主人公キャラに敗北した俺、別世界にて結婚します   作:蓮太郎

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第10話

「ようこそ、我が遊園地へ!」

 

 パンパカパーン!という音と派手なエフェクトと共に出迎えたのはアンデルセン・メイヤーという女性である。

 

 そう、ここはメイヤー遊園地というテーマパークである。入場する前なのに高さがあるジェットコースターが見えたり観覧車も見える。

 

 そして目の前にいるのがこの遊園地の支配人だ。シルクハットをとって紳士のような美しい礼をしてくる。

 

 アンデルセンはあえてこの世界基準の男の格好をする『男装女子』というものらしい。楽しんでもらうための施設で男に恐れられては元も子もないため、あえてそうしている。

 

 まあ、男女比が偏ってるから擦り寄らなければ男に近づけないという事情があるのだろう。他はどうかは知らないが、俺はそれを受け入れる事にした。

 

 あちらの婚活事情はとても厳しい。この世界において結婚に必要なのは男を守れる力と財力、そして権力である。

 

 男が貴重ということが足を引っ張っている。気軽にデートしようものなら目をつけられ、もし守り切れなかったら誘拐されてしまう。そこからはお察し、快楽のためにいいようにされるのだとか。

 

 普段は理性で抑えられるらしいが、無防備な男が居たら襲うというものらしい。実際は知らないが、人身販売組織が有名だったりするから一笑にすることはできない。つい最近に大手が壊滅したからって無くなったわけじゃないのだ。

 

 そこら辺を医者に忠告してもらって出向くことにした。

 

「いやあ、返事がなかったから脈なしかと思って諦めてたよ!いやあ、見れば見るほどいい顔じゃないか…………」

 

 傷だらけの顔を見てその感想。結構ジロジロと見られているが傷は一切隠していない。この顔にはザックリと切った切り傷を無理矢理縫った跡や銃弾が掠って肉が少し抉れた後があるから見た目の印象は悪いだろう。

 

 社交辞令でそう言ってるんだろう。苦笑しながら見ていると、何か慌てた様子で離れていく。

 

「ああ、済まない。ジロジロと見るのは不躾だった!今日はめいいっぱい遊ぼう、そういうリクエストだったからね!」

 

 愉快な音楽、一歩一歩歩くと鳴る足音。全ての行動に音がつく。興味を常に引くため何だろうか?これ逆にうるさすぎるんだと思うけど

 

 アニメの中に入り込んだみたいだ。場所が遊園地だからこそ効果音が映えている。

 

「最初は何が乗りたいかな?3D映像を用いたアニメキャラが動く『ライド・ザ・マジカルべりと』!高いところから急降下のスリルを体験できる『ドラゴン・ふぉーる』!二人で回りたい?それならコーヒーカップにメリーゴーランド!美味しい食事もあるよ!」

 

 場内へ入り、案内板の前でアンデルセンはくるりと回りじゃじゃーん!と大きな音を出してじっくり見るように誘導してきた。

 

 とりあえず見ると紹介された通りメインとなるアトラクションとゴーカートやウォーターライドやフリーフォール、ゴンドラなど多くのモノがある。

 

 目移りするが、ここはおすすめされたものから乗っていった方が良いだろう。

 

「じゃあ…………『ドラゴン・フォール』から」

 

「さっすがチャレンジャー!一緒に最高のスリルを楽しもう!」

 

 これ一緒に乗ってくるやつか。彼女からしたら俺に歩み寄れるチャンスを逃すことはしないんだろう。一緒に歩きながら彼女との距離感を考えていたのだが、気づいたら結構近くなっている。具体的には2mから1mくらい。ジェットコースターに乗ったらさらに距離は近くなるだろう。

 

 平日らしいが、有名というだけあってそれなりに人はいた。遠巻きに俺を見ているが、ボディーガードの黒服を着た女性が俺とアンデルセンから離れて立っているため寄り付いては来ない。

 

 もし、近づこうものなら黒服に確保されるんだろうなという雰囲気を醸し出していたら余計な考えは勝手に省かれる訳らしい。

 

 安全、と言いたいが『異能』がある以上、油断は一切できない。

 

 何故なら暗殺に特化したものや、隠密の『異能』でも上位クラスになればこの場で堂々と誘拐できるらしい。警戒に越したことはないが、一応俺も護身用の『アイテム』は隠し持っている。

 

 何かあった時のための備えは必要なんだ。

 

 いつ、『力』を取り戻してしまうかは分からない。そのための備えも必要だ。

 

 本当にもしもの話だ、本当はあってはならない事だが…………

 

「さあさあ、行こうじゃないか!」

 

 自分が所有している施設であるはずなのに少女のように興奮しているアンデルセンを見て苦笑しながら自分のペースで歩いていった。

 

 その光景に、何故か心に棘が刺さるような感覚に目を背けながら。

 




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