【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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前回、感想いっぱいで心満足です。
やはり曇らせの方がみんな楽しいんですかね?
今回は、仮面ライダー第14話『魔人サボテグロンの襲来』の展開を念頭に置くと、ちょっと楽しい……かもです。

推奨冒頭BGM:『AUG I』
推奨終盤BGM:『Blow it』


跳ねサンズ

 下北沢へ急遽戻ることになった結束バンド。

 その道中、『敵』の襲撃を受け、車もろとも崖下へ。

 

「うぅ……」

 

 しかし、彼女たちは生きていた。

 

「い、生きてる……」

「なんで、生きてるの……?」

「全員無事か?」

 

 情報機関の男も生きていた。

 

「我々の保有する特殊車両だ、地面に落ちる寸前にブースターを点火し、衝撃を緩和した」

 

 中に居たほうが安全。

 それが、彼女たちを車内に残した理由。

 

「あの、お兄さんは、大丈夫なんですか?」

「受け身を取った、問題はない、だが気を抜くな」

 

 拳銃を構える。

 照準を合わせる。

 

()()()

 

 茂みから足音が迫る。

 

「……そんな」

 

 再び現れるガーディアン。

 しかも今度は仲間と合流。

 その総数、10体。

 

「俺の後ろに隠れろ」

 

 敵がにじり寄る。

 拳銃を構えるが多勢に無勢。勝ち目は皆無だった。

 

 ──彼が一人であったなら。

 

 

 

「!!!」

 

 

 

 崖の上に『彼』はいた。

 

 雲一つない青空を背に、『彼』は立っていた。

 

「………」

 

 その男は奇妙な格好だった。

 深紅のマフラー、ライダースーツのようなアーマーに、黒のロングコート。

 そして()()()()()()()

 

「あ、あの顔……!」

 

 男が跳ねる。

 太陽を背に一回転。そして着地、同時に、ガーディアン2体を叩きつけ、頭を砕く。残る敵へ振り返る。

 

「ひっ」

 

 怯える彼女たちを、彼は無視。

 空をかけて、宙をとんで、暴力の嵐が吹き荒れる。殴り、蹴り、投げ飛ばし、破壊し尽くす。残る敵は一体。不利を悟ったガーディアンは、逃亡を選ぶ。

 

「!!」

 

 敵を追い跳躍。

 茂みの中へ消えていった。

 嵐が去り静寂が訪れる。

 

「なんなの、アレ……!?」

「安心していい、あれが協力者だ」

「協力者って、眼鏡の人が言ってた、仮面ライダーって人?」

「そうだ、正確には第2バッタオーグ、改造人間だ」

(あの外見、まさか)

 

 虹夏は喜多へ尋ねた。

 

「喜多ちゃん、踏切で見たバッタのコスプレって」

「はい、今の人です」

「──なに?」

「あ、その、一週間ぐらい前に、下北沢でわたし会ったんです。仮面ライダーに」

「なんだと」

 

 彼女たちは漸く理解する。

 ひとりが動揺した理想(わけ)を。自分を狙う存在が、なぜか友人の前に現れた。これで動揺しない訳がなかった。

 

 しかしそれは誤りだった。

 一週間前、仮面ライダーは別の場所にいた。

 

(あり得ない)

 

 彼は口を噤む。

 彼女たちには関係ない。

 必要なのは敵への備えなのだから。

 それに、恐らく──

 

 

 *

 

 

 政府の増援が到着。

 車を引き揚げ、一行は再び下北沢へ。

 

「このマンションで良いんだな」

「はい」

 

 エレベーターで上に向かう。髭男に加え、先程合流した新たな運転手も同行。その手には拳銃。万が一はあり得るのだ、さっきの車内のように。

 

「ここが、わたしの家です」

「家の鍵はあるか」

「は、はい」

「借りる」

「あの、お母さんいますけど」

「……もし、中にいたら、どうなると思う」

「!!」

 

 音が鳴れば気づかれる。

 逃走の猶予を与えてしまう。

 

「開ける」

 

 鍵を刺し込み、音が出ないようゆっくりと回す。同じく静かに扉を開けようとして──ガッと、それ以上動かなくなった。

 

 小さな物音がした。

 

「今の音って──」

「扉そのものを、歪めていたか」

「え、あの、なにを!?」

「弁償はする」

 

 躊躇なく発砲。

 玄関の接合部が粉砕。

 サイレンサー付きだが、扉が砕けた音がマンション中に響く。

 広がるどよめき。

 それを無視して扉を蹴破る。

 

「──あ」

 

 その光景から。

 三人は、目を逸らせなかった。

 

 女性が。

 喜多の母親が。

 

 床に倒れていて。

 動かなくて。

 

 奥に()()()()()()

 

「ひとり、ちゃん」

「………」

 

 友人が、母親を手に掛けた現実が押し寄せる。けど彼女はそれに抗い、僅かな声を絞り出す。

 

「……ひとりちゃん、よね」

 

 風貌が違う。

 緑のライダースーツ。ロングコートのように、羽織ったピンクジャージ。背中にはパシフィカとレスポール、二つのギターケース。

 そして()()()()()()

 

「ひとりちゃん、なんなの、その恰好は」

「前へ出るな」

 

 彼が銃を構えた。

 その瞬間──マスクの『目』が輝いた。

 

「ッ!!」

 

 咄嗟に拳銃を手放す。

 ビームに貫かれた銃は一瞬で蒸発、もう一人の護衛はその威力を警戒し、動けなくなる。彼らを尻目に、Tオーグは窓から外へ逃げだす。

 

「待って!!」

 

 足が止まる。

 

「約束したじゃない、必ず帰ってくるって」

 

 二度と帰ってこない気がした。

 

「どこに行っちゃうの」

 

 でも、信じようって決めて。

 それでも心細くて、ずっと手を握っていた。

 

「わたし、文化祭で弾かない、歌わない。パシフィカを返さなかったら、そうするって言った」

 

 大切な約束をした。

 お互いを繋いで、離さないために必要だった。

 まるで、結束バンドのように。

 

「思い出を台無しにしないで」

 

 しかし、所詮、結束バンド。

 

 

 

「さようなら」

 

 

 

 パシフィカのギターケースは、喜多へ投げつけられた。

 Tオーグは窓から飛び降りた。

 

「ぼっちちゃん!!」

 

 虹夏は急いで駆けよる。

 しかし、どこにもいない。

 

「……喜多ちゃん」

「……き」

 

 バンドはあっさり千切られた。

 その痛みに、胸を搔き毟られて。

 全身を震わせ、パシフィカを抱きしめて、吼える。

 嗚咽と共に。

 

「後藤さんの、嘘吐きぃーーーーッッ!!」

 

 返事は返って来ない。

 もう、行ってしまった。

 

「喜多ちゃんの、お母さんまで……こんな、とりかえしの、つかないことを……」

「いや、見たところ、気絶してるだけだ」

「え!?」

 

 死んではいない。

 プラーナを支配されてもいない。

 一応、無事だ。

 ──だからといって、誰も喜べなかった。打ちひしがれる彼女たちへ、彼は淡々と質問を投げかける。

 

「それと、今持っていかれたのは、()()()だ?」

「どっち、って」

「本来のと、SHOCKER製のだ」

「──あっ」

 

 喜多は自分の部屋へ。

 押し入れから、ギターケースを取り出す。

 それは下級構成員から託された方。

 Tオーグが狙ってた専用ギター。

 

「……間違えたの?」

「いずれにせよ、助かった」

「これ、そんなヤバいんですか?」

「Tオーグの手に渡れば、仮面ライダーに勝ち目はない」

「……勝ち目」

 

 それは戦いの用語。

 だから虹夏は聞く。

 

「ぼっちちゃんは、どうなるんですか」

「彼女は既に、基本的人権が適用されない」

「回りくどい言い方は、良いです」

「大丈夫か」

「……はい」

 

 彼は虹夏を見据える。

 冷徹に努めて、事実を告げた。

 

「殺さなければならない」

「──っ!!」

「あの脅威は放置できない、他組織の手にも渡せない……現時点の話だがな」

 

 彼の言葉は、もう耳に入らない。

 山田も喜多も同じ。

 

「途中、敵の襲撃を許してしまい、申し訳なかった」

 

 頭を下げ謝罪。

 事務的な説明が続く。

 

「君たちとその家族は、再び狙われる可能性がある。事態収束までの間、監視兼護衛をつけ、可能な限りの安全を保障する」

「……可能な限り」

「残念ながら、相手のテクノロジーは脅威的でな」

「なんだかすいません」

「謝罪は不要だ」

 

 彼は去り際に呟いた。

 

「……人は群れるものだ」

 

 その意味は分からない。

 考える余力は残ってない。

 あとに残ったモノは、ただ一つ。

 

 絶望だった。

 

 

 *

 

 

 あの後、救急車がやって来た。

 彼が呼んだそれは、郁代の母親を乗せて行った。

 だけど郁代は同乗しなかった。わたしたちと並んで歩いている。娘なんだから、一緒にいた方が良いだろうに。

 

「………」

 

 でも、誰も追及しない。

 できやしない。

 

「ねえ、リョウ、どこに向かってるの」

 

 どこだろうか。

 わたしが聞きたいくらいだ。

 

「返事ぐらい、してよ」

 

 ダメなんだ。

 言葉が出せない。

 

「分かるでしょ、ぼっちちゃんを助けないと……!」

「どうやってですか?」

 

 虹夏が言葉を詰まらせる。

 

「そ、それは……皆で考えれば」

「口先だけじゃないですか」

「なら、喜多ちゃんには、なにかあるの!」

「ないんですよッ!」

 

 怒声が響く。

 彼女が涙ながらに叫ぶ。

 

「わたしの言葉は、届かなかった! 大切な約束は破られた、ギターは、捨てるみたいに投げつけられて、これ以上なにを!?」

「じゃあ、このままで良いって言うの!?」

「嫌ですよ、でも……!」

「………」

「リョウは、なんでずっと黙ってるの、なにか言ったら」

「……先輩?」

「……あれ」

 

 顔が濡れていた。

 泣いてるのに気づく。

 すると、不思議なことに、口が動いた。

 懺悔のために。

 

「ごめんなさい」

「……なにが?」

「知ってた、ぼっちが、病気じゃないって」

「──は?」

 

 虹夏は絶句していた。

 うん、だろうね。

 

「……いつから」

「作詞の相談受けた時、偶然、人外だとは思わなかったけど」

「なんで、言ってくれなかったの!!?」

「ぼっちが隠したがってたから……でも、あの時追及してれば……なにか、できたかも、しれないのに……!」

 

 思い出す。

 苦しんで、藻掻いてきたことも、ぼっちの個性──だって? 

 ふざけるな、何一つ知らなかった癖に。

 なんて、無責任な、言葉だ。

 

「そんなの、わたしだって」

 

 でも、この気持ちは。

 きっと、みんな同じだ。

 

「恐いことに巻き込まれてるって、あの相談の時、分かってた……約束に、逃げないでいたら、わたし、わたし……」

 

 往来の真ん中で、泣き叫ぶ。

 通行人が目を逸らす。ただ、何人かは、優しい眼差しだ。青春の1ページとでも思ってるのか。ページには違いない──次へ続かない、最後の1ページだ。

 

「ハハ、なんにも気づいてなかったの、わたしだけなんだ」

「それは、認識改変が──」

「リーダーなのに、二人でダブルヒーローだって、あたしバカみたいだ……」

「……虹夏、止めて」

「ねぇ、あたしたち、なんのためにバンド組んだのかな?」

 

 なにも言えない。

 嗤いながら、泣き出す親友にも。

 

「みんなで一緒に、音楽をしたかった、夢を追いたかった、こんな思いしたくて、一緒になったんじゃ、ないのに……どうして……?」

 

 立ち尽くす。

 足を動かす先は消えた。

 今まで積み上げてきた思い出は、崩れてしまった。

 もう、立つ場所がない。

 

「帰ろう」

「どこに?」

「自分の家、郁代は病院行きなよ。心配でしょ」

「……はい」

「虹夏も、店長が心配してるはず」

「……そうだね」

 

 バンドは続けられる。

 3ピースバンドで活動できる──そんな、らしくない未来は、誰も信じない。

 薄明には、まだ遠い空の下で。

 もう二度と集まらない。

 

 そう思ってしまったんだ。

 

 

 *

 

 

 気がついたら家にいた。

 どうやって帰ってきたのか分からなかった。呼び止める親の声。

 聴きたくない。

 無視して部屋へ。

 

 ベッドの上の、ポータブルオーディオを払いのけ、倦怠感のまま倒れ込む。

 

 なにもしたくない。

 なにも、聞きたくない。

 

「……嫌だ」

 

 音楽が嫌いになる。

 

 前のバンドを辞めた時の比じゃない。

 

 部屋中の楽器や機材が、邪魔でしょうがない。だからと言って量が多くて、捨てるやる気も出てこない。

 

「……眠い」

 

 疲労感が圧し掛かる。

 瞼を閉じれば、勝手に身体が眠り出すだろう。

 とにかく休みたい。

 夢に逃げてしまいたかった。

 

 でも、逃げれない。

 

 気絶しそうなくらい、疲れてるのに。

 

「……寝れない」

 

 これじゃ、ジッとしてるのと同じだ。ベッドから起き上がる。なにかしてた方がまだマシだ。余計なことを思い出さないで済む。

 

 わたしはパソコンの前に座る。

 

 

 ──意識したわけじゃなかった。

 

 

 何時もの手癖。

 起動したのは、作曲用のアプリケーション。

 

「………」

 

 作りかけの、曲が一つ。

 

 一週間前だ。

 こうなる前に、ぼっちが送ってくれた(うた)

 

 削除ボタンに手を伸ばす。

 

 もう使えない。

 千切れた結束バンドは、捨てるしかない。

 

 

 なのに。

 

 なのに。

 

 

 指先が、勝手に動く。

 

 一つ一つ、歌詞を拾い上げ、情景に思いを馳せる。

 一つ一つ、音を当て嵌めて、情景を曲で紡いでく。

 

「わたし、なにやってるんだろう」

 

 夕日が落ちる。

 夜の帳に包まれる。

 朝日が部屋を照らす。

 

 没頭し続ける。我ながら異様な集中力で。

 

 そして、太陽が西の空へ沈む頃──USBメモリを手に、ベースを背中に背負って、家から飛び出した。

 

 全力疾走なんて何年振りか。

 

 脇腹も心臓もすごい痛い。

 今すぐ座り込んで休みたいのに、わたしの足は、『STARRY』目掛けて止まらない。

 

 太陽が沈む。

 街灯の中を駆ける。

 

「はぁっ、はぁ、はぁ……」

「リョウ先輩?」

「い、郁代……なんで、ここに」

「いえ、わたしは──って、酷い顔ですよ!?」

「あー、徹夜で」

「リョウ先輩こそ、どこに向かってたんですか?」

「……なんだろう」

 

 郁代は、一瞬ポカンとして。

 笑みを浮かべた。

 

「わたしも、分からないんです」

 

 わたしと同じだ。

 向こうから、走ってきた彼女もきっと。

 

「え? リョウに喜多ちゃん?」

「伊地知先輩……」

「どうしたの、そんな急いで」

「いや、リョウの家に行こうと思って」

「何の用で?」

「……えぇと」

 

 全員同じだ。

 

「虹夏、郁代」

「………」「………」

「わたしは、諦めきれない」

 

 虹夏が頷く。

 喜多が、目を見つめてくる。

 

「なにができるかなんて、全然分からない。だけど、こんなの納得できない」

 

 まだだ。

 多分、全部をまだ、やれてない。

 

「一言だって、ぼっちに届けてない」

 

 やれること全てを。

 やり切っていない。

 

「これじゃ、少しだって心がスッキリしない──!」

「うん、そうだね」

「わたしもです」

「……虹夏」

 

 リーダーは彼女だ。

 わたしたちは、彼女の言葉を待つ。

 

「じゃあ、行こっか」

 

 夜空の下で。

 わたしたちは、また集まった。

 千切れた糸を、紡ぐため。

 星座に手を伸ばす。

 

 

 *

 

 

 一行はSTARRYへ。

 ところが、店の前には意外な人物が。

 

「い、一文字さん!?」

「久し振りだな」

「……仕事だったの?」

「まあな、音信不通だったのは、悪かった」

 

 この状況だ。

 ひとまず、彼の無事に安堵する。

 

「ところで、どうかしたんですか?」

「ああ、今日はお嬢ちゃんたちに会いにきた」

「……その、すみません、今大変な状況で」

「後藤の嬢ちゃんだろう?」

「えっ」

 

 なんで、それを。

 

 

 ──その瞬間。

 

 

 ギュイィィィンッ!!

 

 

 ──雷鳴が落ちた。

 ギターの絶叫が、少し遠い場所で。

 

「……今の、音」

「まさか、駅前で、路上ライブを……!?」

 

 振り返る。

 しかし、どこに潜んでいたのか。

 彼女たちの前に、再び『ガーディアン』が現れた。

 駅前への道を塞ぐように。

 

「またこいつら!?」

「ぼっちを知る人間は、絶対に始末するってことでしょ」

「いや、違う」

 

 彼は首を振る。

 

「違うって……」

「そもそも、こいつらは、別の第三勢力だ」

「……お兄さん?」

「お嬢ちゃんたちの口封じが、目的じゃないんだろう」

 

 銃声が鳴り響く。

 駆け付けた護衛部隊が、ガーディアンに弾幕を浴びせ、銃撃戦が始まる。

 その中で、彼は告げた。

 

 

「敵の本当の狙いは、()()()()()()にあるのかもしれない」

 

 

「──は?」

 

 山田が振り返る。

 驚愕に顔を染めて。

 

「なんで、それを知ってるの」

「………」

「そうだ、ギターヒーローについて、調べてたのは……」

「貴方は、いったい誰なんですか」

「俺か?」

 

 彼はコートを開く。

 ヘルメットを取り出した。

 

「俺は、SHOCKERの敵、人類の味方、一文字隼人」

 

 そして、ヘルメットを被る。

 黒いロングコート、朱いマフラー、そして緑のヘルメット。

 誰もが目を開く。

 見覚えのある姿に、喜多が叫んだ。

 

「仮面ライダー……まさか!?」

「護衛の連中が、STARRYに防衛線を張ってくれた。この中は安全だ。店長もPAの人もアレも無事。ギターの音も通さないから、プラーナも支配されない。お嬢ちゃんたちもこの中で待っててくれ」

「ま、待って、ぼっちちゃんは!」

「大丈夫だ、殺さない」

 

 一文字は、仮面の下で微かに笑う。

 

「政府の人は殺すって」

「それは()()()()の話、俺は希望を持ってきた」

「希望……助けられるってこと!?」

「ああ、あの子は恐らく洗脳されているだけだ。俺を殺すことが幸福だってな」

 

 彼は、仮面の下で怒りを滲ませる。

 

「きっと、今もそれに抗っている、その『見込み』もある、なによりこんな終わり方は好きじゃない」

 

 護衛の攻撃を受け、ガーディアンは散開。

 駅前への道が開く。彼は、遠くから聞こえるギターの音を見据える。

 もう一度、彼女たちへ笑いかけた。

 

「俺は、俺の心に従って、あの子を救い出す……仮面ライダー」

「お兄さんも、改造人間なの……!?」

「では、お見せしよう、

 

 

 仮面ライダー!」

 

 

 コートを翻す。

 タイフーンのシャッターが開く。

 彼は、両手を右へ、真っ直ぐと伸ばした。

 そして──

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

 回り出すダイナモ。

 ヘルメットが変形、露わになるバッタのマスク。

 彼は跳躍する。現れたバイクにまたがる。マフラーが吠えホイールが回転する。

 シン・サイクロン号が走り出す。

 

 仮面ライダー第2号が今、跳ね参じた。




タイトル元:ぼっち・ざ・ろっく!#03『馳せサンズ』より

『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード』
廣井きくり
SICKHACKのベースボーカル、及び第2クズベーシスト。
貴重な先輩バンドマン枠なのだが、そういう描写は原作だと、路上ライブと文化祭前のライブの2回のみ。1巻~6巻読み直したがマジで2回だけ、本当に屑である。
その反動なのか、本作では導く描写が強化。
この後も、もう一回ちゃんとした出番が控えている。クズ分の被害は一文字が引き受ける羽目になったが。
実際、狂言回しとしては、大変便利なお方。



Q:政府の連中、避難指示出してないの?
A:どこに出現するか分からないので、出しようがないです。
Q:今からでも、避難指示出さないの?
A:出せません。その為の金沢の人質です。あれは()()()()()()()()()()()()の人質、そこも含めて、『仮面ライダーはTオーグに勝てない』なのです。


ライダーは洗脳を解除できるのか。
解除して、助け出せるのか。
――もしも、洗脳されていなかったら、ぼっちが自分の意思でやっていたのなら。



高評価を下さった方になります。

☆9:tomatoさん ringosukiさん 京安藤しーぷさん 鋭角な鹿さん

投票、ありがとうございます。
評価、お気に入り、感想、ここすき、沢山お待ちしています。




次回、後藤ひとりは改造人間である。
第21話、『ロンリー路上ライバー』。
お待ちください。
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