「最果ての街、タルシス。
その街の遥か遠方、前人未踏の地には世界樹と呼ばれる巨樹が立っていた。
世界樹にはかつてより人々を永劫の楽園へと誘う何かが眠っていると語り継がれている。
伝承の真偽を確かめるべく街を治める領主は、あるとき大陸全土へ以下のような知らせを発した。
世界樹に至り、その真実を解明せよ!
風のように駆け巡ったその知らせは、数多の冒険者を街に引き寄せた。
君もまた、飽くなき好奇心を胸に宿し街を訪れた冒険者の一人である。
その目的は一つ、世界樹の真実を解き明かし、富と名誉を掴むことだ!
さあ、街の門をくぐりたまえ!」
そう目の前の門番が語り終え、僕たち二人が唖然としていると、隣にいたもう一人の衛兵が苦笑しながら話しかけてくる。
「すまないな。こいつ仕事はしっかりするんだが、いかんせん妄想が強くてな…。この街に来る冒険者に毎回言ってるんだ。」
「おい妄想とは何だ。俺はな、この冒険者ならあの世界樹にたどり着けると…」
「はいはい。それもいつも言ってるだろ。それで…」
言葉を切り、僕たちに目を向け、話しかけてくる。
「君たち二人も、世界樹を目指す冒険者かな?」
そう問われた僕たちは、首を縦に振り、うなずく。
すると衛兵がにこりと笑い、
「そうか!ならば名前を教えてくれ。不審な人物を街に入れるわけにはいかないからな。」
そう告げられ、僕たちは名乗る。
「ガイアです。えっと…職業はフォートレスです。」
続いて、隣の少女も名乗る。
「ドラークよ。職業はスナイパー。」
名乗り終えると、幼馴染の少女は、肘でこつんと僕をつつき、不満そうに言ってくる。
「ちょっとガイア!もう少し堂々と名乗りなさいよ。せっかくの体格がもったいないわ。」
そうぼやかれても…。僕の性格のおとなしさは知ってるだろうに。でも、そんなことを言おうものなら百倍返しで文句を言われるのが目に見えているので、口をきゅっと結んでぺこりとうなずく。
それを聞いて察したのか、衛兵さんも笑いながら
「そうだな。冒険者ってのはだいたい気が強いってもんだ。そっちの嬢ちゃんみたいにな。」
そういわれてご機嫌なのか、フフンと白髪のポニーテールを揺らしながら得意げにする幼馴染を見て、いや褒められてないだろ、と思うも、口には出さない。
「そうだな、自分のことを俺っていうのはどうだ?それだけでもちょっとは変わるぞ?」
そう言われればそんな気もする。やってみれば?と言いたげな二人の視線を受け、コホンと咳ばらいをし、目の前の男に名乗りなおす。
「ぼ…俺はガイアといい…いう。よろしく…お願いします」
そう告げると、衛兵は微笑ましげにされ、ドラークは、ツボに入ったのか、吹き出しそうなのを我慢している。それをみて、不貞腐れていると、
「まあ、ゆっくりやってみるといい。」
そういうと、妄想がひどい相方に、異常がないことをつげる。そして、
「ようこそ。タルシスへ!」
と、歓迎の言葉を述べてくれた。
そして、町のある施設に向けて指をさすと、まずあそこに向かうといい、と教えてくれた。
「あそこは冒険者ギルドといい、この街で冒険者をやるなら、まずお世話になるところだ。まずはギルド長に挨拶するといい。ギルド長は…まあいい人だ。」
最後をちょっと言いにくそうにした彼に、行くべき先を教えてくれた礼を言い二人は冒険者ギルドに向かう。
道中、クスクスと笑っている彼女の横顔を見てると、つい口から恨み節が出てしまう。
「そんなに似合ってなかった?」
「ええ。そうね。でも、これから舐められないようにするにはいい方法なんじゃない?」
「かもね。」
そういうと、少年―ガイアは、紫髪の髪をかき上げながら呟く。
「村から出てきて、ここまで来た。」
「そうね。世界樹へたどり着いて、その大樹を目の前で見たい、だったかしら?あなたの望みは。」
可笑しそうに彼女は言うも、そこに侮蔑の感情はない。
「それを話したときに馬鹿にせず、ついてきてくれたくせに。」
「そうよ、だからこそ」
言葉を切ると、いつの間にか目前に目的地があった。
「冒険者として、二人でたどり着きましょう。」
そういう彼女に同意するようにうなずくと、
「そうだね。僕たちの冒険を始めよう」
そう言うとともに、冒険者ギルドのドアを開けたー
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