【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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2023年3月17日18時00分
『シン・仮面ライダー』最速上映開始


──あれから1年



人間コンプレックス

 3輪の花がある。

 死者へ捧げる手向け花。

 彼はオーグの最後に、この花を捧げてきた。

 だが今回は。

 

「要りませんでしたか」

 

 ケイの任務は観察だ。

 たとえ、戦いを止められる立場だとしても、介入は行わない。それで良いと思っていた。

 ──今までは。

 

「………」

 

 後藤姉妹が歌っている。

 楽し気に、哀し気に、寂し気に。

 

「なぜ、歌うのですか」

 

 ケイは音楽が分からない。

 音は空気の震動だ、意味なんて存在しない。

 しかし人々は、音楽に思いを巡らせることができた。心と呼ぶべきそれが、ケイには分からない。

 

「……Daisy, Daisy, Give me your answer do」

 

 ケイはメロディを口ずさむ。

 

「……I'm half crazy, All for the love of you」

 

 初めてコンピューターが歌った時、技術者たちはなにを想像したのだろう。ケイは歌を真似ることで、それを想像しようと試みる。

 

「……It won't be a stylish marriage, I can't afford a carriage」

 

 ケイは歌を止める。

 やはり、自分には電子音にしか思えなかった。

 だが、だからこそ。

 

「アイ、あなたの考えが、分かった気がします」

 

 空気の振動に、人は意味を想像した。

 それが『音楽』の始まりだ。

 いや、音楽に限った話じゃない。人はあらゆるものに、意味を想像することができた。花の言葉を想像し、死にはあの世を創造した。

 

 0に1を与えること。

 それは未来を作ることと同じだ。

 

「あなたは、人を信じたのですね」

 

 現実に未来は存在しない、だから、未来は想像からしか生み出せない。

 AIにできるのは単なる予測だ。

 アイが人間を支援したのは、それが理由だ。

 だが──

 

「我々は、心を理解できていなかったのでしょう」

 

 SHOCKERは、そこから間違えていたのかもしれない。

 

 だからケイは嘘を試みる。

 嘘を吐くことは、物語を想像することと同じだ。真似でも構わない、素晴らしい未来を想像する。そして彼はあることを自覚する。

 

「人間は面白い」

 

 どんな未来でも『人』がいた。

 人にいない未来は……決定的な何かが、ダメな気がする。

 

「わたしは、人を見ていたい」

 

 ケイは知っている。

 SHOCKERの技術を利用し、世界を機械に委ねようとする一派がいることを。

 

「ならば、わたしは、わたしの『シン』を目指します」

 

 観察は続けよう。

 同時に想像を始めよう。

 ケイは、自分の車を摩る。

 

「『ジョーカー』、まずは、名前から」

 

 真の安らぎはこの世になく。

 だから、あの姉妹は歌うのだ。

 想像からしか得られない、幸福へ繋がる何かがそこに在るはずだ

 

 いつか、それを理解できた時、心に太陽の輝く日がくるだろう。

 

「そして、わたしは……『K』だ」

 

 物語が始まった。

 

 

 *

 

 

「第1Tオーグはしくじったか」

 

 日本国内、某所。

 彼らを乗せた車が走る。

 

「中身は子供ですので……」

「とは言えだ、やはりオーグメントは信用ならない」

 

 第2Tオーグと仮面ライダーを激突させる。

 互いが疲弊したところに第1Tオーグを投入、最後に鍵を奪取。

 それが、彼等の仕組んだ茶番だった。

 結果はこの通りだが。

 

「……情けない、こんな回りくどい手段になるとは」

「仕方ありません、我々は」

「言わなくていい」

「失礼しました」

 

 今の自分たちは弱い、戦えば潰される。極力アンチSHOCKER同盟に気づかれてはいけない。だからこんな作戦になってしまった。

 

「……核爆弾は?」

「問題ありません」

「やれ」

「はい」

 

 運転手がスイッチを押す。

 

 第1Tオーグ体内の、核が起動した。

 

「これで、茶番は終わりだ」

 

 奴らは疲弊しており、耐える力は残ってない、邪魔者の排除は完了だ。

 

「『アイ』を生み出したのは我々だ、爆発による残骸からでも、鍵は復元できる」

 

 彼は想像する。

 アイを活用した未来を。

 

「生物は生きる上で犠牲を必要とする。食料を奪い合い、金を奪い合う。世界にあるリソースは有限だからだ。生き物である限り、幸せは犠牲なしには得られない。だからSHOCKERは深く絶望した人間を救おうとした、効率的だからだ。我々は違う、全人類の幸福を願っている」

 

 彼は不遜に笑う。

 

「全人類をアイに()()()、肉の軛を捨て一つになる。飢えも差別も相互不理解もなくなる。そのためのサイボーグ・プロジェクト」

 

 しかしと、運転手は確認する。

 

「第2Tオーグの情報、共有しなくて宜しかったのですか」

「アイの寵愛は我々が受ける、人類幸福に最も貢献するのはわたしだからな」

「失礼しました」

「機械合成オーグメント、血車、RRKK、技術盗用の連中とは違う。真の後継者は我々ファウスト、いや──」

 

 かつての名。

 SHOCKERの前身ファウスト・ネットワーク。

 しかし彼らの新たな名は。

 

「『黒い幽霊』だ」

 

 

 

『随分、自信満々なのね』

 

 

 

「誰だ!?」

「カーラジオからです!」

『妨害パルスを張っておいたわ、もう核爆弾は遠隔操作じゃ起動しない』

 

 女性の声。

 ハッキングを受けている。

 この女はまさか、いやそれより何時だ? 

 いつ気づかれた? 

 

「貴様、なぜ」

『確信したのは1時間前。でも警戒はしてた、わたしは用意周到なの』

「サイボーグ擬きが……!」

 

 彼は拳を叩きつける。

 

『あら、怒ってるの? ならお互い様、わたしも頭にきてるわ』

 

 挑発に乗る必要はない。

 今は避難だ。目的地は牧場、山の麓にある地下基地へ。あそこなら手出しは困難。

 この車に追いつくには、サイクロン級の速度が必須。ライダーはまだ江の島、逃げ切れる! 

 

「飛ばせ! 最大速度だ!」

「了解しました」

『それとね、もう一回だけ言っとくわ』

 

 闇夜に浮かぶ影。

 彼らを狙う黒い影。

 車の進路のその先に。

 

 

()()()()()は用意周到なの』

 

 

 正面に、緑の仮面ライダーが立ち塞がった。

 

「後退だ! 別の道を──」

「ダメです、挟まれました……」

「なに!?」

 

 響く排気音。

 サイドミラーに映るライトの光。

 後ろから一つの蒼い影。

 現れる黒いバイク。

 

「バカな」

 

 背後に、蒼の仮面ライダーが退路を断った。

 

「なぜ、奴が……!?」

 

 輝くマシン。

 深紅のマフラー/純白のマフラー。

 緑の仮面/蒼の仮面。

 そして、赤く輝く、怒りのマスク。

 

「まさか、こんな結末が……!?」

 

 二人のライダーが暗闇の彼方へ跳躍。

 

 彼等の敗因はたった一つ。たった一つの単純(シンプル)な答え。

 

「!!」「!!」

 

 彼等はライダーを怒らせた。

 

「うっ、うっ……うむー!!」

 

 怒りを込めて、ダブルライダーキックがぶちあたる。

 

 

 20XX年10月上旬。

 ある人物が内乱罪により緊急逮捕。

 しかし、この事件はニュースにならない。

 週刊誌に載ることも、ネット記事に乗ることも、誰かに知られることもない。

 

 

 *

 

 

 11月2日、秀華高校。

 

『続いてのバンドは、結束バンドの皆さんです』

 

 暗幕が上がる。

 体育館を照らす照明、色とりどりのペンライト。

 ステージが光に包まれる。

 歓声が止み、静寂が訪れる。

 

 MCはない。

 

 ドラムスティックが拍を取る。

 

 ギターのイントロ。

 文化祭ライブ、結束バンド、その一曲目。

 曲は『忘れてやらない』。

 

 しかし、ギターを弾いているのは、ひとりでも喜多でもない。

 

 ただのパソコン。機械の打ち込み音。

 

 そう、ステージにいるのは()()()()()()だけだった。

 

(ぼっちちゃん……)

 

 ──あれから一か月。

 10月開催だった文化祭は、騒動の影響で一月延長。

 逆にそのお陰で、虹夏は治療に専念できた。

 しかし、ひとりは違った。

 彼女は()()()()()、事情があってもそれが事実。市井に戻りたいなら、自らの安全性を証明しなければならない。

 

 彼女たちは信じた。

 

(絶対、帰ってくる!)

 

 だから歌う。

 結束バンドはここだと、彼女に聴こえるように。

 

 ──しかし音楽は時に非情だ。

 

「一曲目! 『忘れてやらない』でした!」

 

 盛り上がっている学生たちだが、ライブハウスで活動するプロ故か、少女たちは気づいてしまう。いや、初めから予想はできていた。

 

(これ、盛り上がりきってない……! なんなら、さっきのバンドの方が盛り上がってる……!)

 

 リードギターの不在。

 それが、ここまでの影響を齎す。

 覚悟はしていたつもりだが……中々辛い。

 それほどまでに、ひとりの存在は結束バンドにとって、大きなものになっていたのだ。最初は仮面マンゴーだった、あのギタリストが。

 

 彼女の成長が嬉しい。

 自分らの未熟さが悔しい。

 

「──MCはこれくらいにして、次の曲に行きまーす!」

 

 けど、泣き言言ってる場合じゃない。

 今すべきこと、それはこのステージを続けることだ。

 

「二曲目で、『星座になれたら』!」

 

 喜多が歌い始める。

 切ない歌声が、体育館に広がっていく。

 もしかしたら。

 今まさに、ここに向かってる最中かもしれない。

 その時、わたしたちがいなかったら? 一緒に文化祭に出たいって言ってくれたあの子はどんな顔をする? 

 

(待ってるから、ひとりちゃん!)

 

 もう、辛いのは十分だ。

 いい加減楽しいライブをしたい。

 

 その時異変が起きた。

 

 

 

「──あ」

 

 

 

 それは、誰の声か。

 

 打ち込みの音が()()()

 

(嘘!? 機材トラブル……今!?)

 

 演奏の質が更に落ちる。

 取り返しがつかない程に──だが、その時。

 

「──っ!!」

 

 暴れ出すバッキング。

 彼女が、リードギターのパートを弾き出したのだ。

 

(郁代!?)(喜多ちゃん!?)

 

 夏のライブから2か月、彼女の技量は更に向上していたのだ。驚く二人だが同時に危機感を感じ取る。

 

(でも、喜多ちゃん、大丈夫なの……!?)

 

 否、彼女は限界ギリギリだ。

 だが音楽は止まってくれない、無慈悲にソロが迫る。

 指先が震え出す。自分にできるのか? 彼女のようなギターソロが? 

 

 不安を押し殺す。

 

(いや、わたしは、もう逃げない……!)

 

 息を吐く。

 眼を見開き手元を睨む。

 ピックを振り下ろす。

 

 そして、

 

 

 

 雷鳴が()()轟いた。

 

 

 

 ギターが重なる。

 片割れに導かれ、喜多の演奏が安定する。

 ソロではなく、ギターデュオ。

 打ち込み音源とは違う、生演奏の──そして、圧倒的技量の迫力が、観客たちから歓声を奪い取る。

 

 ただただ、圧倒される。

 

 彼女たちの演奏に。

 ()()()()ギターに。

 

 生徒たちも。

 彼女らも。

 

 2階ギャラリーへ目を向けた。

 

 

 

「………」

 

 

 

 黒い仮面。

 ピンクのジャージ。緑のスーツ。

 深紅のマフラー。黒いギター/ブラック・ビューティ。

 ──ギターヒーローが蘇る。

 

「ひとりちゃん!!」「ぼっちちゃん!」「ぼっち!」

「──ただいま、です」

 

 

 

 ──後藤ひとりが帰還する。

 

 

 

 結束バンドの、本当の演奏の始まりだった。

 

 暴力的なまでの音楽。世界に引き摺り込まれる。

 これがわたしたちだ、これがライブなんだと、心の底から分からされる。

 

 ──ボーカルが歌い終わる。

 ──ギターの響きを残して、二曲目は、終わった。

 

 

「!!」

 

 

 仮面の少女が跳ねる。

 照明を背に一回転。そしてステージに着地。

 

「お、遅れまし──」

「ひとりちゃん!!」

「わぷっ!?」

 

 喜多は限界だった。

 観客の注目を気にもせず、ひとりを抱きしめる。

 虹夏と山田も、堪えきれずに泣き出す。

 ただし、全員笑顔でだ。

 

「遅い、遅いわよ……!」

「す、すいません、時間がかかって」

「約束、また、破ったのかって、不安だったんだから!」

「……も、もう、安心して良いですよ?」

「さっき着いたの?」

「う゛」

 

 ひとりが一瞬言い淀む。

 

「はい、さっきです!」

「……後藤さん?」ニッコリ

「あ、その、じ、実は、一曲目終わったぐらいから……」

「は?」

 

 涙が引っ込んだ。

 

「そそそそのMC始まって、タタイミング伺ってたら!」

「後でお仕置きね」

「ヴェイ!?」

「いつものぼっち」

「あーあーあ……」

 

 なぜ感動を維持できないのか。

 虹夏は頭を抱える──けど、これがあたしたちの日常。それが帰ってきた。嬉しくて笑顔が零れる。

 が、観客を置いてけぼりにはできない。

 喜多がマイクを手にMC。

 

「えっと、彼女が、結束バンドのリードギター、後藤ひとりちゃんです!」

 

 一瞬の空白のあと。

 歓声が爆発した。

 彼女を褒めて、湛える声が、幾つも上がる。

 間違いなく、最高潮の盛り上がり。

 喜ぶべきだ。

 

「………」

 

 だが、彼女は寂しげだった。

 なぜなら、彼らがいない。

 

 ──だからこそ。

 

(そっか)

 

 あの時保留にした『夢』が決まった。

 

「せっかくだから、ひとりちゃんからも、一言貰いたいと思います!」

「えっ、あ……はい」

 

 マイクを手にする。

 大勢のオーディエンス。

 店長さん、PAさん、きくりお姉さん。()ファン1号さん、2号さん。端っこにいる妹。監視を兼ねた政府の人。

 いない人たち。

 

「……こ、このバンドは、わ、わたしのせいで解散寸前でした。だけど、沢山の人たちが助けてくれて……必要だって、支えてくれて……」

 

 大勢の人が、聴きに来てくれた。

 

 お父さんとお母さんには、もう聴かせられない。

 

 あの人たちは来れなかった。

 

「今、ここにいられるのは、みんなのお陰です」

 

 嬉しくて、哀しくて、切なくて。

 溢れる涙が零れないよう、上を向く。絶望も幸せも、涙と一緒に流すんじゃなく、ギターに込めて歌にしたい。

 それが、わたしのロック。

 

「本当に……ありがとう」

 

 自分は口下手だ。

 上手くは伝えられないだろうけど、この思いは、ちゃんと口に出して伝えたかった。

 ここにいるみんなに聞いてほしい。

 夢の理由を。

 

「今日のライブを、みんなが自慢できるような、武道館……い、いえ、世界で活躍する、凄いバンドに、わたしたちはなります」

 

 世界に届けよう。

 仮面越しの音楽(マスカーワールド)を。

 

「聴いてください、そして、忘れさせません」

 

 それが夢への第一歩。

 彼女の夢はここから始まる。

 

「この心を!」

 

 世界を塗り替える。

 そんな、彼女だけの夢が、歩き出す。

 

「最後に、わたしからも!」

 

 虹夏が叫ぶ。

 山田が微笑む。

 喜多が涙を拭う。

 

 そしてひとりが、赤いマフラーを翻す。

 

「みんな、今日は本当にありがとう! あと一曲だけだけど……みんなの思い出に残る、最っ高のライブを送ります! 最後まで楽しんでいってください!」

 

 結束バンドは歌い続ける。

 繋がりたいと願ったから、彼女たちは輝いた。

 たとえ、どんなに苦しい未来であっても、いつか別れが来ようとも。

 紡いだ光は無くならない。

 

 

「それでは! 三曲目──」

 

 

 星座の光は、誰かの心に灯るから。

 

 

 

 

End Roll-01 青春コンプレックス

 

 

暗く狭いのが好きだった 深く被るフードの中

 

無情な世界を恨んだ目は どうしようもなく愛を欲してた

 

雨に濡れるのが好きだった 曇った顔が似合うから

 

嵐に怯えてるフリをして 空が割れるのを待っていたんだ

 

かき鳴らせ 光のファズで 雷鳴を 轟かせたいんだ

 

打ち鳴らせ 痛みの先へ どうしよう! 大暴走獰猛な鼓動を

 

かき鳴らせ 交わるカルテット 革命を 成し遂げてみたいな

 

打ち鳴らせ 嘆きのフォルテ どうしよう? 超奔放凶暴な本性を

 

 

 

 

 

 

 

劇中歌

 

 

#09:光の中へ/結束バンド

 

#14:ギターと孤独と蒼い惑星/結束バンド

 

#21:あのバンド/結束バンド

 

#22:フラッシュバッカー/結束バンド

 

#24:なにが悪い/結束バンド

 

#25:青春コンプレックス/結束バンド

 

 

 

 

 

 

 

 

#XX:転がる岩、君に朝が降る/結束バンド

 

#XX:かえってくるライダー/子門真人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歓声が聞こえる。

 

「後藤は、間に合ったみたいだな」

 

 サイクロンを飛ばし、彼はひとりを送り届けた。そして彼は走り去ろうとバイクに跨る──そこへ、別のバイクがやって来た。

 

「一文字、聴いていかなくていいのか」

「……仕事がある」

「お前一人欠けたところで、支障はない」

「お優しいことで、だが」

 

 耳をすます。

 楽し気な生徒の声が聞こえる。まさに青春、眩し過ぎて……自分たちには似合わない。

 気持ちを誤魔化して、からかうように笑った。

 

「うん、アンタらは、後藤側(陰キャ)の人間だな」

「一文字、僕の身体の大半は機械だが、バイクに変形はできない」

「アルティメットオーグメントでも腐海は作れんぞ」

「意味が違うわ」

「なら、なにが言いたい?」

 

 彼は寂しげに微笑む。

 

「まあ、あそこは、俺たちが護るべき場所ってことだ」

 

 いずれ、人間たちの感謝は恐怖へ変わる。

 自分らの居場所はなくなる。

 ──だが、彼女は居場所を勝ち取った。それが再び奪われるなんて、絶対にあってはならない。

 

「……君は」

「悲しい顔すんなよ、時間があれば聴きに行くさ」

「そうだな、俺も興味はある」

「お、小学生11人誘拐犯がなんか言ってるぞ?」

「よろしい、ではハビタット送りだ」

「二人とも、学校前で喧嘩はダメだと思う」

「ん、そうだな」

 

 サイクロン号に乗り込む。

 回し、吹かし、エンジンを吹かす。

 

 SHOCKERは滅んだ。

 しかし時代が望む限り、仮面ライダーは滅ばない。

 

「よし、行くか!」

 

 帰る場所はなくとも。

 

 彼らはひとりぼっちじゃない。

 

 嵐と共に走りゆく。

 

 風は彼らのそばにいる。彼らがどこへ行こうとも。

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダー・本郷猛/一文字隼人/緑川イチローは改造人間である。

 

彼等を改造したSHOCKERの意志は人類の幸福として受け継がれている。

 

仮面ライダーは人間の尊厳のため、SHOCKERの後継者と戦うのだ!




タイトル元:ぼっち・ざ・ろっく!オープニングテーマ『青春コンプレックス』より

『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード:ラッキーカード』
仮面ライダー第1号/第2号/第0号
 長い戦いの末、彼らはSHOCKERを根絶やしにした。
 同時に、同胞たるオーグメントも滅び去った。たった三人残された彼らの帰る場所は、世界のどこにもない。
 それでも彼らは、人間の尊厳のため戦い続ける。
 彼らの身体が滅んでも、トリプルライダーの魂は永遠に不滅だ。
 君も本郷や一文字、イチローのように、自然と平和を愛する優しいこころを、いつまでも忘れないでほしい。
 それが、仮面ライダーのかえってくる場所になるのだから!

 ☆このカードを手元に保管してください。ハビタット世界への旅行券(片道)がその内送付されます。



 石ノ森先生の多くの作品で、悪は滅ぼせないものと描かれています。
 しかし、それと戦う戦士たちもまた同じ。
 人外だからこそ、誰よりも人間らしく……帰る場所を失っても、戦い続けるのでしょう。
 後藤ひとりも、その心を理解したはずです。だからこそ、彼女はいつか世界を塗り替えるのです。
 


 ランキングに久々にのりました!
 高評価を下さった方々をご紹介いたします!

 ☆10:ジャガロスめちゃ好き魔剣使いさんさん なまけ鳥さん ぴっろくんさん naguuuさん あねぎみさん bizAirさん ジョ〜ジョさん 通りすがりのLBさん
 ☆9:堀田瑞松さん カズーニ神さん 空ムーチョさん naga-ikiさん 青だるまの目さん 13FAさん ミックスさん 桶の桃ジュースさん レンタル古書店さん 名無屋さん foxtailさん sudatiさん マラカス0107さん ぽわんぽふさん ヴィランモハイさん 瑞雲全力疾走さん ふにゃ子さん kira429さん GDGD3さん Aitoyukiさん
 ☆8:hakushi117さん

 沢山の高評価、誠にありがとうございました!
 高評価、お気に入り、感想、ここすきは大歓迎です!
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 推薦とか書かれたら発狂します。



 以上で『後藤ひとりは改造人間である』は完結となります。此処までご愛読いただきありがとうございました。
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