百合の間に挟まりたかった男、ゲットマシンに挟まれる   作:青川トーン

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猛き白百合の騎士よ(リリア視点)

 地位を持つ者には相応に敵が生まれる、わたくしのお父様にもまた敵が多かった。

 お母様は生まれたばかりのわたくしを守るために刺客と戦い命を落としたそうです。

 

 当然首謀者は突き止め、徹底的に叩き潰したそうですがお母様は戻っては来ません。

 父は多くの業務を抱えながらも男手一つでわたくしを育ててくれました、この体の弱いわたくしは父にとって唯一の弱点であり最後の愛するべき存在として……価値のあるものになろうと努力し続けてきました。

 そんなある日、お父様が私的に目を付けている研究所へとわたくしを連れて視察に行く事となりました。

 何故と問うもお父様は夢の中で亡きお母様が連れていく様にと言った、と答えました。

 

 きっと何か、あるのかもしれない……と思い私が向かったのは浅間山にある早乙女研究所と呼ばれる場所、そこに近づくにつれて私の調子は何故だかよくなっていく。

 そしてその根源である「ゲッター線」に満ちた空間にやってきた時、私は立って歩くどころか動き回る事さえできる程になっていた。

 

 

 そして親友とも呼べる「ユユカ」との出会い、お母様がここへ導いた理由が少しだけわかった気がしました。

 知らない事を知っていて、対等に接してくれて、競い合える人……ユユカはまさにわたくしにとって運命の人でした。それだけではありません、早乙女研究所の人達……達人さん、ミチルさんもとてもよくしてくれました……気づけば私は毎日が楽しくて、これまでの苦しみが報われたかのように思ったのです。

 

 

 しかし、平和は永遠には続いてくれませんでした。

 戦いが始まり、最初にミチルさんが犠牲になり、大勢の人達を守るためにユユカと達人さんと共に戦う中でわたくしには……わたくしにしかできない事が出来ていたのです。

 

 これはきっと運命だったのです、ゲッターと出会い、早乙女研究所でお世話になり、ユユカと共に過ごして来た全てがこの戦いの為にあった。守るべき者達、大切な人の為に戦うという役目を知る今日の為に全てがあったのです。

 

 けれど、全てを守る事はできなかった。次々と命が手から零れ落ちて、そして達人さんまで失う事となってようやく私達は生き残った。

 自分の無力が情けなくて泣いた、もっと強ければ失わずに済んだのかもしれないと悔やんだ、そしてユユカさんだけは失わずに済んだ事に喜んでいる自分が許せなかった。

 

 辛いのは早乙女博士や他の生き残った方達だって同じなのに、自分達だけ特別だと思ってしまった自分が許せなくて仕方なかった。

 

 だから強くなる事を選んだのです。

 

 ゲッターパイロットとしての身体能力だけじゃない、いざという時は生身で敵を破壊できるほどに体を鍛え、技を磨き、時には冷酷無慈悲になれる様に心を鋼としていく。

 3号機パイロットの候補としてやってきた人間には果たして本当に相応しいかを見定める為に奇襲をしかけ、この程度もしのげないようならば今その場で再起不能にしてやるつもりで試しました。

 

 結果として、わたくしの眼鏡に叶う人はいませんでした、どいつもこいつも鼻の下を伸ばしたゲスやわたくしを下に見て嘗めている様なモノばかり……達人さんとミチルさんを失ったユユカの心を支えながらも戦える戦士をわたくしと早乙女博士は探していました。

 

 そして見つけた、彼はお父様の部下の息子でした。少しばかり文武の才能があるとかで多少名の知れた男でした。

 

 まずはわたくしのポケットマネーで暗殺者を3人雇い、ぶつける。これは簡単に合格し候補にはなりました。

 次にゲットマシンの訓練とわたくしのテストのつもり……でしたが突然の敵襲にやむを得ずクラーケン号に詰め込んで無理矢理戦場へ連れていく。正直な所、潰れたトマトにでもなってると思っていましたが……無事に生きていました。

 

 ですがこの男、わたくしとユユカを見てなにやら視線を向け続けていましたので、少し懲らしめてやろうと今までやってきたように闇討ちをしかけた……のですが、倒れません。

 生身の人間であれば肉が削ぎ落され、物理的に破壊され尽くす攻撃の嵐を全部耐え抜きました。

 

 なんというタフネス、なんという根性……ここでわたくしの評価は裏返りました。どんな滅茶苦茶な扱いをしてもこの男なら死なないだろうと。

 しかし、ユユカやわたくしに手出ししようとするのならもいでやるとだけは脅しておきました。

 

 それから数日、タケシは無事にわたくし達ゲッターチームの仲間となりました。

 最初はあれほどビビっていましたのに、今ではゲットマシンのドッキングなど生まれた時からやってきたみたいな顔して時にはリーダー面ですわ。

 

 加えて彼はゲッターに対して正しく恐れと信頼を置いている。

 ゲッターには不思議な力がある、それを信じて身を任せる事とそれを信じた上で自分自身や仲間を信じるといった立ち回りをしていました。

 その傾向は宇宙に出てなお強くなり、わたくしは彼をゲッターが遣わした使者か何かかと感じました。

 

 

 ですがそれは勘違いだったようです、確かにゲッターは彼を呼んだ。ですが戦い続ける事を選んだのは彼自身です。

 

 

 そしてわたくし達は激しい戦いの果てにアレを目にしました。

 

 

 

 未来の地球人類の姿、悍ましい侵略者を……。

 いままで戦ってきた者達はアレらに全てを奪われ、そしてこれ以上奪われない様にわたくし達を滅ぼそうとしてきた。

 

 その気持ちがわたくしにはよくわかりました、もしも何か運命が掛け違えば……わたくしは彼らに手を貸していたかもしれません。ですが今この世界のわたくしはそうではなかった。

 

 どんな過酷な未来が、どんな絶望的な戦いが待っていたとしても愛するべきものが、守るべきものがある限り戦い続ける価値はある。

 そしてわたくし達の未来は、わたくし達の手で作るのだと、心は決まっていました。

 

 ユユカ、タケシ、早乙女博士、お父様、そして死んでいった人々、今生きている人々の為にわたくしは何も恐れはしない。

 

 

 

 ゲッターロボ・ライトニングの光の中、わたくしは宇宙を支配せんとするゲッターの艦隊を、同じく全てを完結させようとするルミナザイトの軍勢を見ました。

 

 しかし気持ちは変わりはしませんわ、ですから……。

 

「行きましょう!ゲッターチーム!」

 

 わたくし達は宇宙の未来へ向かって新たな一歩を踏み出すのです!

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