【書籍化】物語に一切関係ないタイプの強キャラに転生しました   作:音々

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それでも祖母には敵わない

 恐ろしいほどの敵だった。

 

 凄まじい、まさしく怒涛の如き乱撃。

 お前、剣は太鼓のバチじゃねーんだぞと突っ込みたくなるような恐ろしさだった。

 そこに魔剣のバフが付け足されるわけだから、もはや必殺を通り越して馬鹿の所業である。

 

 何が恐ろしいって、ここまで特徴的な見た目のキャラはゲームに一度も登場してないと言う事実である。

 ここまで印象に残るようなやつ、一度出て来れば間違いなく覚えられる。

 記憶にしっかりと刻まれるのは間違いない、のだが。

 しかしこいつは原作に登場しないキャラだ。

 恐ろしい事に、こんなに強いのに主要キャラではないのである。

 

 いやまあ、【十三階段】も一筋縄ではないと言う事だろう。

 強いやつに強い魔剣を持たせると言うシンプルイズベストな事をして戦いに向かわせる。

 それが、何故か全く物語に関係ないはずの俺であるのがかなり意味不明なのだが。

 

 とはいえ、洒落にならないとはいえ今、俺に対して魔剣を振るい命を絶とうとしているのは間違いないのだ。

 だから、そう。

 打倒しなくてはならない。

 

「……」

 

 過去を、思い出す。

 そう、あれはまだ俺が幼かった頃。

 

 

「ひゃっはー、私は魔法少女!!!!」

 

 ……これじゃない。

 

 えーっと、その前。

 そう、祖母に思い切り死ぬほどの鍛錬を課せられていた頃の話。

 

「立ち止まったら殺すよっ」

 

 いや、立ち止まらないと死ぬのですが。

 ━━そのような、まさしく地獄のような日々を過ごしてきた。

 それを経て生まれた魔法こそ、【切断】。

 だから、俺はいくら上司に怒鳴られようとも「良いのか、俺には【切断】があるんだぞ?」と耐えてこれた。

 

 だから。

 

「緩い」

 

 ぐっ、と鍔迫り合い。

 押し返す必要はない。

 こうして触れ合ったのならば、それで十分。

 力は不要。

 ただ━━切断するのみ。

 

 

「剣を━━」

 

 ぴしり、ぴしりと真剣にヒビが入っていくのを見た男の表情。

 驚きに満ちた表情。

 確かに魔剣は、この世界基準だとほぼ不滅の存在。

 それが壊れる様を目の前で見るのはかなりの衝撃だろう。

 まあ、【切断】でやっと出来る俺に対して主人公はそれをただの腕力で実現するのですが、それはさておき。

 

 目の前で完全に破壊され、手ぶらになった男。

 俺は返す刀でデュランダルを振るい━━

 

 

 

 バキッ。

 

 地面に落ちる、もう一本の魔剣を、破壊した。

 完全に武器を失った男。

 もしかするとここから徒手空拳で第二ラウンドが始まるかと少し心配になりつつ剣を構えるが、しかし男は最初に狂気じみた叫びを上げた時とは打って変わって冷静な表情をし、肩をすくめてみせた。

 

 

「……降参だ」

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