ブルーアーカイブ 実績『RE Aoharu』取得RTA 13:36:51【解説付き】 作:珊月
今回投稿、6月27日
ッスー…………許して下さい何でもしますから!!
「待って!」
やっとモネの背が見えて、私は引き留めるようにそう叫んだ。すると彼女はハッとしてこちらを振り返り、私のことを視認すると、酷く顔を歪めた。
そして「どうして」とだけ小さく呟くと、今度は逃げることもなくその場に立ち尽くした。
「モネ、少しでいいんだ。少しだけ、話をしてみない?」
「……あなたと話すことなんてありません。」
彼女はそう冷たく突き放すと、視線をアスファルトの地面に落とした。しかしそんな彼女の態度にめげることなく、私は彼女に歩み寄ろうとした。だが一歩踏み出したところで突如銃声が鳴り響き、私の目の前の地面に
「来ないでって、何回言ったら分かってくれるんですか!?」
そう言って彼女は銃を構え直すと、私に銃口を向けた。まるで次は無いとでも言うように、モネの瞳には殺意が満ちていた。
一体、何が彼女をここまで駆り立てているのだろうか。
朝の騒動にて、モネが連邦生徒会という言葉に示した異常な反応が気になり、あの後私は再びモネについて調べた。だが、出てきた情報に変わり映えするものは全く無かった。
結局本人の口から聞き出すのが一番いいと私は考えた。そしてもう一度彼女に会うためにトリニティ総合学園を訪れ、こうして相対しているわけなのだが……どうにも雲行きは怪しいままだ。この状況を打破するためには何か行動を起こさなければならないだろう。……ここは一つ、賭けに出てみるしかない。
覚悟を決めて、私は一歩を踏み出した。
「っ、来るな!」
彼女の指は引き金にかけられたまま。モネはいつでも撃てるような体勢を保っているが、私は怖じけずそのままゆっくりと距離を詰めていく。
「これ以上近づかれたら、私っ……!」
そう悲痛な声で叫ぶモネはまるで何かに怯えているようで、銃を持つ手は震えていた。私が歩み寄る度、その顔には殺意が入り混じっていく。
「来ないでよ──っ!!」
それがピークに達すると、再び彼女は銃の引き金を引いた。今度は銃口を私の方にしっかり向けたまま。そこから発せられた銃弾の雨は真っ直ぐに私へと飛んでいき────
それは当たる寸前に不自然な角度で軌道が捻じ曲がり、建物の壁へと着弾した。
「ふっふっふ、先生のことはこのスーパーアロナが守りますよ!」
抱えたタブレット端末から聞こえてきた得意気な声の主に心の中で礼を言うと、私は彼女に向き直る。
「な、なんで……?」
超常現象じみたものを目にしたモネの顔からは、あからさまに困惑していることが見てとれる。それだけではなく、どこか安堵しているようにも見えたのは気のせいだろうか。
アロナのおかげで無事危機を乗り切った私は、そのまま臆せず歩き続けた。あと数歩で手が届く範囲に入るところまでようやく来ると、私はあることを思い出した。
「あ──、そういえばまだ大事な言葉を言ってなかったね。」
「
私がそう言うと、モネは目を見開いた。そして銃を落とし、まるで糸が切れたかのように膝から崩れ落ちた。俯いている彼女の表情は伺えないが、ぽたぽたと雫が落ちるのははっきりと見えた。
一体何が彼女の琴線に触れたのか分からないが、先程まであたりに満ちていた殺気は収まったようだ。
「っ、うぅ……っごめんなさい。ごめん、なさい……!」
そう嗚咽を漏らしながら謝る彼女の様子を見て、これはしばらく落ち着きそうにないなと私は思った。
「──落ち着いた?」
「……はい。」
私が泣き腫らした顔を少しだけ上げると、ちょっと胡散臭い雰囲気をまとった大人が優しい笑みを浮かべていた。その顔を見た瞬間に、私は罪悪感に苛まれて慌てて下を向く。
私はまた、
目の前のこの大人は関係ないって心の何処かでは分かってるのに、見境ない復讐心が先走ってこの人を傷つけそうになるだなんて。
こんなこと、許されるはずがない。そして許されないのが怖くて堪らない。だから、口から「逃げるための言い訳」が溢れてきそうになる。それを必死でせき止めようとするが、耐えきれそうになかった。
「……これから話すのは、ただの言い訳です。ですから、聞き流していただいても構いません。」
「いいや、しっかり聞かせてもらうよ。」
その返事を受け、私はゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
小さい頃から、私はいつも誰かに怒りを抱いていた
何もしないで立っているだけの学校職員、電車の中で喚くマナーのない生徒、罪のない生徒から金品を
『お前の姉、連邦生徒会のお偉方らしいけどさぁ……どうせコネかなんかだろ?本当は大したことないクセに……』
──だが一度だけ、私は理性のタガを外して人を傷つけたことがある。
『モネ!どうしてあんなことをしたの!』
『っ──だってアイツが、お姉ちゃんのこと悪く言ったのが許せなかったからっ!!』
時々、私は性格の悪い生徒に絡まれることがあった。成績もいい、模範的な優等生だと呼ばれていた私のことが気に食わなかったのだろう。私の悪口を言ったり、物を盗るところまではまだよかった。黙って、耐えていられた。
……でも。お姉ちゃんのことを悪く言うのだけは許せなかった。だから殴った。殴って、殴って、殴って、それで二度と口を利けなくしてやろうとしたけれど、職員に止められた。
そうして私は何日かの謹慎を受けた。謹慎中、お姉ちゃんはわざわざ連邦生徒会の仕事を休んでまで私のところへ来てくれた。
『……確かに、気持ちは嬉しいよ?でもね、そうやって人を傷つけたらモネも同じだよ。」
『別にいいの。私がどう思われようと、お姉ちゃんが悪く言われてるのだけは納得が行かなくって。あんな事言われてもお姉ちゃんは黙っていられるの!?』
そんな感じのことを私が返すと、お姉ちゃんはこう言った。
『私は別にいいから!私が気にしてないんだし、モネも気にしない気にしない!ちょっとばかり運が悪かっただけだよ。』
──どうして、お姉ちゃんはこんなにも優しいんだろう。
結局、その答えを聞くことはもう二度と叶わなくなった。
ともかく、一度問題を起こした私の評判は地に落ち、職員からも目をつけられるようになった。裏では悪評が飛び交い、陰口を言われるようにもなった。ただ、お姉ちゃんの悪口が耳に入ることは二度と無かった。
学校では孤立していたが、私はなんとも思わなかった。そう、私にとって大切だったのはお姉ちゃんだけだった。
だからあの親が死んだところで、私はなんとも思わなかった。
元々アイツらは私達のことをなんとも思っていなかった。大事なのはいつも自分自身で、お姉ちゃんが風邪になった時は看病すらしてあげなかった。
当然そんなヤツに思い入れもなかった。死んだ理由にも、死に様にも興味は沸かなかった。「あぁ、死んだんだ。」それくらいの認識だった。
親が死んでから、私達はD.U.で二人暮らしを始めた。生活費は全てお姉ちゃんが稼いでくれていた。連邦生徒会の仕事も続けてやっていて、お姉ちゃんはいつも深夜に帰ってきては泥のように眠り、朝早く起きては家を出ていた。二人暮らしを始めてから二ヶ月が経った頃、お姉ちゃんが過労で倒れた。元々お姉ちゃんは身体が強くなかったから、日々のハードワークが祟ったのだろう。その知らせを受けて私は、学校を辞めてバイトをして稼ぐとお姉ちゃんに言った。でもそれはお姉ちゃんに止められた。曰く、
『私はできなくてもいいの。でもせめてモネには、ちゃんとした青春を感じてほしいから。』
それを聞いて私は申し訳なくなった。今私が学校で過ごしているのは、お世辞でも青春とは呼べない孤独な毎日。私がなんとも思っていなくとも、それはお姉ちゃんにとっては良くないことなんだと気付いた。
だからこれからは友達を作るために努力しよう。そう決意した矢先────
『……お姉、ちゃん?』
その日、お姉ちゃんはやけに帰るのが遅かった。きっと傘を持っていくのを忘れて大雨を前に立ち往生しているのだろう。そう思った私は傘を二つ持ってお姉ちゃんを迎えに行った。
そしてサンクトゥムタワーの近くまでやってきた時、私が目にしたのは、血溜まりの上に倒れているお姉ちゃんの姿。
『お姉ちゃんっ!!!』
傘を放り捨て、雨に濡れることも厭わずに急いで駆け寄る。
『お姉ちゃん大丈夫!?お姉ちゃんってば!!』
喉が張り裂けんばかりの大声を出す。体に触れると、手にはべっとりと血がついた。お姉ちゃんに買ってもらったお気に入りのワンピースの裾も、同じように真っ赤に染まる。
お腹を見てみるとそこには銃で打たれたような穴があって、そこから鮮血が溢れ出している。
一体誰が、どうして、そんな疑問ばかりが湧いてきて思考がまとまらない。だがはっきり分かっているのは、私のお姉ちゃんの命が危ないということ。
咄嗟にハンカチで傷口を抑えるが出血は止まらず、すぐに私の手も赤く染まっていく。
『モ、ネ……』
『っ、お姉ちゃん!喋っちゃダメ!今救急車呼ぶから…………繋がった!大変なんですお姉ちゃんが撃たれてるんです!傷も深くて……!場所は──』
焦りと緊張感からか気も漫ろで、自分が何を言っているのか分からないまま通話は切れた。
『お姉ちゃん、すぐ救急車が来るからそれまでの辛抱────ぇ』
そこで私は気付いてしまった。お姉ちゃんのヘイローが、砕け始めていることに。それが何を意味するのかを思い出して、私は声にならない悲鳴をあげた。
『いやぁぁ────っ!!お姉ちゃんっ!だめ、だめっ!死んじゃやだぁ!!』
泣きじゃくりながら必死になって呼び止めようとする。しかしヒビは広がり続け、もう止める事はできないと悟った。
お姉ちゃんの顔に手を伸ばすと、微かに瞼が開かれ、力のない瞳が私を見つめた。そして苦痛に顔を歪めながらも、微笑んでみせた。続けて私の頬に手を伸ばす。それがあまりに冷たくって、息を呑んだ。お姉ちゃんの手を取るように自分の手を添えると、弱々しく握り返してきた。
『ごめんね、モネ……何も……できなくて。』
『ねぇ、誰がやったの……?ねぇどこに行ったの!?教えてお姉ちゃん。そいつ、殺してくるから……!』
そこまで言ったところで、お姉ちゃんは私のことを抱き寄せてきた。そして息も絶え絶えなまま、か細い声で言葉を紡ぐ。
『だめ……恨んじゃ、だめ……モネには、幸せでいてほし──ゴホッ……から。』
『これはっ、運が、悪かった……だけなの。だからそんな顔……しないで。』
『それに、私が居なく……なっても。大丈夫だよ、モネ。だって、モネは……強いから。』
そう言い終えると、お姉ちゃんのヘイローは音も立てずに崩れ落ちた。
次話からエデン条約編に入ると約束したな?あれは嘘だ(迫真)
一話でまとめて投稿すると長すぎるからね!しょうがないね!
なので次回も引き続き小説パート、対戦よろしくお願いします。
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