もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

70 / 70
最終回 ヒーローはひとり②

「ご、ごめんなさい!」

「え?」

「わ、私、そうゆうつもりじゃなくて、その……」

「……」

 

 ぬぅん。二人向き合ってこれからって時に、話の腰を折られる。じゃあどういうつもりだよ! って叫びたくなるのを喉のてっぺんで堪える。落ち着け星歌、今はぼっちちゃんの言葉をゆっくりと聞くんだ。

 

「分からないんです、私も」

 

 どもりがちなぼっちちゃんがはっきりとそう言った。

 

「星歌ちゃんは、私にとって、た、大切な人です。でも……分からないんです」

「……」

 

 私も勢いでキスしてしまったけど、やっぱり分かんねぇ。恋人になりたいのか、親友がいいのか。正直どちらでもいいのか? いや、よくない。

 

「……ぼっちちゃん」

「星歌ちゃんは、初めて出来た友達で、とても大切な人。だから……だから」

「ずっと一緒にいたい。私は、そう思うよ」

「私も、です」

 

 お互いに顔を見合わせる。すると……。

 

「ハハ……。なんか笑えてきたな。ヘンなの」

「あは……。私もです。おかしい、です」

 

 張り詰めた緊張が緩和されて、なんか笑えてきた。同じようにテンパって同じように笑う。だったら、同じように怒って、泣いて、喜んでいけるんじゃないかって。思うんだ。

 

「そうだな、ぼっちちゃんは結束バンドの事、どう思う?」

 

 もう一度向き直って、聞いてみる。

 

「えっと、奇跡っていうかもう一度出会えって言っても、絶対に出会えないくらい奇跡的な……で、喜多ちゃんもリョウさんも、もちろん星歌ちゃんも……だ、大好きで、その」

 

 なんか妙な言い回しだけど、今のみんなで活動できることがぼっちちゃんも嬉しいみたいだ。

 

「ぼっちちゃんさ、あたしみんなで、ずっとバンド続けたいんだ。ババアになってもライブやりたいんだ!」

 

 還暦過ぎても現役なガールズバンドだっているって聞いた。この四人でなら、なにがあってもずっとメンバーで、親友でいられる気がするんだ。

 

「……私もです!」

「あと、それから!」

「あ、はい」

「えっと、その、ぼっちちゃんが高校を卒業しても、お互いの気持ちが変わらなかったら付き合ってほしい」

「……」

 

 きょとんとするぼっちちゃん。あたし何言ってんだ。ぼっちちゃんの気持ちは分かってんだろ。

 

「その時は、今日の続きをしよう。恋人が女同士っていうのは世間一般では間違ったものかもしれないけど、だからこそだ、お前の事を凄く大事に思うから、お前の気持ちを、なによりも尊重したい。なんつーか、勢い任せに押し倒すような始まりなんてのは嫌なんだ。それに、今はバンドメンバーとしてお前のぼっち・ざ・ろっくを、ちゃんと見ていたいんだ。それでもいいか?」

「……ぁ、はい!」

 

 静かに抱擁を交わす。キスはお預け。私の気持ちはきっと変わらない。でも、もしぼっちちゃんに素敵な人が出来たら、私は潔く身を引くつもりだ。その時は友達の笑顔で。

 

「好きだよ………ひとり」

 

 頬を静かに涙が伝う。我ながら、なんて不器用なんだろうな。

 

 

 

 

 

 ――あれから結構な時間が経った。

 

 今日はぼっちちゃんたちの卒業式。あたしにとっても特別な日。バンド活動やバイトで毎日のように会っているはずなのに、とても緊張する。喜多ちゃんと学校の友達……佐々木だったか。式の後にささやかな打ち上げをやるって言ってたな。でもその前に少しだけ時間を貰った。あの時の約束通り、もし恋人になってくれるなら、初めて会った公園で待っていてほしいって伝えたんだ。

 

「……ぼっちちゃん!」

 

 夕方前の小さな公園、ブランコに乗る見慣れたピンクジャージ。……待っていてくれたんだな。

 




 これにて完結! 何とか終われた!
 
 お気に入り、感想、高評価クレー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:50文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ぼっちな貴女に恋をして(作者:ぬこノ尻尾)(原作:ぼっち・ざ・ろっく!)

家庭にも境遇にも容姿にも才能にも、ありとあらゆるものを与えられつつも、どこか己の人生の幸せに対しピースが欠けてるような思いを抱いて生きてきた少女は、偶然見かけた後藤ひとりに一目惚れをすることになる。▼※音楽で成り上がる熱いサクセスストーリーはありません。友情努力勝利で仲間やライバルと切磋琢磨する話もありません。ついでに山も谷もオチもありません。女オリ主とぼっ…


総合評価:10536/評価:9.16/完結:211話/更新日時:2023年08月22日(火) 00:00 小説情報

音楽チートで世に絶望していたTS少女がSIDEROSの強火追っかけになる話(作者:鐘楼)(原作:ぼっち・ざ・ろっく!)

前世での悔しさから、音楽チートを望み、規格外の才能を手に入れたTS少女・池揉優菜。しかし、ある時から行き過ぎた自分の力が嫌いになってしまっていた。そんなある日、訪れた新宿FOLTではメタルバンド・SIDEROSのライブが行われており…… ▼ 音楽ガバは勘弁してください。▼ シリアスは一話だけ(予定)▼掲示板はおまけです。


総合評価:48271/評価:9.03/完結:52話/更新日時:2026年01月31日(土) 07:05 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>