魔法少女さんとサイボーグさん   作:カードは慎重に選ぶ男

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前回までのおさらい

・魔法少女さん(11♂)から見たサイボーグさんの印象
バイクカッコイイ、ドラゴン砲カッコイイ♡
メカバレして♡

・サイボーグさん(34♀)から見た魔法少女さんの印象
すかした面の、いけ好かない女!
いつか必ずブン殴る!


どうしてこうなってしまったのか……。
ショタの性癖を歪めてあげる悪いお姉さんがいるのでおねショタです通してください(鋼の意思)



第8話:振り回されるサイボーグさん

 

 

 

 

 

 

「おはよう、マコト。調整はどうかしら」

「……ああ。おはよう、母さん。いつもありがとう。これから動いてみるよ」

 

メンテナンスも終わって、もう還暦も超えちまってる母さんに起こされて。

あたしは、サイボーグボディの試運転で身体を動かしてみた。

このところ戦闘データが多くとれたお陰で、かなり身体をスムーズに動かすための改善が進んだように思った。

リミット解除をしても即座に命に関わるようなことは無くなった、って思って良いだろうな。

 

それもこれも、あたしの背面部エンジンの桜色の結晶体に毎度干渉してくれてるキュアチェリー様々って訳だ。

ったく、嫌になるわな。

すかした態度で、のらりくらりとこっちの質問にはマトモに応えようとしないあの女は、気に食わねぇ。

どこまでも自分だけは綺麗で潔白で何でも出来ますみたいな余裕ぶった顔をして、こっちのことなんてアウトオブ眼中みたいな態度で。

あたしの嫌いなタイプの女だ。

 

この間だって、そうだった。

あたしがドラゴンヘッドの砲撃で倒しきれなかった地球外知性体5号を、キュアチェリーはあたし以上にドラゴンヘッドを使いこなして倒しやがったんだ。

明らかに、あたしが使った時以上の威力が出てやがったな。

 

あたしのマニピュレータから給電して動かす前提のドラゴンヘッドを動かせたのは、理不尽だが置いとくとしよう。

こっちが一発撃ったら動けなくなるようなエネルギーを放出しておきながらピンピンしてやがるのも、気に食わないがコレも置いといてやる。

だがその後に、地面に倒れて動けないあたしを、あの女は余裕たっぷりの微笑のままに一瞬だけ見下ろしてきやがったんだ。

キュアチェリーが涼しい顔をしてるのは毎度のことだが、あの時は何だか……得意げに見えたんだよな。

 

砲撃とは、こうやるんです。

サイボーグさんにお手本を見せてあげますね。

 

……あたしを見下ろしてきた無言のあの女の目に、そう言われた気がしたんだ。

あの時は、心底腹が立った。

今も、思い出しただけで腹が立ってきた。

あの女は、いつか必ずブン殴って地面を転がしてやらなきゃ気が済まねぇ。

 

 

――(わたくし)、失念しておりましたけれど、お姉さんの落とし物を預かっておりました。お返ししますね。

 

なのに……あの女には、借りばっかり増えていく。

あたしの親友だった北條トウコの形見のポケベルを、キュアチェリーは拾っていてくれたんだ。

どこまでこっちの事情を見通してるか分からねぇけど、あたしの大切なものを取り戻してくれたのは事実だ。

あの女は本当に気に食わないが、借りばっかりのままで八つ当たりなんてしてもあたし自身が更に惨めになるだけだってのは分かる。

 

 

「ストレス値が上がっていますね。懸念があるのですか?」

「ちょっと、あの事件の日に死んだ友達のことを思い出して、ブルーになっちまってただけさ。大丈夫、母さんが創ってくれたこの身体の仕上がりは今までで一番だよ」

 

嘘は言ってねぇ。

トウコのことを思い出したのも本当だし、サイボーグボディの仕上がりは過去最高だ。

この仕上がりの原因は、主に3つだな。

 

原因の1つ目は、さっきも思ったけど戦闘やチェリーによる調整のデータが蓄積したこと。

そして原因の2つ目は、ヤタガラスのブラックボックスの解析が進んで日進月歩で新しい技術が手に入っていることだ。

あたし自身はそこまで難しいことは分からねぇけど、天才科学者の母さんが日夜ブラックボックスの研究をしてるのは知ってる。

最後の3つ目のは……世知辛い話だけど、金銭面だな。

20年前の夜明けの大火の際に紫色の怪物が目撃されたとはいえ、それから音沙汰無かった訳で、政府から母さんに流れる資金は少しずつ減り続けてたみたいなんだけどさ。

こうして不定期とはいえ地球外知性体が現れるようになったことで、たぶん政府から流れてくる資金も増えてるんじゃねぇかな。

 

……キュアチェリーの奴も、サイボーグかアンドロイドなら何かしらの機関から資金援助でも受けてるんだろうか?

なんか、食事どころか燃料補給をしてるイメージすら湧かないんだよな、あいつ。

霞を食って生きていそうっつーか、そもそも食欲とかあんのか?

 

そんな理不尽な存在なんて居るハズがない、と思いたいところだけど、一つだけ心当たりがあるんだよな。

あたしらのラボの片隅に立ち尽くしてる機械仕掛けの巨大カラスだ。

その漆黒の身体は多少削り取っても、ゆっくりと自然回復しちまうんだよなぁ。

おかげで、その一部をサイボーグボディや武装のための素材に出来てるらしいから、ヤタガラスには足を向けて寝られないわな。

母さんでも解明できていないテクノロジーの産物なんだけど、それと同等の技術を持つ奴らならキュアチェリーみたいなのを作れてもおかしくはねぇ。

 

 

――世の花は、みな太陽の子らです。陽気に焼かれるような軟な咲き方はしておりません。

 

あいつ自身も、ヤタガラスの縁者であることを仄めかしてたしな。

サイボーグかアンドロイドかは分からないけど、そこに関連があるのは間違いねぇ。

チェリー語は独特だが、暗喩が含まれてるって前提で疑ってかかれば、そこまで解読不能な代物じゃないからな。

 

 

――あの。念のために口にしておきますけれど、『お天道様』は物の例えです。本当に宇宙に行ったりしないでくださいね?

 

こっちをバカにしくさった、あの女のスマシ顔を思い出したら、また腹が立ってきた……!

いかん。

ストレス値が上がると、また母さんに心配かけちまう。

結局、なんとかその日は性能テストも終えて、過去最高の結果を叩き出すことが出来た。

 

首洗って待ってやがれよ、キュアチェリー。

こっちは、一歩ずつでも必ずお前に追いついて、追い越してやるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんでもって、5号の騒動から10日が経った頃。

新手の地球外知性体と思しき存在の情報を警察から受け取ったあたしは、街外れの荒山へとバイクを飛ばした。

辿り着いた先のだだっ広い採石場は、4号の時の校庭以上の解放感があった。

そして、既にキュアチェリーが新手の地球外知性体と交戦中だった。

 

 

『たった今、その牛鬼が地球外知性体6号と認定されたわ』

「了解。現場判断で対象撃破と要救の対処を行う」

 

今回の奴は、4号に近いタイプの四足歩行型だ。

全高2メートルを超える牛型で、身体は妙に光沢のある深紫色だ。

2本の角は頭部から垂直に伸びた後で前方へ曲がる形をしていて、何だか牛の角っぽくない感じだな。

コイツを牛じゃなくて牛鬼と呼びたくなる気持ちも分かるってもんだ。

 

大岩をも粉砕するような突進を……チェリーの奴は相変わらず、ひらりひらりと白やピンクの服をなびかせて回避しながら殴り返してやがる。

闘牛士みたいっていうか、闘牛士の持ってるマントみたいだな。

ただ、牛鬼も猪突猛進って訳じゃないみたいだ。

チェリーの奴が足を狙えばジャンプして回避するし、背に乗ろうとすると角を振り回して牽制を返してくる。

そして突進の速度が単純に凄まじいから、やり過ごした後で背中に追いつくのも難しいときたもんだ。

 

こっちの攻撃を理解して回避行動が出来るとなると、虎の子のドラゴンヘッドを安易に使うのは避けたい。

リミット解除の反動は相当マシになっているとはいえ、使用後にあたしのスペックが大幅に下がるのは間違いないわけだしな。

足止めなり何なり、当たるって確証を持てるようになってからブッ放してぇもんだ。

 

バイクから降りずに、あたしは方針を決めかねてたんだけど……いつの間にか、視界からチェリーの奴が消えたな?

そして、遠くから地球外知性体6号がこっちに突撃してきてるのが見えた。

 

 

「お姉さん、発進しないと帰るのが大変になってしまいますよ」

 

そして、あたしの横から余裕ぶった鈴の音のような声が聞こえた。

装甲バイクのサイドカーに……いつの間にか、チェリーの奴が乗り込んでやがる!?

だからお前を追って、牛鬼がこっちに走って来てんだな!?

 

 

「あたしをアッシーにしようなんて、本っっっ当に面の皮厚すぎんだろお前!?」

 

とっさの判断でアクセルをふかしたお陰で、あたしはバイクごとスクラップにならずに済んだ。

一瞬遅かったら、牛鬼の体当たりのせいで一緒に鉄屑になっていたかもしれねぇ。

確かにこの特殊バイクなら、最大速度で言ったら牛鬼に近いぐらい出るだろうけどな。

私有地だからノーヘルは問題ないし、そもそも市販品のヘルメットよか鉄面皮で頑丈そうだから別にお前には要らねーか。

 

仕方なく、あたしはバイクを運転して牛鬼から逃げ回る羽目になった。

やっぱり最大速度は牛鬼の方に分があるんだけど、小回りではこっちの方が優秀だからギリで何とかなりそうだ。

そしてサイドカーに収まった虫の好かねー女は……当然のようにサイボーグ用装備の黒銃を無断借用して牛鬼に対してぶっ放してやがる。

その黒銃も一応あたしのマニピュレータから給電する前提の装備なんだが、まぁドラゴンヘッドが使えるならそいつも使えておかしくはないか……?

あたしが使ってるときよりも発射音がデカい割に反動を全然受けてないように見えるのだけは、納得いかんけどな。

 

いつもの薄笑いを決め込んでるように見えて、なんつーかさ

心なしか、口角上がってねぇか?

 

 

「……なんかお前、ちょち楽しそうじゃねぇか?」

「花々もまた、環境に合わせて進化する逞しさを備えているものです」

 

……こちとら必死こいてハンドル切ってるってのによ。

 

そんでもって、暫く続いた命がけの鬼ごっこは、呆気なく終わる羽目になった。

狙撃に慣れ始めたチェリーの奴が、6号の右前足の付け根に銃弾を集中的に撃ち込んで関節部を破壊したんだ。

素人がそんなにすぐに慣れて集弾率をあげられるのも結構な理不尽に思えるが、こいつの理不尽は今に始まったもんじゃねぇな……。

マジで何なんだよお前。

超高性能な物理演算エンジンでも積んでんのか?

 

 

「チェリーブロッサム・ハリケーン!」

 

唐突に足が一本無くなって転倒しちまった6号に対して、チェリーは当然のようにドラゴンヘッドを構えてブッ放した。

極太の粒子砲撃が炸裂して、牛鬼は身体全体が黒く焼け焦げちまって戦闘不能になった。

 

 

「ハート……キャッチ!!」

 

あとは……いつも通りだった。

抉り出された30センチぐらいの紫色の球体を奴が抱きしめてやったら、絵に描いたような採石場の労働者が出てきて。

あたしは、今までにないぐらい全くダメージを受けずに戦闘を終えた。

3号の時もノーダメージだったけど、あの時はそもそも殆ど戦ってすら無いからな……。

 

 

 

 

 

 

その後、いつもの光の花びらを大量に放って逃亡する直前……チェリーの奴は一瞬だけ、名残惜しそうにあたしのバイクのサイドカーを一瞥した。

そんなにサイドカーが気に入ったのかよ。

あたしは絶対に嫌だかんな!

お前みたいないけ好かねぇ女、二度と乗せるかよ!!

 

 

 

 

 

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