偉大なるハリー・ポッター   作:幽玄の鬼

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プロローグ ハリーの決闘

「「エクスペリア―ムス(武器よ去れ)」」 

 ハリーとセブルスは同時に唱える。

 

 ハリーの、くねくね曲がったニワトコの杖と、スネイプの杖の先から同時に赤い閃光が迸り、正面からぶつかり合い、弾ける。

 セブルスは2歩3歩よろけるだけだったが、ハリーは2メートルも吹き飛ばされてしまった。

 すかさずセブルスは杖を構え、呪文を唱える。

エクスペリア―ムス(武器よ去れ)

 

プロテゴ(護れ)

 セブルスの赤い閃光は、よろけながらも唱え作られたハリーの見えない壁に阻まれた。

 

 6年生で習う高度な呪文を、2年生で使うハリーに、セブルスは感心した表情になる。が、しかし、すぐに気を引き締めた。ハリーはやる気だった。

インセンディオ(燃えよ)

 ハリーの杖の先から、炎が飛び出す。

プロテゴ(護れ)

 それをセブルスは、盾の呪文で弾く。

 

 正攻法では叶わないと悟ったハリーは、ローブに手を掛けるとセブルスめがけてぶん投げた。ローブは加速されて、セブルスの首に巻きつかんと宙をはためき、太い縄になるが。

フィニート(終われ)

 太い縄はローブに戻り、ばさりと地面に落ちた。

 だが、それは想定済みだ。

 今度は、セブルス目掛けて、テーブルが飛んで来た。

 

 一瞬だけどう対処しようか迷ったセブルスだったが。

レダクト(粉々)

 粉々呪文で、テーブルを粉々に砕き。

オパグノ(襲え)

 粉々になったテーブルの破片は、ぜんぶ勢いよくハリーを襲う。

 

 迫りくるテーブルの破片を前に、ハリーは考える。

 杖無し、呪文なしで魔法を使うことなど、ハリーにとって日常茶飯事、朝飯前の芸当だった。

 しかし、ちゃんとした呪文を無言で唱えることは凄く難しかった。家で何度か練習しているが、集中力が研ぎ澄まされている時でさえ成功率は6割程度。

 

 だが、何故だろう。こうして集中していると、無言呪文が成功するような気がしてくる。

 

 ハリーは心の中で、(インセンディオ(燃えよ))と唱えながら杖を振るうと、なんと杖の先から炎が飛び出してきたではないか。

 杖を頭上で掲げる様に、回転させながら振って、炎で破片を燃やし尽くすと、杖をセブルスに向けて勢いよく振り下ろした。

 炎は、再びセブルス目掛けて襲うが、セブルスも無言で出した水で相殺させる。

 

 ハリーは必死の形相でセブルスを真っ向から睨み、対するセブルスはどこか余裕を感じさせる様子で、それでも表情だけは真剣に。

 両者ともに相手を見据えて、すさまじい集中力のもと無言で呪文の応酬をする。

 

 色とりどりの閃光が宙を行き交い、ハリーもセブルスも思い思いの方法で迎撃する。生徒は固唾を飲んで応援する中、先に限界が来たのはハリーだった。

 セブルスの無言呪文で、ハリーの手から杖が弾き飛ばされる。

 

 ハリーは、空になった右手を振った。

 セブルスの腕が見えない力に押されて、杖が手から零れ落ちる。

「なに?」

 ここで初めて、セブルスが感心した様子で、息を漏らした。

 

 ハリーは慌てて杖を拾いに行くが。

 拾った杖は、セブルスが無言で唱えた武装解除呪文で弾き飛ばされて。

ステューピファイ(麻痺せよ)

 光が迸る。

プロテゴ(護れ)

 とっさに右手を掲げて呪文を唱える。

 だが、初めて杖無しで使う盾の呪文は、不完全に発動し、威力を減衰させるだけにとどまり、ハリーの右半身を麻痺させる結果に終わる。

「詰めが甘いなポッター」

 セブルスは歩きながら、杖を向けるが。 

 

「降参です、先生」

 ハリーは両手をあげて降参の意を示した。

「大人げないですよ、本気でしたよね?」

「吾輩が本気で臨んでいたら、貴様は生きていおるまい。うぬぼれるな」

「少なくとも、僕が無言で先生の杖を叩き落とした後は、僕を認めて本気でやってくださったはずです」

「杖を無くしても、戦いを続けようとする気迫を評価したのだ。大抵の魔法使いは杖が無くなると戦いを諦める。一流ともなれば杖がなくとも魔法が扱えるのにな。立てるか?」

「先生が手加減してくださったようなので何とか。次があれば手加減なんかさせませんよ?」

 

「是非ともそうなって欲しいものだな」

 そういって、セブルスはハリーに手を差し伸べ、ハリーはセブルスの手を取った。セブルスがハリーを抱き起すと。

 

「素晴らしい! スネイプ先生の大人げのない魔法に何度かひやりとさせられましたが、ハリーは大健闘をしてくれました! 教授と生徒の決闘とは思えない名勝負です。皆さん、2人に惜しみない拍手を」

 ギルデロイ・ロックハートは大きく声を張り上げて、率先して拍手をしハリーとセブルスを称えた。

 ほかの生徒たちも、遅れて盛大な拍手をする。

 

「すごいわ、ハリー!」「スネイプあいてに凄いよハリー!」

 ハーマイオニーとロンが、笑顔でハリーを称えてくれる。ネビルは、はらはらしすぎて気絶している様だった。

 スリザリンのハリーを誰もが、あこがれた眼差しで褒め称える。

 そこには、寮の垣根なんかなかった。

 

 ハリー・ポッター。ホグワーツ魔法魔術学校2年生。スリザリン所属。

 

 彼は弱冠12歳にして、ホグワーツのヒーローだった。

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