ブルーアーカイブ 実績『RE Aoharu』取得RTA 13:36:51【解説付き】 作:珊月
A.マジやばい。
初めまして、先生。
トリニティ総合学園ティーパーティー補佐官を務めております、
まずはこのような形でのご挨拶になってしまったこと、お詫び申し上げます。
閑話休題、要件を話しましょう。
今回、先生にはとある生徒について調べていただきたいのです。
名を星詠モネ。彼女は次のティーパーティー補佐官候補なのですが、実は黒い噂が幾つかありまして……例えばブラックマーケットに通う彼女を見た、不良集団からカツアゲをしていた、とか、そういったものです。私自身それを信じているわけではありませんが、立場上こういった不安は全て解消しておく必要があると判断しました。
本当なら私自ら確認するべきなのでしょうが、少々他の件で立て込んでおり、貴方の協力を受ける必要があるのです。これはトリニティにとって非常に重要な案件、何卒よろしくお願いいたします。
彼女についての情報をいくらか添付していますので、ご確認を。
「……まさか4月最初の案件が生徒の調査だとは思わなかった。」
そう言って彼――連邦捜査部「シャーレ」の担当顧問である先生――は頭を抱えた。
D.U.外郭地区に独立したオフィスビルを構えるシャーレには毎日のように案件が一つ以上来る……といっても大から小まで、行方不明の猫探しや強盗の確保などと色々ある。
そんな彼はシャーレに赴任してからもう3ヶ月以上経っているが、これほど重要な案件は初めてだ。しかもこんなものが年度初めに来るだなんて、幸先が良いのか悪いのか。
とにかく、彼はこの状況に苦悩していた。
困っている生徒を助けたいのはやまやまだが、如何せんその助けるための手段が手段なのだ。疑わしいというだけで生徒を詮索するのは彼のポリシーに反する。
だが彼女が困っているのは事実ではある。それに、生徒が抱える黒い噂の真偽、それは彼にとっても確かめたいものだ。先生である限り生徒の為に動くのは当然。生徒が危険なことをしているのならばそれを止める義務が彼には有る。
そうと決まれば彼は早速行動に移った。
「アロナ、受注したという旨の返信をしておいてくれ。」
「了解しました!」
「ありがとう、それからついでに妖怪MAXを一箱お願い。」
「えっ、またですかぁ?あんまり無茶しちゃいけませんよ……?今日だって徹夜して、もう午前4時なんですよ。」
デスクの上に立てられたタブレット端末、「シッテムの箱」から可愛らしい少女の声が聴こえ、彼はそれに応える。「シッテムの箱」のメインOS、アロナだ。
それが謎多きオーパーツであるにも関わらず先生が軽々と扱えてしまうのは、彼女のサポートありきのことだろう。メールの受取に返信、ハッキングからネットショッピングまで、大抵のことはできてしまう彼女は、今回もその手腕を発揮してくれた。
……神影ラム、といったか。彼女の名前は初めて聞いたが、その存在自体は耳にしたことがある。先日引き受けた案件でトリニティのある生徒と会ったのだが、その際に彼女の噂を聞いた。
曰く、ティーパーティーに入れるだけの素質があったにもかかわらず辞退し、敢えて補佐官という地位に就いたという。また、一部の生徒からは「変人」と呼ばれているそうだ。
外聞だけではあまり判断できないが、文面を見る限りは常識的に見える。
「先生、星詠モネさんの資料を見つけました!表示しますか?」
「あぁアロナ、頼むよ。」
すると、画面上には
トリニティ総合学園2年生
部活 ティーパーティー(役員)
基本情報
トリニティ総合学園所属、ティーパーティーの役員。
学内では上位の成績を誇っており、同期の中では二本の指に入る頭脳の持ち主。また、キヴォトス内では明らかに上位の戦闘能力を持つと言われている。
その頭脳と戦闘力を買われて、ティーパーティー内ではそこそこ重要な役に就いているようだ。
現ティーパーティーの3名とは深い交友関係を築いており、もはや学年の垣根は存在しない。
最近バイトしているカフェではチーフまで昇格しているらしい。
12歳の時に両親を亡くしてから、トリニティ自治区で一人暮らしをしている。
年齢 16歳
誕生日 12月4日
身長 153cm
趣味 バイト
毎度のことだが、彼はこうして生徒のプロフィールを見るたびにちょっとした罪悪感を抱いている。なんだかイケないことをしているような、そういう感覚だ。
実際は与えられた権限の範疇で行っている行為なので何も悪いことはしていないが、それでも彼の良心の呵責は止まない。
「……ふむ、見る限り怪しいところは無いように思えるけど……」
何とか最後まで読み進めてみたが、至って普通のプロフィールだ。寧ろ、このキヴォトスでは異端とも言えるほどの優等生とも言えるだろう。
とっくにこ
ついでに添付されていたフォルダを開いてみると、そこにはモネのものであろう写真と、何かのテキストファイルが入っていた。
どこからどう見ても盗撮にしか見えない画角から撮られているが、あまり気にしないようにしよう。気にしてしまえば、より罪悪感が増してしまう。
そう思った彼は諦めて写真を確認した。
キヴォトスではあまり見ない薄緑色の髪が特徴的、そして鋭いわけではないがキリッとした瞳。
なるほど、これはいかにもな優等生だ。しかし、本当にこのような少女が噂通りのようなことをするのだろうか?こればっかりは一度会ってみる他無いだろう。
続いてテキストファイルを開いてみると、そこには謎の住所が記されてあった。
「ねぇアロナ。これってもしかして……」
「先程調べてみましたが、どうやらモネさんの自宅の住所で合っているようです。」
――まさか、とは思っていたがここまでするとは。
更に頭を抱えたところ、そこの隣に書かれていたメッセージが目に入った。
こちら彼女の住所です。いっそのこと、直接会いに行って聞きに行くのも手ではあると思いますよ。
最終的に真偽を確かめられたなら方法は不問としますし、責任も私が取りますのでご安心を。
「…………はぁ……仕方ない、行ってみよう!」
そう呟き彼が立ち上がった瞬間、夜通し続けたデスクワークで凝り固まったその腰が粉々に砕けた。結局、彼がシャーレを出たのはそれから約2時間後のことだったそうだ。
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私、星詠モネの朝は早い。
今日が休日であろうとなかろうと、毎日決まって6時に起きる。整った生活リズムこそが健康の秘訣だと聞いたことがあるが、恐らくその通りではないだろうか。
ここ一年間早寝早起きを徹底しているが、一度も病気をしたことがない。
お陰様で去年は皆勤賞を貰ってしまった。というかそれよりも気になるのが、どうして皆勤賞を貰ったのが私とあと一人しか居ないのかだ。
みんな別に不良というわけでもなさそうなのに……あのヒフミちゃんですらも何度か遅刻をしたせいで皆勤賞を逃していた。もしかして皆勤賞とはすごいものなのでは……?
そう考えてみると、もう一人の受賞者の株が自然と上がっていく。
確かその子の名前は、浦和ハナコ。
私は確かに学年一位の成績だったけれども、それは本来彼女に与えられるべき称号だろう。
彼女は1年生なのに、3年生用のテストまで受けた上で全て満点。成績には計上されていないため私と彼女は同じく一位だけれど、私と彼女との間には大きな壁がある。
まさに「天才」、そう呼ばれていて当然かもしれない。
けれど先日、セイア先輩とあのカフェでお茶をした時、こう言われた。
『彼女は期待に埋もれ、本当の自分を出せないでいる。彼女にとって、期待は毒なんだ。』
『私は彼女に助言したよ。自らを抑え込んではいけないとね。』
『モネ……君は、どうなんだい?』
本当の、自分。その問いかけの意味が私には理解できなかった。
質問自体の理解はできないけど、感じることはできた。私の心の奥底に在る"それ"を。
今からちょうど4年前。私が12歳だった頃にあの忌々しい事件は起きた。あれ以来、私は連邦生徒会が大嫌いだ。もちろんこれは全くのお門違いなのだが、それでも私は奴等を赦せない。
一応赦せないだけで留まっている間はいいのだ。嫌悪感を抱えるだけなら何の問題もない。
でも、その復讐心の塊がある限り、私がいつ復讐に駆られるか分からない。
胸の奥底にいる"それ"は今の所静まってはいるが、何かの拍子に爆発してしまうかもしれない。
その悪感情に呑まれてしまえば、一体私はどうなってしまうのだろうか。
一体私はどう、行動するのだろうか。
それがどうしようもなく怖くて、つい心に蓋をする。
そう考えてみると、私は自分を抑え込んでいると言えるのだろうか。
ならいっそ、"これ"に従ってみるのも手では――
「――あ、モモトーク……誰だろ。」
スマホから通知が鳴ったのに気づいて、私は意識をそちらに向ける。
危うくとんでもないことをしでかすところだった。
送り主は……ミカだ。
ミカ
〔☆〕
〔お〕
〔は〕
〔よ〕
〔う〕
〔☆〕
「……朝から元気だなぁ。そういえば、ミカ達は今年からティーパーティーになるんだっけ?」
ミカもセイア先輩もナギサも、3人揃ってそんな役職に就くだなんて流石だなぁ。
今年は私もティーパーティーで何かの役を持つかもしれない身なんだから、こんなことを考えてネガティブになってたらダメ。もっとちゃんとしないと。
それで、いつかみんなみたいに……
「…………私も負けてられない、か。」
そう呟いて、私は玄関の扉を開けた。
(多分)次回はRTAです。
あと前回の投稿からこんなに遅れたことに関して言い訳させてください!
プロット作るのに手間取ってしまいまして、昨日ようやく完成したばかりなんですね……
まぁこれからはそこそこ安定した投稿頻度でできるはずなんでご安心ください
本当にすみません何でもしますから!