『投げつける』。

 この言葉を聞いて何を思い浮かべるだろうか?


 稚拙な印象を受けるかもしれない。

 しかし、それは原始的ながらも確実で一定の効果を発揮するれっきとした攻撃手段である。



 湖に浮かぶ島、クーケン島。


 そのクーケン島の中で一番愚かであろう男がいた。

 依頼を受けては島を走り、荷物を届けに行く真面目なヤツかと思いきや、蜂の巣を踏んで川に飛び込み、ヤギにしがみついて島の外へと渡る。

 真面目に商隊についていったかと思えば、何処かにふらりと消えて、忘れた頃に貴重な品を持ち帰ってくる。

 そんなどうしょうもない阿呆だった。


 しかし、島の外には危険がたくさんだ。

 海岸をぷにが跳ね。

 少し森に入れば獣が出る。

 そんな誰も近づきたがらないであろう場所を背中にツルハシを背負い、メェ~と鳴く師匠を追って進んでいく。


 その男の名はジョーダン。

 配達員のジョーダンと言った。
X(Twitter)  ▲ページの一番上に飛ぶ