妻、娘、家族など諸々の設定が捏造なのでご注意ください。
一応公式カプになるのかな?門妻です。
キラウシと門倉の娘というカプは完全二次創作です。
性的な描写はありません。恋愛的描写は少しあります。
全てが終わって、あのお方との別れ・・・
それを聞かされたのは、半年後の秋のことだった。
永倉さんの伝手で世話になっている寺まで夏太郎が訪ねてきた。
どこかで、わかっていたつもり。
でも、納得が行かなくて・・・
夜になれば、川の流れる音と秋の冷たい雨がなんとも寒々しく、いっそう心の隙間に寂しさが吹き込むのだった。
あれから暫く、歩くのもままならないキラウシの身の周りの世話をしながら過ごしていた。
マンスールは海賊船長のような義手を上手く使う稽古をしていて、骨のあるヤツだと感心するばかりだ。
俺はスルメを齧っては酒をちびちびと舐めながら物想いに耽っていた。
「お〜い、看守部長殿〜!」
「んぇ?」
久方ぶりにこの呼び方をされて、ちょっとばかり酔いが醒めた。
俺の事を呼びながら、何やら袋を重たそうに担いでドカドカと廊下を歩いてくる男がいる。
「なんだぁ、白石じゃねえか!って、その袋どした!?」
「へへーん!こいつは、"大当たり"のアンタにも持っていって貰うぜ!」
袋の口を開いて見せるもんだから、俺はその中を覗き込む。
ズタ袋の中には眩いばかりの輝きが広がっている。
「なんだこれぇ!?どしたのこんなに・・・お前、まさか、」
声をひそめて白石の顔を上目遣いに見る。
するとニヤニヤしながら
「だって、アンタの背中のそれ、アタリだろ?本人がわけ前持ってなくてどーすんだよ。これで奥さん迎えにいきな。」
「あ、ぁあ!?バカだなお前〜、黙って独り占めしていい酒飲んで、いい女とたんまりシャバで豪遊してりゃよかったじゃねえかぁ・・・」
歳のせいだろか、涙もろくなったね俺も。
「こんなに・・・こりゃぁ俺が死んでも死に切れねぇだけ余っちまうよ・・・」
「それじゃぁ、看守部長!奥さんとうまくやれよ〜?そんで、鰻でも腹一杯食って元気つけて、なっ!ッピュウ☆」
「うるせぇっ!このっ!」
俺は泣き笑いしながら、ぐしゃぐしゃの顔を袖で荒っぽく拭った。
「あばよ!達者でな、門倉さん!」
「おうよ!お前もな!もう、塀の中に戻るんじゃないぞ!」
「・・・お勤め、ご苦労様でした」
最後に、遠ざかる白石の背中へ呟いて、敬礼をした。
俺は、勝手に白石のことを囚われの身から解き放ってやった。
白石とは、それっきりだったな。どこか、遠くの国に行くんだとか。
何年か時が流れてキラウシも歩けるまでに回復した。
少しずつシカやらウサギの猟もできている。
しばらく、やり残していたことを幾つか片付けて回っていた。
キラウシのコタンへ行ったり、色々とな。
キラウシの母ちゃんは、息子の無事の帰還と、思いもよらぬ土産に涙を流しながら礼を言っていた。
白石からのお裾分けだから、
俺のおかげじゃないんだけどね。蝗害の被害で寂れかけたコタンが潤うと親父さんにも感謝された。
キラウシの兄弟たち、甥っ子や姪っ子もキラウシを心待ちにしていたようだった。
俺も、久しぶりに家族に会ったみたいな気分で、なんかこそばゆかった。
いつかキラウシと約束していた、俺の妻、娘や孫の顔を見に行くという旅もした。
あの話をしたからかな?
出会った頃はしょっちゅう悪態をついていたあいつがあの頃、急に俺に対して優しくなったのは・・・
尻覗き野郎の俺にだって大切な家族はいる。
そのことを知ったら、あいつの中の何かが変わったみたいだった。
夏太郎から聞いたんだが、俺が札幌で死にかけた時なんてキラウシが珍しくベソかいてたんだとよ。
なんつうか、驚いたよ。
俺が死んだら泣くやつがいるって事を改めて思い知らされたから・・・
酒を飲みながら話していた時のことだった。
酔ってしまった俺は、あまりの心寂しさに、あの夜・・・ぽろっと弱音が出てしまう。
妻と娘の写真をヤツに見せてしまったんだ。
笑われるかと思ったが、意外に真剣な顔で俺の話に聞き入っていたよ。
いつか、
「死んだ親父も喜ぶ」
とは言ったが、愛している妻と娘の事だってより強く想っていた。
あの時は思わず、少し涙ぐんでしまったんだ・・・
キラウシ、マンスールと三人で俺の妻子に会いに行った時のこと。
キラウシのやつね、俺の娘を見た途端にピリカ・・・って呟いたんだよ。
尻の穴覗くニシパにこんなピリカな娘がいるのか!?
って、ずっと盛り上がっていたっけなぁ。
写真では、まだ子供だったし。
今頃孫でも生まれてるかな、なんて話してはいたが
娘はずっと一人者だった。
人を好きになる感情がわからなかった・・・とか。
俺のせいで寂しい思いをさせてしまった。
若い頃の俺に似たのかな・・・。
ツイてなくて、諦めてる感じのところ。
その割には、俺・・・嫁さんには唯一惚れちまったんだけどね。
どうして好きになっちゃったかって?
うまく言えないよ。
そういうもんじゃないかな、条件なんてない。
いつの間にか心が盗まれていたみたいな・・・そんな感じかなぁ。
それからさぁ、・・・なんか複雑だけど、俺の娘とキラウシ、良くなっちゃったんだよねぇ。
なんつーかもぉ困っちゃったよ。
いつか、本当に孫ができてジジイになっちゃうのかと思ったらなんだか目から水が・・・
へへ、なんだよばかたれ。
こんなに幸せがまとまって来ちまったら、また俺の不幸の神様が大忙しになっちまうじゃねえか。
二人の関係を知らされたとき、
「ダメぇ!!ぜったいダメぇッ!!だめだめだめッ!!」って、俺はキラウシに叫んだ。
でも、本当は嬉しかったんだ。永らく独りもんだったキラウシも俺の娘も、やっと好き合って所帯を持ちたいひとに出会えたんだから。
俺は、自分の幸せを願うことをやめていた。
いつも誰かのためだった。
やっと今ごろ気づいたんだ
そして、あのお方の物語、この国のことを形にして残したかった。
どうやらそれは亜米利加という国に揃っていると耳にして、俺たち三羽烏は共に海を渡ることを決意した。
もちろん増えた家族も一緒だ。
歳を重ねたが、あの頃よりも今の方が生きていると感じられている。
若く、そして蒼く。
異国の灯りが眩しくて、カーテンを閉じる。
暗い部屋で妻の温もりを指先で辿り、やがては腕の中に招き入れた。
柔らかい・・・
「ずっと一緒だ」
白石に敬礼するシーン、書いてて自分で泣いてしまいました(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)