刀を持つ騎士(鬼神)   作:カンナム

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第28話 トレーニーと上人

 武の国パジャ。

 

 様々な集落や国、大国から送られてきた咎人たちを武によって統治した国であり、周辺諸国の侵攻さえも魔物の森に囲われた地形ありきとはいえ、その武力で弾き返した。

 

 武の家系として大陸全土に名をはせたのはヴィンテージの剣士。

 

 当然であるがヴィンテージに匹敵する力を持つ剣士が一人も居なかった訳ではない。

 

 彼らもまたヴィンテージのように流派を興すことで生計を立てることもできたであろうし、自分の剣術を一兵卒に教えることで軍隊の強化に繋がることもできた。

 

 だが彼らの教えでメキメキと育つのは選ばれた者しかいなかった。

 

 彼らに比べてヴィンテージが優れていたのは、その流派を学べば通常の兵士たちでさえも瞬く間に超人へと進化するところであった。

 

 それを示したのは、ヴィンテージの影士たちだ。

 

 彼らは奴隷の身に落とされた平民や村民の孤児たちであり、幼いころよりヴィンテージ家に育てられた。

 

 ヴィンテージの流派は奴隷を囲うことで、門下を増やしており国の防衛をアブラが行った際は多くの影が力を貸している。

 

 アブラ・ヴィンテージの力もあるが、一番は彼の多くの影達の力もあるのだ。

 

 息子アスラの代では、奴隷に堕とされた者も含めて滅ぼされた集落の孤児を保護するようにして国の防衛のための戦力を増やしたというのも今のヴィンテージの立場を強くした理由である。

 

ーーヴィクトリア城の中庭。

 

 激闘の爪痕が生々しい場所でクロード王は、周囲を見渡しながらアスラを従えていた。

 

「………お前がこれほどの激闘を繰り広げてなお、相手を仕留められなかったというのか。アスラ」

 

「申し訳ございません。敵の力を甘く見ていたようです」

 

「いやーー、よく無事で居てくれた。こんな強敵を相手にして……!」

 

 ヴィクトリア城は、内側からも破壊されないように物理的かつ魔法的にも頑強な造りをしている。

 

 そのヴィクトリア城の中庭を、ここまでズタズタにできるのは正にヴィンテージだろう。

 

 クロードは恐怖に目を見開きながら思う。

 

 襲撃者に自分が狙われていたら、アスラが援軍に来るまでに殺されているのではないかーーと。

 

「それで……、これからどうするのだ? パジャは内乱が治まったとはいえ表向きだ。俺の力では反抗勢力が育つのを待つしかない。ジャッジや魔族など相手している場合じゃない。ヴィンテージが居たから国の防衛は完璧だと言えたが、そのヴィンテージが敵に回ったならーー」

 

 不安に揺れる蒼い瞳に向かってアスラは言った。

 

「ご安心めされよ。仮に目の前に陛下のお命を狙う者が現れたとてーー王の剣たる私が、必ずや全て斬り裂いて見せましょう……」

 

「………お前は、これからもそうやって骸を増やすのか? 多くの貴族や村民たちを犠牲にして……」

 

 不安に揺れていた瞳は真っ直ぐにアスラを見て言ってきた。

 

 だからアスラは口の端を歪めた笑みを返す。

 

「太平の世を作る為ならば、このアスラーー幾千、幾万の命を斬り捨てましょう。その先にーー私の子や孫を含めた多くの命を陛下が救ってくださるのですから」

 

「重いな。重すぎてーー潰れてしまいそうだ」

 

「ーー今の発言は、聞かなかったことにしておきましょう」

 

 アスラはそう言って背を向ける。

 

(ーー辻斬りの件はすでに陛下の中になし、か)

 

 特別な感慨はーーない。

 

 アスラはそのまま中庭を去っていった。

 

 報告は終わったと言わんばかりの態度にーーその背にクロードはため息を吐いた。

 

 結局ーー自分は、アスラの操り人形でしかないのだろうか。

 

 自分もまたアドムやアグニと同じ、あの男の道具に過ぎないのだろうーーと中庭から月を見上げて思う。

 

「ーー兄上、父上。俺はーー本当に、こんな重い席に座らなければならないのか? 代われるものなら、代わってほしい……!! 俺の未熟さが、俺の能力の足りなさが、いったい後どれだけの命を犠牲にしてしまうんだ」

 

 クロードの嘆きは、先代の王である父とアスラの手によって今は亡きものにされたーーもしくは王族から排斥された兄や姉ーー弟や妹たちを想う。

 

 どうかーーできることなら代わってくれーーと。

 

ーーーーー

 

 時は変わり、魔物の森の中。

 

 斬り倒しても直ぐに生えてくる木々を根こそぎ引っこ抜いて、開けた平地の訓練場で男の声が響いていた。

 

「ハイ、いいですよ! その調子であと、素振り二百回! 笑顔で行きましょう!」

 

 男はスキンヘッドの強面に黒いジャケット、白いシャツに青いデニムパンツ、首に赤いマフラーをつけている。

 

 腰の剣帯には武骨な大小の二振りの刀が差されていた。

 

 年のころは40代だが、肌は若々しい。

 

 いかつい顔は、黒い眉と黒い瞳を使って明るく柔和な笑顔を作っている。

 

「に、にひゃく……っ!」

 

「腕が、……もう上がら……」

 

 目の前には気品ある美女たちが冒険者のような動きやすい軽鎧と服を着ている。

 

 しかし、彼女達は限界のようで持っている木刀を今にも取りこぼしそうであった。

 

「あー! 効いてますね! いいですよー! その調子でいきましょう!」

 

「いやっ! だから……動かっ……!」

 

「皆さんのやる気は、伝わってきますっ! 良い汗かいていますよぉ! その汗の一滴一滴がっ、貴女方の身体(筋肉)をさらに強く、美しくする!! さあ、ヴィンテージ一刀流! 弐の型、いってみましょう!!」

 

 美女たちの中でひとりだけ木刀をスッと構える濃い茶色の髪の美女ーーラナ・メーティス。

 

 彼女は、他の女性たちとは違い剣術の基礎を心得ているためヴィンテージの型を振るだけならば、それほど苦ではなかった。

 

 木刀を構えるラナに男は言った。

 

「あ! ラナさんは休んでいいですよ!」

 

「え? なっ!?」

 

「ど、どうしてーー!?」

 

 周囲の美女たちが驚愕半分ーー嫉み半分で男に抗議のこもった声を上げる。

 

 これに男はラナに向かって笑顔で続けた。

 

「ラナさんは出来てますからね!」

 

 有無を言わさない男の勢いに美女達は揃って俯く。

 

 たしかにーーーーーと。

 

「はい……」

 

 ラナも頷きながら返すと男は更に続ける。

 

 美女たちのプライドをボコボコにするかのように、はつらつと。

 

「すみません! まずラナさんと同じレベルに彼女達を上げないと! ラナさんに剣術を教えることができないんです! 本当に申し訳ない」

 

「い、いえ……。皆さん、貴族のご息女ですから、こんなことできなく当たり前なんです。とはいえ私は、なにをしておけばよいでしょうか?」

 

「そうですねぇ。では、別メニューとしてこの岩を斬ってもらいましょう」

 

「ーーえっ?」

 

 簡単に言われた言葉の意味を理解するのに、ラナは停止した。

 

 男の傍らには高さ3メートル、幅5メートル、厚さ4メートルはある巨大な岩がある。

 

「この岩です。これを斬ってください」

 

「あ、あの……! 3メートルはあると思うんですけど……!!」

 

「はい! あ、もう少し大きい方がよかったですか?」

 

「そ、そうじゃなくて!」

 

「ハハハッ! そうですよね! 最初は軽めから!」

 

「軽……っ!?」

 

 目がガンギマリである。

 

 この男ーー完全にマジである。

 

「さあ、みなさん! ラナさんが別メニューをこなしている間に、さっさとやっていきましょう!! さあ、笑顔で弐の型です!!」

 

「「「お、鬼ーーーー!!!」」」

 

 そのような女性たちの声が魔物の森に響く中、道を歩くタハトとリアとアグニが気付いた。

 

「な、なんか聞き覚えのある声ーーというか悲鳴が……」

 

「ええ。どう聞いてもあれは……」

 

「? 知り合いか?」

 

 タハトとリアに続いてアグニも声のした方に向かって魔物の森に足を踏み入れる。

 

「やっぱりーー」

 

 そこで見た光景は、タハトにとって予想通りであった。

 

 タハト達が美女たちの惨状に目を丸くする中、ラナも気付く。

 

「タ、タハトさん! リアさんも! それにーーアドム様?」

 

 ラナはヴィンテージ屋敷から出て言ったアドムのジャケットの色が黒から赤に変わっていること、左腕の肩から先が銀色の甲冑腕をつけていることに訝しげな表情になる。

 

「みんな、よかった! 無事だったんだね! でも、一体どうして魔物の森でこんなことを? ラボニさんまで」

 

 スキンヘッドの男は強面の顔を愛嬌のあるそれに変えると目をキラキラとさせながら言った。

 

「おお、タハト! 元気そうだな。それにジャケットの色を本家の赤に変えたのか? アドム」

 

「ーー久しぶりだな、ラボニ」

 

 落ち着いた声音でアグニが語るとラボニは悟った表情になった。

 

「ん? まさか、アグニ殿かな?」

 

「如何(いか)にも」

 

「これは失礼! 私の記憶の貴方と違い、頑健だったので気付かなかった。あの病弱な身体をよくぞ、そこまで鍛え抜かれた……! 今の貴方はアドムに勝るとも劣らない」

 

 素直な言葉にアグニは微かに頬を赤らめている。

 

 リアはそんなタハトとアグニを見比べながらラボニを見て言った。

 

「タハトさん、このひとは?」

 

「ああ! このひとはラボニ師範代。ヴィンテージ領の剣術指南役だよ!」

 

 これにラボニが気さくな表情で言った。

 

「どうも、美しいお嬢さん! ラボニ・『片倉(カタクラ)』です。しゃべるキウイでもいいですよ!」

 

「は、はあ……?」

 

 目を丸くするリアにラボニが目を見開いて拳を握り悔しそうに呻いた。

 

「ウケなかった……!」

 

「ラボニさん! キウイ、この世界にないっす!」

 

「えぇえええっ、嘘ぉ!?」

 

 淑やかな乙女がするような口に手を当てて驚くラボニであるが見た目は筋骨隆々のスキンヘッドのちょび髭であるためーーなんというか、シュールである。

 

 そのままラボニは続けた。

 

「キウイと同じような果物って、この世界にもあるんじゃないのぉ!!?」

 

「ないっす! 僕より異世界、長いんですから! いい加減馴染んでくださいよ!!」

 

「え~? タハトくん、おっとなー!」

 

 二人して訳の分からない話をしているのを聞き流しながらアグニは言った。

 

「コホン! ラボニ、俺とアドムを間違えた件は気にしないでくれ。ーーそれより、お前がこうして無事だったということの方が意外だ。今、ヴィンテージ領は魔族とジャッジに支配されてーー「えぇえええっ!? 嘘ぉー!?」ーーいる。ヴィンテージの師範代であるお前が――知らんのかいっ!!!」

 

「アグニ様、口調口調」

 

 説明の途中で割り込んできた絶叫に、アグニは思わず口調が変わるがタハトが冷静に言ってくれたおかげでそれ以上は取り乱さないーー。

 

「あ、失敬……。相変わらず抜けてるな、ラボニ」

 

「なんてこったい……。それでアブラ様たちは無事なのですか?」

 

「無事……とは言い難いな、実際、祖父上殿は斬られた」

 

「えぇええええっ!?」

 

「その反応は、もういい!!」

 

「アグニ様、理不尽。くすん……」

 

(イラッ)

 

 目尻を指先で拭うラボニの姿にアグニの眉間にしわが寄る。

 

「アグニ様、アグニ様! こういう人なんです! 知ってるでしょ!?」

 

「ーー久しぶりに顔を合わせると、本当にイライラするな。コイツ!」

 

「真面目に相手しちゃ、いけませんて!」

 

 などと会話している二人を見て、ラボニは表情を改めて穏やかな笑顔になると言った。

 

「そのご様子だとーー思ったよりショックは受けていなさそうですね。アグニ殿」

 

「お前な……! 真面目に聞けるなら最初からやれよ……」

 

「えぇええっ!!?」

 

 またしても再三同じリアクションをくり返すラボニにアグニも拳を握っていた。

 

「進まないんです、アグニ様!」

 

「こいつ、ホントに……!」

 

 止めながら言うタハトの向こうにいるラボニを睨みつけてアグニは呻いていた。

 

 ラボニはラボニで狼狽えた表情で言う。

 

「真面目に聞いてます! 真面目に聞いてます! 徹頭徹尾、最初っから!」

 

「ちょっ! ラボニさん! だまって!!」

 

「えぇえええっ??」

 

「ーーもう五月蠅いな、このひと! 話進まないよ!!!」

 

 タハトが強制終了させて無理やり現状を説明する。

 

 アブラが倒されーー魔族に乗っ取られたヴィンテージ領を取り戻すために自分達が向かっていること。

 

 アドムが、パジャ国内に居ないこと。

 

 ヴィンテージの剣士たちがアブラを筆頭に軒並み魔族に寝返ったことを。

 

「なんでこんなことを説明するまでに、こんなに時間かかったんだ……」

 

 肩で息をするタハトを横に置いてラボニが真剣な表情と態度で言った。

 

「だいたいの状況はわかりました。大変なことになっていますね。この分だと、おそらく王都も危険だ……」

 

「え、王都……?」

 

「気付きませんか、アグニ殿? あなたたちが戦ったのは、お屋形様でしょう? お屋形様を斬り倒した、アルドってヤツは出てこなかった。魔族としてヴィンテージ領を最初から狙うような輩です。率直に目的を完遂しようとするでしょう。パジャを手に入れるなら、王都。つまり王族の命」

 

「くそぉ……! 考えてなかった……!!」

 

「まあ、王都を守るアスラ殿は殺しても死なない男。なんとかなるでしょう。悪運半端ないですしーー」

 

 思わず呻くアグニにラボニがしれっと訳知り顔で言うと、タハトが思わず右手を挙げて止める。

 

「あのぅ、ラボニさん? 一応、アスラ様は当主……」

 

「はっはっは! タハトくん! あんなにアスラ殿といて、まだあの人のしぶとさがわからないのかい? ゴキブリよりしつこいよぉ! おっと、この世界だとゴブリンかな? ハッハッハッハ!」

 

「このひと無敵だな!? アドムが懐いてるだけある!!」

 

 簡単に笑い飛ばすラボニにタハトがつっこむ。

 

 余談だが、ヴィンテージの剣士の一張羅でラボニが最初に黒ジャケットと赤マフラーに青いデニムパンツというスタイルを取り出し、それをヴィンテージ領に来たアドムが出会って間なしの頃に真似たのが黒ジャケットの始まりである。

 

「ーー素晴らしい説得力だな」

 

「アグニ様ぁあ!?」

 

 顎に手をやり深く納得するアグニにタハトが振り返りながら言った。

 

「ハハっ! やっぱりアスラ(親父)の話は鉄板ネタだね! それはともかくとして、ヴィンテージ領を取り返すのは大事(おおごと)ですね。……アドムは居ないんですね?」

 

「ああ、先も話したが父上に別命を下されていてーー他国に飛ばされたようなんだ……。すまない、俺も父上からの使いに聞いただけで詳細は分からないんだ」

 

「………飛ばされた? 移送方陣か」

 

 ラボニが目を細めて黒瞳を思案に伏せる。

 

 タハトが言った。

 

「なんか周辺国と交渉するのに特使にされちゃって、僕たちもここに来る途中に使者から聞いたんだけどアドムはシャインにいるみたいなんだ」

 

「Oh,My God……!! それはずいぶんとヴィンテージ領から遠い所に。アスラめ、なに考えてんだ?」

 

 両手を頬に当てて叫んだあと、軽く現当主を詰る口調にタハトが思わず言った。

 

「ラ~ボ~ニさん!!」

 

「いや、それに関しては同感だ。まったく……」

 

「アグニ様も! 話が進まないでしょ!!」

 

「す、すまん……」

 

 腕を組んで頷くアグニにつっこむタハト。 ラボニは肩をすくめると両の人差し指を自分の口許のえくぼに指して言った。

 

「むぅ。タハトは真面目だな! スマイルスマイル!」

 

「言うとる場合か!!」

 

 思わずつっこむとリアがタハトの前に立って制するように言ってきた。

 

「タハトさん。このひとにかまうと話が一生進みませんよ?」

 

「一生……!?」

 

 何故かリアルに想像できて戦慄するタハトに対し、ラボニはにこやかに笑って親指をあげた。

 

「一升瓶開けるくらいだったらしゃべれるけどね」

 

「やらんでいいのよ! 頼むよ、お願いだよ!!」

 

 思わず頼み込むように言うタハトであるが、ラボニは聞く耳を持っていなかった。

 

「えぇええっ? 宴会でいつもぼっちだったアスラなんて喜んでたのに?」

 

「ーーその話。詳しく」

 

 アグニがすかさず食いつくのをタハトが叫んだ。

 

「待てえええいっ! もうええっちゅーねん!!!」

 

「タハト。お前もしゃべり方、変だぞ?」

 

「ごめんごめん。なんで僕、謝ってんだ? 本当にしんどい……! なんでアグニ様まで向こう行っちゃったんだ!? やべえよ、このスキンヘッドのおっさん……! このコミュ力お化けが!!」

 

 アグニの指摘に謝りながら、なんで首を傾げつつ最終的にラボニへの愚痴へとなるタハトである。

 

「はっはっはっはっはっは! まあ、ともかく。それなら俺たちもヴィンテージ領に向かおうか。タハト」

 

「あ、はい。僕たちは、最初から一刻も早くーーそのつもりなんです。こんなところで油売ってる場合じゃないんです」

 

「アブラ様だけに?」

 

「やかましいわ!!」

 

 ボケ倒さないと気が済まないのか、と首を傾げながらタハトは一行を連れて歩き出す。

 

 恐ろしいことは、最初はツッコミ側だったアグニがボケ側に回ってしまったことであろう。

 

 タハトは一人で、このコミュ力お化けと戦わなければならないのであった。

 

ーーーー

 

 それからしばらく歩きながら、互いの置かれている状況と得た情報を交換していく。

 

 意外にもラボニはふざけることなく、スムーズに受け答えしていた。

 

「それで、アドムがいない件なんだが。俺は代役をタハトにやらせようと思うんだ。どう考える? ラボニ」

 

「いい案ですね」

 

 間髪入れずに応えるラボニにタハトが抗議した。

 

「はあっ!? なんで僕なんですか!? アドムにクリソツのアグニ様が居るのに!?」

 

「アグニ殿はヴィンテージの次期当主じゃないか。今、俺たちと共にヴィンテージ領に向かっているのは一時の助太刀。それが終わったらヴィンテージ屋敷に帰ってしまう立場だ」

 

「だからってー!」

 

「まま、ここは飲んどけ! 髪染めるくらい俺がやってやるよ。秒で」

 

「ええ? だって、髪の扱い知らないでしょ?」

 

「毛がないからか? お前もスキンヘッドにするか? 楽でいいぞ~」

 

「まだ若いんですー! 僕、まだ若いんですー!!」

 

「スキンヘッドだって、おしゃれなんだぜ? ほらスキンヘッドのハリウッドスターとか居ただろ?」

 

「そのオシャレ、僕は分かりたくないっす……」

 

 本気で嫌がるタハトを見て肩をすくめてからラボニは言った。

 

「残念。ま、真面目に黒髪にしてやるから安心しろ」

 

「それはありがたい。話が進む」

 

 アグニが頷くので思わずタハトは自分の髪を指先でつまんだ。

 

「僕の髪の色が勝手に変えられてしまう……! 僕の承認がないままに! トホホ」

 

「こっちの世界にはカツラやウィッグが無いんだからしょうがないだろう。その代わり、魔法がある。髪の毛の色を変えるくらい、なんてないぞ」

 

「魔法で髪の色って変わるんですか?」

 

「色どころかーーフサフサ度も変わるぞ?」

 

「魔法、すげえ!!」

 

 思わず拳を握って喜ぶタハトの横でアグニが頭を振っていた。

 

「ちがうな。魔法はそういう風に使うもんじゃない」

 

 彼らの様子を少し離れたところでリアと美女たちが見ている。

 

「いちいち話が違う方向に脱線しないと気が済まないのかしら……」

 

「本当に。そうですね……」

 

 リアのボヤキにラナも頷いている。

 

 彼女達は、女性同士でチームを組みながら体力を回復させていた。

 

 ーーラボニの無駄話は続いていた。

 

「今じゃあんなんだけど、ダアナに告白するときなんかすごかったんだぞ?」

 

 女性の名前っぽいが心当たりのないタハトは思わず首をかしげる。

 

「ダアナ、誰です?」

 

「母上の名だ」

 

「あ、ああ……! 僕、会ったことないから。ごめんなさい」

 

 間髪入れずの横からのアグニの答えにタハトは思わず頭を下げた。

 

 面識もないし、アドムが母親の話をしないからタハトには分からなかったのだ。

 

「ああ、そっかー。タハト、知らないんだ。じゃあ、この話はここまでにしてーー」

 

 そう言って話題を変えようとしてーー目を見開いたアグニがツッコミを入れた。

 

「そこ、流すんだ!?」

 

「ん? 聞きたい、アグニ殿?」

 

「そりゃあ、もう……! 喉から手が出そうなほどに……!!」

 

「あ! 父親の弱みを握ろうとする悪い貌だー! 双子だなあ……」

 

 言いながらも、ラボニは話題を戻そうとしているのを見てタハトが思わず呟いた。

 

「いやぁー。……あの親父さん、そんなん効かないんじゃないかなぁ……」

 

「そんなことはないぞ? 文でこれくらい抗議してくる」

 

 ケロッとした顔で振り向きながらジャケットの内ポケットに手を入れて数枚の封をされた手紙を見せる。

 

「懐から、文ぃ……!? しかも何通もある!?」

 

「やっぱりボッチだからな! 寂しいんだろう。可愛いところもあるんだよ」

 

 まるで懐かない猫のことを語るかのように言うラボニを見て、アグニは驚愕の表情になっていた。

 

「父上も、ちゃんと人間だったんだな……」

 

「実の息子にそう言わせるとは。ダアナが聞いたら泣いちゃうよ? アイツも相変わらず堅物だな。今度言っといてやらないとーー」

 

「ん-ーーー。そういうことやってるから、中央にはなかなか行けないんじゃないかなぁ……、ラボニさん」

 

「………え………?」

 

 タハトの言葉に真顔で振り返りながら、口をポカンと開けて呆然と問いかけるラボニである。

 

「ありがとう。リアさん。ラナさん。貴女方のおかげで体力が回復したわ」

 

 肩に届くくらいまでの茶髪の美女ーーアリス・イアンデは力なく微笑みながら言う。

 

「武術の稽古をして、ラナさんてすごいんだって改めて思わされました。でも、教えてくれるならサーニャさんが良かったです。私たち……」

 

 隣の金髪を腰まで伸ばした美女ーーキサラ・エレクトラは純粋に嘆いていた。

 

「本当に。どうしてあんな………! いや、わかるんですけど。わかるんですけどね! 優秀なのは! でも、ヒトとして………!」

 

「ううううっ……!!」

 

 赤髪を背中まで伸ばした美女ーーユア・ウラニアと桃色の髪をユアと同じくらいの長さまで伸ばした美女ーーレイア・イアネイラは、二人してキサラの言葉にうなずいている。

 

「可哀想に………」

 

 そんな元貴族令嬢にして奴隷の身分に堕とされた同じ境遇の彼女達の様子にリアの眉がしかめられている。

 

「なんか恨まれてません? ラボニ様」

 

「トレーニング中は皆ナイーブになるものだからね。多少はしょうがないさ。それをケアするのが一流のトレーニーさ!」

 

「あんな無茶な訓練を毎日しているのか………?」

 

 タハトとアグニの疑問の声もなんのその、ラボニは朗らかに笑いながら腰に手を当てて言う。

 

「彼女達はつい2週間前にはできなかったことが、今では倍以上の回数をこなすようになっている。ヴィンテージ領でもきっと活躍してくれるだろう。もっとも、危険そうならとめておくけどね」

 

「無用な心配だ、俺が居る。今の俺ならばーーひとりで倒せる」

 

「うわ、アドムそっくり! やっぱ、ふったごー!」

 

 手を叩いて囃し立てるラボニに、アグニはーー。

 

「フッ」

 

 上機嫌で笑った。

 

「このひとお兄ちゃん大好きだな! 隠そうともしない!!」

 

 タハトが横で聞こえないように顔を背けて呟く。

 

「ははっ第一印象と違うのは、アスラそっくりだな! この双子どもっ!!」

 

「ラボニ様のコミュ力が、ヴィンテージの鉄面皮をはがしている………っ!」

 

 快活に笑い飛ばすラボニを愕然とした表情でリアが見ている。

 

 自分には全く懐いてくれないアドムを思い出しながらーー。

 

「父上にこんな友人が居たとは。驚いた………」

 

 アグニもまた微笑みながらラボニを見ると、ラボニは訳知り顔でニヤリと返してきた。

 

「それが友と言うものさ。少年」

 

「………いいものだな」

 

「なら、俺ともダチになろうぜ!」

 

「ああ」

 

 拳同士を合わせてニヤリと笑い合う二人にタハトが目を見開く。

 

「秒で口説き落としたー!?」

 

(ニコッ)

 

 歯を見せてキラリと輝く笑顔で右手の親指を立てるラボニにタハトが半目になった。

 

「なんかーーイラっとするな。なんなんだろうな、あの笑顔。腹立つー!」

 

「………同感です」

 

 そのタハトの背から、もっとシャレにならないレベルの冷たい眼でリアが呟いていた。

 

ーーーー

 

「ぶぇっくしょいっ!!」

 

 一方、栄国シャインの貧民街に一人の青年のくしゃみが響いていた。

 

「ヴィンテージ、大丈夫か?」

 

「見た目に似合わず、豪快ですね」

 

 服飾師マリーと仕立屋アンナが、くしゃみをした青年ーーアドムに向かって言ってくる。

 

「ああ、悪い……。たぶん誰かが俺の噂をしてる……」

 

「お前の噂だったら、大陸中の誰かが毎秒してるんじゃないか?」

 

 マリーが呆れた表情で使い捨てのハンカチを渡してくるのを丁重に断り、アドムは言った。

 

「それにしても。二十日も経ってないというのに見事なモノだ」

 

 ヴィンテージの一張羅を返してもらったが、アドムはそれを着ることはなくアイテムボックスに入れている。

 

 今は、黒の革ジャケットに黒のベスト、白のドレスシャツに青のブローチ、黒のパンツを履いている。

 

 一般的には正装という部類に入る服装だが、シャインでは簡素な貴族の普段着としても重宝されている。

 

「試作品だ。だが、それなりに自信はある」

 

「はい! 一生懸命縫いました!!」

 

 軽く腕を回しながらアドムは二人に頷く。

 

「助かる。正直、これで完成でも良い気はするんだが?」

 

「私は最高の品を作ると決めている。もう少し、精度を上げたい。取り敢えず間に合わせに造った一品だ。その服装でも街中で軽んじられることはないだろうが、この国の貴族を相手にするのであれば心許ない。一度、その服で魔物の森を散歩してきてくれ。動きに制限がないか、ヴィンテージの一張羅と比べてどんなところが不足かを教えてほしい」

 

「了解した。なにか、ついでに狩っておこうか?」

 

 買い物ついでといった風に言ってくるアドムに目を白黒させながらマリーは応えた。

 

「そ、そうだな……。それならハーピュイアの羽根がほしい。あの羽毛があればだいぶ私の服もバリエーションが増える」

 

「そうか。わかった……」

 

「見つけたら、でいい! 探さなくていいからな!」

 

「フッ、分かっている」

 

 そう言って去っていくアドムの背を見送ってアンナが目を細めた。

 

「すっかり材料が充実したわねえ……。ほんの数日前とは比べ物にならないくらいに」

 

「うっ、うん」

 

「さっすが、アドム・ヴィンテージって感じ。デザインした服も、とても彼に似合っていてよかったわね。マリー!」

 

「お前が私の想像したとおりに仕立ててくれたからだよ、アンナ」

 

 お互いに笑みを浮かべて二人は思う。

 

 アドムは確実にハーピュイアの羽根を手に入れてくるだろうーーと。

 

 マリーとアンナの店を出て貧民街の通りを歩いているとアドムの前に二メートルを越える大柄の美女が近づいてくるのが見えた。

 

「ほう。馬子にも衣装と言うが、見違えたぞ。ヴィンテージ」

 

「当然だ。これは俺の友人がつくってくれたものだからな。もっとも、本音はいつも着ているヴィンテージの一張羅に戻りたいんだがな。どうも落ち着かん」

 

「もったいないことを。それほどの服、私の国なら喉から手がでるほど欲しがるヤツはいっぱいいるぞ」

 

 頭の先から爪先まで見た後、黒髪の美女ーールークはアドムの服を評した。

 

「これで試作品だそうだ」

 

「おい、その服飾師と仕立屋を紹介しろ!」

 

「断わる。彼女達は、パジャと交易する。それが軌道に乗ってからなら紹介しても構わないが今は、ダメだ」

 

 あれほどの腕を持つ服屋をパジャが優先的に契約するには、他の国の者に紹介などしている場合ではない。

 

「このっ……! ドケチ野郎……!」

 

「お前に言われたくない」

 

「まあいい。それより文屋に聞いたがヴィンテージ領が大変な目にあっているようだぞ? お前の弟とか親父は大丈夫なのか?」

 

 ルークはシャインで購入した記事を読んでいる。

 

 新聞と言う文化らしく、自国の政治のことや他国の出来事を簡潔に記載しているようだ。

 

 パジャには触書という立て札はあるが、新聞はないためーーこれがどのように民の格式を高めているのかを吟味する必要があるとアドムは考えていた。

 

「問題ない。アグニはすでに、俺と互角。親父殿には俺の鬼が向かった。なんとかするだろう」

 

「なんだ……。うろたえないのか。つまらん。うろたえているお前は可愛げがあったんだがな」

 

 冷めた態度のアドムにルークはつまらなさそうに告げながら歩き始める。

 

 アドムも迷いの森に向かって貧民街の出入り口に向かいながら続けた。

 

「ーーお前は最初から最後まで嫌なやつだな。だがおかげで、あのような服飾屋に出会えた。礼を言っておく」

 

「ちっ。それほどの腕の服飾屋が貴族に抱えられることもなくーーあんな貧民街に何故いるんだ」

 

「身分や身なりでどうこう言うからじゃないか? ここはシャインだ。格式にはうるさそうだ」

 

「結局のところ第一印象(見た目)がすべて、か。くだらんことだ」

 

 ルークの言葉にアドムはジッと彼女の瞳を見て言った。

 

「お前は嫌なやつだがーーそれに関しては同意する」

 

「お前、いちいち嫌な奴というのを止めろ」

 

 本気で嫌そうなルークに対してアドムは、ハッキリと言う。

 

「い、や、だ!」

 

「子どもか!」

 

 歯でも剥き出しにしてくるのではないかと思うほどの幼い態度にルークは、やや呆れた。

 

 戦闘時は泰然としていて悟り切ったような男なのに、こうして隣を歩くと歳相応のーーいやそれよりも幼い子どもに見えるのだから。

 

「ん? おい……」

 

「アレは?」

 

 貧民街を出ようとした一角で、裸足に一人の襤褸を纏った中性的な顔立ちに細めの男を見る。

 

 男は特徴的な髪型をしている。

 

 黒の髪をオールバックに結わえて頭の上にもう一段小さな頭髪の塊がある。

 

 まるで段々畑のようなその様は、シャインでもなければルークの故郷でも見たことがない。

 

 だがーーアドムは不思議と、その髪型を見たことがある気がした。

 

 遠い遠い昔の記憶にーー。

 

 男の手から金色の穏やかな光が発せられ、うずくまっている少年の肩に手をかけている。

 

「はい、これでもう大丈夫です。立てますか?」

 

 男は優しく穏やかな声で、手を当てていた少年に語り掛ける。

 

「うん、ありがとう! 痛くない!! 凄い!!」

 

「ほんと? 兄ちゃん、良かった! ありがとう、お坊さん!!」

 

 幼い兄弟から声をかけられて彼は微笑む。

 

「いえいえ。こちらこそ、優しい御心と礼の御言葉ーーありがたく頂戴いたします」

 

 両手を合わせて腰を折り頭を前に垂れる姿はーーまるで何かに祈りを捧げているかのようであった。

 

 服装こそ貧民街に相応しい出で立ちであるが、不思議と彼の身体は汚れていない。

 

「今のは、魔法か?」

 

「………いや、マナの動きがない。どちらかというとーーお前の赤眼の力に近いぞ」

 

「なるほどな……」

 

 明らかに傷を、体力を回復した。

 

 魔法以外で、そんなことを他人に施せる力などアドムは知らない。

 

 己の力では『自分の肉体を回復させる』か『他者の肉体を作り変える』しかないのだ。

 

「そこのお二方。わたくしに何か御用でしょうか?」

 

 こちらを向くことなく静かに男は問いかけて来た。

 

(この男ーーこちらの気配に気づいているだと? 死角かつ距離のある我々の位置を、把握したというのか?)

 

 ルークが警戒した表情に変わる。

 

 が、隣のアドムは警戒することなく前に出ると頭をペコリと下げた。

 

「すまない。珍しい力を使うものだと思って様子を窺っていた。不快な思いをさせたなら申し訳ない」

 

 そこで男は細い目でこちらをゆっくりと見つめてくる。

 

 黒い瞳は虚空のようで、吸い込まれるように透き通っていた。

 

「あなたは……。失礼ながらーーお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」

 

「俺の名はアドム。アドム・ヴィンテージだ、上人殿」

 

 アドムの名乗りに男は微笑むと応えた。

 

「アドム殿ーーか。私はダッタと申します。アドム殿は見たところ、この国の方では居られませんな?」

 

「ああ、俺はパジャから来た。理由(わけ)あって旅をしている」

 

 アドムの簡潔な答えにダッタは両手を胸の前で合わせると一礼して顔を上げた。

 

「旅をーーこれも、何かの縁。あなたの旅、私も同行させていただきたい」

 

「俺の旅に?」

 

「はい」

 

 ジッと互いに見合う青と黒の瞳。

 

 彼等の間に割って入ったのは大柄な白拍子ーールークである。

 

「おい、ヴィンテージ! こんな得体のしれないヤツを連れていくのか!?」

 

「………正体が知れないのは、お前も似たようなものだろう」

 

「失礼なやつめ! 私はこれでもビルドアの巫部(かんなぎ)ーー貴族だ!!」

 

「俺は身なりや態度で相手の正体を決めない。とはいえお前の言うとおり、たしかに得体は知れないーーか」

 

「そうだろう!」

 

 だがーー表情と態度が明らかに違う。

 

 アドムは微笑みながらダッタを見ている。

 

「だが、悪人ではない」

 

「お前な……。悪人でなかったとしても、内通者という可能性もあるだろう?」

 

「それはお前にも言えるだろ。違う国の人間なんだからな」

 

「お、まえ……! 仮にも剣を交えた者に対する武芸者の言葉か!?」

 

 命を懸けて立ち会ったとは思えないほどに冷徹な言葉はルークの眦を吊り上げるのに充分であった。

 

 だがアドムは首を横に振って言った。

 

「……彼もそうだ。俺には彼が内通者には見えない」

 

「剣を交えずに相手の人となりなど、何が分かるというのだ?」

 

「さあな。ただ彼の言う『運命』とやらが、なぜか俺の胸に刺さる……」

 

 そう言うとアドムはダッタに頷いた。

 

「旅は道連れーー世は情けと、わたくしの故郷(くに)では申します。アドム殿、お連れの方。よろしくお願い申し上げます」

 

「こちらこそ。それより俺の旅に同行してくれるんなら、コイツみたいに普通に話してくれていい」

 

 アドムが親指でルークを差すも、ダッタは首を横に振る。

 

「お気遣いありがとうございます。ですがーーわたくしはこの話し方が慣れております。どうぞよろしくお願いいたします」

 

「………わかった。じゃあダッタ、早速だが魔物の森で一狩り行こうか」

 

「御随意に。ただ、わたくしは殺生はいたしません。それだけは、ご理解くださいませ」

 

 穏やかだが頑なな言葉にアドムが訝しげに見る。

 

 魔物は人間にとって害しかもたらさない。

 

 それを相手にしても殺生をしないと言い切ったことに、首をかしげる。

 

「おい、僧侶か何かしらないが。アドム・ヴィンテージの旅に殺生をしない者がついてくるのか? それではただの足手まといにしかならんぞ」

 

 ルークを手で制してアドムは言った。

 

「それも運命ーーなんだろう?」

 

 ダッタは何も言わずに合掌して一礼する。

 

「妙に様になるな。アンタのその礼……」

 

「………アドム殿。あなたの大きな器に感謝を」

 

「大げさなやつだな。さ、行こうか」

 

 アドムの言葉にルークとダッタは頷いて魔物の森へと歩いて行った。

 

(怪しいやつだ……。本当に何者だ? なんにせよ私の目的の邪魔になるならば倒すまでだ)

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