?」
「神崎さん! これなんだよ!? 身体がひび割れてるぞ!」
必死に治療を行うも、全く効果が無いと騒ぎを聞き付けてやって来た戦太郎に問い詰める。戦太郎は問いに答えることなく、治療を受けている見張り番を見て、驚くことなくもう手遅れだと告げる。
「あぁ、あいつも来てたのかよ…おまけに盗みやがってよぉ。そいつはもう駄目だ、殺しとけ」
「あんた、何言ってんだ! ガイアメモリを副作用じゃないだろうなぁ!?」
「あっ? ギャーギャー喚くなよぉ、うるせぇな。これ以上放置すれば、そいつは化け物になる。速く殺せ」
戦太郎はケースを持って逃げた謎の怪人を知っているようだ。襲われた見張り番を見て、化け物になるから速く殺すように告げる。それに意を唱える構成員であるが、戦太郎は面倒くさそうに胸倉を掴んで脅すように告げる。
「嫌だ…! 死にたくない…! 助けてェ…!」
見張り番は泣きじゃくりながら助けを求めるも、誰も助ける術を知らず、戸惑うばかりだ。その間に身体中のひび割れは進み、怪物に成り果てようとしている。
「あぁもう、どいつもこいつも! なんで分からねぇんだよぉ! 貸せ!!」
戸惑っている構成員らに苛立った戦太郎は構成員から拳銃を奪い取り、手慣れた手付きで安全装置を外し、絶望する見張り番の男を射殺した。数発ほど撃ち込んだ後、安全装置を掛けてから元の持ち主に拳銃を返却する。
「お前らその程度の覚悟で革命ごっこやってんのかよ? 化け物になるようなら、仲間でも殺せって言われなかったのかぁ? ちっ、覚悟が足んねぇなぁ、お前らは!」
怪物となる同志を手に掛けれない人類守護戦線の者たちの代わりに、見張り番を射殺した戦太郎は苛立ちながらその場を後にした。
盗まれたケースの中に納まっているベルトは、後ほど戦太郎の計画に支障をきたすことを、当の本人は知る由もない。
「お前の仕業だろ? この一連の事件の犯人は!!」
戦太郎が謎の怪人にケースを奪われて数日余り、ライダーマンGであり、女子高生である
彼女が通う高校の周辺でも、改造人間絡みの事件が多発していたが、春香も含め、その正体がガイアメモリを使った犯罪であることを知らない。春香は右腕のみを改造されたので、身体は普通の人間であるが、事情を知らない、または改造人間に対して恐怖心を抱く者には区別は付かない。
「ちょっとあんた! 不登校だった癖して急に登校して、しかも春香を犯人扱いだなんて!!」
事情を知る春香の友人である女子高生は、これまで不登校だった男子高生がいきなり登校し、更には改造人間と言う理由だけで犯人扱いすることに抗議する。友人を犯人扱いする不審な男子高生に怒りを覚えてか、春香を犯人扱いする男子高生は怯み、思わず後退りをする程であった。
「う、煩いぞ! 俺はそこの化け物が犯人だって言う確証がある! このネットで拾った画像がそれが証拠だ! 無能な警視総監の娘だからって、揉み消すことなんて出来ねぇぞ!!」
友人の為に怒る女子高生の剣幕に押されるが、声を震わせながらもチラシの画像を見せ付け、春香のみならず、その父である番場
「…酷いよ。私を罵るのは勝手だけど、お父さんまで侮辱するなんて…!」
「こいつの言う事なんて聞いちゃダメ! そいつの思う壺よ!」
「これ、いつの画像よ!? 捏造じゃないでしょうね!?」
自分を改造人間と罵るのは勝手だが、警視総監として必死に事に当たる父を無能と罵られたことに春香は怒りを覚える。友人たちは目前の不審な男子高生が、春香を怒らせて暴れさせようと挑発していると思い、必死に彼女に堪えるように抑え、二人目の友人がチラシに記載されている画像が捏造では無いかと問い詰める。
「う、嘘じゃねぇ! ネットこそ真実だ! 使う奴が馬鹿なだけで、上手く扱う俺が正義なんだ! 俺はテメェらマスゴミや政府に踊らされている馬鹿共とは違うんだよ! それに改造人間の味方なんてしやがって! テメェらも同罪だ!!」
捏造と問い詰められた男子高生は、自分が思ったような展開にならないことに激しく動揺しているらしく、混乱してネットを駆使できる自分は賢いと自負した次には、春香を庇う女子高生らを同罪と罵る。
そんなヒステリックに相手を罵り、自分こそが正義だと宣う男子高生に味方をする者など誰もいない。
一連の事件の所為で春香を警戒こそしているが、これまで不登校だったのに、いきなり登校して春香の仕業と騒ぎ立てるこの男子高生の方が余ほど変だ。遥かの友人たちを除き、生徒たちはどちらに肩入れはしないが、いきなり登校して来た不登校児の男子高生を白い目で見ていた。
「なぁ、殺されたうちの生徒って、あいつを虐めてた奴らじゃないのか?」
「五人だっけか? それになんで番場が殺したって言ってるんだ? 番場はあいつ等が嫌いなのは確かだけど、ただ嫌いなだけで殺したって変だぞ」
「それならとっくの昔にこの学校で暴れてるよ。あいつの言い掛かりだろ」
周辺で起きる事件が春香の仕業であれば、とっくの昔にこの学校で暴れ回って収監されていると、生徒たちは冷静な意見を述べる。
一連の事件には殺人も含まれており、数日前にこの高校に通う生徒が、五人も殺害されたことも知っていた。
殺害された生徒は不登校児を虐めていたグループであり、成績も良くて教師や生徒とも仲が良く、周りは虐めを行っていた事など気付かなかったようだ。
虐めが発覚したのは、例の男子高生が不登校になった後であるが、学校側は加害者グループを数日の停学処分にするだけにした。
その男子高生は、ネットで見た陰謀論をクラスメイトどころかビラまでばら撒いて学校中に広め、問題を起こしていた。それが原因か、疎ましく思った件のグループに虐められる。ストレス発散目的もあったらしく、彼が謝ってもグループは虐めを続け、こうして一年近くも不登校になったわけだ。
「君が、三年生の
そんな不登校児の男子高生、匂坂亨にとどめを刺すような言葉を掛ける者が現れた。
仮面ライダーディケイドのあの
「お、お前は買収されたんだ! 嘘をつくなァ!!」
「見苦しいな、俺は買収されてないぞ。それに君はネットの情報を鵜呑みにし過ぎだ。近頃はデマが多いからな。まとめサイトやSMSばかり見るんじゃないぞ」
春香のアリバイを証明する士に、亨は買収されたんだと異議を唱えるが、それに怒ることなくネットはデマが多いから注意するようにと周りに告げる。ネットこそ正しいと告げる亨は、追い込まれ、身体を震わせる。更に追い打ちをかけるように、士は虐めグループを殺害したのは、亨であるとほのめかすように語る。
「この五人の男子生徒は匂坂君に対する虐めを行っていたが、番場君が殺す理由は無いな。それに警察の報告では、強い殺意が見られるそうだ。君の大好きなネットだと、もう犯人が分かったようだぞ」
亨に睨まれながら語る士は懐からスマートフォンを出し、自分がデマに溢れていると言っていたサイトを開き、其処に記載されていることを伝える。
「いじめっ子グループを殺害した犯人は、匂坂亨、お前だ。ネットはデマだらけと言ったが、真実はあるようだな」
たまに真実は見付かると感心しつつ、士はスマホの画像を亨に見せた。それを見た亨の顔は一気に真っ青になる。
画像に映っていたのは、亨がガイアメモリを使ってドーパントに変身した瞬間を捉えたものだ。スクロールされて移った二枚目は、変身して銀行を襲い、強盗を働いている所だ。虐めグループ殺害後に変身を解除した映像も盗撮されていたのか、その動画すら上がっている始末だ。
「あ、あいつなのか!?」
学校中でも広まったらしく、生徒らはスマホを取り出し、真犯人である亨を写真や動画で撮影し始め、ネットにその様子を中継し始める。
「な、なんだよ…!? これは…! どうして、どうしてこうなるんだ…!?」
春香を晒しものにするはずが、逆に自分が晒し物にされた事に激しく動揺する。こうなる事など、亨にとって全くの予想外であったからだ。見せていたスマホを自分の視線に戻し、そこに書き込まれたコメント欄を見て、顔をしかめる。
「ネットにも真実はあるが…おいおい、良心と倫理観がまるで無いな。まぁ、良く見ておけ。これがお前のやろうとしていたことだ。お前が殺したいじめっ子たちと同類どころか、お前はそれよりも下になったな」
書き込まれたコメント欄に嫌悪感を感じながらも、士は亨が春香にしようとしていた事だと告げる。そこに書き込まれたコメント欄を見て、亨は春香にしようとしていたことが、自分が受けたことを実感する。
いじめっ子グループに対する殺人を称賛するコメントはあったが、宝石店の襲撃や銀行強盗を行っていたことが分かった瞬間に犯罪者扱いだ。先ほど称賛していた者は、右に倣えと言わんばかりに亨に向けて罵詈雑言のようなコメントを書き込んでいる。
「これがどういう意味か、理解してるな? スマホを持って実行中継してる奴全員、生活指導対象だ! 分かってるなら直ちに止めろ!」
これからすべきことは分かっているのかと問う中、士は生活指導員としてこの現状をネットの掲示板やサイトに投稿しているであろう生徒たちに、生活指導対象にすると言って止めさせようとする。
指導すると言われた生徒たちは恐れ、撮影を止めてスマホを仕舞うが、最後まで状況を伝えようとスマホで撮影し続ける生徒は居たが、士に睨まれれば直ぐに仕舞った。
「クソが…! 俺を、俺を馬鹿にする奴は死罪だ…! 俺を犯罪者呼ばわりする奴も死罪だ…! ネットで俺を犯罪者と書き込んだ奴も死罪だ…! これは俺を陥れるための罠だ!! よって全員死刑だァァァ!!」
暫く呆然としていた亨であったが、自分こそが正義だと信じて疑わない彼は、この現状を受け入れられず、逆に自分を陥れようとしているのだと思い込み、犯行に使ったガイアメモリを取り出して起動した。
『ロブスター…!』
「…ガイアメモリか」
ガイアメモリを生体コネクタに挿入するのを、士は驚きもせず、ただ見ているだけだ。ロブスターの名を持つガイアメモリを挿入した亨の身体は、その名の通りにロブスターをモチーフにしたドーパントへと変貌する。
ロブスター・ドーパントは、両腕が鋭利な爪となっているドーパントだ。同じく全身が赤く、皮膚も分厚い。
「うわぁぁぁ!? ば、化け物だァァァッ!!」
「(この世界の、三号ライダーの実力を確かめるか)」
ロブスター・ドーパントに変貌した亨を見て、生徒たちは悲鳴を上げ、春香が友人らの盾になるように前に出る中、士はライダーマンGである彼女の実力を確かめるべく、ワザとらしい悲鳴を上げて逃げる。
「ワァァァッ!? た、助けてぇ~!」
そんな悲鳴を上げる士であったが、何故か春香のクラスの教室へと逃げ込んでおり、変身するための道具を探していた。春香が唯一改造された右腕でロブスターに挑み、生徒たちが逃げる時間を稼いでいる。
「変身ベルトは使わないか。まぁ、禁じ手だが…」
春香がロブスターと生身での戦闘を強いられる中、士は彼女の鞄を無断で開けて探ったが、変身ベルトのような物は見付からなかった。そこで、ディケイドの力を使い、空間を捻じ曲げ、春香がライダーマンGに変身するためのヘルメットを取り出す。
「これか。あの女子高生ライダーが変身するのは。ヘルメットとは珍しいな」
それが変身の為の道具と分かったところで、士は春香に向けてヘルメットを投げ付けた。
「えっ!? どうしてこれがここに!」
「死ねぇ!」
ロブスターに吹き飛ばされた春香は、ライダーマンGに変身するためのヘルメットが、自分の側に転がって来たことに驚きの声を上げた。ロブスターの打撃を躱しつつ、春香はそのヘルメットを取って距離を取る。
「でも、今は都合が良い! やぁぁぁ!!」
何故ヘルメットがここにあるか、少しばかり疑念を抱くが、この状況なら都合が良いので、春香は考えることなく、叫び声を上げながらそのヘルメットを被った。その瞬間、彼女の全身が光り輝き、黒の外骨格が覆っておく。
「お、お前…! やっぱり改造人間じゃないか!!」
数秒後、ロブスターの前に居たのは、仮面ライダーGに似た仮面の戦士、ライダーマンGだ。殆どが仮面ライダーGであるが、違いはマスクの口元部分だけが露出と性別である。その姿を見たロブスター・ドーバントの亨は、改造人間だと糾弾する。
「違う! 私は、人間だ!!」
姿が怪物にも拘らず、自分を改造人間と糾弾するロブスターに、ライダーマンGとなった春香は激怒し、ハサミ状の右腕であるパワーアームで捕まえる。
「は、離せ! この化け物!」
「先生、ごめんなさい!」
パワーアームでロブスターを捕まえた後、春香は屋内に居る生徒や職員を守るべく、謝罪しながら外のグランドの方へと投げた。勢いよく投げられたロブスターは窓ガラスを突き破て、外のグランドの方へと放り投げられる。標的が地面に転がり落ちたのを確認した春香ことライダーマンGは、パワーアームのアタッチメント部分であるハサミ状の部分を砲口があるアタッチメントに切り替え、起き上がろうとするロブスターに追撃の銃撃を賭ける。
「うわっ!? 痛い! 痛い!!」
痛がっているが、分厚い皮膚の所為で倒すには至らない。
「接近して仕留めるしか無いか。はぁ!」
銃撃が効果が無いと分かったライダーマンGは、倒すには接近戦でやるしかないと判断し、グランドに飛び降り、アタッチメントをハサミ状に戻してから、まだ体勢を立て直してないロブスターに追撃の打撃を食らわせる。
「く、クソォ! アァァァッ!!」
追撃を受けたロブスターは立ち上がって反撃を行うも、両腕のクローはライダーマンGに全く当たらない。力任せに振るっているだけで、避けられるばかりだ。
それは経験と訓練の差である。亨の戦闘経験は皆無であり、訓練すらしていない。ガイアメモリを用いてドーパントとなって力を得ても、一方的に弱者を襲っていた亨が、自分より強い敵と戦い、訓練を受けて経験を積んだ春香に敵うはずが無かった。
「なんでだ!? なんで当たらないんだァ!? こんな化け物になんで俺がァ!!」
ロブスター・ドーパントとなったことで、最強と思っていた自分の攻撃が当たらないことに、亨は喚き散らしながら両腕のクローを振り回しまくる。そんなロブスターに向け、ライダーマンGは反撃の一撃を腹に食らわしてから告げる。
「そんな攻撃で、当てられるわけ無いでしょ!」
そう告げてから二撃目のクローを打ち込み、ロブスターを吹っ飛ばした。吹き飛ばされたロブスターは転倒し、怪物と蔑む春香に勝てないことに苛立って駄々をこねる。
「アァァァッ! なんでなんだよォ!? なんで正義の俺が一方的にやられなきゃならねぇんだ! やられるのは悪のお前の方だろォ!!」
己が正義で相手は悪。
そんな言葉を吐いたロブスターに、ライダーマンGの春香は怒りを覚え、右腕のアタッチメントをロープアームに切り替える。起き上がろうとする相手に鉤爪を打ち込み、こちらに引き寄せ、間合いに入ってから蹴りを入れ込み、倒れたところを強く踏み付ける。
「グアァァァ!? 痛い! 痛いィィィ!!」
「私のみならず、お父さんや私の友達を侮辱する奴が、正義と抜かすな! それにあんたは正義じゃない! アンタは自分が悪い癖に、無関係な周りの人間を殺そうとした悪だ!」
どの口が言えたことか。自分のみならず、父や友人らを侮辱するような奴が正義と宣う。これに怒りを覚える春香は、自分の所為にも関わらず、ネットで誹謗中傷を受け、疑心暗鬼に囚われて人々を殺そうとした亨こと悪だと罵る。
「うぅぅ! 煩い!! 俺は、俺は正義なんだァ! どいつもこいつも否定しやがってェ!!」
その言葉に亨は頭では理解しても、認める事は出来ず、自分を否定する物全てが悪だと言い始める。そればかりか、油断しているライダーマンGを転倒させ、お前が悪いと罵り始める。
「全部お前が悪いんだぞ! お前がキレて学校で暴れてあいつ等を殺さなかった所為だ! なんで暴れねぇんだよぉ! 散々叩いたのによォ…! クソが! みんな、みんなお前の所為だァ!! お前が暴れなかった所為で、俺は犯罪者にされたんだぞォ!!」
挙句、学校で暴れなかったことを喚きながら責め立てる。どれだけ罵られたり侮辱されようが、怪物にはなるまいと我慢して来た。それをロブスターは己の身勝手で否定し、暴れなかった所為で自分が犯罪者扱いされたと喚き散らす。
この身勝手過ぎる亨の言い分に、春香は思わず言葉を失ってしまう。こんな身勝手でどうしようもない奴の為に、なぜ自分が怪物にならなくてはないのか?
「もういい…! あんたがどういう人間か分かった…いや、怪物であることが分かった! ここで、お前を倒す!!」
「俺を怪物だとォ!? 怪物はお前だろうがァァァ! 死ねぇぇぇ!!」
これに春香は怒りどころか、怒りを通り越して呆れ、目前の敵を人間から怪人と断定し、ロープアームの鉤爪を喚き散らすロブスターに打ち込んだ。打ち込まれた鉤爪は引っ掛かり、直ぐに引っ張ってロープを緊張させ、振り回し始める。
「ウワァァァッ!? アァァァッ!!」
振り回されるロブスターは悲鳴を上げる。クローのハサミでロープを切断できたかもしれないが、訓練どころか経験も無い亨は何も出来ず、ただ振り回されるばかりだ。それはさながら、ソムリエがグラスを回転させるスワリングのようだ。抵抗できないように激しくロブスターを振り回すライダーマンGは、回転速度が最高潮に達した瞬間、自身の必殺技を絶叫し、地面に叩き付けようと、振り下ろすために鉤爪を外した。
「スワリング、ライダァァァ!!」
平衡感覚が狂い、真面に受け身を取ることはできない落下していくロブスターに、ライダーマンGは更なる追撃を仕掛けるべく、再び鉤爪を打ち込み、引っ掛けてから地面に目掛けて叩き落す。
「きりもみ、シュートォ!!」
「ギヤァァァッ!?」
勢いよく右腕を振り下ろせば、繋がっている鉤爪は引っ掛かっているロブスターを地面に向けて引っ張る。数秒後に脳天から地面に叩き付けられたロブスターは爆発し、亨の身体に挿入されていたガイアメモリは耐え切れずに排出され、身体は元の人間に戻る。
爆発の影響で土煙が上がる中、ライダーマンGである春香は、人の状態に戻っている亨に向け、怪物なのはお前だと告げる。
「怪物なのはあんたの方よ。周りに恵まれないことは同情するけど、それ以外の誰かに助けを求めれば、怪物にならずに済んだのに」
倒れた亨に、周り以外の場所に相談していれば、ガイアメモリを使ってドーパントにならずに済んだはずだと告げた後、春香はヘルメットを脱いで変身を解き、人の状態に戻った。
「メモリブレイクとは行かないが、中々やるじゃないか、ライダーマンG。この世界の三号ライダーな事はあるな」
戦いの一部始終を校舎の屋上から見ていた士は、ライダーマンGこと春香を仮面ライダーとして認めた。
仮面ライダーAPと本作オリジナルの仮面ライダーキッカーも登場予定でしたが、尺の都合で次回となりました。