【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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モンハンnow配信前に投稿したかったが……ダメだった。
あれですね、きくり姉さんにカッコイイこと言わせようとすると、途端に執筆難易度が高くなります。
でもこやつの活躍マジでここぐらいしかないから……頑張って書きました、はい。

※警告 開幕一文字が壊れます。カッコイイ一文字を望む方は速やかにお戻りください。


時速750キロの夜景

 一文字の活躍でぼっちは復活。

 しかしその代償は重かった。

 

「オデノココロバボドボドダ!」

「一文字さーん!!」

 

 あの陽キャがなんたる有り様! 

 声をかけても反応はなし。

 ローテンションで謎の言語を垂れ流すだけ。

 タイフーンで粒子(ぼっち)を確保した際、誤って彼女のプラーナをちょっぴり吸った結果がこの始末。

 

「しわしわ一文字と名付けよう」

「アンダドゥーレハ、アカマジャナカッタンデェ……ウェ!」

(重症だ……)

「しょうがない、復活するまで待ってよー」ゴクゴクゴク

(またお酒飲んでる……逃げたいけど、一文字さん置いて行くのは……こんなことしてる場合じゃないのに、チケットヤバいのに)

 

 と言うか結局何もできてない。

 酔っ払いの介抱と自爆ぐらいしかしていない。

 

 このままではトミーガン待ったなし! 

 嫌だ! 虹夏ちゃんに殺されるだけは絶対嫌だ! 

 圧倒的恐怖がぼっちの背中をプッシュした! 

 

「あ、あの! おっお姉さん!」

「ん? どしたの~?」

「お、お願いします! チケット買ってください!」

「……ふーん?」

(あるぇ!? 不評!?)

 

 二日酔いの介抱してあげたし、なんだかんだで優しそう。だから助けてくれる見込みアリと考えた。しかし現実は厳しかった。彼女は『うーん』と唸るだけ。

 

「い、今ならお安くします! 最近結成した新鮮! 取れたて! 今が旬ですよ!?」

「いや野菜じゃないから」

「あっすみません……」

「助けてあげたいけど、わたし一人が買っても2枚余っちゃうしー」

 

 唸り続ける酔っ払い。

 買ってくれるか、くれないか。

 返答を待つぼっちの心境は、地獄の沙汰を待つ罪人のよう。

 そして沙汰が下される。

 

 

 

「路上ライブで売ろう!」

「!?」

「それを頑張ったら1枚買ってあげる!」

 

 

 

 判決! 『路上ライブ』! 

 どうしてそうなってしまったんだ! 

 実質的な死刑宣告、ぼっちはガタガタ震え出す。

 しかし酔っ払いは緊張しているだけと勘違い。肩を叩いて励ましてきた。 

 

「安心していーよ、わたしも一緒に演るからさ」

「お、お姉さんが? 楽器弾けるんですか?」

「意外と言うね君」

 

 その辺は酔っ払いの言動が悪い。

 

「ふっ……わたしはこれでも、インディーズだと有名なバンドマンなんだよー」

「そ、そうでしたか」

 

 そっか、だから同情的だったんだ。

 ダメな大人とか思っててごめんなさい。

 心の中で謝った。

 

「わたしね、ベースとお酒は命より大事ーってことで常に持ち歩いてるんだ! だからお姉さんが手伝ってあげるー!」

「えっ」

 

 彼女の身体を再確認。

 スカジャン、キャミソール、下駄、四次元お酒ポケット。

 ピット器官で服の中まで念のため確認。

 何もナシ。確認終了。

 

「ベースは、どちらに……?」

「…………」

 

 酔っ払いがおにころを啜る。

 

「居酒屋に置きっぱなしだー、とりに行こう!」

「…………」

 

 うん、ダメ人間だった。

 酔っ払いの株価は大暴落。

 彼女の活躍を見るには、あと数百文字我慢頂く必要がある。

 もう少しの辛抱だから! 第2クズベーシスト唯一の活躍って言っていい場面だから! お願いだから我慢してください! 

 

 なお一文字はぼっちが担いでいきました。

 こうなったのぼっちのせいだし。

 

 

 *

 

 

「は! ここは!?」

「あ、お兄さんおはよー」

 

 1時間後、一文字は漸く正気に戻った。

 自分は何をしていた? なにも覚えてない。よもやSHOCKERの攻撃か? 

 

「俺はいったい何を?」

「はい、ナニ」

 

 酔っ払いがスマホを見せる。

 流れる動画に映っていたのは、奇行を繰り返す自分自身! 

 ああ、お嬢ちゃんのプラーナに毒されたんだった。

 彼は膝から地面に崩れ落ちた。

 

「ウゾダドンドコドーン!」

「後遺症かな?」

 

 しかし彼の地獄はまだ先。

 この動画は最終的に、政府の男の手に渡るのだから。

 

「……で、アンタたちはここでなにを」

「チケットの宣伝で路上ライブするの、わたしとひとりちゃんで。良いアイデアでしょ? もしダメでも自分なりに頑張ったってバンドメンバーに言えるし!」

「なるほど」

 

 確かにビラ配りより売れそうだ。ネックなのは、後藤ちゃんが人見知りだってこと。上手くいけば良いが……失敗したら。

 一文字は少し考える。

 

「…………」チラリ

(助けて助けて助けて)

 

 彼は酔っ払いへサムズアップ。

 

「イイネ!」

(オンドゥルルラギッタンディスカー!!)

 

 可愛そうだが、ライブするのにいつまでも人前が恐いとか言ってられない。本番の予行演習にもなる。彼女の成長には必要なことだ。

 

「今は機材待ち、ベースは居酒屋に無くしたからひとりちゃんに見つけて貰いましたー」

「そんなになるまでなんで飲むんだ」

「えー、お酒大好きだしー、幸せスパイラルキメたいし!」

「「幸せスパイラル?」」

 

 聞きなれない単語。

 一文字とぼっちの声がシンクロした。

 

「そう! 年金問題、地方格差、少子高齢化、お酒を放り込めばー、あら不思議! 全部忘れまぁ~す!」

「不思議でも何でもないんだよ」

「真似して良いよ?」

「教育に悪い!」

 

 流石のぼっちも真似する気はない。

 こんな悲しい幸福に浸ろうとは思わない。

 

(……でも、わたしは)

 

 この人と大差ない。

 だって、わたしだって──

 

「えー! ひとりちゃん絶対将来お酒に嵌るよ! わたしの勘は当たるんだー!」

(お酒に嵌るわたし……?)

 

 その時一文字に電流走る。

 

「ヤバい、この流れは!」

「うぇ?」

 

 一文字は察知した。

 またトンチキがやって来る! 

 この後の流れが分かる。酒浸りになった自分を素晴らしい想像力でイメージした挙句『ビャーッ!』と爆散するに違いない。

 これ以上のカオスは懲り懲りだ! 

 ぼっちへの説得イベントが始まった! 

 

「落ち着け、そんな未来は来ない!」

「え、で、でも」

「結束バンドの仲間がいるだろう? それに将来人気者になって、友達も沢山できる! 孤独でなければアルコールに溺れる暇なんてな」

「ビャーッ!」

「な ぜ だ」

 

 説得イベント失敗である。

 

「ふっ、やはりお兄さんは陽キャだねぇ」

「なに!?」

「人気者ってことは友達が多いってこと、逆に言えばそれだけ人気のプレッシャーがあるし、人間関係の気遣いも激増する! そのストレスに耐え切れなかった……まだまだ勉強が足りないね!」

「アンタはどういう立ち位置なんだ!」

「陰キャの先輩」

 

 彼女の脳内で何が起きているのか。

 ぼっちは奇声を発するだけで使えない。

 

 代わりの解説役が必要ではないだろうか? 

 

 そう! 今こそ彼の出番! 

 皆様の期待に応えバイザーがプロジェクター化、壁に向かって光を発射。画面の中からギターに顔と手足の生えた怪生物がこんにちは! 

 

『僕はギタ男第2号!』

「!?」

『ひとりに代わって僕が解説しよう!』

「ダリナンダアンタイッタイ」

「まだ後遺症が……」

 

 全員置き去りに解説スタート。

 

『結束バンドが人気になったはいいけど、その癖対人スキルを磨いてなかったぼっちには地獄の日々! 度重なるファンサやインタビューに、とうとう心を病んじゃった! 身分不相応なことした報いだね!』

「口が悪い!」

 

 最終的に結束バンドは解散。

 しかし、超ド級のコミュ障&この外見。

 雇ってくれる企業はナシ、誘ってくれるバンドもナシ。社会人デビューは当然失敗。

 映像から流れる、ぼっち(引き篭もり歴10年)の怨嗟の声。

 

『体質のせいでお腹も空かない、アルコールも効かない……死ねない、現実逃避もできない。押し入れから出たの何年前……?』

「ひでぇ」

「凄い想像力」

『皆何してんのかな……死にたいなぁ……』

 

 そこへギタ男が笑いかけた。

 

『安心して! 君は幸福になれるよ!』

 

 そして悪魔が囁く。

 

『幸福……?』

『そう、ひとりを幸せにしない世界を変えるんだ! 血液凝固剤(タピオカ)は呑んだろう? 次は背中に地殻貫通爆弾を喰らうんだ、怪電波で兵器をジャックすれば簡単さ、それで因子が二つ揃う、あとは』

『アッアッアッ』

「もしかしてこれヤバい?」

「パリハライズの仕方教わるべきだった!」

 

 最終的にイマフレの紛い物は、路上ライブの妨害を許さない巨人、ギターマンによって爆発四散。しかし戦いは終わらない。じきに第2、第3のギタ男が現れる。そのすべてを倒すまで、負けるなギターマン! 頑張れギターマン! 

 

 

 *

 

 

 機材もやって来て、路上ライブ開始目前。

 お姉さんの呼びかけで、既に人だかりができている。

 その中に一文字さんもいる。『ライブには関われないが、頑張れ』って、応援してくれている。

 

 それでも不安は消えない。

 小さな震えが止められない。

 

「やっぱり、人前恐い?」

「い、いえ、が、頑張ります……」

「まぁ失敗したらお酒で忘れれば良いからさー!」

「み、未成年です」

 

 忘れてしまう幸福。

 他人事ではなかった。

 今の自分もその渦中にいた。

 この身体になった切っ掛け、深い絶望の記憶を封印したまま、楽しいバンド活動を続ける。それは間違ってるんじゃないか。

 

「むむむ、その気配、お酒パワーに罪悪感を覚えてると見た!」

「え、いや、その話じゃ」

「遠慮は無用! お姉さんから助言を送りましょー……全部忘れてヨシ!」

 

 参考にならなそう。

 ぼっちは思った──だが、それは違った。

 

「忘れちゃっても『個性』ってことで!」

「こ、個性?」

「音楽の良い所は、全部を肯定できるトコ。だから酔っ払いクズのわたしでも、ライブでならヒーローになれる!」

(クズの自覚はあるんだ……)

「お金を貰う以上、お客さんを楽しませるのが第一だけど」

「あっはい」

 

 その通り過ぎて何も言えなかった。

 まずはライブだ、失敗しないよう頑張らなきゃいけない。

 

「どうしても恐ければ、目を閉じても良いよー」

(そ、それなら我慢できるかも)

「でも、今、目の前にいる人たちは、君の敵じゃないからね──敵を見誤るなよ」

 

 敵って、なんの話? 

 聞く間もなく、彼女が観衆へ呼びかける。

 

「それじゃ演奏始めまーす、よければチケット買ってくださーい!」

 

 群衆の目が一気に集まる。

 押し寄せる、腸を抉られるような気持ち悪さ。

 それに耐えきれず、ぼっちは仮面の中の瞳を閉じた。

 

 

 

 

 ギターとベース。

 二人だけの演奏が始まる。

 ドラムの代わりにギターがカウントを刻む。

 

(お姉さん、凄い上手い……!)

 

 譜面を少し見ただけなのに、音にまったく迷いがない。わたしのギターを確実に支えてくれる、自信たっぷりな演奏。

 

 それに引き換えわたしは。

 

 ギターを壊したらお終いだ。

 もし壊したらどんな目で見られるか。

 笑われるか、呆れられるか。

 

 最悪人外だと気づかれるか。

 

 そうだ、ヘルメットを外せないのは落ち着くからじゃない。他人に見られる時、わたしは『正体を見抜かれてるんじゃ』って恐怖に襲われる。

 

 認識改変がある以上あり得ない。

 けどこれは理屈じゃない、気持ちの問題。

 

 それに怯えながら弾いてるわたしの音は、楽しさとは程遠い。

 とにかく無事にこの演奏を──

 

 

 

「頑張れー!」

 

 

 

 知らない声だった。

 なのに恐怖を感じなかった。

 

「ちょっとアンタ、急になに言ってるの」

「え、あの子すごい不安そうだったから、つい」

「でも頑張れーって」

「違った?」

「違くはないけどさ」

 

 分からない、なんで、そんなことを言うのか。

 だけど心が叫ぶ。

 前を見たいと。

 

 ぼっちは、なけなしの勇気を振り絞る。

 バイザーが開く。

 瞼を開ける。

 

「──―」

 

 恐怖のあまり、心のどこかで『敵』を作っていた。

 だけどそれは違った。ここにいるのは、わたしの音を聞く為に立ち止まってくれた人達。敵がいるとするならば、怯えて踏み出せない自分自身。

 

 本当に少しだけ。

 それでも、彼女本来の『音』が鳴り響く。

 仮面に隠された、その音は──

 

 

 

 

 

 路上ライブは大成功! 

 ……とはいかなかった。

 最後の最後で弦を引き千切ってしまい、路上ライブは強制終了となってしまった。

 拍手は貰えたが、当の本人は浮かない表情。

 

「元気だしなよ、ひとりちゃん」

「すみません……」

「それに、ライブは成功したみたいだよ?」

「えっ」

 

 振り返ると、二人の女性が自分を見ていた。

 演奏中、ぼっちを応援した人だった。

 

「あのー、このフライヤーなんですけど」

「ライブ、やるんですよね?」

「そ、そうですが」

「じゃあ、チケット2枚! 頂いてもいいですか?」

「!?」

 

 ぼっちは言葉を失う。

 自分では下手な演奏だと思った。

 なのにどうして、なんで買いたいって思ってくれたの? 

 

「この子の演奏、どうだったー?」

「凄いカッコイイ演奏でしたよ!」

「はい、路上ライブなんて初めて見たけど、とても楽しかったです!」

「──だってさ、ひとりちゃん」

「…………」

 

 震える手で、彼女たちにチケットを渡す。

 現実味が沸かない。売れるだけの演奏だったのか、全然自分じゃ分からない。

 

 けど、嬉しい。

 凄い、とても、すっごい嬉しい。

 

「い、良いんですか」

「勿論ですよ! ライブ楽しみにしてますね!」

「絶対行きますから!」

「は、はい、よろしくお願いします」

 

 笑顔で去っていく二人。

 ぼっちは、なんだかほわほわした気持ちだった。

 ライブの高揚感と、失敗のショック──だけど成功した楽しさ。

 酔っ払いが、ぼっちへ話しかける。

 

「だから、忘れても良いんだよ」

 

 その言葉は()()

 ライブ前に語った話の()()

 

「だって、なかったことにはならない。

 お酒で忘れても、記憶が消えても、心からは消えない。君のギターにはちゃんと心が乗っていた……だからお客さんを楽しませられた。君が何を忘れたとしても、音が覚えてる、だから安心して」

 

 その言葉は、ぼっちの心を震わせた。

 忘れていても、わたしの『色』は消えないと分かった。

 ──だからより不安を抱く。封じられた絶望の切っ掛けであっても、安心して良いものなのか。

 気づけば、その不安を口にしていた。

 

「で、でも」

「ん?」

「それが、辛い記憶だったら……思い出したら?」

「へ? ライブ楽しかったでしょ?」

「え? はい」

「じゃあ全然平気だよ。その気持ちがあれば、辛い思い出もいつか楽しくなる──そうじゃなくても、上手い付き合い方を見つけられるよ!」

「で、できるんですか」

 

 彼女は満面の笑みで答えた。

 

「できる! 音楽は『絶望』さえ楽しめるんだから!」

 

 少しだけ、胸の内が軽くなった気がした。

 不安は残るだろう。

 ハッキリ言って気休めだ、問題解決には程遠い。

 だけどそれでも良かったんだ、わたしは誰でもいいから、この気持ちを打ち明けたかったんだ。

 

「じゃあ約束通り、最後のチケット買うよー」

「あ、ありがとうございます!」

「お嬢ちゃん、お疲れだ」

「あ、一文字さん」

 

 人が掃けるのを待っていた一文字。

 彼もまた、満足気な表情だった。

 

「良い演奏だった」

「ほ、本当ですか?」

「ああ、ライブも楽しみにしているからな」「そ、そのー」

「た、楽しみにしててください」

「勿論だ!」「ちょっとー」

 

 一文字の顔が曇る。

 なんかすり寄ってくる酔っ払いを見下ろした。

 

「さっきから何の用だ?」

「酔い止め代とか払ったらチケット代なくなっちゃった! 貸してー!」

「……おう」

「あと帰りの交通費も貸しーて!」

 

 どこからか『プッツン』と音がした。

 

「よし、新宿だったな、後で送ってやるよ!」

「え!? いいの!?」

「勿論だ! じゃあな後藤ちゃん、気をつけて帰れよ!」

「あっはい、お疲れ様です」

「ライブ楽しみにしてるねぇ~!」

 

 余談だがシン・サイクロン号の最高時速は750㎞。

 金沢八景駅から新宿駅までは53km、掛かる時間はたったの約5分! 

 けれども彼は皆の仮面ライダー。

 道交法は遵守するから大丈夫! 

 欺瞞はないよ! 

 

 

 *

 

 

 酔っ払いを送り届けた一文字。

 サイクロン号でお仕置きしたので心はスッキリ。

 自宅近くの道路へ下ろした後、彼は改めて頭を下げた。

 

「礼を言わせてほしい」

「お礼?」

「俺じゃ、あの子の力にはなれなかった」

「あー、気にしなくていいよ、好きでやったことだし、()()()()も聞けたし」

()()()?」

 

 彼女は不敵に笑う。

 

「やっぱ気づいてないか」

「は?」

「しょうがないかー、わたしでギリギリだったし。なんでだろ、同じ陰キャだからかなー」

「何の話だ?」

「ちょっと危ないかな……けどそれはバンドメンバーの仕事だし、下手に首突っ込む方が拗れるか! うん!」

「何が言いたい?」

 

 煙に巻くような言葉の羅列。

 スッキリしない彼女の態度、一文字の口調が苛立ちを帯びる。

 しかし──

 

 

「あの音は『憎悪』だ」

 

 

「──は?」

「ライブは楽しんでたけど、気にかけてもいいかもねー」

「それは、どういう」

「う゛っ!? バイクに揺さぶられた吐き気が……ごめん、送ってくれてありがと、帰ります!」

「お、おい!」

 

 酔っ払いは走り去る。

 尤も捕まえたとしても、はぐらかされただろう。

 雑踏の中、彼は立ち尽くす。

 誰かが言っていた。『辛』に一文字足せば『幸』になると。憎悪から生まれた音でも、ライブであれば『幸福』に変わるのか。

 

「分からん」

 

 その意味合いを知る時があるのなら。

 それは、仮面ライダーとTオーグが、殺し合う時に他ならない。




タイトル元:ぼっち・ざ・ろっく!#11『十二進法の夕景』より

『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード』
喜多郁代
結束バンドのギターボーカル、兼陽キャ。
原作ルートとは逆に、ぼっちの結束バンド加入の切っ掛けになった。彼女の事情(表向き)を知り、それでも自分の背中を押してくれた。そんな訳で、力になりたい思いは大きく、原作より早いペースでギターの腕前向上中……展開的にあまり描写できていないが。
逆に言えば、誰よりもぼっち介護要員期間が長いということ。数々の怪現象を見たせいで、若干SUN値がヤバいのが難点。
一文字と同類……と言いたいが、一文字側が群れるの嫌いなので、仲良くなれるかは微妙なライン。


第2クズベーシスト編、完ッ!
色々考えた結果オンドゥル語祭りと化した。
路上ライブ、普通に成功でも良かったんだけど、改造人間にそこまでご都合展開が許されるかなぁ……って、最後にギター破壊=成功かグレーゾーンぐらいの塩梅に。
んな簡単に、怪力を制御できたら誰も苦労はないのです。

高評価の皆様をご紹介致します!

☆10:幕末大回転さん
☆9:かそくしまーすさん 紅茶も大好きさん 殉職者さん グルタミン酸素さん ココロヨヨさん 七重八重さん

いつもありがとうございます!
エタらないよう頑張ります!
なので高評価、お気に入り、感想を心待ちにしています!
あと紹介とか推薦を夢見てます。
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