【完結】後藤ひとりは改造人間である   作:鹿狼

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 ──絶望はお前だけじゃない、多くの人間が同じように経験している。
 だがその乗り越え方が皆違う。
 本郷は本郷の乗り越え方をすればいい。
 ──ありがとう……そうですね。

シン・仮面ライダーより 政府の男/本郷猛



かえってくるライダー、君に朝が降る

 翻る深紅のマフラー。

 アクセルを踏み込み加速する。

 身体にぶちあたる風が、排気音が、やけに心地よく感じられて、走り慣れたその道でさえ、自然と胸が弾みだす。

 

(隼人さんの、言葉が分かる)

 

 孤独を楽しむとは、こういうことだ。

 彼女は今も孤独を愛している。それはもう生まれついての気質であって、変えれるものじゃないし、変える気もなく、むしろ大事にすべきだと思っている。

 

 それを含めて、みんな好きになってくれたのだから。

 

(でも、今日は特別だ)

 

 駐車場にバイクを停める。

 コンビニ袋を片手に歩き出す。

 

(暑い、のかな、多分)

 

 夏の日差しが照り付ける。しかし、オーグに暑さなんて関係なく、どんな格好でも同じこと。けれど彼女はマスクを外し、黒い長方形(モノリス)の前で立ち止まった。

 大小二つの墓石。

 もう一つ、名前のない墓石。

 

「お母さんたち、お父さんたち、ジミヘン、来たよ」

 

 ここは、墓園。

 誰にも侵されてはならない聖域だった。

 

 

 

 

後藤ひとりは改造人間である

シン・最終回

『かえってくるライダー、君に朝が降る』

 

 

 

 

 コンビニ袋から、コーラとスーパーの唐揚げ、犬用肉巻きガムを取り出し、墓前に供える。

 

「これで良いのかなぁ……」

 

 こういう時は、その人が好きだった物を供えるものだが、両親の好みがどうにも分からない(二人は言うまでもない)。お父さんもお母さんも、いつも自分より、わたしの好きなことを優先してくれた。だから、知る機会がほとんどなかった。

 甘えていたのを今更悔いる。ジミヘンの好物しか分からないのは流石にヤバイ。

 

「あ」

 

 いや、あった。

 好きだって言ったこと。

 

「………」

 

 彼女はまだ来ていない。周りに人もいない。

 

「アンプ無しなら、平気だよね……」

 

 ギグバからギターを取り出し、リュックに腰かけた。

 

 さて、なにを弾こう。

 好きな曲といえば、青春コンプレックスを刺激せず、鬱憤をぶつけるような歌だが、流石にそれを墓前でやるのは……なにかいいの、ないかな。

 

 

 ──すごーい! 後藤さんギター弾けるのね! 

 

 

「………」

 

 ふと、思い出す。

 確か去年の5月。

 あの時、喜多ちゃんと、初めて出会ったんだっけ。

 

「よし」

 

 あの時は、弾くだけで精一杯だったけど、今ならできる気がする。

 いや、できなきゃ『夢』に届かない。

 

 息を吐き、喉を整える。

 ギターに指を添え、スコアを思い浮かべる。

 四拍子を刻み、歌い出す。

 か細くも、力強く。

 

 

「──出来れば世界を僕は塗り替えたい

 

 戦争をなくすような大逸れたことじゃない

 

 だけどちょっと それもあるよな」

 

 

 この歌が好きだった。

 そして、両親は、彼女のギターが好きだった。

 あの二人も、きっとそう。

 

 

「何を間違った? 

 

 それさえもわからないんだ

 

 ローリング ローリング

 

 初めから持ってないのに胸が痛んだ」

 

 

 優しい歌詞、だから好きになった。

 もう、どこにも行けないわたしだけど……止まりたくはなかった。可能性に縋ってるだけでも、転がり続けていれば、いつかは──辿り着いた。

 間違えて、なくして、救いのない夜を越えて、ここにいる。

 多分、この先も。

 

 

「僕らはきっとこの先も

 

 心絡まってローリング ローリング

 

 凍てつく地面を転がるように走り出した──……」

 

 

 熱が、吐息に溶けていく。

 冷えていく身体に、心を委ねて日差しに微睡む。

 

「フゥ──……」

 

 その時、パチパチパチと拍手が聞こえた。

 

「っえ」

「あ、ごめん、聴いちゃった」

「!?」

 

 後ろに、虹夏がいた。

 集中し過ぎて、彼女が来ていたことに、気づかなかったのだ。

 

「驚いたよ、まさかギターヒーローの弾き語りが聞けるなんて」

「おっおぉオ耳を汚してしまい大変申し訳ありません、今すぐ私めの耳を引き千切って御覧に候!」

「カッコ良かった!」

「あっ、そ、そですか、うへへへのへぇ」

「………」

 

 一年経ってもこのチョロさ。

 虹夏の眼差しは若干冷ややかだ。

 

「ここには、よく来てるの?」

「は、はい、掃除とか必要なので」

「……そっか」

 

 虹夏の顔には、優しさと寂しさが入り混じっている。

 それはこの場所が理由だと、ひとりは思った。

 

「き、来てくれて、ありがとうございます」

 

 ここは『聖域』だ。

 ひとりはそこへ、一緒にお墓参りに来てほしいと、彼女を呼んだ。

 

「この、名前のないお墓って」

「わ、わたしの家にいた、下級構成員のお二人です」

「……挨拶していいかな?」

「は、はい、みんな喜ぶと思います」

「わかった」

 

 虹夏は眼を閉じ、手を合わせる。

 

 両親とジミヘンと、身元不明な下級構成員二人。

 お墓を作るのに、政府の人たちが協力してくれた。しかしジミヘン以外の遺体は見つからず、土の下に骨壺はない。

 ここに(プラーナ)はない。

 だけど思い出はある。

 

 やがて、祈り終えた虹夏が顔を上げる。

 

「……話した、この一年間、色々あったって」

「そ、そうですね……未確認ライオットに挑んだり、ストレイビートと契約したり」

「でも、一番の衝撃は、ぼっちちゃんが免許取ったことかな……ライダーに憧れたんだっけ?」

「ま、まあ、そうです」

 

 サイクロン号を借り、江の島へ走ったあの感覚が忘れられなかった。今度は自動操縦じゃなく、自分で走ってみたいと思い、頑張ったのだ。

 

「しょ、将来、バンド車の運転はお任せを!」

「あたしも免許頑張ろ!」

 

 しかして運転は任せたくない。

 それとこれとは別問題なのだ。

 

「本当に、色々あったね」

「そ、そうですね」

「………」

 

 心地良い沈黙が流れる。

 日差しが木陰に隠れ、セミの鳴き声が遠のく。

 

「レ、レーベル契約もできて、目途が少しは経ったと思いました、だから──」

「大事な話、なんだよね?」

「……はい」

 

 ひとりは話し出す。

 あの日隠した話の続きを。

 

「こ、ここに呼んだのは、みんなに見て欲しかったからです。わたしの夢を、伝えるところを」

 

 返事はこない。

 虹夏はただ、陽だまりのように笑うだけ。

 吹きすさぶ風に、ピンクの髪がたなびく中、あの日の思い出が蘇る。

 

「目途が立つまで、内緒って言ってたもんね」

「あと、今なら撤回できるので」

「うん……撤回?」

「へ、下手したら、世界を敵に回すというか……」

「……マジ?」

 

 ひとりは力なく頷いた。

 

「だから、その──」

「ちょーっと、待ったぁーッ!!」

「「!?」」

 

 しかし墓場に響く黄色い声、ひとりと虹夏は飛び跳ねる。

 明るい声の正体は。

 

「「き、喜多ちゃん!?」」

「お、密会現場かな」

「リョ、リョウまで、なんでここに」

「ひとりちゃんの、夢の話ですよね!」

「そ、そこまでどうして……?」

「ん」

 

 山田が突き出したスマホには──後藤ひとりが夢について話すが、結束バンドで共有すべき内容だから、聞いてこい──と、ド正論が掛かれた、政府の男からのメッセージが。

 

「ぼっちちゃん、政府の人にはもう!?」

「あ、言いました、あの人たちにも迷惑かけるので……」

 

 報連相は重要。

 そうイチローに叩き込まれた故だ。

 

「乱入したのは悪いですけど、それを内緒はズルいです!」

「デリケートな話なら尚更」

「ぐっ! リョウの癖に、正論で言い返せない……」

「あと、後でわたしもお墓参りしていいかしら? わたしもお世話になったし」

「じゃあわたしも。それとぼっち、帰りの交通費で相談が」

「あ、ならタンデムしませんか?」

「許してください」

 

 一気に騒がしくなるが、これが結束バンドの色だったなと、虹夏は笑いながらため息を吐く。

 ただ、少し。

 

「もうちょっと、二人だけの内緒でも……」

「え?」

「ううん、なんでもない!」

「?」

 

 ひとりは首を傾げた。

 

「あー、ゴホン、じゃあ、ぼっちちゃん」

「──は、はい」

 

 ひとりは顔を上げる。

 今日までの日々は、激動そのものだった。

 楽しかったこと、辛いこと、全部ひっくるめて宝物みたいで、まるで奇跡のような毎日だった。

 

 

「……今まで、ありがとうございます」

「わたしも、ありがとう、ひとりちゃん」

 

 

 自然と出てきたその言葉が、全てを物語る。

 幸せがなんなのか分かったのは、間違いなく、みんながいてくれたから。

 

 

「……これからも一緒にいたいです」

「いるよ、ぼっちが好きだから」

 

 

 その為に、わたしはギタリストとして、みんなの夢を支えていこう。

 そこへ、わたしの夢も入れて欲しい。

 

 

「……みんなと、世界を塗り替えたい」

「うん、一緒にやろう!」

 

 

 叶えられるはずだ。

 わたしのロックを、奏でられる此処でなら。

 この結束バンドでなら、絶望でさえ色にして、世界へ届けられる。そう信じられるんだ。

 

 

「わ、わたしの、夢は!」

 

 

 だってこのバンドは。

 わたしを救ってくれたのだから。

 

 

 *

 

 

 

 

 そして

 

 来るかもしれない

 

 XX年後のある日

 

 

 

 

 夜空に浮かぶ星々は、地上からの灯りに呑まれ、一番星だって覗けない。

 ピンク、赤、黄色に青、輝く無数のペンライト。これがライブ会場というものらしいが、彼にとっては不慣れしかなく、一人静かに溜息を吐く。

 

「人混みキッツ」

 

 そう言いつつも、座っているのはVIP席。

 周りに見知らぬ人はゼロ。

 

「これじゃ、後藤のこと笑えねぇな」

 

 大勢の観客、熱狂、眩い照明。

 このドームが最後の会場。結束バンド・全国ツアーの最終公演だ。

 同時にライブ配信も行っている。

 

「凄いファンの数だ」

「あー、ダメ、ちょっと涙出そう」

「フン、俺たちをわざわざ招待するとは、随分と偉くなったようだ」

「兄さん、目が涙ぐんでるわよ」

「プラーナ漏れだ」

 

 同じVIP席に、本郷、ルリ子、イチローもいる。彼らは招待されたのだが、普通の座席だと有事の際に困るので、この席に纏めてもらったのだ。

 ちなみに髭男たちは舞台袖。

 離れた席には、星歌、PAさん、後藤ふたり、廣井といった面々もいる。なおファン1号、2号は自力でチケットをもぎ取った。

 

「……本当に、成長したな」

「君は、最初のライブから見てたものな」

 

 満員の会場に、一文字は感極まる。台風の中、必死で奏でたライブが昨日のように思い出せる。あの時の小さなバンドが、ここまで成長したのだ。

 

「凄いよ、あいつら」

 

 彼らに帰る場所はない。

 だからこそ、同じオーグメントが、人々の中で活躍する光景に救われた。

 ──例え、認識改変により、オーグという正体を隠していても。

 

「ええ、本当に。あそこの人たちもそう思ってそうね」

「だろうな」

 

 彼ら以外にも、招かれた人々はいる。

 勝利の男、嵐の忍者、ロボット探偵、九人の戦鬼──人外でありながら、人間の尊厳のため戦う戦士たちだ。

 一機、元SHOCKERがいるが。

 

「げぇ、こっちに向けてピースしやがった」

「あいつ、あんなキャラだったか……?」

 

 SHOCKER壊滅後、後継組織が幾つも生まれた。

 しかし、それに対抗する者たちも生まれた。

 

 そして全員、結束バンドと知り合っていた。Tオーグが原因になって事件に巻き込まれた際、顔見知りになったり……色々と。

 このお礼を兼ねて、あいつらも招待されたのだろうと、一文字は考える。

 

 だが、彼は目を背けた。

 少しだけ、心が苦しくなるから。

 

「どうした一文字、難しい顔をして」

「あいつらには感謝している。だが、思うことがある、()()()じゃないかってな」

「……それは」

「同じ犠牲者なのに、それを戦いに駆り立てちまったのは、俺たちの力不足が……いいや、忘れてくれ」

 

 ステージに明かりが灯り、逆に客席は暗くなる。彼の顔は、不安と共に闇に紛れた。

 

「一文字、大丈夫だ」

「……は?」

 

 その意味を聞く前に、ギターの音が会話を割いた。

 

 

 

『こんばんは、結束バンドです! さっそく一曲目行っきまーす!』

 

 

 

 雷鳴と共にライブが始まる。

 一気に吹き上がるボルテージに、少しばかしのモヤモヤなんて、あっという間に吹き飛ばされた。彼女たちの演奏に、一文字は微かに笑う。

 言い過ぎかもしれないが、実感できるのだ。自分たちの戦いは、誰かの幸福に繋がっているんだと。

 

(この演奏が聴けただけで、十分だ)

 

 結束バンドのライブは続く。

 小一時間、前半が終わる。小休憩を挟んで後半へ。

 そして彼は、この日の意味を知る。

 

「……ん?」

 

 後半が始まったが、なぜか、ひとりが壇上にいない。

 

「後藤はどこだ?」

 

 困惑する彼らを他所に、虹夏がマイクを取った。

 

『みんな、ここからは『新曲』のお披露目……だけど! その前にお話があります』

 

 会場が静かになる。

 ネット配信のコメント欄もそう。

 虹夏の声に耳を傾ける。

 

『新曲は、いつもと違う感じの曲です。なぜなら、これは彼女が()()()()()を思い、夢を込めた曲だからです……みんな知っての通り、彼女は凄い口下手です。だけど最後まで聴いてください』

 

 虹夏はドラムスティックを掲げ、一点を指差した。

 

『ぼっちちゃんの、夢の話を!』

 

 照明が、()()()の一角を照らす。

 観客の目線、光の先へ集まる。

 後藤ひとりは、手すりの上に、ギターを携え立っていた。

 

「なんであいつ、あんな所に──」

 

 彼女は、

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「は?」

 

 華麗にステージへ着地。

 傷一つなく立ち上がる。

 だが、会場は動揺に包まれた。だって普通、あの高さから飛び降りたら死ぬ。なのに彼女は無傷だ。明らかにおかしい。

 

 ──静寂の中、カラン、と音が鳴る。 

 ライダーヘルメットがステージを転がる。

 ひとりの素顔が現れる。

 

 

 世界に晒されたその顔は、()()()()()だった。

 

 

『こ、これが、わたしの本当の顔です』

 

 もしこれが、なにかの演出なら、あまりに悪趣味過ぎる。だからこそ、この光景が真実だと、誰もが理解し言葉を失う。

 

「バカな」

 

 彼が発せたのは、ありきたりな一言だった。

 

「なんで、認識改変を使ってないんだ!?」

 

 認識改変を使えば、なにをしようが、どんな見た目だろうが、誰も疑問に思わない。彼女はそれを使って正体を隠してきた。

 なのに、この観客の反応。ひとりは今、認識改変を切っている。

 

「自棄か!? クソ、止めねえと──」

「大丈夫だ一文字、()()()()()()()!」

「──なにを」

「このことは全員知っている。ひとりさんの頼みだ、君にだけ秘密だった」

「なんのために!?」

「君が、彼女の夢の、始まりだからだ」

 

 あれだけ騒がしかったドームは、懺悔室のように静かになった。誰もが息さえ潜め、彼女の告白へ耳を傾ける。

 後藤ひとりがマイクを手に取る。

 覚悟を、決める。

 

 

『わっ、わたしはSHOCKERという組織の手で、この姿に改造されました。

 

 だ、誰にも相談できず、絶望してましたが、ある日、結束バンドに出会いました。正体は隠してたけど、ゆっ夢だったバンドをやれて、幸せでした。

 だっ、だけど一度、辞めようとしました。こんなバケモノがいたら、いつか、取り返しのつかないことが起きるって思ったんです。

 

 で、でも、わたしはここにいます。

 それは、みんなが手を伸ばしてくれたから。

 そして、もう一人。

 つ、突き返してくれた人が、いたからです。

 

 ……わっ、わたしと同じように、怪物にされた人が、今もいます。だけど、その人たちは、同じ犠牲者を出さないため、犠牲者を助けようと、戦ってて、わたしも救われました。

 

 でも、彼らには、()()()()()()()

 

 みんなの感謝は、いつか恐怖になって、迫害される。そう思ってる。そっそれでも、あの人たちは、あの人たちも、犠牲者なのに、戦い続けて──そ、そんなの、酷い。

 

 だから、わたしの夢は。

 

 少しだけでいい、世界を塗り替えること。

 

 あの人達が、()()()()()()()()()()

 

 か、怪物のやる音楽が、世界に受け入れられれば、あの人たちの居場所に繋がるんじゃないかって、思いました。

 そっ、そして、結束バンドが大きくなって、わたしたちの音楽を、世界に届けられるようになった今が、その時だって』

 

 

 始めての文化祭ライブ。

 あの時、仮面ライダーたちは来なかった。

 任務があったから……だけじゃない、彼らは知っていた、そこは自分たちの場所ではなく、護る場所だと。

 

 ひとりは、それが、悔しかった。

 彼女の夢が生まれた。

 

 

『……わ、訳分かんないと思います。それは、構わないです。こっこれはわたしの願望ですし、受け入れない人がいても、むっむしろ、いいと思います。

 で、でも、わたしはギタリストだから。な、なにか、文句とかが、あるなら。

 ──()()()()()

 

 

 危険な夢だとは分かっている。下手すれば破滅だ。それでも、最悪の事態にならないよう、政府の人たちと一緒に色々準備はした。

 だったらもう、走り抜けてみるしかない。

 夢見てしまったのだから。

 

 

『こ、このロックで、ぜ、全員!』

 

 

 瞳に映る『彼ら』の姿。

 不格好に、ぎここちなく、ひとりは不敵に微笑んだ。

 聴かせてやるぞ、と。

 

『……みんな、ありがとう。ぼっちちゃんの夢を聞いてくれて』

 

 凍てつく世界で、生まれた一つの新しい世界。

 彼女たちが唄った世界。

 

『お話は以上! ここからは全力で盛り上がろう!』

 

 どこまで転がっていけるのか、それは誰にも分からない。

 ただ、一つ、断言できる。

 少しだけでも、世界を変えようとする彼女たちは──紛れもなく、一つのロックンローラーだった。

 

『人間も怪物も、幸せも絶望も関係ない。全部あたしたちについてきて!』

 

 ベースが空気を震わす。

 ボーカルの吐息が熱を生む。

 ドラムが地を揺らす。

 紅いスカーフなびかせ、リードギターが光を放つ。

 

 

『それでは、聞いてください! 新曲で──』

 

 

 仮面の世界(マスカー・ワールド)に朝が来た。

 

 

 

 

End Roll-02 かえってくるライダー

 

 

たたかいおえて あさがきた

 

空はみずいろ 雲はまっしろ

 

丘の上から オオ! 

 

来る来る来る サイクロン

 

紅いスカーフ なびかせて

 

来る来る来る

 

かえってくる 仮面ライダー

 

 

 

 

 

 

 

 

出演

 

 

第2ツチノコオーグ/ギターヒーロー/後藤ひとり

 

伊地知虹夏 山田リョウ 喜多郁代

 

伊地知星歌 PAさん

 

廣井きくり 岩下志麻

 

清水イライザ 吉田銀次郎

 

ファン1号 ファン2号

 

第1ツチノコオーグ+09/後藤ふたり

 

ぽいずん♡やみ/佐藤愛子

 

第2バッタオーグ/仮面ライダー第2号/一文字隼人

 

第1バッタオーグ/仮面ライダー第1号/本郷猛

 

チョウオーグ/仮面ライダー第0号/緑川イチロー

 

緑川ルリ子

 

政府の男 情報機関の男/????

 

外世界観測用自律型人工知能ケイ

 

父親の下級構成員 母親の下級構成員

 

イワン・タワノビッチ 旧ファウスト構成員

 

大量発生型相変異バッタオーグ+024

 

 

 

劇中歌/完全版

 

 

#06:WHO WILL KNOW(24_BIGSLOW)悲劇/シン・ゴジラより

 

#09:光の中へ/結束バンド

 

#13:甘き死よ、来たれ/新世紀エヴァンゲリオン劇場版より

 

#14:ギターと孤独と蒼い惑星/結束バンド

 

#18:ワタシダケユウレイ/SICKHACK

 

#21:あのバンド/結束バンド

 

#22:フラッシュバッカー/結束バンド

 

#24:なにが悪い/結束バンド

 

#24:Twinkle, twinkle, little star/ジェーン・テイラー

 

#25:Daisy Bell/IBM7094

 

#25:青春コンプレックス/結束バンド

 

#28:転がる岩、君に朝が降る/結束バンド

 

#28:かえってくるライダー/子門真人

 

 

 

原作

 

 

ぼっち・ざ・ろっく! シン・仮面ライダー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

「……あ、あの、ライブどうでした?」

「俺にだけ秘密とか、心臓が潰れるかと思ったぞ」

「オ゛ぁ!?」

「だが、スッキリした好きな気分だ。これがあんたのロック、ぼっち・ざ・ろっくなんだな」

「……と、届いたんですね、あなたの心に」

「ああ、届いた」

「え、えへへ……」

「しかしもう時間だ、俺もあんたも、次の戦いに行かなきゃいけない」

「あ、そ、そうですね……」

「違う、そこは『約束』だ。またあんたの心を聴く時を、楽しみに待ってる」

「……は、はい、必ず!」

「じゃあな、後藤!」

「さ、さようなら、隼人さん」

 

 

「──あ、あの!」

「──うん、そうだな」

 

「ありがとう、仮面ライダー!」

「ありがとう、ぼっち・ざ・ろっく」

 

 

「「じゃあ、また、いつか」」

 

 

 

 

 

 

 

 

ギターヒーロー・後藤ひとりは改造人間である。

 

彼女を改造したSHOCKERの遺志と今なお戦う人々がいる。

 

後藤ひとりは彼らの帰る場所のため、結束バンドと共に戦うのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 




タイトル元:仮面ライダー挿入歌『かえってくるライダー』+ぼっち・ざ・ろっく!#12『君に朝が降る』より

 以上をもちまして、本作は完結となります。
 前回、高評価をくださった方をご紹介します。

 ☆9:柚ポン酢さん

 投票いただき、お礼申し上げます。
 これまで、高評価をくださった方々へも、併せてお礼申し上げます。
 また、お気に入り登録、感想、ここすき、捜索への紹介をしていただき、大変執筆の励みになりました、ありがとうございます。

 あれやこれや言いたいことは、活動報告へ纏めます。
 よろしければ御覧ください。

 最後に改めて、奇怪な作品でしたが、ここまでおつきあいいただき、ありがとうございました。








『シン・ぼっち・ざ・ろっく カード:ラッキーカード』
結束バンド
 後藤ひとり、伊地知虹夏、山田リョウ、喜多郁代。
 四人からなる、下北沢のガールズバンドであり、人ではない存在、オーグメントをメンバーとする、世界初のロックバンド。
 その星座は何度も消えかけたが、彼女たちは絶望に呑まれず、結束を強めていき一層輝いた。
 音楽の世界は残酷だ。やがては落ちて消えるのかもしれない。しかし、どんな結末だとしても、彼女たちが後悔はしないだろう。
 なぜなら、知っているからだ。
 夢を抱いたこの日々を、一緒に生きたこの時間を。
 幸せの、その意味を。

 ☆このカードを手元に保管してください。6月の劇場版が楽しみになります。


R6.5.20追伸:きらきら星とデイジーベルを劇中歌に追加しました。忘れてました、すみません……最後の最後に……
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