魔人討伐から3ヶ月が経った。でも、都市が平和になったかと言われれば、決してそうではなかった。
まず、魔人がいなくなったことによって魔獣がいなくなると考えられていたが、そんなことはなかった。
というか、1ヶ月経った頃には更に活発になり、新たな魔人すら現れた。その魔人は私と結衣ちゃんで何とか倒すことができたけど、どうやら魔人は何人もいるらしい。きっとこれからも攻めてくるのだろう。
だが、何も悪いことばかりではない。
スタンピードでの活躍から、野良の魔法少女たちも都市へと住む権利を与えられ、評議会から正式に謝罪があったことで蟠りの少しはなくなったように思える。
と言っても、完全に差別をなくすのは無理で、よく政府の魔法少女と野良の魔法少女が何かといちゃもんを付け合っているのを見る。……ここまでくると、逆に仲が良いと言えるのではないか? と思うほど頻繁に。
まあ、それは本人たちにも分からないのだろう。とはいえ、一度壁外へと出れば、完璧な連携で魔獣を狩っているのを見ると何となく予想できてしまう。
なぐさたち、スタンピードで命を落とした魔法少女たちの弔いも改めてした。みんな泣いて、現実から目を背けたくもなったけど、それは逃避だ。彼女たちの犠牲の上に私たちの日常がある。
特に私には、彼女たちを守れなかった責任がある。だから、彼女たちの分まで生きると決めた。
責任、と言えば雪乃だが、彼女は第二波の当時親友の死によって精神的に錯乱していたことから、条件付きではあるが仮釈放となった。その条件というのも、都市のために一生尽くすというもの。評議会も大分丸くなったものだ。誰もこれ以上の罰は望んでいないと言うことだろう。
都市には、新たな変化に慣れていくための時間が必要だ。魔人のことと言い、色々と不安は残っているが、時間さえあればきっと全て何とかなる。自分でも驚くほど楽観的だが、本当にそう思う。
それもこれもきっと、結衣ちゃんのお陰だろう。
あれから、結衣ちゃんと過ごす時間がどんどん増えて行っているのが自分でも分かる。私は、結衣ちゃんに依存している。認めよう、私は結衣ちゃん依存症だ。正直、もうひとときも離れたくない。寝る時も、お風呂も、トイレだって──まあ、トイレは流石に結衣ちゃんに嫌われたくないから冗談だけど。そんな歪な関係ではあるけど、私にはそれが心地良い。
今も結衣ちゃんを待っているところだ。
これから2人で久しぶりのデート。この頃魔獣の攻勢が激しくてなかなかこういったゆっくりとした時間が取れなかったから今日は目一杯楽しむことにした。
きっとこれから戦いは激化していく。そんな気がするからこそ、束の間の平穏を満喫しておくんだ。
「永愛さんっ! すみません、待ちましたか?」
「いや、楽しみすぎて私が早く来すぎてただけだよっ!」
そういえば、私の固有魔法が模倣だったのであれば、私がこれまでループしてきたあの世界は一体なんだったのかという謎が残っている。
まあそれには大方予想がついてるんだけどね。
──時枝木蔦。
思えば最初から可笑しかった。私と同じ新米魔法少女だった癖して、最初のスタンピードで私を守っていた。ループの途中から頭角を表して評議会メンバーになるのも。未来予知なんていう嘘も。
最初から分かりきっていたことだった。【過去回帰】は、きっと彼女の固有魔法だったのだろう。私にとって初めてのスタンピードの時、彼女が死にかけの私に手を伸ばしたのはきっと、そういうことだろう。
ならなんで助けてくれなかったのかとか、明らかに私が死ぬように仕向けていただろとか、色々と言いたいことはあるけれど。その本人は私が寝てる間に失踪するし、指名手配の張り紙も出されてるし。
ほんと、色々なことがあった。
辛かったことも、本気で世界を憎んだことも、全てに絶望したことすらあった。だから、許すなんて簡単には言えない。正直、今でも腑が煮えくり返っている。
でも、そのお陰で私は結衣ちゃんに出会うことができた。世界が色づいて見えた。
その点では……感謝すらしている。
「……ありがとう」
「……? どうしたんですか、永愛さん」
「へ……? あ、ううん。なんでもない! さ、行こっ!」
命を賭けて魔獣と戦い、都市を守る。それが、魔法少女の仕事。
都市防衛の要。
人類の希望。
戦うアイドル。
聞こえはいいけど、要は常に死と隣り合わせの消耗品だ。
でも、それでも。
私たちはまだ、生きている。
──ループ系魔法少女(n周目) 完
あとがき
最後は少し駆け足となりましたが、見切り発車から始まった『ループ系魔法少女(n週目)』これにて完結となります。拙い文章でしたが、毎回追ってくださった方、感想くださった方などなど、長い間応援してくださり有難うございました!
4月から投稿開始して半年以上。途中から更新頻度が落ち、最後の方は1ヶ月以上間隔が空くという体たらく。なんとか無事に完結できて良かった(しみじみ)
途中エタりそうになったのはご愛嬌。作者誰もが通る道ということで。
というか元々日記形式で数話で完結するつもりだったのに気づけば20話越え。これでも少ない方ではあると思うけど、自分としてはまあよくやった方だと思います。
そして、次作ですが……リコリコ、薬屋、喰霊零など二次創作に手を出そうと考えていますが(勿論曇らせ)、構想を練っている段階なのでいつになるかは分かりません。
曇らせ好きは良かったらお気に入り登録して待ってて下さい。今度はちゃんとプロット作って書き溜めてから投稿したいなぁ(願望)
それはそれとして……完結祝いに高評価・感想待ってます!(承認欲求モンスターの図)