もしもJK星歌ちゃんだったら。   作:三十路スキー

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最終回 ヒーローはひとり②

「ご、ごめんなさい!」

「え?」

「わ、私、そうゆうつもりじゃなくて、その……」

「……」

 

 ぬぅん。二人向き合ってこれからって時に、話の腰を折られる。じゃあどういうつもりだよ! って叫びたくなるのを喉のてっぺんで堪える。落ち着け星歌、今はぼっちちゃんの言葉をゆっくりと聞くんだ。

 

「分からないんです、私も」

 

 どもりがちなぼっちちゃんがはっきりとそう言った。

 

「星歌ちゃんは、私にとって、た、大切な人です。でも……分からないんです」

「……」

 

 私も勢いでキスしてしまったけど、やっぱり分かんねぇ。恋人になりたいのか、親友がいいのか。正直どちらでもいいのか? いや、よくない。

 

「……ぼっちちゃん」

「星歌ちゃんは、初めて出来た友達で、とても大切な人。だから……だから」

「ずっと一緒にいたい。私は、そう思うよ」

「私も、です」

 

 お互いに顔を見合わせる。すると……。

 

「ハハ……。なんか笑えてきたな。ヘンなの」

「あは……。私もです。おかしい、です」

 

 張り詰めた緊張が緩和されて、なんか笑えてきた。同じようにテンパって同じように笑う。だったら、同じように怒って、泣いて、喜んでいけるんじゃないかって。思うんだ。

 

「そうだな、ぼっちちゃんは結束バンドの事、どう思う?」

 

 もう一度向き直って、聞いてみる。

 

「えっと、奇跡っていうかもう一度出会えって言っても、絶対に出会えないくらい奇跡的な……で、喜多ちゃんもリョウさんも、もちろん星歌ちゃんも……だ、大好きで、その」

 

 なんか妙な言い回しだけど、今のみんなで活動できることがぼっちちゃんも嬉しいみたいだ。

 

「ぼっちちゃんさ、あたしみんなで、ずっとバンド続けたいんだ。ババアになってもライブやりたいんだ!」

 

 還暦過ぎても現役なガールズバンドだっているって聞いた。この四人でなら、なにがあってもずっとメンバーで、親友でいられる気がするんだ。

 

「……私もです!」

「あと、それから!」

「あ、はい」

「えっと、その、ぼっちちゃんが高校を卒業しても、お互いの気持ちが変わらなかったら付き合ってほしい」

「……」

 

 きょとんとするぼっちちゃん。あたし何言ってんだ。ぼっちちゃんの気持ちは分かってんだろ。

 

「その時は、今日の続きをしよう。恋人が女同士っていうのは世間一般では間違ったものかもしれないけど、だからこそだ、お前の事を凄く大事に思うから、お前の気持ちを、なによりも尊重したい。なんつーか、勢い任せに押し倒すような始まりなんてのは嫌なんだ。それに、今はバンドメンバーとしてお前のぼっち・ざ・ろっくを、ちゃんと見ていたいんだ。それでもいいか?」

「……ぁ、はい!」

 

 静かに抱擁を交わす。キスはお預け。私の気持ちはきっと変わらない。でも、もしぼっちちゃんに素敵な人が出来たら、私は潔く身を引くつもりだ。その時は友達の笑顔で。

 

「好きだよ………ひとり」

 

 頬を静かに涙が伝う。我ながら、なんて不器用なんだろうな。

 

 

 

 

 

 ――あれから結構な時間が経った。

 

 今日はぼっちちゃんたちの卒業式。あたしにとっても特別な日。バンド活動やバイトで毎日のように会っているはずなのに、とても緊張する。喜多ちゃんと学校の友達……佐々木だったか。式の後にささやかな打ち上げをやるって言ってたな。でもその前に少しだけ時間を貰った。あの時の約束通り、もし恋人になってくれるなら、初めて会った公園で待っていてほしいって伝えたんだ。

 

「……ぼっちちゃん!」

 

 夕方前の小さな公園、ブランコに乗る見慣れたピンクジャージ。……待っていてくれたんだな。

 




 これにて完結! 何とか終われた!
 
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