ブルーアーカイブ 実績『RE Aoharu』取得RTA 13:36:51【解説付き】   作:珊月

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レイサ引けなかったので初投稿です。


追憶のエルピス・破

「先日起きた騒動について、」

 

「うーん!セイアちゃん、この茶菓子美味しいよ!」

「それは先日ラムが買ってきてくれたものだね。言っただろう?ミカはこういうのが好みだと。」

 

「ティーパーティー補佐官候補だった浦和ハナコさんが水着姿で礼拝堂の授業に現れ、一悶着起こしたという話──」

 

「ラムちゃんありがとね☆」

「いえ、その礼はセイア様にどうぞ。」

 

「彼女への処分としては補佐官候補からの除外と一日の謹慎に落ち着きましたが……」

 

「私はただ助言をしただけさ。礼を受ける謂れはないよ。」

 

「そのせいで補佐官候補がモネさんだけになってしまいました。」

 

「あ、ラムちゃん紅茶おかわり。」

「畏まりました。」

 

「それで…………」

 

「次はファーストフラッシュでどうだい?」

「それいいねー!私も久しぶりに飲みた──」

 

「あぁっもう!ミカさんにセイアさん、そしてラム!三人ともお黙りください!そうして話を聞かないというなら、あなた達の口に息ができなくなるほど大きな──スコーンを押し込みますよ!!」

 

 

 

 

「……すみません、取り乱しました。」

 

 そう言って肩にかかった髪の束を払い、ナギサは紅茶を一口飲む。そして先程とは打って変わってどこか冷え切った空気の茶会の席を見て、コホンと咳払いをしてから話を続けた。

 

「それで……まぁご存知の通り、現在補佐官候補生が彼女、モネさんしか居ない状態です。」

 

 そこで言葉を切って、彼女はまた紅茶を飲む。その間、他の三人は何も言わず、ただじっと彼女の次の言葉を待つように見つめていた。カップを置き、ゆっくりと顔を上げたナギサは小さく溜め息をつくと、静かにこう告げる。

 

「つまり次の補佐官はモネさんで決まりになります。」

「……まぁ、知ってたけど。」

「一応確認しただけです。あとはラムからの許可が降りれば、モネさんにそう伝えられるのですが……」

 

 と、ナギサは言い淀んで隣に立つ給仕姿の少女、ラムの方に目を向ける。すると視線に気付いた彼女は無言のままふるふると首を横に振った。

 彼女達が抱えている問題は至って単純。現ティーパーティー補佐官である神影ラム──彼女が今になって急に、候補である星詠モネをその後釜にすることを拒み出したというものだ。しかもそのワケを誰にも話そうとしないものだから困ったものだ。

 

「はぁ…………あなたのことですから何かしら考えがあるんでしょうが、元々あなたが補佐官を辞めたいと言ったのが発端ですよ?決めるなら早くしていただけると幸いです。」

 

 文字通り頭を抱える彼女は、額に手を当てながらまた一口紅茶を飲む。

 それを見てラムは、こくりと首を縦に振ると、そっと彼女に耳打ちをする。それを聞いたナギサは、なるほどという表情を浮かべて、またティーカップに口をつける。

 

「ならあとはその先生(・・)とやらに任せてみましょう。」

「先、生……?」

 

 そうミカは疑問符を浮かべ、その視線を宙に泳がせる。そんな彼女の様子を見てセイアはため息を吐くと呆れたような素振りを見せた。

 

「まぁ君は知らないのも無理はないか。いつも遊び耽ってはニュースを何一つ見ない君が、知っているのも可笑しな話だしね。」

「ひどいっ!私だってニュースの一つくらいは見るよ?ただちょっと人の顔と名前を覚えるのが苦手なだけなのに……」

 

 ぷぅと頬を膨らませながら抗議するミカを尻目に、セイアは話を続ける。

 

「連邦捜査部S.C.H.A.L.E、連邦生徒会長が失踪する以前に設立された完全に独立している活動機関……先生はその担当顧問さ。最近は生徒から寄せられる依頼を(こな)すために日々奔走しているらしいね。」

 

 そう言われてもピンと来ていないのか、ミカは未だに不思議そうな顔をしている。それを察したセイアはまたも呆れて嘆息したが、今度はそれ以上何も言わなかった。

 すると突如テラスの扉が開け放たれ、そこから髪を乱して息も絶え絶えなモネが姿を現した。

 

「あ、モネちゃん!いらっしゃい!」

「モネさん、来てくださったのですね。どうぞこちらへ。」

 

 ナギサは一つ空いていた席を引いて座るように促す。しかしモネはそれに反応せず、ただただその場に立ち尽くして、荒い呼吸を繰り返していた。その姿を見たセイアは何かを悟ったかのように目を見開き、椅子から立ち上がる。そして彼女の元へと近寄っていき、ハンカチを渡した。

 

「汗だくじゃないか、何かあったのかい?」

「…………ありがとう、ございます。」

 

 セイアの問いには答えないまま、モネはそのハンカチを受け取って汗を拭く。そんな彼女の乱れた髪を見て、ミカは右手につけていたシュシュを外し、そのままモネの髪を団子にまとめて留めてあげた。

 そして目一杯の笑顔を彼女に向ける。

 

「はい!これで髪型、お揃いだね☆そのシュシュはあげるよ。……何かあったにしても、まずは紅茶でも飲んで落ち着こっか?」

 

 その言葉を聞いて、モネはようやく落ち着いたようにふっと笑う。そして小さくお礼を言うと、ミカの隣に腰掛けた。そしてテーブルの上に置かれた紅茶に口をつける。

 すると少しだけ気持ちが落ち着くのを感じた。だが、それでもまだ心の中に渦巻いている不安感は消えそうにはなかった。それはまるで鋭く突き刺さり抜けない棘のようで、自らがどれだけ過去のトラウマを引きずっているのかの証明でもあった。

 

「それで、一体どうしたの?」

 

 先程までの和やかな空気とは打って変わって、今は重苦しい空気が流れている。そんな中で口火を切ったのは、この中で最もモネと仲が良いミカだった。

 それに対してモネは紅茶を飲み込んだ後、一言だけ呟く。

 

「ごめん……今は、話したくない。」

 

 絞り出すようにそれだけ言うと、彼女は再び俯いた。その声には深い悔恨と恐怖、そして怒りが入り乱れていて、とてもじゃないが話せそうな雰囲気ではなかった。

 そんな彼女を見てセイアは思うところがあるようで、同じように俯き気味になった。

 

「はいこの重い空気終わりっ!ほら、みんなもそんな顔しないで!」

 

 ミカはパンッと手を叩いてそう告げ、沈んだ様子の四人に向かって明るい声で語りかける。

 

「モネちゃんにもきっと色々あるんだよ?だから、とりあえず今はお茶会に集中しよ☆」

「……そうですね、今回ばかりはミカさんの言う通りです。」

 

 ナギサはそう言って微笑むと、ティーポットを手に取りそれぞれのカップにおかわりの紅茶を注ぐ。それに合わせて他の三人もまたカップに手を伸ばし、それぞれ口に運んだ。

 その後、話題は他愛のない雑談へと移っていきいつものように穏やかな時間が過ぎていった。

 

 

 

 

「やっぱりなんでもない……か。どうしてあんなこと言っちゃったんだろう?」

 

 さっきモネちゃんに言った言葉を思い出し、私はそう疑問を口にする。

 

 事の発端は先日のティーパーティーのお茶会(定例会議)。モネちゃんは出席していなかったから知らないだろうけど、私はそこでアリウス分校との和平を提案した。でも、その時はナギちゃんやセイアちゃんに反対……というか窘められた。

 だから私はセイアちゃん達抜きでアリウス自治区を探すことに決めた。それならモネちゃんにも手伝ってもらおうと、今日はその相談も兼ねて話をするつもりでいたのに……

 

「モネちゃんを危ないことに巻き込みたくないって、心のどこかでそう思ってるのかな。」

 

 確かにアリウス分校に関わるのは危ないとは思ってる。でも、モネちゃんは私が心配したり守ってあげる必要があるほど弱くない。

 なら、どうして?

 

「──ぁ」

 

 そうだ、さっき私に見せたあの顔。あの顔は確か──

 

『ミカちゃん……わたし、どうすればいいのかなぁ……?』

 

『お姉ちゃんは恨んじゃダメだって言ってくれたけど、わたしにはそんなことできない。』

 

『────』

 

 ──だから、か。あの時の弱々しくて、今にも消えて無くなってしまいそうなほどに儚い表情と、今のモネちゃんが重なって見えたから、言うのをやめたんだ。

 それに気付いた瞬間、胸の奥につっかえていた疑問が腑に落ちた。

 

 先生――聞く限りは悪い人ではなさそうだね。でも、それだけじゃ救えない生徒だっているんだよ?特に、あの子だけは。だって先生はあの子の復讐の相手(連邦生徒会)の関係者なんだから、これ以上あの子に関わるのはやめてあげてほしい──

 

「なんて言ったって、止めるにはもう遅いのかな?」

 

 

 

 


 

 

 

 

 あぁ、その通りだよミカ。

 

 

 これから起きる衝突は恐らく彼の手によって丸く収まるだろう。しかし、このプロローグ……いや、もはや本来描写されることすらない(はした)の話が、いずれ来たる絶望の袋小路の発端であるのは間違いない。

 

 未来は変えられない。これは絶対的な真実であり、事実。たとえ『先生』がどれだけの力を持っていたとしても。元よりこれはそういう物語なのだから、変わるはずがない。

 

 エデン条約を取り巻く騒動によって彼女の持つ果ての無い復讐心は暴走し、やがて取り返しのつかないことが起きる。これが既に定められた、絶対的な未来だ。

 

 

 ────彼女は、モネは親友なんだ。そんな彼女の身に降りかかる未来を識っているのにも関わらず、私は何一つとしてそれを変えられない。否、変えようとしない。

 

 心の中に根付いた諦念はまるで病苦のように私から『抵抗する意思』を奪っていく。

 

 

 奇しくもあの予知夢に現実が近付いている。君は私と接点も無かったまま失踪したからね、予知夢が外れたかと勘違いしていたよ。今ここで、君と出逢ってしまうまではね。

 

「そうだろう、連邦生徒会長?」

 

 私がそう彼女に問いかけたところで、目が覚めた。




前回走者はミカが言いかけたことをセイア襲撃に関する話だと分析していましたが……
妙ですね?こちらではアリウス自治区捜索に関する相談になっていますよ……?
はぁー(クソデカため息)これだからガバ検定1級所持者は……(呆れ)

連邦生徒会長とセイアさんの面識がいつどこであったかわからないので、とりあえず明晰夢の中で会ったということにしておきます(二次創作の特権)
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