主人公キャラに敗北した俺、別世界にて結婚します   作:蓮太郎

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第20話

 

「何してるの君は」

 

「仕方ないじゃないか、やらなければヤられていた」

 

「それは確かだけどやり過ぎだね」

 

 あの事件が終わり幾日か経った。俺は病院へ戻り、また医者の紹介によるお見合いの日々に戻りつつある。

 

 事件は一応終着した。納得はあまりいかないが、今回の件はこれで終わり、というよりもこれ以上首を突っ込むなという警告を受けた。

 

 派手に動きすぎたし、銃を扱った事が問題になったらしい。

 

 拳銃のマガジンを確認されて数を減っていることをあの後に駆けつけた女性警官らに囲まれて聞かれた。

 

 ついでに手に硝煙反応が出たからとても困った顔をしていた。

 

 射撃という競技はこの世界にもあるが、『異能』がある時点でお遊びである。男で嗜むなんて本当に稀で需要があるかどうかも分からない。

 

 正直俺も困惑している。どうして簡単に引き金を引けたのか、ある種の極限状態だったからこそ引けたのか、それともクズ相手だからこそ引き金が軽くなったのか。

 

 だからって命を軽く見てはいけない。命を奪うことに慣れてしまったら終わりだ、ずっとそう意識していたはずだったのに。

 

 一応、お咎めは無し。相手が相手だった上に状況も相当悪かったらしい。

 

 ここで何故応援が来なかったかの話になる。

 

 この誘拐計画、元々大掛かりなものだったらしく失敗した時のためにバックアップを相当用意されていたらしい。

 

 元々あの男を誘拐する為に相当な力を入れているが、それくらいしないと攫えないのだろう。

 

 男を誘拐するというリスクはそれほど大きい。だが、彼女達の欲を解放する為にそのリスクを飲み込もうとするんだろう。

 

「結果、分からずじまいか。捕まえた奴らは情報はなかったのか?」

 

「恐らくね。下っ端には情報を漏らさない徹底したやり方だよ」

 

 応援を足止めしていたバックアップに動員されていた奴らもある程度検挙されたらしい。憶測でしか言えないのは聞いた話でしかないからだ。

 

 それはもう凄い暴動だったらしい。男1人に数十人を動員するくらいだから被害も甚大だっただろう。

 

 事が上手く運べば何もなかったのだろう。俺もついでに巻き込まれたばかりにこうなった。

 

 何というか、男が守られるべき弱い人間というのが当たり前な世界に荒事をこなす俺という例外を引っ掛けてしまったのが運の尽きだった。

 

 少なくない犠牲は産まれただろう。聞きたくもないが、ある意味で俺が引き起こした悲劇だろう。

 

「抵抗しなければどうなっていたか。『異能』にも洗脳の類はある筈だ。誰かの道具にもうなるつもりはない…………基本的にはな」

 

「君、本当に記憶喪失?」

 

「どうだか」

 

「だんだん誤魔化さなくなってきたね」

 

「もうこの話は広まっているだろ?だからこそ敢えて隠してるミステリアスさを出してるのさ」

 

 記憶を読む『異能』が出たら終わりだけどな。こんなに『異能』が出ている世界だ、居ないはずがない。

 

 問題なのは調べても情報がないということ。一番出会いたくない奴が分からないとはもどかしい。

 

 今回の件では銃撃に関しても運がよかった、銃が扱いやすかったという結論をつけられて追及もされなかった。とある警官に才能はあるんじゃないかと笑いながら家に誘われたが、その警官の同僚にラリアットくらっていたのは今でもくすっと笑えた。

 

「とにかく、そろそろ3人くらい決めたらどうだい?」

 

「だから多いって!せめて一人、そこから始めさせてくれないかなぁ!?」

 

「もうそれなりに時間は経ってるんだよ?そもそも君の年齢で未婚なのが不味いんだよ」

 

「何が不味い?」

 

「子供が出来づらくなる」

 

 理由が生々しすぎる。確かに年齢が上がれば子供が出来づらくなるという話は聞く。前の世界でも妊娠の高齢化など問題に上がっていたような、でもそれって女性側の問題じゃなかったか?

 

 だけど、ここは前の世界とは色々と常識が違う。少数だったはずの『異能』持ちがここでは大多数になり、なおかつ女性しか持っていないとなると話は大きく変わってくる。

 

 俺が居た前の世界では『異能』持ちは俺や『最高の善性』、他にもいたが印象が薄かったため思い出しにくくなっているが、『異能』を持った人間の性別の比率は半分半分だった。

 

 だから俺の常識は当てはまらない。もしかしたら体のつくりも大きく変わっているのかもしれない。

 

 今更ながら、なんだか宇宙人の群れに放り込まれた感覚だ。いや、宇宙人が自分の種族とそっくりな現地人に紛れ込んだと言ったところか。

 

「だったら一人は決めてるんだけど」

 

「…………それってまさか、この前の彼女かい?」

 

「事情をある程度知ってたらいいだろ?それに一緒に死線を潜り抜けた仲だし」

 

「君ねぇ…………」

 

 医者が呆れた顔をして見てくる。

 

 ナツメさんなら割と馬が合うんじゃないかと思う。トリガーとの戦闘時に僅かな意思疎通だけで自分でも思った以上にいいコンビネーションが出来たと思う。

 

 足の怪我はもう既に治療済みで闘技場でのスケジュールも問題ないらしい。その証拠に撃たれた足が治ったことを手紙と共に写真が送られてきた。

 

 元気でよかったと思ったが、闘技場で腕飛んだ経験があるとか手紙に書いてあった。修羅かこの世界は。

 

「うーん、本当にいいんだね?彼女は若いし収入も、まあ安定してるかな?もっと安定を求めたらいいと思うけど」

 

「安定するさ、これからな」

 

「なんだいその自信は」

 

 苦笑いされた。ナツメさんは黒星しかついていないとはいえトリガーをぶん殴って倒したあたり地力は間違いなくある。

 

 期待しようじゃないか、これからに。

 




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