私はかつて、支え合う仲間とその絆の素晴らしさをこの目で見た。
この姿とグリッドマンという名前、強大な敵に立ち向かう為の力や仲間、そして私と一体となり共に決死で戦ってくれた、少年少女たちとの戦いの記憶。
彼らの協力がなければ、私は任務を果たせなかった。
それは、魔王と共にいた少年も例外ではない。
彼の勇気と決意が、カーンデジファーへの最後の一手となったのだ。
そして、武史と直人との新たな友情があったからこそ、シグマと共にネオカーンデジファーの打倒もできた。
彼らの友情が、彼らを互いに強くし、また私を強くしてくれた。
だが、それでも私はまだ、その絆の素晴らしさの本質を理解していなかったのかも知れない。記録媒体で読み解いたような、そんな理解だったのようにも思う。
裕太と融合によって、人と人とが想い合う心というものを、私は直に体験することになった。
咄嗟の無茶な融合で混ざり合った意識は宿主の裕太の意識を深い眠りつかせ、響裕太だと自称していたそれは、記憶を失い自分を裕太だと思い込んでいた私だった。
だが、友を想い誰かの為に戦える意思、使命感、そしてあの真っ直ぐな気持ち。
あれは私ではなく、紛れもなく裕太自身のものだった。
裕太の身体が、無意識が、本当は私を動かしていたのだ。
そして六花や内海、裕太の友達を想う心が、新条アカネの心を救い出したのだ。
かつて、ゆかや一平が、武史にしたように‥‥
裕太であり私でもあった2ヶ月間、それは私にかけがいのない経験をもたらした。
級友や親友との交流、文化祭などのイベント、淡い恋心。
青春とも称されるそれは、ハイパーワールドや、ハイパーエージェントの活動では決して得られないものだった。
──同時にそれは裕太の、決して戻らない時を2ヶ月も奪ってしまったということだった。
かつて、友と友とが互いに悩み、笑い、支え合った少年少女達を見ていた記憶が、一人の少年の尊い時間を奪ったという事実をいっそう突きつけてきて、私の心は痛く締め付けられた。
私は、彼らから貰ったこの名と姿が無ければ、実態のないのエネルギー生命体だ。
心はあった、だがそれはハイパーエージェントとしての使命感や正義感といったものが強かった。
色鮮やかな思い出は、私の心を以前とは比べ物にならないほど豊かにした。
つまりはそれだけのものを、私は彼から奪ったのだ。
豊かになった心は、裕太への罪悪感をより強くし、そして「ヤツ」がつけいる隙となった。
その結果私は、再び彼に戦いを強いる事になった。
数々の宇宙と混ざり混濁する意識の中で、私は無意識のうちに助けを求めていた。
私の弱さが、彼の時間を奪い、その結果更に弱みを作り、あまつさえ裕太に助けを求めてしまった。
私は、弱い。
裕太、本当にすまない
「でも、楽しかったんでしょ?」
‥‥ああ、とても楽しかった
「だったらそれで良いじゃん」
私が彼から大事な時を奪ったという、その罪は消えない。
だが、この罪は君と、君達との
これまで出会った、そしてこれから出会っていく全ての人達との絆、その数だけ私はきっと
私はこの、かけがえのない