【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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一か月で3話完成。
10月振りに頑張った。
結束バンドの戦いです。
御覧ください。


Where you go

 仮面ライダーとTオーグが戦っている最中。

 虹夏たちは、STARRYで顔を突き合わせていた。

 

「どうしよう……」

 

 そもそも、ここに集まったのは、なにかをせずには居られなかったから。しかし戦いは始まってしまった。

 

「……大丈夫だよ!」

「虹夏?」

「一文字さんの強さみんな見たでしょ? きっと助け出してくれるよ!」

「……それは、信じてますけど」

 

 一文字を疑う人はいない。

 それに、彼だって、彼女を助けようとしてくれている。

 あとは任せればいい。

 もう、結束バンドの出る幕ではない。

 

 疑うことがあるならば。

 

「帰ってくるんですか、()()()()()に」

「──っ」

 

 仮に、助け出せたとしても。

 今のひとりは、結束バンドには戻って来ない。

 

「なら、なんて言葉をかければ良いの……?」

 

 ひとりの抱える絶望。

 その辛さを、本当の意味で理解するには、同じ絶望を知らなければならない。

 ここにそんな人は居ない。

 誰にも、ひとりの絶望は分からない。

 

「あの子の気持ちを分かってないんじゃ、上っ面の言葉にしか……」

 

 君は悪くない? 

 誰もこんなの望んでない? 

 ──わたしの絶望を分かってない癖に。

 そう言われて終わりだ。

 

「……ぼっちは、一際優しいから、全部自分が悪いって信じてるんだと思う」

 

 その優しさが好きだった。

 その優しさが、救いの手を払いのける。

 

「どうすれば……」

 

 その時、一人の声が流れを割いた。

 

「うーん、分かんないな~」

「……廣井さん?」

「これ、そんな大それたこと?」

「は?」

 

 呆気にとられる一同。

 続けて放たれた、廣井の言葉は、予想だにしないものだった。

 

 

「これ、ただの喧嘩でしょ?」

 

 

 こいつは正気か。

 誰も彼もが、同じことを思った。

 だが廣井は、周りの反応を気にもせず、淡々と問いかける。

 

「ぼっちちゃんは、バンドを辞めよーとしてる。じゃあ、君らは? 辞めてほしいの?」

「……辞めて欲しくないですよ」

「うん、やっぱ良くあることだね~」

「これが!?」

「こんなの、解散の時のゴタゴタで、よく聞く話じゃん。今のこれも、要するにそーでしょ?」

 

 言ってることは正しい。

 だが、と虹夏は反論する。

 

「で、ですけど、あたしたちは、あの子の絶望を──」

「いや、それマジどーでもいいから」

 

 廣井は切って捨てた。

 

「辛い過去? それこそ、ありふれた事柄だ。それを一々乗り越えなきゃ、バンド活動が許されないって言うの? あの子を救うとかなんだとか──ああどいつもこいつも()()()()!」

 

 個性が集まって、一つの音楽になる。

 

「もっとエゴ出せ! それがロックだ! 多分!」

 

 だがそれは、自分の思いを殺すことではない。

 

「辞めてほしくないなら、土下座してでも引き留めろ!」

 

 彼女たちは思う。

 わたしたちは、どうしたい? 

 

「──ライブをやろう」

 

 山田の言葉に、二人も同意した。

 それが一番だと、自然と思った。

 山田がUSBメモリを取り出す。その中には、一夜漬けで完成させた新曲が入っている。

 

「一文字さんに頼んで、ぼっちをここに連れてきて貰う」

「ど、どう連絡するの?」

「無線があると思う。あるよね?」

 

 政府の男たちも横道で聞いていた。

 しかし、当然首を横に振る。

 

「ダメだ」

「なんで?」

「民間人を必用以上の危険には晒せない」

「でも、貴方たちだって、できればあの子を捕獲したいはずだ」

「ライダーに任せればいい」

「可能性は、高い方が、良いと思います」

「………」

「どうか、お願いします」

 

 ──実のところ、答えは決まっていた。

 ハナからこれが目的。彼女たちに真実を伝えたのは、この『手段』が欲しかったから。

 

「ライダーが、説得に失敗した時だけだ」

「!」

「彼女が不審な動きをした場合、即座に排除。君たちの前で惨殺することになる」

「……それが、条件?」

「そうだ」

 

 捕獲が理想だ。

 殺したら、『鍵』が壊れかねないのもある。

 ──それに、できれば助けたい。

 彼らだってそう思っていた。

 

「あ、ありがとうございます!」

「お姉ちゃん!」

「……この流れで断れる訳ねぇだろ、おい」

「は~い、セット始めときますね~」

「一文字、聞こえているか、お前に追加の依頼が──」

 

 動き出す大人たち。

 結束バンドも動き出す。

 

「じゃあこれスコア、時間ないけど頭に叩き込んで、2分後に合わせ練習ね」

「は、はい!」

(ぼっちちゃん……!)

 

 

 *

 

 

 ──数分後。

 ライダーは説得に失敗。

 無線を受けた彼は、サブプランに移行。

 Tオーグを蹴り落とす。

 

 彼女はここがSTARRYだと気づく。

 

「まさか」

 

 スモークの奥。

 光るSTARRYの文字。

 ステージに立つ、虹夏、山田、喜多。

 そして、黒いギター。

 リードギターのポジションに、Tオーグ用ブラック・ビューティが立てかけられていた。

 

「こんばんは、結束バンドです」

 

 息を吸う。

 一瞬、彼女と眼を合わせる。

 歌には、気持ちが現れる。

 だから聞かせよう。

 

 この心を。

 

 ──ライブが始まった。

 

 

 

 *

 

 

 イントロで。

 すぐ気がついた。

 これ、多分、わたしの曲だ。

 前、リョウさんに送った歌詞だ。この音は──それにピッタリだったから。

 曲名は、『フラッシュバッカー』。

 

 

 

「転換点 いつかノートに

 

 書いたあの言葉たちは

 

 きっと 泡になって消えた

 

 行方なんて知らない」

 

 

 

 歌詞を見たリョウさんは一言。

 寂しいね──と言った。

 

 その通りだ。

 わたしの作詞は、だいたいネガティブだけど、今回のは……江の島の思い出があったから、余計にこうなった。

 

 楽しかった。

 でも、ずっとはいられない。

 それを感じたんだ。

 分かっていた。

 このまま、一緒にいることは無理だって。

 

 

 

「擦切った白いチョークが

 

 はらはらと落ちていった

 

 まるで 星屑みたいだと

 

 見とれていたんだ 嗚呼」

 

 

 

 だからこそ、みんなのと日々は。

 代えがたくて、輝いていて。

 ……反面不安になる。また独りになったら、わたしはどれほど絶望するのだろうか? 

 

 それでも思い出す。

 この日々を

 わたしは忘れない。

 この音楽を。

 

 そして、この詩が完成したんだ。

 

 

 

「いつかは消えてしまうけど

 

 誰かの記憶には残れるかな

 

 この瞬間を切り取ってさ」

 

 

 

 できるのなら。

 みんなにとっても、そうでありますようにと。

 

 ……今じゃ逆だ。

 

 みんなの中から、わたしを消したい。

 こんなライブは聞きたくない。耳を塞いでしまいたい。

 なのに、音は雪崩込む。

 こっちの気持ちも考えないで、一方的に音の濁流が押し寄せる。わたしはそれに呑まれるしかない。

 

 ──押し寄せる? 

 

 

 

「光る朝が 朝が あまりに眩しい 眩しいからさ

 

 なんかもう それだけで 心が宙に舞う」

 

 

 

 なにか違う。

 

 憐れんでるのかと思った。

 説得かと思った。

 救おうとしてるのかと思った。

 

 これは違う。

 みんな、自分の心を、叫んでいるだけ? 

 

 わたしは気がついた。

 喜多ちゃんが、怒ってることに。

 

 

 

「君の言葉がずっと 離れない 離れない

 

 フラッシュバッカー 今も思い出してる」

 

 

 

 ああ、当然か。

 約束を一方的に破ったんだ。

 

 ──あんな簡単に破るなんて! 

 

 そう、言われた気がする。

 

 ──だいたい、全部、後藤さんのせいなのよ!? 

 

 それは、どういうこと? 

 

 

 

「薄明に染まる空が 淡い彩りこぼして

 

 こんなちっぽけな僕の 背中を包んでく」

 

 

 

 ボーカルが叫ぶ。

 ここにいられるのは、貴女のお陰だと。

 逃げ出したわたしの背中を、押してくれたからだって。

 

 ……今なら分かる。

 知っていたんだ、()()()の絶望を。

 家族を助けるチャンスを失った。喜多ちゃんには、そんな思いをしてほしくなかった。

 

 ──だったら、責任を取って。

 

 

 

「透明なこの体は 何色になれるの? 

 

 ただ水のように流れ 消えてゆくだけ? ねぇ」

 

 

 

 ボーカルは止まらない。

 ここに連れてきたこと。音楽の楽しさを教えてくれたこと。もう透明には戻れないこと。

 その全ての責任を、取ってくれなきゃダメだと叫んでいる。

 

 だから、もっと『楽しい』を積み上げよう。

 例えいつか、別れが来ても。

 それは、こんな形じゃない。

 

 わたしはまだ、楽しみ足りない。

 ライブも、遊びも、練習も、沢山の思い出を貴女と作りたい。

 

 

 そして、喜多ちゃんは微笑んだ。

 ──ひとりちゃんも、楽しかったでしょう? 

 

 

 その最後に別れがくるのなら。

 笑顔でサヨナラをしよう。

 その日まで、隣にいなきゃダメ。無理矢理にでも聞かせてあげる。貴女は沢山、愛されてるってことを──

 

 

 *

 

 

 ベースが響く。

 少し、遅れていた。

 なぜか、申し訳なさが漂っていた。

 リョウさんが呟く。

 

 ──ごめんね。

 ──酷いこと言って。

 

 リョウさんは謝ってきた。

 ──辛いことも個性になる。そう言ったことを。

 わたしの絶望を知らないで、そんな発言をしてしまったことを、リョウさんは悔いていた。

 

 でも、と。

 彼女は顔を上げた。

 

 ──あの言葉は、間違ってなかった。

 

 

 

「ぼやけたままのフォーカスじゃ

 

 君のホンモノは写せないよ

 

 寂しげな顔で 君が笑う」

 

 

 

 ベースが加速する。

 リョウさんは弾き続ける。

 物語を語るように。

 

 ──ぼっちの詩が好きだ。

 ──ぼっちの全部が好きだ。

 

 記憶を失ってようが関係ない。

 改造されても、ギターを弾けるように足掻き続けてた。

 

 ──違う。

 諦めようとしていた。

 

 バンドのことを思って、行動してくれた。

 

 ──違う。

 独りが怖かっただけだ。

 

 だからだ。

 

 

「光る朝が 朝が あまりに眩しい 眩しいからさ

 

 ちょっとさ らしくはない 未来も信じちゃうよ」

 

 

 リョウさんは語る。

 孤独だったから、仲間の大切さを知っていたんだ。

 ぼっちの孤独が、絶望が、今の君を形作っている。

 これは間違いないことだって。

 

 

 その輝きに、わたしは目を焼かれた。

 

 

 絶望したから書ける詩がある。

 孤独だから弾ける音がある。

 

 

 

「君の言葉がずっと 離れない 離れない

 

 フラッシュバッカー

 

 今も思い出してる」

 

 

 

 何度でも言うよ。

 わたしはぼっちが好きだ。

 

 もしかしたら、改造人間じゃないぼっちと出会う──そんな未来もあったのかもしれない。

 

 でも、わたしが会ったのは君だ。

 他の誰でもない。ここにしかいない君なんだ。

 

 だから最後まで一緒だ。

 所詮、高校生の口約束だけど。

 これが、ぼっちを肯定した、わたしの役割だから──

 

 

 *

 

 

 大きな大きな。

 ドラムの音が響き渡った。

 

 虹夏ちゃんが、まっすぐわたしを見つめていた。

 

 ──ぼっちちゃん。

 ──覚えてるよね? あの日の言葉。

 ──二人でダブルヒーローだって。

 

 覚えている。

 でも、違った。

 やっぱりわたしはヒーローじゃなかった。

 

 なのにシンバルが鳴る。

 爆音が否定を掻き消していく。

 

 ──ううん、やっぱり君はヒーローだ。

 

 初ライブの時も。

 台風ライブの時も。

 ぼっちちゃんが助けてくれた。

 恐かっただろうに、勇気を振り絞ってくれた。誰かの為に戦える君はヒーローだ。

 

 そして彼女は言った。

 

 ──だから察した。

 ──これも、わたしたちのためなんだって。

 

 自分がいなくなれば、わたしたちは幸せになれる。だから嫌われて、思い出からも消そうとしたんだよね?ごめん。その絶望を察することすらできなくて。

 

 ──でも言うよ。

 ──ぼっちちゃんの思い込みだ。

 

 君がいるから、未来を信じられる。

 君がいなくなったら、わたしは二度と夢は見れない。

 幸せにはなれない。絶望してしまう。

 

 ──それで良いの? わたしのヒーロー? 

 

 分からないよ。

 そんな、未来のことは分からない。

 

 かもね、と虹夏ちゃんが呟く。

 君がいなくなった世界でも、わたしは別の幸せを見つけるのかもしれないと。

 ──だけど、忘れないよ。

 

 

 

「光る朝が 朝が あまりに眩しい 眩しいからさ

 

 なんかもう それだけで 心が宙に舞う」

 

 

 

 虹夏ちゃんは願っていた。

 

 君の言葉を離さない。

 絶望を抱えて、わたしは生きていくと。

 行方なんて知らない。

 これが今。わたしの思い。

 

 ──ぼっちちゃんは、どう? 

 これが、本当に君の幸せなの? 

 

 

 わたしは違うよ。

 もっと、夢を信じていたい。

 

 

 だから、今はこの歌を。

 ヒーローだって。

 偶には、自分の為に戦っても、いいんだ──

 

 

 

「君の言葉がずっと 離さない 離さない

 

 フラッシュバッカー

 

 今も思い出してる──……」

 

 

 

 夜に沈む星の中。

 

 欠けた星座が、光を放つ。

 

 ボーカルの詩が、凍てつく夜を走り出す。

 

 ベースの唄が、そんな夜を温める。

 

 ドラムの歌が、手を伸ばして連れて行く。

 

 暗がりを分けて。

 再び、心に命を芽生えさせる。

 

 

 ──ライブは、終わった。

 

 

 *

 

 

 一文字は、手を離していた。

 もう、拘束は要らなかった。

 

「「ド……」」

 

 二人は目を合わせた。

 言いたいことは同じだった。

 

「「ド下手だ……」」

「がっ」

 

 喜多ちゃんが崩れ落ちた。

 実際、酷い演奏だったのである。

 しかし虹夏はキレた。

 

「開口一番がそれッ!?」

「え、あ、その」

「先輩すいません、全然弾けませんでした……」

「まあ、譜面読んで、一曲通しただけじゃ、止む無し」

「だいたい、リードギターいないんだから、余計酷くなるに決まってるじゃんッ!」

「うっ……」

「それで」

 

 一頻り叫んで落ち着いた後、虹夏は笑いかけた。

 目元に少し、涙を湛えて。

 

「楽しかった?」

「………」

 

 全てを否定する。

 自分が歩んできた全てを。

 それが、ひとりの幸福だった。

 その中には、当然『ギター』も含まれていた。

 

 ギターを『兵器』にしたのは、それが理由。

 ギターで人を傷つけ、貶めた。そうすればギターも嫌いになれる。自分の中から捨て去ってしまえる。

 その筈だった。

 

「……嫌だ」

 

 全部、これのせいなのに。

 

「……なんで、わたし」

 

 しかし、ライブを聞いて。

 浮かんでくる感情は、一つしかない。

 

「……ギターを、嫌いに、なれないの……?」

 

 良い演奏にできる。

 もっと、楽しい演奏になる。

 あれはわたしの曲だ。だからギターを弾かせろ──と、心が叫ぶ。

 

 嫌だ。

 

 まだ、ギターを好きでいる自分が。

 

「……ぼっちちゃん」

 

 虹夏が客席に降りる。

 山田も、喜多も、ステージを降りる。

 

「マスク、外すよ」

 

 そして、ツチノコのマスクを取り外す。

 

「聞こえたよね?」

「──っ」

 

 問いかけは、要らなかった。

 演奏に全部詰め込まれていた。

 

 ──ギターが好きだ。

 

 ──音楽が好きだ。

 

 ──まだ、足りない。

 

「き……」

 

 光は輝いた。

 彼女の孤独は暴き出された。

 

「聞こえ、ました……!」

 

 溢れる程の、涙が零れる。

 仮面は、もう、いらない。

 

 

 *

 

 

 抱き合って、泣き叫ぶ四人。

 一文字は、それを遠くから眺めていた。

 

「報告だ」

 

 彼へ政府の男が話しかける。

 

「被害者のプラーナが、全て解放された。彼女が自主的に解放したのだろう」

「……あの子が、ギターを奪おうとしなくて良かった」

「そうだな」

 

 ステージに置かれた、Tオーグ用ギター。

 あれが『罠』だった。

 演奏を聞かず、奪取へ動くようなら、ギターに仕掛けた小型爆弾でTオーグのみをピンポイント排除する予定だったのだ。

 

 虹夏たちを巻き込まない加害範囲だが……怪我はあり得る。

 使わないのが一番だった。

 

「質問がある」

「なんだ」

「あいつらに事実を開示したのは、このためか?」

「………」

 

 政府の男は答えない。

 

「事実を告げて、逃げるなら巻き込まなくて済む。協力なら『生け捕り』の成功率が上がる。どっちに転んでも得しかないからな」

「軽蔑するか?」

「……いや、しない」

「なぜだ?」

「俺にも、正解が分からなかった」

 

 隠してしまえば、彼女たちは安全だった。

 ……だが、それは正しいのか? 

 何も伝えず、友人と引き裂くことが、正解だったのか。しかし伝えてしまえば、危険に晒す可能性が高くなる。

 

「ただ、利用する気だったのはスッキリしない」

「では、どうする?」

 

 一文字は、中指を掲げた。

 

「デコピンを一発、それで許す」

「構わないが」

「……良いのか?」

「しかし政府上層部はお前を危険なオーグだと判断するだろう」

「はっ?」

「お前とこんな形で別れるとは、悲しい限りだ」

「………」

 

 一文字は深く溜息を吐く。

 

(……しかし)

 

 不思議だと、彼は思う。

 演奏の最中、彼女たちの心が聞こえた気がした。

 あれは、幻聴なのだろうか? 

 そういえば、プラーナの実験で、触れた者の過去が、流れ込む現象があったらしい。

 

(プラーナは空気、音とは空気の震動、音楽とプラーナは相性が良いのかもしれない……なんてな)

 

 科学はどうでもいい。

 変えたくないものが、変わらずに済んだ。

 

 それで、十分満足だ。

 

 残りの仕事を完遂すれば。

 

「……外の敵は?」

「完全に排除した、だが負傷者も多い。今応援を呼んでいる」

「そうか、分かっッ!?」

 

 その時、彼は気がついた。

 指先の動きが、鈍っていることに。

 

 麻痺ガスだった。

 

 Tオーグが用いる無色無臭の。

 

 彼は理解した。

 敵襲はこの為だ。

 自分たちを戦わせたのもそう。

 

 護衛を減らすこと。

 ライダーとTオーグの力を削ぐこと。

 そして、襲撃し易くすること。

 

 

「後藤! 伏せ──」

 

 

 だが、見誤った。

 

 ビームの発射音が響く。

 

 身体を貫き、風穴が空く。

 

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 虹夏が。

 血を吐き倒れた。

 

 

 

 

「虹夏ちゃん!!!」

 

 

 

 

 床に転がる仮面。

 

 脱ぎ去ったTオーグのマスク。

 

 その後ろに刻まれた記号が、事の全てを告げていた。

 

 記された記号は──

 

 

 

 

SHOCKER

 

TSUCHINOKO-AUG

 

TSA-()()




タイトル元:シン・仮面ライダーエンディングテーマ『Where you go』より

『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード』
第2ツチノコオーグ/後藤ひとり
イワンはまず、ステルス:電子改竄能力を持つオーグを作った。
これが、『第1ツチノコオーグ/後藤ふたり』である。
しかし、鋭い者は存在に気づく。
そこで、違和感を消すという着想を得た。
これが、『第2ツチノコオーグ/後藤ひとり』である。
戦闘になった際は、防衛特化ということもあり、厄介な戦法を多用。猛毒性化学兵器を利用した多種な毒ガス()。対プラーナコーティングを施したTヴィルース()等。
歩くBC兵器+情報災害と呼ぶべき存在。
冗談抜きに、SHOCKERの最終傑作と言えよう。




歌で心を伝えるのは。
とても(書き方的に)難しくて。
……だいぶ、独特な表現になった気がします。
……伝わったかな。

伏線はそこそこ仕込んでいました。
でも、気づかなくても、察してる方は多いんじゃないかな。

一部、ぼざろOPの構図まんまのシーンがあります。
気づいた?



捜索で紹介してくださった、huntfieldさん。ありがとうございます。
評価、お気に入り、感想、ここすき、沢山お待ちしています。
……今回高評価なかった。
クライマックスに向けてモチベを上げたいので高評価をッ!



次回、後藤ひとりは改造人間である。
第23話 『フライングホッパー(ズ)』。
お待ちください。

……タイトルがネタバレ過ぎる……



あと3話で完結予定。












































『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード』
第2ツチノコオーグ/後藤ひとり
『警告:以下上級構成員のみ閲覧許可』
















































































大戸島近海で、核物質を捕食するバクテリアを採取。
奇跡的に抽出できたプラーナを第2Tオーグに組み込むことに成功。
しかし原因は不明だが、現在は未活性状態。
覚醒には、最大出力ビームの発射体勢、何らかの手段による凍結、規定回数の死亡・蘇生、放射能汚染が必要と推定。
覚醒すれば、プラーナ変換細胞膜の稼働が開始。水や空気から無限にプラーナを自己生成可能となる。原子兵器()運用も可能になる為、歩くABC兵器+情報災害へ進化するだろう。
このバクテリアを、SHOCKER内部で『G』と呼称。
覚醒時は、Gオーグと改名予定。
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