【書籍化】物語に一切関係ないタイプの強キャラに転生しました   作:音々

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フリマアプリ

 フリマアプリ『ラクカイ』は原作にもあった要素であり、ギャンブル要素のあるショップとして利用する事が出来た。

 料金、品揃えがそれぞれある程度ランダムであったため、序盤からいきなり終盤で手に入る装備を購入出来る可能性があった。

 まあ、そう言うのは基本的に高価なので相当金策を頑張らなくてはいけなかったが、タイムアタックでは大体はそこで強装備を購入するルートが用いられていた。

 

 もちろんこの世界にもそれはあり、俺もその事は知っていたのだったが、しかしながらどうも敬遠して今の今まで触れる機会がなかった。

 前世の時からフリマアプリというものに対してどうも苦手意識というか忌避感を覚えていたので、ただのネット通販みたいに使う事が出来なかった。

 とはいえ隣の双子も結構頻繁に利用しているみたいだし、それにくだんの魔剣の件があるので好奇心が抑えきれない。

 そのため俺はとりあえずアカウントを作るのは後回しにしてパソコンでホームページを閲覧してみる事にするのだった。

 

 なるほど、ゲーム内で散々見てきたデザインのページ。

『尻を拭く紙から巡航ミサイルまで取り寄せられる』のモットーに偽りはないと言わんばかりに色々な代物がいきなり現れる。

 どうやら最初は『興味、関心』が初期設定なので満遍なく色々な商品が出てくるが、自分で検索していくうちにそれら商品のメタデータを獲得、保存されて行き、それらによってホーム画面がカスタマイズされたりおススメされるようになるのだそうだ。

 そこら辺は前世の世界と同じだなと思いつつ検索を続けていると、何やらクリックをし間違えたらしく電気按摩マシーン(よくありがちなアレ)のページに飛んでしまう。

 って、いや待てセンシティブなページは見えないように初期設定されていないのか?

 そう思ってみたら、どうやらこちらの商品は普通に全年齢の健康グッズという扱いをされているらしい。

 何というトラップ。

 

 ガチャ。

 

「ういー。おじさま、せっかくの休日なんだしお外にでも━━」

 

 何故かベランダの方からリヴィアが現れ、そして彼女は電気按摩が表示されているパソコンの画面をじっとみた。

 その表情は信じられないものを見たように唖然としたものとなっていた。

 

「い、いやおじさま。そういうのはおじさまには早いかと」

 

 きゃーおじさまのエッチーとか言われないだけマシかと思ったが、しかしマジレスされるのもそれはそれで傷つく。

 

「……いや、間違って飛んじゃっただけだから」

「あ、そうなのね。てっきり私とかタナトスをそれで虐めるつもりなのかと」

「虐待で捕まるわ」

「どちらかというと淫行でじゃないかしら?」

 

 冗談でも恐ろしい事を言うんじゃない。

 

「だけど、実際問題そのマッサージ機って本当に気持ちいいのかしら? いや、えっちな意味でも」

「俺に聞かないで」

「おじさまならば私に試しても良いわよ?」

「まずこのクソ高いマッサージ機を買おうとは思わないから安心してな」

「あらまあ残念」

 

 とはいえ買うつもりはないのでさっさと元のページに戻る事にする。

 

 ……それから、本当に巡航ミサイルがアホみたいな値段で売られているのを見つけてマジかよと思ったり(当たり前のように売り切れになっていた)、とにかく商品の幅に驚きつつ検索を続ける。

 しかしながら魔剣など明らかに【十三階段】に関係があるであろう商品は見つからず、「無駄足だったかな?」と呟く。

 まあ、原作再現をするのならば毎日このサイトを閲覧してネットの神を信じながらガチャをするのが正しいのかもしれないが、生憎とそんな事をする元気もない。

 俺は仕方なしにパソコンの電源を落とし、それからそういえばどうしてリヴィアはベランダの方から現れたのかを尋ねてみる事にする。

 

「あー、ちょっと下着がこっちに飛んでて」

 

 おじさんにそう言う反応に困る事をいうのは感心しないな。

 

「見る?」

「やめなさい」

 

 スカートを持ち上げるのはやめなさい、はしたないから。

 

「そういえば、タナトスの方は、何を?」

「あー、あの子はあの子で忙しいのよ。具体的に言うと、最近はレビュー職人になってる」

「もっと現代っ子らしい事をして欲しいのだが……」

「最近だと、みんなから美味しいと高評価だった筈の漬物、『聖剣キュウリ』なる物を購入して、それでお腹を壊したらしく。それに対してのレビューを書き込んでたわね━━漬かり過ぎてる上に死ぬかと思ったって」

「それで最近姿を見せなかったのか……」

 

 しかし女の子ならばその原因を隠したがるのも分かる。

 きっと大変だったのだろう。

 健康優良児であるタナトスが漬物を食べた程度でお腹を壊すとは考えにくいが、もしかすると食べ合わせが悪かったのかもしれない。

 

「まあ、そのうち姿を見せた時は愚痴を聞かされると思うけど、その時は聞いてあげて?」

「ああ、分かったよ」

「ちなみに『聖剣キュウリ』は」

「捨てておきなさい」

 

 食べたらお腹壊しそうだ。

 それこそタナトスみたいに。

 

「ま、良いや。とりあえず目的は達成したし今日はもうそろそろ休むよ」

「目的?」

「ん……ああ、最近それこそタナトスじゃないけど、この『ラクカイ』で変な代物を買った人がいて。だから俺も気になって見ていたんだ」

「変なものって、こういうの?」

 

 と、彼女はスマホを取り出してスマホ版の『ラクカイ』のページを見せてきた。

 

「最近、なんかよくこの『エリクサー』ってのをお薦めされるんだけど、これって絶対本物じゃないわよね?」

「それは━━」

 

 どっちだろう。

 いかんせん、巡航ミサイルが通販されているサイト故に本物であるか判断しづらかった。

 


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