【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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これでも仮面ライダーSS。戦闘シーンは不可欠。
どうせSSだからいいやと、Tオーグのスペックは盛りました。
そしてわたしはレウス亜種を狩りに行きます。


ロンリー路上ライバー

 ヒーローは遅れてやってくる。

 

 そんな風に言われ始めたのは、いったい何時からなのか。

 

 自分をヒーローとは思わない。

 だが、俺はいつも遅れてばかりだ。

 

 あの時もそう。

 今もそう。

 

 プロデビューの噂。

 あれは、犯罪グループが残したものだった。

 動画更新が止まっても、誰も不信がらないよう、ネットの奥に残した偽装工作。

 

 その犯罪グループの狙いの中に、後藤一家を見つけた。

 

 後藤家へ向かった。

 だが、誰一人辿り着けない『異常』が起きた。

 

 そこで、やっと気がついた。

 

 もっと早く気づけば。

 彼女を止められたのかもしれない。

 まだ、間に合うだろうか? 

 

「いや」

 

 やるんだ。

 これ以上の悲劇は起こさせない。

 

「俺は心を決めたぞ──」

 

 シン・サイクロン号が走る。

 

 

 *

 

 

 ギターが響いている。

 

 嵐のライブ。

 その三曲目。

 その歌詞を思い出す。

 

 

 ──目を閉じる 暗闇に差す後光──

 ──耳塞ぐ 確かに刻む鼓動──

 

 

 あの酔っ払いは言った、『あの子の音は憎悪』だと。

 いったい、誰を憎んでいるのか。

 

 

 ──胸の奥 身を揺らす心臓──

 

 

 俺には分からない。

 だが、俺にも分かることはある。

 この歌は楽しくない。

 

 

 ──他になにも聞きたくない──

 ──わたしが放つ音以外──

 

 

 ただの、音の羅列。

 誰とも繋がらない、孤独の(ロンリー)路上ライバー。

 

「よう」

 

 演奏が止まる。

 

「つまらない演奏だな」

 

 仮面を取り外す。

 素顔を見せる。

 

「!?」

「そうだ、俺が仮面ライダーだ」

「………」

「おっと、騙してたわけじゃない。結束バンドと知り合ったのは偶然だ」

 

 信じただろうか? 

 まあ、どっちでもいい。

 

「アンタを助けに来た」

 

 周りを見渡す。

 そこら中、倒れて動かない人だらけ。

 全員彼女のライブでプラーナを支配された被害者たち。今は帰宅ラッシュ。だから余計に被害者が増えた。

 

 だがこれは、Tオーグの戦術上、あり得ない光景。

 

「まず、アンタの洗脳を解き放つ」

 

 再びマスクを被る。

 

「お相手願おうか」

 

 とにかく、あの仮面に触れることだ。

 そうしないと、プログラムは流し込めない。

 力を込め、空へと跳躍。

 

「!?」

 

 その光景に。

 眼を疑うことになる。

 

 

 *

 

 

 ライダー最大の武器はジャンプ力。

 その跳躍力66.30m。

 それに空中なら、地上の人を巻き込まない。だからライダーは跳んだ。

 

 だが、Tオーグも跳んでいた。

 

「おいマジか!?」

 

 推測約47.26m。

 ライダー程じゃないがそれでも脅威。

 

(なんでツチノコでこんな飛べ……ああ! あるな! 跳べる逸話!)

 

 驚く暇はない。

 既にTオーグの射程距離内。

 マスクの目が光る。

 

「やっべえ!!」

 

 飛来するビーム。

 彼は背中からプラーナを放出し空中回避。

 

(なんでツチノコでビームが出……ああ! いたな! 毒撃てるヘビ!)

 

 ライダーは地面へ降下。

 ──しかし、着地すら一筋縄ではないと彼は知る。

 

「なに!?」

 

 その先には人がいた。

 この落下速度で踏み潰せばどうなるか? 

 

(軌道を変えねえと!)

 

 再び、プラーナを放出。

 誰もいない場所へ着地──多くのプラーナを消費して。

 

「………」

 

 Tオーグもプラーナを放出。

 ()()()()()()()()、ふわりと着地。

 

(戦い辛い……!)

 

 辺り一面の被害者たち。

 彼らを巻き込まないよう、戦わなければならない。

 

(……だが、さっきの着地。やはり彼女は)

 

 跳んでもビーム。

 ならばと、ライダーはTオーグへ向かって歩き出した。

 

「……あ?」

 

 しかし、なぜかTオーグは動かない。

 

「なにか狙ってんのか?」

「………」

「あー、言う訳ないよな」

 

 やることは変わらない。

 ライダーは拳を握りしめ──しかし罠に警戒し──余力を残して殴りかかる。

 

 拳がマスクへ直撃。

 だが、ライダーは絶句した。

 

 顔が()()()

 

「は!??」

 

 パンチがすり抜ける、

 ライダーは反対側へよろめく。

 

「い、いったいなにが!?」

 

 振り返る。

 姿が見えない。

 彼女はどこへ? 

 ──答えは『足元』だ。

 

「──がっ!?」

 

 現れた()()()()()()が、ライダーの全身を締め付ける。

 

「は、排水溝から……!?」

 

 足元の排水溝。

 そこに、『液化』したTオーグがいた。

 後藤ひとりがよく溶けていたのも、『能力』の一つ。全身を溶かし、排水溝に潜り、奇襲を仕掛けたのだ。

 

「しかも、この腕は……コブラオーグの、ぐっ!?」

 

 ヘビの力で、首を圧し折りにかかる──が、折れなかった。

 困惑するTオーグへ、ライダーは告げる。

 

「どうやら、身体スペックは俺の方が上らしい!」

「──っ!」

 

 力を滾らせ、腕を振りほどく。

 すかさず裏拳。

 Tオーグの血が飛び散る。

 

(液化よりも早ければ、ダメージを与えられるわけか!)

 

 更なる追撃。

 ライダーは、拳を握る。

 

「──っあ゛!?」

 

 彼はまた絶句する。

 

 返り血がコートにかかった。

 かかった部分が、()()()()

 

(こ、これは、まさか!?)

 

 返り血が飛び散る。

 近くの一般人に。

 

「危ねぇ!!」

 

 コートを脱いで返り血を受け止める。

 穴だらけになるコート。

 少し遅れてたら彼らは死んでいた。

 なぜなら、今のは──

 

「まさか、こいつの体液は、猛毒性化学兵器なのか!」

「………」

 

 かつてサソリオーグが生成した化学兵器。

 オーグさえ殺す毒性の危険物質。

 Tオーグのあらゆる体液は、それで構成されていた。

 

(どうする、どう攻めりゃ良いんだ?)

 

 穴だらけのコートを羽織り直す。

 だが、Tオーグは既に、次の攻撃を始めていた。

 彼はそのことに──近くの一般人を見て、気がついた。

 

「なに!?」

 

 泡を吹いて、痙攣し始めていた。

 

 そこで、漸く気がついた。

 Tオーグから、うっすら『ガス』が出ていることに。

 

(毒ガス!! 恐らくは麻痺性!!)

 

 周囲の人間は──とりあえず無事。

 致死性のガスではないようだ、命の心配はない。

 

 勿論オーグさえ麻痺させる代物。

 ライダーは、一気に後方へ距離を取る。

 

(遠距離はレーザー、近づけば毒ガス、殴れば液化、殴れても返り血が猛毒性化学兵器! 俺は周りの人に注意しながら……ふざけんな!!!)

 

 どうする? 

 どうすれば、マスクに確実に触れられる? 

 

 ただ触れてもダメだ。

 途中で溶けられたら、意味がない。

 

(『奥の手』しかない)

 

 彼は作戦を練る。

 確実に、『奥の手』を叩き込むために。

 

 

 *

 

 

「虹夏! 無事だったか!」

「お姉ちゃん……ッ!」

 

 STARRYへ避難した三人。

 虹夏と星歌は抱き合い、互いの無事に安堵する。

 

「一文字は行ったか」

「あっ、政府の人」

「我々もここで戦いを観察させてもらう」

「……戦い」

 

 緊迫感が場を満たす。

 

「ねー先輩! お酒なくなっちゃったー! ビール奢って下さいよ~!」

 

 緊迫感は霧散した。

 

「お姉ちゃん、なんでこの人いるの?」

「知らん」

「いやー、金沢のニュース見てさ、ぼっちちゃん心配になって、駆け付けたの! そしたらなんか凄いことになっててビックリした」

 

 来た理由は一応まとも。

 だが、喜多が指摘する。

 

「でも、あのニュース流れたの、昨日の朝ですけど?」

「け、携帯料金、滞納してて」

「………」

 

 一方、山田は政府の男に話しかけていた。

 

「聞いていいですか」

「なんだ」

「仮面ライダーは、勝てるんですか」

「不利だ」

 

 即答だった。

 

「Tオーグは大勢の『人質』を持っている」

「え、誰が人質に」

「駅前にいる一般人、その全てだ」

 

 路上ライブをした。

 下北沢駅前の人々はプラーナを支配された。

 それら全てが『人質』。

 

「人外同士が戦っている。

 本来、一般人は逃げ出す。

 戦いに巻き込まれるのは『危険』だからだ。逆に言えば、逃げてくれるからこそ、ライダーは巻き添えを気にせず戦える。

 だが、誰も逃げない。

 Tオーグの能力で、戦闘が『危険でない』と改竄される。

 誰も逃げない以上、巻き込まないよう戦わざるを得ない。当然全力は発揮できなくなる」

 

 ある種の肉盾。

 自覚がなくて、動き回る人質だ。

 

「あの、今からでも避難させたり、保護すれば」

「ムリだ」

 

 政府の男は断言する。

 なぜなら、金沢の人々が『人質』になってるから。

 

「避難させれば、Tオーグにとって不利になる。

 そうなったら、彼女は()()()()()()()()()

 隠れられたら討伐はできない。討伐できなければ、被害者たちのプラーナは解放されず、いずれ死ぬ」

 

 つまり『脅し』だ。

 この肉盾をなくせば、わたしは被害者たちが死ぬまで、隠れ続けるぞ──という、Tオーグからの脅迫。

 

「戦うしかない。一般人を巻き込みかねないこの状態で」

 

 もし隠れられても、再発見は可能だ。

 ──見つける頃まで、被害者が死ななければ。

 

「……おかしくないですか?」

 

 だが喜多が気づく。

 今の話の矛盾に。

 

「なんで後藤さん、プラーナを支配して、みんなを動けなくしたの?」

「……え?」

「いえ、その、人が動き回ってた方が、戦い難くないですか?」

「……言われてみれば」

 

 単純な話だ。

 動かない障害物と、動き回る障害物。どっちが戦い辛いか? 

 言わずもが『後者』。

 

 なのにTオーグは『前者』を選んだ。

 

「そうだ」

 

 戦術的な矛盾点。

 だから彼らは、『討伐』以外を見いだせた。

 

「だから、救助の『望み』がある」

 

 

 *

 

 

 ライダー対Tオーグ。

 戦いは、彼女有利で進んでいた。

 

「ハー、ハー……」

「………」

 

 ライダーはプラーナを大きく消耗。

 対するTオーグは疲弊なし。

 

 だが、これでいい。

 ライダーは、()()()()()を見上げた。

 

(ここなら『切り札』が使える)

 

 準備は出来た。

 後は、少しでも体力を回復させる。

 時間稼ぎだ。

 その為に、彼女へ話しかけた。

 

「アンタ、巻き添え避けてるな?」

「………」

「誰も踏み潰さないよう、動いている」

 

 着地地点を調整していた。

 誰もいない場所を選んでいた。

 

「ビームも誰にも当てなかった。毒ガスは非殺傷、こいつら(一般人)を動けなくしたのは、誤って傷つけないため。そうだろう?」

「………」

 

 返事はない。

 

「アンタはSHOCKERの洗脳に抗っている、だからこれ以上戦いたくない」

 

 返事はない。

 代わりの返答はビーム。

 

「そうか」

 

 ライダーは跳躍。

 そして()()()()()、その端へ着地。

 彼を追ってTオーグも跳躍。

 しかし──屋上に登り切れなかった。

 

「アンタの跳躍力は約47m、このビルは55m。俺のところへは届かない。このまま蹴り落させてもら──」

 

 瞬間Tオーグはビルの壁へ。

 液化し、その内部へ溶け込んだ。

 

(狙いどおりだ)

 

 だが、これが作戦。

 

(これなら、『奥の手』を使える)

 

 眼を閉じ、耳を澄ます。

 タイミングさえ分かれば良い。

 

「──そこかッ!」

 

 コートを脱ぎ捨て『真下』へ投擲。

 直後、そこからTオーグが出現。

 

「ッ!?」

 

 顔面にコートを被るTオーグ。

 

「一足飛びに登れなきゃ撃墜される。アンタが奇襲をする安全な道は()()()()

 

 視界が塞がれ困惑。

 その隙を、ライダーは見逃さない。

 

「『方向』は分かっていた!」

 

 拳を振るうライダー。

 しかしTオーグは即座に液化。

 更に麻痺ガスも展開。

 これでライダーは麻痺する、威力のある攻撃はできない。

 

「殴ると思ったか?」

 

 だが、彼は殴らなかった。

 手を当てただけだった。

 

 そして、その手が蒼く光り出した。

 

「!?」

「アンタのプラーナを直接叩く」

 

 放てるのは一度切り。

 文字通り、一回だけの『切り札』。

 

「アイツに教わった技だ、癪に障るが……ッ!」

 

 衝撃波のように、プラーナが放たれた。

 

「──ッ!!?」

 

 吹き飛ぶTオーグ。

 噴き出す返り血──コートが受け止め、ライダーは無傷。

 彼女は墜落。

 その前にライダーが着地。

 

「プラーナそのものへのダメージだ、液化は当分無理だろう?」

 

 近づくライダー。

 彼は、彼女のマスクに手を触れた。

 

「アンタが延命させた下級構成員、あいつらからデータを貰った。お嬢ちゃんの行動が巡って『希望』になったんだ」

 

 あとは彼女次第。

 洗脳に抗ってなければ、意味をなさない。

 

「SHOCKERの洗脳をパリハライズする。アンタのプラーナ、魂の自由を取り戻すんだ」

「──ッ! ……ッ!? っ!」

 

 呻き声が響く。

 手も足も、激しく痙攣。

 一文字はただ見守る。

 

「その苦しみは分かる……悲しみの濁流に耐えるんだ」

「ア……ッアガ」

 

 彼女は動かない。

 絶望に打ちひしがれているのだろう。

 

 ──その時だった。

 いきなり、マスク内部に無線が入った。

 

「なんだ? こんな時に」

 

 彼はその連絡に対し──

 ──そして、無線を切った。

 

(──そうならきゃいいが)

 

 再びTオーグを見守る。

 

「……ア」

 

 そして。

 

 視界が白く染まった。

 

「がっ!?」

 

 それは、無差別に放たれたビームの光。

 吹き飛んだライダーは、すぐさま顔を上げる。

 

(パリハライズ、失敗したのか!?)

 

 だが、それは違った。

 洗脳は解除された。

 

 つまり、これは。

 

「……洗脳、されたままが、良かったのに」

 

 洗脳されたのは。

 彼女自身の、意思だった。

 

「捨ててもらえたのに」

「は?」

「それで、貴方に殺されたかった」

「なんの話だ!」

「……みんな、友達でした」

 

 彼女は嗤う。

 

「でも気づいちゃったんです、それは、わたしが洗脳したからだって」

 

 ライダーは言葉が出なかった。

 彼女の言ってる意味が、全然分からなかった。

 

「……なにを言ってんだ?」

「だってわたし、趣味にかまけて、家族を見殺したクズですよ? こんなのと、友達になる人、いるわけないじゃないですか」

「違う、今のアンタは、絶望で目が曇ってるだけだ」

「違わない!」

 

 例え仮初だったとしても。

 それでも、大切な友達だった。

 だからダメだった。

 

「だってそれじゃ、みんな自分の意思で、わたしの友達になったことになる!」

 

 友達になってくれた。

 だから『絶望』した。

 

「わたしは、わたしが許せない。

 こんな人間が、同じバンドメンバーだったなんて、わたしは耐えられない! 

 

 だから洗脳してもらったんです。

 いっぱい人を傷つければ、みんなわたしを嫌ってくれる。そうすれば、わたしが友達だったことを、忌むべき思い出にしてくれる。

 

 あとは死ねばいい。

 この世からも、思い出からも、消えれば、みんな『幸せ』になれる。

 それが、わたしの『幸福』」

 

 こんな化け物が、ずっと一緒にいた。

 その事実を消し去る。

 これが、みんなの『幸せ』なのだと──自ら洗脳を望んだ。悪逆非道になって捨てられるために。

 

「だが、洗脳に抗っていた!」

 

 ライダーは諦めない。

 必死で心へ呼びかける。

 

「誰も殺さなかった。それはなんでだ!」

「……そりゃ、わたしの勝手で、命を奪っちゃダメだから」

「その優しさで、見捨てようなんて誰も思わない。全部アンタ一人の思い込みだ!」

「貴方になにが分かるんですか!?」

「少しは分かる!」

 

 彼は知っていた。

 自分を殺すほどの『絶望』を。

 

「俺は父親を手に掛けた!」

 

 それはかつて、山田に伝えたことの、真実だった。

 

「……ど、どうして」

「SHOCKERの陰謀だった。本当なら助けられたのに……自分に絶望した。それでも、俺は俺を好きでいたい。アンタだってそうだろう!?」

「ムリです、わたしはそんなに、強くなれない!」

「ぐッ!?」

 

 伸びた腕が振るわれる。

 猛毒を含んだ腕が、街路樹も電柱も溶断していく。

 

「わたしを殺さなきゃ、金沢の人も下北沢の人も、いずれ死にます」

 

 Tオーグが迫る。

 殺させるために、殺しにかかってくる。

 

「殺して、わたしを!」

(届かないのか、俺じゃあ……っ!)

 

 このままじゃ巻き添えが出る。

 ライダーは空へと跳躍。

 Tオーグも追って跳躍──冷静さを欠いた彼女は追ってしまった。

 

「やっぱりアンタ、戦闘向いてない!」

「ッ!!」

 

 ライダーは空中反転。

 必殺のキックが、Tオーグを捉えた。

 

 ──落ちる。

 

 ──落ちる。

 

 ビルの一部をぶち抜き、『地下』へ叩きつけられる。

 

「………」

 

 粉塵の中ライダーが立ち上がる。

 Tオーグは無傷。

 液化が間に合っていた。ライダーは加減していた。全力のキックで()()決断ができなかった──のではない。

 

 別の狙いがあった。

 

「あと、少し、です」

「………」

「プラーナが切れたら、液化できない、貴方の勝ち。さあ、殺してください」

「『降参』だ」

 

 仮面ライダーは。

 両手を上げた。

 

「……は?」

 

 一文字はマスクすら外した。

 

「もう俺のプラーナが持たない、それに、俺はアンタを殺せない。だから降参だ」

「ふざけてるんですか?」

「ふざけてないが」

「……分かりました」

 

 猛毒性化学兵器を手から滴らせ、腕を伸ばす。

 

「じゃあ、いりません、ここで死んでください」

「ああ、仕方ない、戦いだからな」

 

 

「だが、ここは駄目だ」

 

 

 彼女の腕を掴んだ。

 決して『離席』させないために。

 

「ルールは守らなきゃいけない」

「は?」

「ここでの乱闘は禁止されている」

「時間稼ぎのつもりですか?」

「ここは、そういう場所じゃないってことだ」

「いい加減にして、時間稼ぎなら──」

「アンタの言葉だ」

 

 殺すためのキックじゃない。

 ここへ、叩き込むためのキック。

 

「忘れたとは言わせない、あの日アンタが言ったんだ。

 

 

 

 

 ここは音楽を楽しむ場所、だってな」

 

 

 

 

 蒼い光が暗闇を照らす。

 

 スモークが足元を覆い尽くす。

 

「──まさか」

 

 言葉は届かない。

 だが、()()ならば。

 

 ステージ奥の光は。

 『STARRY』の文字を刻んでいた。

 

 

 

「こんばんは、結束バンドです」




タイトル元:仮面ライダー第3エンディングテーマ『ロンリー仮面ライダー』より



ややこしいのでTオーグの戦術まとめ

Tオーグは『受け特化』です。
人質、血清、鍵などを駆使して、行かざるをえないシチュエーションを強制します。

認識改変を人混みで使えば、誰も逃げなくなります。
戦闘中でも誰も逃げません、ライダーは常に巻き添えに注意しなければいけません。

巻き添えを避けるべく、人を避難させるかもしれません。
その為、『時間経過で死ぬ人質』を別途作ります。

Tオーグには高い潜伏能力があります。『有利な戦場じゃないから隠れよう』となり、逃げられた場合、こっちの人質が死にます。

見捨てる奴はいるでしょうが、『ライダー』は両方見捨てません。
以上により、絶対に有利なシチュエーションで迎え撃てます。

その辺抜きにしても液化能力&猛毒性化学兵器で大概圧勝できます。

これは、全てのTオーグの、共通戦術です。



台風ライブでやらなかった、『あのバンド』はここで使用しました。ギターオンリーですが。路上ライブならこの曲でしょう。

一文字の絶望は、半分捏造・半分原作です。詳しく知りたいのなら原作萬画を読みましょう。

STARRYの天井をぶち抜いた費用は、アンチSHOCKER同盟が負担します。幾ら何でも流石に。


高評価を下さった方になります。

☆10:カラドボルグ=レプリカさん

投票、ありがとうございます。
評価、お気に入り、感想、ここすき、沢山お待ちしています。




次回、後藤ひとりは改造人間である。
第22話、『Where you go』。
お待ちください。
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