刀を持つ騎士(鬼神)   作:カンナム

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第17話 アブラ・ヴィンテージ

ーー暗黒魔界

 

空は常に黄昏の色。

 

太陽や星の光はなく、代わりに周囲にある石ころを含めた赤茶色の岩土の台地や紫色の森、真紅の川が自身が持つ魔力によってぼんやりと光って周りを照らしている。

 

空を見上げれば赤茶色の巨大な土の球体があり底から細長い塔のように下に土が伸びて台地に接地している。

 

この天井にある巨大な土の球体の上に人間界がある。

 

そこに住む種族は女神によって闇の世界に押しやられた存在ーー魔族。

 

彼らは人間に近い姿をしたものも居れば、魔物が進化して魔族となったものやドラゴンが爪と翼だけをそのままに人型に変わった存在なども居て多種多様である。

 

彼らを従えるのは力。

 

魔族を統治するのは、力しかない。

 

その魔族たちを文字通り支配している魔王の城で、虎の顔をした3メートルはある大柄で屈強な戦士の男が跪いてかしこまりながら報告していた。

 

「魔王様」

 

報告を受けているのは玉座に座った短い黒髪に紫色の中性的な色気を放つーー人間と変わらない見た目の美しい少年のような顔立ちの青年が居る。

 

背は2メートルに近く、黒いハイネックのコートの中は白いドレスシャツの首元には金色の鎖で編まれた紫の宝玉を嵌めたネックレスをしている。

 

下は黒いパンツ、黒の軍靴、両手に黒い革手袋を付けた出で立ちは貴族風にも軍人風にも見える。

 

「なんだい、今日は面白いことがあったのかな?」

 

美しい声は男にしては高く女にしては少し低い。

 

人間ではないことを示すかのように耳は鋭く尖り、口の端から牙が見える。

 

その耳には瞳と同じ紫暗色のピアスがされている。

 

口調もどちらか判別しかねるものだが、聞く者を虜にする魅力とカリスマにあふれている。

 

「死海の台地で魔戦将三人をアッサリと沈めた鬼神泰鬼なるものが、人間界に現れました! 今日はそれを報告に参りました!」

 

「彼、人間界に行ったんだ。面白いよねぇ、彼」

 

口許に嫋やかとさえ思える白い手を当てて微笑む。

 

「魔戦将クラスをものともせずに蹴散らすし、彼が軍に入れば良い部下になると思うんだけどなあーーで。その彼がどうしたの? 人間の都市のひとつでも壊したかい? だとすれば願ったり叶ったりだなあ。魔王軍の労力を割くことなく人間界を混乱に貶めることができる」

 

「い、いえ。それが……パジャという小国に現れたらしいのですが、その小国で自分と同じ鬼神を捜していたと言うのです」

 

「鬼神? 人間界に鬼神が? ちょっと初耳だなあ。なんでそんな面白そうなこと、キミ知らなかったの?」

 

軽く咎めるような口調だが、魔王の紫色に輝く瞳に見られた虎男は息が出来なくなるほどのプレッシャーを受ける。

 

「……! も、申し訳っ」

 

「フフ、まあいいよ。パジャの国に魔戦将率いる空軍3個小隊を蹴散らした泰鬼と同じ種族ーー鬼神鍾鬼っていう異形が居るんだね?」

 

辛うじて息も絶え絶えに応える虎男に満足したのか魔王は瞳を閉じてから質問を続ける。

 

「はい……。それと、女神もいると」

 

「女神? 女神ってこの世界を創りあげて僕らをこの鬱陶しい暗黒大陸に閉じ込めた、あの女神かい?」

 

虎男の予想外の言葉に魔王は目を見開いて問いかける。

 

泰然としていた雰囲気は、一気に幼く変わった。

 

「報告によれば「パジャの国にいるという鬼神」と「創世の女神」は人間の姿をしているそうです」

 

「人間? なんでよりにもよってそんな貧相な器を選んだんだ? ホントなのかい、その話? 鬼神泰鬼と同じ力を持った存在が非力な人間を器にしているだって?」

 

「はい!」

 

「……で。それが人間の姿をした女神と一緒にいる?」

 

「はい……」

 

重々しく頷く虎男に半分呆れ、半分驚きに表情を歪ませて魔王は言った。

 

「嘘じゃないね。作り話にするには余りにもナンセンスな話だ……」

 

「嘘ではありません、魔王様! 本当です!!」

 

「ーーだろうねえ。この僕を相手に、そんなつまらない作り話で魔王の時間を割いて足止めするようなーーそんな頭の悪い魔族はいないだろうからねえ」

 

「ま、魔王様! いかがなさいましょう」

 

「鬼神に関してはどうでもいいよ。アイツらは僕の手には落ちない。力だけ無駄に有り余った面倒くさい存在だ。だが女神は――」

 

そこで魔王は初めて全身から紫色のオーラを放ちながら瞳を輝かせる。

 

「本当に女神なら僕の前に生きたまま、連れて来い」

 

「それならば、うってつけの男が一人います」

 

「うってつけ?」

 

「入れ」

 

間髪入れずに応えた虎男に魔王が首を傾げると虎男が自分の背後にある謁見の間入り口の扉を振り返った。

 

入って来たのは2メートル半ばの狼の頭をした男。

 

虎男の隣に立つと跪いて礼を取る。

 

「失礼いたします。魔王様」

 

「ん? 人狼族、かな?」

 

「はっ!」

 

虎男が人狼の解説を始めた。

 

「この者、じつは人間界を混乱させるためにさまざまなところで暗躍させておりまして。先の鬼神泰鬼の件も、この人狼の諜報あればこそです」

 

「ふーん。……で? この狼くんが女神を引きずり出してくれるのかい?」

 

「女神の動向に関しては、こちらの方ですべて把握できます。ヤツはヴィンテージという剣士の屋敷に厄介になっているようです」

 

「分かんないかなあ。僕は女神の現状に興味があるんじゃないんだよねえ。女神をここに連れてこれるのかって聞いてるんだ」

 

「それは……」

 

「まあ、無理だろうね。ごめんごめん。ちょっと意地悪しちゃった。できもしないことを言うんじゃなかったね」

 

「っ……!!」

 

黙る虎男の横で人狼が頭を上げて魔王の眼を真っ直ぐに見つめてくる。

 

「なにか言いたいことでもあるのかい? 人狼くん」

 

「強力なネクロマンサーを一人、俺につけていただければ優秀な戦力を手に入れてまいります」

 

「ネクロマンサー? 誰か復活させたい死体(やつ)でもいるのかい?」

 

「……はい。鬼神泰鬼が面白いことを言っていました。パジャの国ヴィンテージは、かつて泰鬼としのぎを削った鍾鬼という鬼神が人間として転生させられた場所だというのです。我らが憎き女神の手によって」

 

「ほう。じゃあその人間に転生させられた鬼神を復活させて女神を討ってもらうということかな?」

 

「いえ。鬼神はすでに人間と混ざり、死んでいるようです。魔王様もご存じのように死んだものを復活させることはできません」

 

「死んでいる? 鬼神は神の一種だよ? それを殺すことなんてできるわけがない。人間ごときに」

 

「たしかに鬼神ならばそうでしょう。ですが器が人間ならば……魂が鬼神とて老いに勝てず死ぬのです」

 

人狼が何を言いたいかを理解し、魔王はニヤリと笑った。

 

「へえ。つまり老いさらばえた鬼神の器ーー人間の死体をネクロマンサーで操り、魔王軍に引き入れろってことかい?」

 

「さすがは魔王様!」

 

我が意を得たり、と人狼が喜ぶ前で魔王は思案する。

 

「ふむ。……面白そうな話なんだけどねえ。鬼神の魂が重要なのであって魂が離れた肉体はただの人間だと思うよ」

 

「ですがーー鬼神の魂を用いて戦った記憶は体に残っているはず」

 

人狼が記憶の中に思い描くのは魔王の紫色のオーラにも匹敵する赤い光を全身から放っていたヴィンテージの嫡男アドム。

 

あの力こそが、鬼神力というのならばソレを用いて動かされていた器の方にも戦いの記憶があるはずだと人狼は踏んでいた。

 

「なるほど、鍾鬼という鬼神の魂が器にしていた人間。その人間の死体は鍾鬼の戦闘の記憶をそのまま受け継いでいる、と」

 

その力は無駄にはならない、と魔王も人狼の意図を理解し頷いた。

 

「うん、面白いね。いいよ、とびきりのネクロマンサーを紹介しよう」

 

「……あ、ありがとうございます!」

 

「もし、その死体を復活させることができたら。一度、僕の前に連れてきてよ」

 

「ーーと言いますと?」

 

「実際に僕が味見してあげるよ。ソイツが本当に使えるのかどうか……ね」

 

「はっ!」

 

虎男と人狼が申し合わせたかのように同時に立つと、一礼して謁見の間から出て行く。

 

それを見送った後、魔王は色味と凄みのある笑顔を浮かべた。

 

「パジャの国が成立する立役者になった剣の一族ヴィンテージかあ、面白くなりそうだなあ。そろそろ勇者にも現れてもらわないと退屈だしねえ」

 

ーーーー

 

謁見の間を出て魔王城の廊下を通り、中庭に出た辺りで虎男は人狼に声をかけた。

 

「おいーー魔王様の手前ああは言ったが、本当にうまくいくんだろうな?」

 

「女神をひっつかまえて魔界に連れてこいって無茶言われてんすから。これくらい無茶言わないとできっこないっすよ。そもそも……」

 

魔王の前では畏まっていた二人だが、虎男は遠慮なく狼の方も気さくに会話している。

 

「それはそうだが、死んだ人間など使い道になるのか? それに鬼神の器だったって、そこまで裏は取れていないだろ!」

 

「死体漁ってネクロマンサーに操らせるだけですから、裏取るのは大した手間にはならないですって」

 

「そうじゃなくてだな。仮にそいつを復活させたとしよう。しかし、そいつが本当に強いかなんてわからないだろう」

 

「それがねえ。たぶん今から復活させようとしているソイツは鬼神ですよ」

 

「なんでそう言い切れる?」

 

「言ったでしょ。俺は実際に鬼神の魂を持った人間に会ってるからですよ。たしかにソイツなら一人で国を変えれる」

 

「……なるほどな」

 

普段はどこかふざけた人狼が本気で告げるーーその意味を理解して虎男は重々しく頷いた。

 

「たのんますぜ。うまくすりゃ俺は魔戦将ーートラの旦那はその魔戦将を率いる魔大将だ!」

 

「うぅん。よし分かった、やってみろ」

 

「へへっ、ありがとうございます」

 

トラと呼ばれた虎男が頷くと人狼は喜んで頷いた。

 

「あなたが協力者?」

 

「どわあ!」「おお!」

 

急に下の方から声をかけられて驚く虎男と人狼。

 

向くと紅いフードを被った緑色の髪と眼をした120センチくらいの幼女が立っていた。

 

「こ、こども? なんで、こんなガキが魔王城に?」

 

「阿呆、ウルフ!」

 

「痛え!」

 

拳で後頭部をはたかれて目を白黒させる人狼を虎男はひっつかんで頭を下げさせると説明しながら自分を頭を下げる。

 

「頭をさげろ! この方は魔大将を率いる『四大魔将』がひとり、智の将ネクロさまだぞ!」

 

「こ、このチビが!?」

 

目を丸く見開いて幼女を見ると緑髪の幼女はニマッと擬音がしそうなほど笑ってきた。

 

「ネクロだよ。よろしくね、狼くん」

 

「なんか鼻につくガキだな」

 

人狼が呟く横で幼女ネクロは表情を消すと淡々と周りを見渡す。

 

「それで。そんなすごい剣士の死体、どこにあるの。解剖しがいがあるから早く教えて」

 

「え? ああ、もう行かれます?」

 

「うん、早く見たい」

 

表情は変わらないが、遠足を楽しみにしている子どものような仕草でネクロは人狼に言う。

 

人狼は頭を掻きながら感心した。

 

「魔王様、仕事速えなぁ」

 

「とりあえず部下の者を集めますので。それまで時間を頂きます、ネクロ様」

 

虎男が応えるもネクロは告げた。

 

「大丈夫。狼くんが居ればいい」

 

「……さすがは四大将がひとり。このウェア・ウルフの力をよく分かっていらっしゃる。ただのガキんちょじゃなかった」

 

「ぞろぞろ行っても邪魔だし、道案内ひとりでいいから……」

 

「道案内以上の役割求められてないぞ、ウルフ」

 

遠慮のないネクロの言葉に人狼も半目で遠慮なく言った。

 

「トラさん! このガキ、殴っていいすか!?」

 

「いいわけないだろ! それと見た目に騙されるなよ!! その方は魔王様の次にえらい、四大魔将のひとりだからな」

 

「ぅ……。分かりました。ほんと、トラさんは上役に弱えんだから……」

 

「聞こえてるぞ、コラ」

 

やれやれ、と首を振る人狼の横にネクロが来る。

 

「行こう」

 

黒の服の胸元には小さな髑髏を模った宝石が吊られている。

 

「へいへい。それじゃ行きやすか」

 

ゴソゴソと自分の腰の帯に差したアイテム袋の中身を探し出す人狼。

 

「この転移の石を使って……あれ? 魔王城じゃなくなってる? こ、これは魔物の森……?」

 

右手から青い宝石を取り出すと掲げてみせるも既に虎男は居らず、魔王城でさえなかった。

 

目の前の景色は広大に広がる人間界に唯一ある魔界性の植物ーー魔力を持った生物が生きる魔物の森であったのだ。

 

「さ、案内して」

 

「て、転移魔法……」

 

「このくらいわけないから……」

 

「屍術師(ネクロマンサー)って転移魔法使えるんだぁ……!」

 

目が点になっている人狼の横を歩いてネクロは魔物の森の出口から街道を覗いた。

 

「へえ……。人間同士が戦争してるね」

 

人狼がそちらに目を向けると白銀に金色のラインが入った甲冑の騎士団の連隊と簡単な胸当ての上から肩当てが付いた革ジャケットを羽織った刀を使う一団の小隊がぶつかっている。

 

胸当てには家名とされるヴィンテージの紋章が彫られている。

 

騎士団の数は革ジャケットの一団に比べて20倍に近く、持っている両手用の諸刃の剣も革ジャケットの刀よりも倍近く長い。

 

またその後ろには緑色のローブを着た杖の集団が炎や氷を革ジャケットの一団に向けて放っている。

 

「まだ小競り合いの段階ですねえ、へっ、いきなり一個師団とは。ジャッジの国はせっかちな野郎が多いようだ。ま、わざわざパジャの情報を流した甲斐があったってもんだがな」

 

攻めているのは騎士団の方だ。

 

圧倒的な数の差は、瞬く間に決着がついてもおかしくはない。

 

だというのに、戦は終わる気配がない。

 

「……しかし。数では圧倒的にジャッジが勝ってるってのに十分の一にも満たねえ人数で互角に渡り合ってやがる」

 

「互角じゃないよ」

 

「いや、それはわかってますよ。二十分の一の戦力ですからね。いくら善戦しているように見えても結果は見えている」

 

「ううん。数は問題じゃない……」

 

「ーーは?」

 

放たれるいくつもの炎や氷の弾。

 

魔法使いが複数のグループに分かれて同じ魔法を使い強力な一撃を放っている。

 

「ーー構え!!」

 

「「「ヴィンテージ流ーーソニックバレット!!」」」

 

瞬間、前線で闘っている刀使いの後方から空気の刃弾が放たれて複数の強力な魔法を全て撃ち落とす。

 

「おのれ! 火矢を放て!!」

 

今度は騎士団から弓兵隊が出されて一斉に矢を射抜いてくるも、今度は指揮をしていた男が一人で構えをとり空気の刃弾を放った。

 

「ソニックスラッシューーバレット!!」

 

扇状に放たれた青い斬閃が空に描かれたと同時に爆発して複数の刃弾と化して味方に当たる範囲の矢を全て斬り捨ててしまう。

 

それを見ていた弓兵隊は恐怖に脚がすくんでいた。

 

「これがーー刀で魔法を使うと言うヴィンテージ流か!!」

 

「ば、化け物か!! 白兵戦でも遠距離戦でも、コイツ等!!」

 

うかつに剣を落とそうものならば奪われて一気に不利になる。

 

既に何名かのヴィンテージの剣士が長剣を奪って自分の刀よりも攻撃範囲が広いからと好んで振っている。

 

しかし、技に耐えられずにすぐに折れるのを見て無念そうに首を横に振っていた。

 

「でもーーいまは数の戦い方をしてるね」

 

「と言うと? 正直、一振りで複数人を薙ぎ倒しているので数の戦い方と言われても……」

 

「ヴィンテージの技は遠距離攻撃だけじゃないよね? もっと多くの技があると思う。でも近距離用の技を打ってない。いまは地の利を活かしてる。拠点の配置もーー上手だね。戦い慣れしてる」

 

ネクロの言葉に改めて見直し、とてつもない強さの連中に思わず辟易する。

 

黒髪を短髪にした男は必ず赤い革ジャケットに白のシャツ、青のジーンズを着ている。

 

その他の様々な色や髪の長さをした者は茶色の革ジャケットに黒のシャツ、白のジーンズという出で立ちだった。

 

ヴィンテージの血を引くものは黒髪であり貴族階級でもあることから指揮官。

 

兵士として剣奴たちが居る。

 

しかし、その戦闘力と洞察力は貴族も奴隷も関係なく洗練されている。

 

「やっぱり、あの茶髪の剣奴くらいの実力をヴィンテージの連中は、当たり前に持ってるってことか」

 

「うん。強い」

 

納得したようにネクロは言うと、人狼を見上げた。

 

「さ、行こう。あの剣士や剣奴たちより強いんでしょ?」

 

「そりゃあもう。なんたって一騎当千と言われてるヴィンテージ流の開祖ですからねえ」

 

「動かすの、楽しみ。急ごーー」

 

「了解」

 

数十人の剣士対3000超の騎士団の戦を横目に、魔族はヴィンテージ屋敷にまで一気に突き進んでいった。

 

ーーヴィンテージ領・墓地

 

ヴィンテージ屋敷の裏に墓地はあった。

 

ネクロは、無表情でありながらもどこかワクワクしているようにせわしなく周りを見ている。

 

人狼も、ここまで来れば目的は達成したも同然だとほっと胸をなでおろして墓に刻まれた名前を見る。

 

「えーっとヴィンテージの墓は……っと。ああ? なんだこりゃ。ヴィンテージ家ってのはこんなにガキがいたのか? どいつもこいつもヴィンテージの名が彫られてやがる」

 

「……子だくさん?」

 

「やれやれ、英雄色を好むってヤツか?」

 

思わず首を傾げるネクロと肩をすくめてみせる人狼。

 

そこへーー。

 

「父にそれほどの妾や子が居たのではない。わしの父上は生涯、母上しか愛さなかった。だがワシには兄弟がたくさんおった。血のつながらぬ孤児(みなしご)たちがな」

 

振り返った先には黒いハイネックのシャツに黒の長パンツを着た白髪を肩まで伸ばし、老人とは思えない鍛え抜かれた細身の肉体。

 

背筋が伸びた身長は180センチ程度ーーが立っていた。

 

黒髪が混じった白髪はオールバックにされ、その瞳は黒に近い青だ。

 

「テメェは……!」

 

「私の不可視(インビシブル)を破った? なに? こいつ……」

 

腰には茶色の剣帯が巻かれ、大と小の刀が二振り差されている。

 

「ワシの屋敷に土足で踏み込むとは、よい度胸だ。そなたらが魔族か?」

 

その老人の名はーーアブラ・ヴィンテージ。

 

パジャ王国の立役者にして「王の剣」の二つ名を持つ男である。

 

「へっ、そのとおりだが。テメェみてえなジジイが一匹、勇ましく出てきてなんだってんだ?」

 

「フッ……。たしかにワシも老いさらばえた。最近はアドムにばかり手柄を取られておってなぁ……」

 

顎に手をやり、頷く老剣士をネクロが静かに見つめる。

 

「この爺さんを倒して。ついでにその死体も使ってあげよ? 狼さん」

 

「へえ、いい案ですね。ーーっ!?」

 

邪悪に凶暴に笑う人狼の足を狙って鋭い何かが投げつけられた。

 

咄嗟に宙返りして避けると、人狼が立っていた場所に正確に小さな刀が数本突き刺さっている。

 

「痴れ者が。よくもご主人様の土地でふざけたことを……」

 

冷たくも鋭いーー美しい女の声に振り返ると紫色の髪をアップに纏めたメイドが腰に剣帯を巻き、黒塗りの刀を一振り差した状態で立っている。

 

「こ、この女、いつの間に!」

 

魔族の自分達を出し抜けるほどの実力を持ったメイドなど冗談ではないと、人狼が目を丸くする。

 

その横で熊のように筋肉質で厚すぎてボタンが全て止まり切らない毛深い胸筋を持った男ーー執事服を着た人間が野太い大太刀を肩に担いで現れた。

 

「サーニャ、逃がすでないぞ」

 

「ええ……」

 

「運が悪かったな、魔族ども」

 

「ご主人様の屋敷には恐ろしい執事とメイドがいるということを死土産に覚えておくがいい」

 

大柄な体格に見合った長い剛刀の男は熊のような顔で笑い、美しいメイド長は冷徹に口許だけを緩める。

 

人狼が思わず呟いた。

 

「こいつら、気配を断ってやがったのか? 人狼の嗅覚や四魔将を誤魔化すほどに……?」

 

「すごいね。スケルトンの何百倍も強そう。死体にしなきゃ」

 

「ネクロさま! 当初の目的を忘れんでくださいね! アルド・ヴィンテージの死体さえ手に入れればそれでいいんですよ」

 

「……忘れてた」

 

天然ボケなネクロの言葉に人狼が色々と限界を迎えた。

 

「ぐああ! このガキんちょしばいたろかあ!?」

 

「でもここ墓場、ちょうどいい」

 

そう言うとネクロの深緑色の瞳が輝く。

 

明るい緑色の光を全身に纏うと墓地全体が揺れ出した。

 

「ん? なんだ?」

 

「墓から死体が……!」

 

影騎士にして執事長である男ギランと同じく影騎士にしてメイド長である女サーニャが武器を構えながら目を鋭く細める。

 

墓石から手を出してゆっくりと起き上がってくるのは、骨と皮だけになった死体たち。

 

これに屋敷の当主アブラ・ヴィンテージが怒りの表情に変わった。

 

「父上が引き受けた孤児たち……! みな誇り高く、戦場に散っていった私の自慢の兄たちだ……!! 貴様ら、兄上達をどうするつもりだ!?」

 

ーーーううううあああ。

 

動く死体たちの口から声とは余りにもおどろおどろしい、うめき声が漏れてくる。

 

人狼がニヤリと笑って起き上がって来た死体たちを見た後、応えた。

 

「もう分かってんだろ。利用させてもらうのさ、お前らヴィンテージの剣士をな」

 

これにアブラが腰の大刀を抜き放って八双に構えた。

 

「させぬぞ。サーニャ、ギラン」

 

「「はっ」」

 

「この狼藉者どもを斬り捨てる、援護しろ!!」

 

「かしこまりました、ご主人様」「目に物を見せてやりましょう。我らヴィンテージの力を!!」

 

アブラの声にサーニャとギランが応える。

 

これに人狼が死体たちを率いて受けて立った。

 

「こっちは魔族と死人の力を見せてやる……!!」

 

動く死体たちは、本来ならば刀を使うのだが代わりに屍術で造られたブロードソードが握られている。

 

本来、刀と剣は似て非なる戦い方をしなければならないがヴィンテージの剣士は、苦も無くそれらを同じように使うことが出来る。

 

この武器への汎用性もヴィンテージの剣士が強い理由である。

 

ーー ヴィンテージ流・ソニックスラッシュ・レンジ

 

一斉に死体たちが剣に青い気を纏わせると音速で動きながら無数の斬撃を繰り出し、かつ擦れ違いざまにアブラ達三人に斬りつける。

 

「凄い、簡易術式で。これだけの力を持った死体になるなんて……」

 

ネクロが小さく呟く。

 

全包囲攻撃とも言うべき圧倒的な手数と鋭い斬閃が走る。

 

「……兄上方、許されよ」

 

「死してなお、素晴らしい斬撃。されど……」

 

「ええ。私たちの相手ではない」

 

アブラとギランが八双の構えのままに気を刀身に練り上げる。

 

サーニャが指先に挟んでいた小柄を裾の中へ戻すと腰の刀に右手を触れさせる。

 

「ヴィンテージ流、ソニックスラッシュ・ラウンジ!!」

 

アブラが袈裟懸けから横薙ぎの軌道へと変えながら一閃する。

 

瞬間、アブラ達を中心に青い円の斬閃が描かれて爆発し、無数の斬撃へと変化した。

 

「アレは、魔物の森でアドムが放ったのと同じ技か!!」

 

人狼が叫ぶ。

 

アブラの放った斬撃と死体たちの放った斬撃がぶつかり合い技が相殺するーーも、死体たちの持っていた剣は真っ二つに半ばから折れている。

 

「ヴィンテージ流ーー!!」

 

「ソニックブレード・クロス!!」

 

袈裟懸けに放たれる青い斬閃と左斬り上げに放たれる青い斬閃。

 

「たしかに強い。素晴らしい連携。でも簡易で復活させた割には此処の死体は十分強い。ただちょっと相手が悪い、かな」

 

ポツリとネクロがこぼす。

 

二つの斬閃が交差した時、凄まじい衝撃波が発生して動く死体を全て吹き飛ばした。

 

「つ、強ぇえ……! なんだあの三匹は?」

 

人狼が思わずつぶやくも、目の前に刀を持った老人ーーアブラが迫っていた。

 

「な、にぃ!?」

 

「……成敗!!」

 

青い気を纏った光の斬閃が人狼に迫る。

 

全速力で足を使って地面を蹴り、目の前を斬閃が通り過ぎるのを後ろに下がりながら見る人狼。

 

「く、このジジイ! 人間の動きじゃねぇ!!」

 

「ワシのソニックブレードを避けるか、なるほど。アドムを相手に逃げ延びた狼の顔をした人間とは、貴様の事か」

 

「……見逃してやった、の間違いだな」

 

軽口を返しながらもフットワークを刻んで人狼は目を鋭く細める。

 

この老人の力は、並ではない。

 

「牙狼ーー点心拳!!」

 

言いながら鋭い爪の貫手を放ってくる人狼。

 

刀を両手持ちにして縦に構えて受けるアブラ。

 

刀は刃毀れすることなく、魔族の爪を受ける。

 

(この俺様の魔力を込めた爪を簡単に止めやがる……!)

 

すぐさま青い気を纏った刀身を唐竹で繰り出してくるアブラ。

 

唐竹を左に見切りながら回転して蹴りを繰り出す人狼。

 

人狼の感覚では、がら空きの腹に一撃決まるーーはずだった。

 

「ーーなに!?」

 

だが、アブラは刀を振り切った姿勢のままに摺り足で後方へ移動し鼻先で蹴りを躱す。

 

今度は蹴りを放った姿勢の人狼へと後ろに下がる倍以上のスピードで突っ込みながらの左斬り上げを放ってくるアブラ。

 

咄嗟に魔力を全身に高めて逆の足で槍のような蹴りを顔に放って刀が振り切られるよりも先に額を蹴り抜こうとする人狼。

 

アブラは反射的に首を左に倒して蹴りをかいくぐって前に踏み込む。

 

待ちかねていたように人狼の左の爪がアブラの顔に向かって繰り出されていた。

 

アブラは斬撃の軌道を首から目の前の爪へと変えて振り切る。

 

甲高い音を立てて止まる爪と刀。

 

(斬られる!!)

 

悟った人狼は、そのまま後方へとバックステップして斬撃をやり過ごす。

 

案の定、ぶつかった爪は斬られていた。

 

それを見ながら人狼は、溜息を吐きながら牙を剥きだしにして笑っている。

 

(こやつ……! 我流でありながら、見事な見切りと判断力よ!!)

 

百戦錬磨のアブラをして見事と言い切らせる人狼の強さ。

 

魔族の身体能力の高さに溺れることなく己を鍛え研鑽したことに対する称賛でもあった。

 

一方の人狼も称賛していた。

 

メイド長と執事長の相手は、ヴィンテージ墓地から無限に湧いてくる死体がなんとかする。

 

問題は、この目の前の老剣士だと気付いた。

 

「ヴィンテージ流、つくづく厄介な連中だ……」

 

四魔将の一人であるネクロに助力を依頼したいところだが、正直に言って注意を少しでも逸らせば死ぬのは自分だと理解している。

 

そのくらいには、この老人は強い。

 

互いに構えたまま、動けずに居たーーが。

 

「クッ、かっかっかっ! 見事じゃ、人狼!! ならばワシも久方ぶりに本気を出すとしよう……」

 

「な、なに!? ハッタリを言いやがって! この俺を相手に手加減していたっていうのか!?」

 

「ヴィンテージ体術ーー武神力息吹(ゴッドブレス)」

 

そう告げると独特な呼吸を始める。

 

瞬間、アブラの瞳が青く輝き出し全身を青い光が纏った。

 

対峙する人狼にはハッキリと見える。

 

老剣士が何倍にも大きく見えるのだ。

 

「な、なんだ……! この気迫は……!!」

 

赤い目をしたアドム程の力ではないと思う。

 

しかしーー酷似している。

 

アドムを知る人狼は思わず怖気づいてしまった。

 

それを傍で見るネクロもまた、鬼神を知る。

 

今のアブラの姿は力を開放した鬼神の姿に、酷似している。

 

「……これが、ヴィンテージ。狼くんの言うとおり、この剣士達の使う技は似てる」

 

右手に刀を持ったアブラは左手で脇差を順手で抜いて持つ。

 

二刀流の構えを取った。

 

それだけで人狼は動けない。

 

気だけで人狼の動きを完全に制している。

 

「……アブラ・ヴィンテージ。参る!!」

 

瞬間、アブラの周りの土が盛り上がって剣と盾を持った骸骨が8体現れる。

 

「狼くん、逃げて」

 

「……!!」

 

ネクロの声に反応できたことで金縛りが解け、人狼はアブラから離れる。

 

瞬間、アブラの二刀が斬撃の檻を作り出した。

 

刀が届く範囲のものは全てズタズタに斬り裂かれ、スケルトンは粉々になっていった。

 

「……此処の死体は粗方使い切っちゃった。後は無限に呼び出せるスケルトンくらいしかないよ」

 

「充分。盾になるなら、充分ですよ……」

 

人狼は言いながら紙のように刻まれていくスケルトン達を哀れに思った。

 

「相変わらず二刀の冴え、お見事です。ご主人様」

 

「貴様こそ父に似て見事な剣士となったな、ギラン。サーニャも素晴らしい投擲術だ」

 

「……死体や不死の魔物相手には少々分が悪いですが、それでもヴィンテージ小柄術です。使えぬことはありません」

 

大太刀一振りで10数体のスケルトンを屠るギランの言葉にアブラはニヤリと返し、サーニャは淡々と腰の刀をほとんど使うことなく指に挟んだ小柄を構える。

 

「なんなんだ、この執事とメイドとジジイは! ……強すぎだろ!」

 

「かつて剣鬼とまで言われたこのワシだ。たかが魔族に遅れは取らんわ」

 

人狼の言葉に鬼のような笑みを浮かべて老剣士はーー否、老鬼は嗤う。

 

その気迫に人狼は即座にネクロへ言った。

 

「一旦撤退しますか、ネクロ様!」

 

「いい案だと思う。でも、ここで撤退したらアルド・ヴィンテージの死体は手に入らない」

 

「そりゃ、そうですが……」

 

「言いたいこと分かってる。コイツ等は強い。でも、ここの死体もとっても強い。たぶんアルド・ヴィンテージの死体を手に入れたら魔族は女神に絶対に勝てる」

 

「そいつぁ、何か確信めいたものがあるんですか?」

 

「ただの勘……」

 

「根拠ねえんですかい! 冗談じゃねえ! そんなただの勘で命削れるかってんだ!!」

 

「でも、いま帰ったら魔王様はウルフくんを殺すよ?」

 

「っ! くそったれが、目的のヴィンテージの墓! 見当ついてるんですよね!?」

 

「うん、感じる。屍術を使ったときに感じた、強大な力……」

 

スケルトン召喚を自動で起こしながら、スペクターと呼ばれる悪霊の魔物も呼びつける。

 

大した壁にはならないが、魔法と剣の二段構えならば少しはマシだろう。

 

つくづく、簡易式のリビングデッドでヴィンテージの死体を使いつぶしたことが悔やまれた。

 

そう思考しながらネクロは一つの墓石を指差す。

 

「……この墓地の一番奥。あの簡素な石の墓」

 

「アレか!!」

 

目的地を悟った人狼はネクロを肩に乗せると一気に墓石へと向かう。

 

こちらを警戒していた二人組の魔族が、魔物をこちらに寄せるだけで別の場所へと向かうのを見たギランが叫んだ。

 

「アブラ様、連中の様子がおかしい……」

 

「あやつら、まさか……! 父上の墓に行こうというのか!?」

 

目を見開くアブラにギランとサーニャが左右から彼を護る様に前へ出る。

 

「この場はお任せください。私とギランで問題ありません」

 

「ご武運を、アブラさま!!」

 

言いながら二人は率先して魔物を斬り裂き、アブラの道を切り拓く。

 

「貴様らもな。征くぞ、魔族!! この二刀の剣、いまだ錆びついておらんわ!!」

 

全身に力を漲らせて、一気に駆け抜けるアブラ。

 

その跡には無数の斬撃が放たれて魔物が斬り捨てられている。

 

人狼が墓の前に立つと墓碑銘が無い。

 

「こいつがアルド・ヴィンテージの墓? 分からんが……」

 

言いながら人狼は肩からネクロを下ろすと拳を握って地面を叩き一気に土を掘り起こした。

 

土の中からは頑丈そうな棺が姿を現す。

 

「早く! 屍術を使ってくださいよ!!」

 

「うん。これだね……」

 

緑色の光で棺を改めるとネクロは表情を明るいものに変えた。

 

「これは魔王様もお喜びになる……」

 

空気の刃弾がネクロに迫るも、人狼が右脚で蹴りを放ってかき消す。

 

そこには青い光を纏った老鬼が左右の手に二刀持って立っていた。

 

「貴様ら、薄汚い手で父の棺に触るな……」

 

その気迫を受けながらも人狼は己の矜持をかけて吠えた。

 

「残念だったな、じいさん。この勝負は俺たちの勝ちだ!!」

 

棺を抱えて持ち運ぶ人狼にネクロは告げた。

 

「……さ、逃げるよウルフくん」

 

「えっ! アルド・ヴィンテージを復活させるんじゃないんですか?」

 

「復活させるよ。でも『死体』としてじゃない。我ら『魔族』として、ね」

 

「『死体を魔族に変える?』 そんなことが『できる』のか……!?」

 

瞬間、二刀流の老鬼ーーアブラが踏み込んでくる。

 

「ふざけたことを! ぬかすなああ!!」

 

魔法障壁(マジックシェル)

 

左右の刀が青い斬撃を描く。

 

これにネクロも同時に強力な魔法防御壁を張る。

 

「……この世に、斬れぬものなし」

 

左手の小刀で横一文字。

 

右手の大刀で縦一文字。

 

合わせてソニックブレード・クロス(十文字斬り)。

 

「うそ……! 四魔将の私の防御壁を、斬った……?」

 

斬撃は透明かつ強力無比なマジックシェルをアッサリと斬り捨ててネクロの左手を傷付ける。

 

「こ、このジジイ、人間じゃねえ……!」

 

間違いなくアドムと同程度の斬撃を放った。

 

そのことに人狼は、今度こそ命を覚悟した。

 

「……言(ゆ)うたはずだ。父の体に触れるなと」

 

ゆっくりと距離を詰めてくる老鬼アブラを前に、ネクロは血が出る自分の掌を見ると地面に垂らす。

 

瞬間、6人のスケルトンがアブラを取り囲むように現れた。

 

「ぬっ!」

 

空間を走る無数の斬撃。

 

ズタズタに斬り裂かれては、粉々になるスケルトン達。

 

「今だ……」

 

「よしっ! 宝珠よ、俺たちを飛ばせ!!」

 

人狼が右手に掲げた白い宝珠が光り輝いて全てを白に染め上げる。

 

「逃(のが)すかぁあああ!!」

 

上空へと跳躍しながら二刀を振り上げて真っ直ぐに振り下ろす。

 

しかし、アブラの二刀は空を斬っていた。

 

「おのれ! 父上の棺だけが残されている。骸を取られたか……」

 

光が晴れて周囲を見渡すと空っぽの棺だけが取り残されていた。

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