【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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薄々気づきつつあった&エゴサで確信に至る。
もしかして、あらすじのせいで、今作ギャグ扱いされている?
いやギャグもやってるが……
なので、あらすじをちょっとだけ変えました。

仮面ライダーといえば同族殺し。
同族殺しといえば家族殺し。
家族殺しといえば……
御覧ください。


フライングホッパー(ズ)

 ビームが虹夏を貫く。

 脚に風穴が空き、その場に崩れ落ちる。

 

「あっ――っ」

 

 そして、ひとりも倒れた。

 全員が動けなくなっていた。

 天井の穴から、毒ガスが流し込まれていた。

 

「に、虹夏、ちゃ……」

 

 それでも必死で、虹夏へ手を伸ばす。

 

 

 

「あれー? 効きが悪い……あっ同じTオーグだから耐性あるのかな?」

 

 

 

 自分の耳を疑った。

 死んだのを見た訳じゃない。

 でも……きっと、生きてはいないだろう。

 そう思っていた。

 

 希望が蘇ったはずだった。

 なのに、心臓が潰されるようだった。

 

「うーん、まあ、しばらく動かなそうだし、大丈夫だよね!」

「……ふ」

 

 会いたかった人がいた。

 会いたくなかった人がいた。

 

「……ふ、たり……?」

「あ、久しぶり、お姉ちゃん!」

 

 

 *

 

 

 記憶の封印を解いた時。

 ひとりの心は壊れた。

 しかし、壊れながらも思い出した。

 

 あの日、ふたりを()()()()()()()()

 

 あの子の目の前で家族は死んだ。自分も殺されかねない恐怖の中、どんな気持ちでわたしに助けを求めたのだろう? 

 

 ……きっと、信じてたんだ。

 お姉ちゃんなら助けてくれるって。

 

 

 そしてふたりが目にしたのは。

 能天気にギターを弾いてる、わたしの姿だ。

 

 

 あの時の、ふたりの顔を思い出すたび、胸が引き裂かれる。

 

 ようやく自覚できた。

 なんで、妹の名前に○○○とノイズが走っていたのか。

 

 一番の絶望だからだ。

 わたしがあの子を、絶望に叩き落としてしまったからだ。

 

 もし生きて再会できたら、わたしはなにを思うのだろう? 生きていたことを喜べるのか、恐くて顔を見れないのか。

 

 答えがこの光景。

 虹夏ちゃんが撃たれる『絶望』だった。

 

 

 *

 

 

 思考が止まっていた。

 

「……ふたり、なの……ほ、本当に……?」

 

 やっと言えたのは、そんなよくある言葉。

 

「えー!? 妹なのに分からないのー!? あっでも、今わたし身長凄い伸びてるから、混乱しちゃうよねー」

 

 ふたりは5歳だ。

 なのに身長が、15歳のひとりと同じくらいに成長している。改造の影響なのだろうか。

 

「それじゃ、『虹夏ちゃん』貰ってくね!」

「!?」

 

 ふたりは失神している虹夏を担ぐ。

 

「な、なにを……!」

「えっとねー、Tヴィルースを撃ち込んで、あと1時間で死ぬようにしといたよ!」

「……は?」

「血清はね、わたしを殺せば手に入ります! ふふ、間に合うかな?」

 

 記憶の中のふたりと同じだ

 無邪気に遊び、鈴を転がすように笑っている。

 人が死ぬというのに。

 

「あ! 止血は後でしとくねー、時間どーりじゃないと、つまんないし!」

 

 これは悪夢? 

 わたしへの罰? 

 

「なんで、こんなこと、を……!」

「それは内緒!」

「ふざけ、ないで!」

「えー、じゃあ、ちょっとだけ」

 

 仮面をひとりに近づけて。

 とても優しく囁いた。

 

「お姉ちゃんに、幸せになってほしいんだ」

 

 第1Tオーグが立ち去る。

 

「じゃあね! ふたりのところまで、来れるかなー?」

 

 虹夏も一緒に消えた。

 

「──────、ぁ」

 

 麻痺し切った身体では、慟哭すらも上がらない。

 

 

 *

 

 

 麻痺ガスの効果は一時的だった。

 数十分経つ頃には、全員動けるようになった──だが、既に30分が経過。

 タイムリミットが迫る。

 政府の二人はまず、星歌に頭を下げた。

 

「時間がない、今は簡潔に済ませる、申し訳ない」

「………」

 

 星歌はなにも言わなかった。

 いや、誰もなにも言えなかった。

 

 特にひとりは。

 

「………」

 

 虚ろな目。

 座り込んで動かない。

 廃人になってしまったかのよう。

 

 当然だ、と一文字は思う。

 

(……絶望の再現だ)

 

 大切な人が襲われた。

 目の前にいたのに、また、なにもできなかった。

 しかも、やったのは自分の妹。

 地獄でしかない。

 

「なんで、あの子を攫ったんだ」

「『連中』が、なにかを吹き込んだのかもしれない」

「クソッ、SHOCKERは壊滅したのに……!」

 

 背後には『連中』がいる。

 第2Tオーグが完成し、不要品として廃棄されるところを『連中』が回収したのだろうか? 

 いや、今やるべきことは決まってる。

 

「あの子を助け出す、行き先は?」

「追跡はできている」

「分かった」

 

 赤いマフラーが翻る。

 

「こんなエンディング認めるわけねぇだろ」

 

 バイクに乗り込む。

 ヘルメットを被り、エンジンに点火。

 

「……あ、あの」

 

 その時、ひとりが立ちあがった。

 

「……わ、わたしを連れて行ってください」

 

 一文字は彼女の顔を見る。

 少しだが、目に光が戻っている。

 

「断る」

 

 だがこれではダメだ。

 

「アンタは人を傷つけた危険なオーグだ。そんな奴を戦いには連れて行けない」

 

 嘘を吐いた。

 置いてく為の方便だった。

 

 これまでの付き合いで、彼女の性格は分かっている。

 あいつに『似て』優し過ぎる、だから罪悪感(絶望)を引き摺ってしまう。そんな精神状態では動けなくなる、親友の命がかかっている状況でも。

 妹こそ、絶望の象徴なのだから。

 

 しかし、それは一文字の勘違いだった。

 

「た、戦いは、しません」

 

 そして、彼は驚くことになる。

 

「わ、わたしは、妹を守りたい。お父さんと、お母さんの願いのために」

 

 彼はその言葉を知っていた。

 仲間の言葉だった。

 

「親友が傷つけられてもか?」

「あっそれは、怒ります。でも、あの子も怒ってるだろうから……た、多分、喧嘩します」

「これが、喧嘩」

 

 一文字は思う。

 彼女は、あいつと『同じく』優し過ぎる。

 だが、あいつがそんな奴だったから、今俺は仮面ライダーでいられる。

 彼はひとりを信じることにした。

 

「乗れ」

「えっ」

「俺の後ろだ」

「……は、はい!」

「待って、後藤さん!」

 

 呼び止められる。

 振り返ると、二人がギターケースを持っていた。

 父親の形見であるレスポール・カスタム。

 SHOCKERによるレスポール・カスタム。

 

「二本とも持って行って」

「……ど、どうして?」

「持ってた方が戦力アップになるでしょ。政府の人も良いよね」

「民間人に被害を出せば排除する」

「良いってさ」

 

 なるほど、と納得する。

 持っておいて損はない、不要なら使わなければ良い。

 そうなると、父親のギターは? 

 

「あ、あの、こっちは武器には」

「……ひとりちゃんが持ってた方が、良い気がするの。ただの勘だけど」

「……分かりました」

「じゃあ、渡すわ」

「はいぼっち」

「ど、どうも」

 

 ギグバを受け取る。

 一瞬二人の手に触れる。

 

(!!)

 

 山田と喜多の手は、弱々しく震えていた。

 ああ、当然だ。

 二人だって恐くて仕方がないに決まってる。それをおくびにも出さないのは、わたしを不安にさせないための優しさなんだ。

 

「ひとりちゃん」

「はい」

「文化祭、みんなで一緒に出ましょう」

「ぼっちも、虹夏も……全員で出よう」

「はい、今度は約束、破りません」

 

 二人は笑顔だった。

 涙を溢さないように、笑っていた。

 ひとりも笑い返す。

 二人に安心して、待ってて欲しいから。

 

 そしてバイクに乗り込む。

 あとは出撃だけ──だった。

 

「……店長さん?」

 

 バイクの前に星歌がいた。

 

「どいてくれ、時間がない」

「すぐ退く」

 

 彼女はひとりに近づく。

 そして──

 

 ──バチン。

 

 平手打ちの音が響いた。

 

「いい加減にしろよ」

 

 その言葉の意味を、ひとりは察していた。

 

「自分がバンド加入したら、周りが巻き込まれるって思わなかったのか」

「……言えませんでした」

「虹夏から聞いただろ、母親の話」

「……聞きました」

「だったら、早く別れろよ!!」

 

 星歌が叫ぶ。

 誰も聞いたことのない、悲痛な声で。

 

「お前が暴走してる時、虹夏は泣いてたんだぞ。お前の妹のせいで、こんなことになったんだぞ!?」

 

 胸倉を掴む。

 首元を締め上げてくる。

 

「喜んでたんだ……夢の第一歩だって……最後がこれなら、始めから加入するなよ、お前のせいだ、わたしから虹夏まで奪う気なのか!?」

 

 抵抗はしない。

 受け止める。

 

「……もう、やめてくれよ」

「………」

 

 やがて星歌は、腕を下ろす。

 静かに泣き崩れる。

 

 彼女だって分かっていた。

 ひとりは悪くないと。

 だが、また家族が消える悪夢に、また何もできない無力感に──冷静でいられるほど、かつての絶望を乗り越えてはいなかった。

 

「……全部、お前のせいだ」

「……はい」

「だから、絶対に、連れて帰れ」

「…はい」

「そうでなきゃ、STARRYには入れない、ずっと」

「はい」

 

 託すしかない。

 託されるしかない。

 だから断言する。

 

「必ず」

 

 助けられるのは、わたしだけだから。

 

「いいな、後藤」

「は、はい、お願いします」

 

 ひとりは、ギグバを抱きしめる。

 お父さんのプラーナが、感じられる気がする。

 いや──ここには思い出がある。お母さんも、ジミヘンも、ふたりのプラーナもきっと残っている。

 

 彼女は願う。

 わたしを、わたしたちを、見届けてくださいと。

 

 そして、ヘルメットを被った。

 

「行くぞッ!!」

「はい!」

 

 

 *

 

 

 走り出すバイク。

 

 それは仮初の姿。

 トリガーを上げる。グリップを下ろす。

 ボディが裏返り、全身が組み変わっていく。

 真の姿へ『変身』。

 シン・サイクロン号が現れる。

 

「加速する、掴まってろ!」

「は、はい!」

 

 風を受けて回り出す。

 ベルトのタイフーンが。

 全身の細胞(セル)タイフーン群が。

 消費したプラーナを、少しでも回復させておく。

 

「このまま行けば、7分ぐらいで目的地だ」

 

 二人のヘルメットも裏返る。

 もう一つの顔が現れる。

 

 サイクロン号は東名高速道路へ突入した。

 

 

 

 

 時間は深夜。

 車は見かけず、事故の恐れはない。

 気兼ねなく最大速度で走り抜ける。

 残り時間は20分。

 

 間に合うだろう。

 妨害が入らなければ。

 

「──っ!?」

 

 背筋が凍る感覚、ひとりはそれに覚えがあった。

 

(こ、これ、打ち上げの時、感じた視線と一緒……!?)

 

 あれは、仮面ライダーのだと思っていた。

 

(でも、一文字さんはここにいる、じゃあ、あの時の視線は、まさか別のオーグメント……!?)

「気づいたか」

 

 地鳴りが聞こえる。

 唸るエンジン音が。

 

「あの日、踏切にいたのは、俺じゃない。アンタの危機感を煽って、俺と戦うよう仕向けた。奴らは潰し合いを望んでいたんだ」

 

 ──現れる。

 ジャンクションから。

 ──次に現れる。

 インターチェンジから。

 ──次々に現れる。

 パーキングエリアから。

 

 黒いバッタの仮面が。

 

「か、仮面ライダー……!?」

「こいつらは大量発生型相変異バッタオーグ、いわゆる量産型だ。救おうとだなんて思うなよ、改造前から禄でもない連中もいるんだ」

 

 仮に犠牲者だとしても、救う余裕はない。

 

「──来るぞッ!!」

 

 5体の仮面が銃を構えた。

 

 

 *

 

 

 引かれるトリガー。

 降り注ぐ銃弾。

 

「頭を下げろ!」

 

 ブレーキを踏み込む。

 減速し後方へ退避。

 すれ違いざまに攻撃するが、敵が散開し空振り。

 今度は前方から弾幕が迫る。

 

「い、一文字さん!」

「舌噛むぞ!」

 

 端へ移動、銃撃の射線から逃れる。

 だが敵は包囲せんと回り込んで来る。

 

(時間がない、こいつらを一気に排除するには……!?)

 

 残り時間15分が迫る。

 

「後藤! 荒い運転をする!」

「ど、どうぞ!」

 

 包囲しようと、敵の速度が落ちた瞬間一気に加速。サイクロン号が前へ踊り出る。マシンの性能は互角。しかしテクニックは別だ。

 

「振り切ってやる!」

 

 一文字は熟練のバイカー。狭いトンネルでもなければ障害物もない。ドライビングテクニックを存分に発揮、不規則な軌道に、敵は掻き乱される。

 

 すると敵はどうするか? 

 全員が、一番効率的な進路を辿る。

 だから一列になる。

 

(条件は整った、後は──来た!)

 

 ブースターを消す。

 ライトも消す。

 そして『トンネル』の中へ。

 

 それを敵は嘲笑う。

 光を消して、トンネルの闇に紛れる気か? 

 馬鹿め、トンネル内にも明かりはある。

 見失うとでも思ったか──と。

 

 敵もトンネルへ。

 

 だがライダーの策は『紛れる』ではなかった。

 

 サイクロン号が消えた。

 

『!?』

 

 否、バイクはトンネル内にいた。

 ただし、()()()()()()()()。その速度と技術で、壁伝いに天井まで一気に走り登った。敵の不意を突く為の策。

 

「貰った!!」

 

 背後へ降り立つ。

 敵は今『一列』、一瞬見失って『隙』を晒した。

 

 渾身の蹴りを放つ。

 5体全員が吹き飛び落車。

 

(殺しはしない、嬢ちゃんの前だしな……)

「い、一文字さん!!」

「すぐ戻る!」

 

 サイクロンへ再度搭乗。

 そしてトンネルを抜けて──

 

「しょ、正面からっ!!」

「なっ!?」

 

 さっきの5体に集中していた。

 接近を見逃してしまった。

 

 新たな5体の仮面が、真正面から『逆走』してきていたのだ。

 

(衝突!?)

「──っ!!」

 

 その時だった。

 バイクに乗っていたひとりが、ギター取り出した。

 

「お前!?」

「こ、殺したりは、しません、ごめんなさい!」

 

 ──ギュイイイインッ!!! 

 

 第2Tオーグが。

 SHOCKER用レスポールを掻き鳴らす。

 正面のバイクが爆散した。

 

「は?」

 

 3体の敵が地面を転がっていく。

 残る2体は端へ退避。

 

 第2Tオーグが。

 地面にギターをあてながら掻き鳴らす。

 コンクリートが溶けた。

 

「は??」

 

 泥濘に突っ込んだも同然。

 残る2体はバランスを崩し落車。

 

「お、終わりました」

「……今のは?」

「え、えっと、共振でバイクを壊して、振動で地面を液化させました」

「……プラーナの消耗は?」

「あっ、これ、増幅装置も兼ねてるので……」

「……そうか」

 

 音の力を利用してプラーナを増幅、ギターを鳴らす度に回復可能。ついでにギターで攻撃もできる。

 

「す、すいません、戦いを押し付けて」

「い、いや……」

 

 一文字は心の中で感謝した。

 

(感謝するぞ、下級構成員たち)

 

 彼らがギターを隠さなければ、これと戦う羽目になっていた。勝てる気がしなかった。

 

(本当にありがとう!)

 

 しかし、敵は一度負けたオーグを、そのまま使い回すほどアホではなかった。

 結論から言って、『追加改造』を施していた。

 ──彼らの耳に、異音が届く。

 

「なんの音だ」

 

 ブースターの音。

 だが、サイクロン号の音じゃない。

 聞いたことのない轟音が、10個迫ってきている。

 しかも──早い。

 

「サイクロン号より早い……!?」

「お、追い付かれます!」

「新手か!?」

 

 彼は背後へ振り返った。

 

 先程倒した10体の大量発生型相変異バッタオーグ。

 

 それが、()()()()()

 

「嘘だろ」

 

 足裏から火を噴いて飛んでいた。

 そして両手を突き出す。

 指先はマシンガンになっていた。

 

「ッ!!」

 

 空中から弾幕が降り注ぐ。

 振り切ろうにも、速度も小回りも向こうが上。

 タイムリミットが来てしまう。

 

「………」

 

 ライダーはある決断を下した。

 

「ハンドルを握れ」

「え?」

「今、自動操縦に切り替えた、目的地まで連れてってくれる」

「……ま、まさか」

 

 ひとりが言いかけた時。

 一文字は、自分のマフラーを手渡した。

 

「あ、あの?」

「ヒーローと言えば赤、らしい」

「……ヒーロー」

「アンタの性能は信じてない、だが、アンタの優しさは信じてる」

 

 昔、彼女がそうしてくれたように。

 彼はひとりの首元に、マフラーを巻き付ける。

 

「先に行け!」

 

 彼はバイクから飛び降りた。

 

「い、一文字さんっ」

「俺もあとで追いつく!」

「──っ」

 

 ひとりはハンドルを握る。

 そして、喉の限り、彼に向って叫んだ。

 

「行ってきます!」

「ああ!」

 

 走り去るサイクロン。

 一文字はひとりを見送る。

 そして、自分を取り囲む敵を前に、不敵に笑った。

 

「お前ら知らないのか?」

 

 勝ち目はある。

 それまで持ちこたえられれば。

 

「再生怪人は、負けフラグだってな!」

 

 仮面ライダー第2号の瞳が輝いた。

 

 

 *

 

 

 自動操縦のバイクが走る。

 ひとりは初めて、風を切る感覚を知る。

 振り落とされないので必死だが──そう、悪い感覚でもないと、彼女は思っていた。

 

 やがてバイクが止まる。

 目的地についたから。

 

「遅かったねー」

 

 ()()()()()にふたりはいた。

 その後ろに虹夏もいる。

 出血はしていない、本当に止血したようだ。

 バイクから降りる。彼女たちへ近づく。

 

「なんで、ここなの」

「お姉ちゃんたち、楽しそーに遊んでたし、ここで殺せばいい気味かなって」

「……どうして、それを知って」

「見てたの!」

「……まさか、あの日、ずっと感じていた視線は」

「うん、ふたりだよ!」

 

 思い出の場所。

 みんなで遊んだ夏の記憶。

 

 その場所は『江の島大橋』。

 

 吹きすさぶ風の中、姉妹は向かい合う。

 

「血清を、渡しなさい」

「殺して奪えばいいでしょー? それとも妹だから殺せない? 見殺しにはした癖に?」

「……っ」

 

 ああやはり。

 わたしは恨まれている。

 けど、虹夏ちゃんを傷つけたのはダメだ。

 

「じゃあ、怒ります」

「怒る? 正直に言いなよ、バンドが楽しーから、邪魔なふたりは殺すって、第2Tオーグ!」

「違う、わたしは──」

「ギターヒーロー、とか名乗るの? そのギターで暴力を振るう奴が!」

「いえ」

 

 一瞬それも考えた。

 だけど、今戦うのはヒーローだからじゃない。

 

「わたしは、ふたりのお姉ちゃんです」

 

 第2Tオーグがギターを構える。

 

「……あっそ」

 

 第1Tオーグもギターを構える。

 

「同じギター……!」

「そりゃ同じオーグだからね、ふたり用のもあるの。でも要らない!」

「えっ」

 

 彼女はそれを放り投げた。

 

「ふたりはギター弾けないし、それに、もっと凄い『力』、貰っちゃったんだから!」

 

 残り時間10分。

 最後の戦いが幕を開けた。

 そして──

 

 

 

 

「加速装置!!」

 

 

 

 

 第1Tオーグが奥歯を噛み締めた。




タイトル元:ぼっち・ざ・ろっく!#04『ジャンピングガール(ズ)』より

『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード』
第1ツチノコオーグ+09(ゼロナイン)/後藤ふたり
身長が伸びているのは、成長させなければオーグメンテーションに耐えられない為。かつての相変異バッタオーグの素体(子供)にも施されたであろう処置である。
能力的には第2Tオーグと大きな差はないが、本人の適正外もあり、認識改変は扱えない。
実質、第2Tオーグの試作品であり、完成後は廃棄予定だったが、ライダー襲撃の混乱を利用し、『組織』が奪取。
サイボーグ・プロジェクトの実験機として『ハチ』の高速移動の発展形、『試作型加速装置』を搭載される。
しかし加速の負荷には耐えられず、使用の度に自壊していく状態でもある。

ちなみに、今回登場した相変異も同様の実験機。
正式名称は、『大量発生型相変異バッタオーグ+024(ゼロツーフォー)』。
ただ足がブースターなので、跳ねたり蹴ったりすると自爆する。
バッタ要素とは。



Q:江の島回はなぜ必要だったの?
A:ラストバトルの舞台だったからです。

Q:政府の連中、ふたりは死んだって……
A:『死亡した()()()』としか言ってません。

あと2話で完結です。
また10日後目安で頑張ります。
だから、評価をっ!プリーズッ!!


高評価を下さった方になります。

☆9:大戦略さん

投票、ありがとうございます。
評価、お気に入り、感想、ここすき、沢山お待ちしています。



次回、後藤ひとりは改造人間である。
第24話 『〇〇〇〇〇』。
お待ちください。
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