投 げ つ け る   作:この世全てのクズ

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 今回強めの独自解釈が含まれます。

 だって、喋る事と性格ぐらいしか情報無いんだもん。

 ちがうのだ!ってところがあれば教えていただけると嬉しいです。


 青色の ひんやりとした 石礫

 

 ジョーダンは悩んでいた。

 

 この前ライザを泣かせてしまったことに対し流石にまずいと感じたのだろう。

 

 あれこれとジョーダンなりに頭を悩ませていた。

 

 

 さて、どうすれば謝罪は受け取ってもらえるだろうか?

 

 頭を下げることは大事だとは思うがそれがベストでマストだとは思わない。

 

 

 

 嫌いなやつが目の前で謝罪を押し付けてくる?

 

 ジョーダンはそんなやつが大嫌いだった。

 

 ならばどうするか?

 

 

 何も思いつかないまま一日が過ぎ、とうとう人に聞いてみる事にしたのだった。

 

 

 

 必死に頭を下げ、状況を説明し、自分が何をしたいかを伝えて周り、色んな意見が集まりました。

 

 

 

 それらをまとめるとつまり「贈り物をしたらどうか?」ということでした。

 

 もはやそれを受け取ってもらえる段階を過ぎてしまっている気もしますが他の案など思いつくはずもありません。

 

 

 しかし、何を贈ればいいのでしょうか?

 

 聞いたところでは花を贈ったり、装飾品を渡してはどうかと言うものがありましたがいまいち纏まりがありません。

 

 

 さぁ、困ってしまいました。

 

 

 そこである噂が耳に入りました。

 

 

  『錬金術とやらを始めたらしいぜ』

 

 自分には錬金術とやらが何かは想像がつきませんがこれが鍵になると思いました。

 

 

 つまり、彼女が欲している物を贈ればいいのです。

 

 

 

 喜び勇んで早速島を飛び出していきました。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 早速、籠に色んなものを詰めて遠出の準備だ。

 

 女性は宝石やそのたぐいの飾りを好むようだが自分には加工する技術はない。

 

 

 つまり、そのまま渡すしか無いのだ。

 

 

 そうなってくると見てくれが良いものを選ぶしかない。

 

 しかし、このあたりで見つかる石で綺麗なものといえば魔石の欠片ぐらいのものだ。

 

 それでは駄目だろう。

 

 

 

 つまり、火山に行こう。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 じりじりと茹だる様な暑さの中。

 

 ジョーダンは気合とほんの少しの知恵だけで進んでいく。

 

 

 魔物たちから身を隠し、少しずつ、少しずつ登っていく。

 

 

 それは恐ろしいほどに精神を削る行為だった。

 

 何度諦めようと思った事か。

 

 

 しかし、誠意を見せねばならない時なのだ。

 

 

 例え、温泉の中に隠れ続ける事になろうと。

 

 背後からゴーレムに殴りつけられることになろうと登り続けた。

 

 

 

 そうして登っていると開けた場所に出た。

 

 

 不思議な事に、大きな岩の上に美しい女性が浮いている。

 

 

 その角は天を指し、触れてはならないモノであると本能が伝えていた。

 

 

 しかし、自分は問わねばならない。

 

 

 恐れ多くももし?と声を掛けた。

 

 

『なんじゃ?貢物か?久しいの。

 ああ、待ちくたびれた。これだけまたせたのだから相応しいものを持ってきておるのだよな?』

 

 

 これには困った。

 

 ここへはドライビスクぐらいしか食べ物を持ってきていなかったのだ。

 

 勿論、宝石の類など持ってなどいない。

 

 

 一瞬金のハチの巣なら許されるのではないか?と取り出してみるも貢物として加工もしてないものを渡すのはどうなのか、とソレを凝視する視線に気づかずしまってしまった。

 

 

『ほう?さぞや素晴らしいものが出てくるのだろうな?』

 

 

 悩んでいるといつの間にかハードルが上がっている。

 

 しかし、待っていることでストレスも溜まっているのだろうか?

 

 気のせいかだんだん気温が上がっている気がする。

 

 冷やしていたはずの水がぬるくなってしまっている。

 

 

 そんな時、あるものを見つけた。

 

 

 瓶詰めにされたプニゼリーだ。

 どうやら冷やしている間に忘れてしまっていたらしい。

 

 しかし、こんなもので大丈夫なのだろうか?

 

 

 上がる気温とこちらを睨めつける視線に急かされ、これを盛り付けることにした。

 

 瓶から出したプニゼリーを皿に盛り付け、泡立つ水に金のハチの巣の蜜とフレスベリーの果汁を加えたものを出すことにした。

 

 

 そこまでして気づく。

 

 はて?どうやってお届けすればいいのだろうか?

 

 

 人が空を飛べるわけもなく。

 岩をよじ登ろうにももう盛り付けてしまった。

 

 

 うんうん唸っていてもどうしようもない。

 

 まずは聞いてみることにしようと顔を上げて、

 

 

 そのきれいな顔が覗き込んでいた。

 

 

『まだか?目の前でうだうだとしおってボッと消されしまいたいか?』

 

 

 なんと、問題が解決していたのだ、それも知らぬ間に。

 

 

 これ幸いと貢物を差し出す。

 

 

 

『これが貢物か?ふむ?ふぅむ?これはなんというのだ?』

 

 

 その美しい声がこちらへ問いかけてくる。

 

 脳がとろけるようであった。

 

 

 どうしようもない自分に純粋に話しかけてくれているのだ!

 

 水を得たくりの様に口が回り始める。

 

 

 そうして時間も過ぎて、皿の上も空っぽになってしまった。

 

 しかし、ここで引いてしまっては意味がない。

 

 せっかくまともに接してくれる女性が目の前にいるのだ。

 

 どうか、その知恵をかしてはくれないだろうかと願う。

 

 

 自分は山には詳しくない。

 

 しかし、ここから山を見渡すあなたならなにか知っているのではなかろうか?

 

 

『そうだな、久方ぶりの人の子よ。

 貢物に免じて知恵を貸してやらんことも無い。

 だが、なにか足りぬと思わんか?』

 

 

 じっとりと背中に嫌な汗をかく。

 

 あまり良くないことが起こりそうだった。

 

 

『そうさな、一つ踊って見せろ。

 なに、相手は用意してやる』

 

 

 そう言って合図すると周囲からジェルガードやメタルゴーレムが集まってきた。

 

 

 多勢に無勢。

 質ですら負けているのにこの量である。

 

 見渡す限りの動く岩が壁となり正確な数も把握することが出来ない。

 

 

『さあ、踊って見せるがいい』

 

 

 そうして、余興が始まったのだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 右手にツルハシ、左手にアクア鉱を持って構える。取り敢えず包囲から脱さなければならない。

 

 数の利を活かせる場所で戦ってやる道理などないのだから。

 

 

 包囲の薄いところを狙い、アクア鉱を投げつける。

 そして、それに気を取られた奴の頭にツルハシを振り下ろす。

 

 あくまで割らず、削り取るように振り下ろしていく。

 

 

 万が一ツルハシが抜けないようなことがあればその時点で死が確定する。

 

 得物を失った自分に対し、彼女ら?は笑顔でその手を振り下ろすことだろう。

 

 

 しかし、アクア鉱にも限りがある。

 

 幸いにも、この山でアクア鉱が露出している場所は確認している。

 

 包囲を抜け出せば補充出来る可能性も有るだろう。

 

 

 しかし、その包囲を抜け出せないのだ。

 

 

 一つ、一つ投げるたびに背中の重みが減っていく。

 

 ただ、ツルハシを持って突撃してもすり潰されるだけだ。

 つまり、隙を作らないといけない。

 

 

 背中の重みは自分の生存のチャンスだった。

 

 

 生きられる可能性を、惜しまず、それでいて確実に当てる必要がある。

 

 

 ガギッ

 

 

 その時、ツルハシが抜けるのに少し手間取った。

 

 

 ブオン

 

 

 目の前を赤い残像が走る。

 

 

『おや?どうしたもうおしまいかの?足が遅れておるぞ?ステップは踏めておるかな?おおっ!今のは危なかったな』

 

 

 こんなのでも彼女にとっては愉悦なのだろうか?

 

 

 どんどん、可能性が減っていき、手で触れた感覚、重さ、音から考えて、アクア鉱は………残り3個。

 

 

 終わりが近づいてきていた。

 

 

 しかし、焦れば可能性を活かすまもなくペーストになる未来が待っている。

 

 

 視界が歪んでいるようにさえ思えてきた。

 

 

 誰に当てるべきか注意深く観察して…

 

 

『なんじゃ、もう終わりか。つまらん結末じゃの』

 

 

 側頭部を岩の拳がぶち抜いた。

 

 

 体制が崩れる。

 

 内蔵が浮くような感覚とともに赤い拳が腹にめり込んでくる。

 

 

 ボキリ、ミシャ、ぱぁん

 

 

 

 自分が壊れる音を聞きながら意識を手放していった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 気がつくと山の中腹辺りだった。

 

 目の前には赤と蒼の美しい結晶が生えている。

 

 

 ふと、違和感に気づいた。

 

 

 治療されている?

 

 折れたはずの骨が、弾けた筈の内蔵が、抉られたはずの肉が治癒している。

 

 そして、腹の上にはこれは、手紙だろうか?見たこともない字が几帳面に綴られていた。

 

 

 そして、隣には空の薬瓶が転がっている。

 

 

 ああ、なんと有り難いことか。

 

 

 

 ジョーダンは謝罪が成功した暁にはお礼を言いに来ることを決意した。

 

 

 

 カキンカキンと根本を掘り出し、形のいいものを丁寧に包む。

 

 こうしないと欠けてしまうかもしれないからだ。

 

 

 

 ほんの少しの希望を信じて、ジョーダンは山を降りていった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 ジョーダンは島へ帰ってきてまた土下座をしていた。

 

 

 自分が会うのはいかがなものかと代理で渡してもらえないか頼むことにしたのだ。

 

 

 このレントと言う青年ならキチンと渡してくれそうだと言う思惑もあったが。

 

 

 ジョーダンは告白した。

 

 この前のは狙ったことではなかった事、決して害を与えようとした訳ではないこと。

 

 これからはセクハラも控えるようにするということ。

 

 謝罪のしないからと言っても何だがコレを渡してはくれないかと。

 

 ジョーダンは頼み続けた。

 

 勿論、断られたら別の事を考えるつもりだった。

 

 

 しかし、青年も相槌をうって意見を話してくれている。

 

 

 これは決して断られる流れでは無いと確信したのだ。

 

 

 

 こうして、ジョーダンの謝罪はライザの元へと届けられた。

 

 これまでの事を無かったことには出来ないがそれでも誠意は伝わる事だろう。

 

 

 ジョーダンがライザへの謝罪をするためにこれからもアレコレと悩むのだがそれは別の話。

 

 

 この話はここまでなのである。





 ジョーダン君が渡してもらった赤と蒼の結晶と、お気に入りの虹色の鉱石は何となくで忘れ去られた頃に売りに出されたとさ。

 まあ、セクハラしてくる年上からの贈り物なんてそんなもんだよね。

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