火の時代を終わらせた不死人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか 作:エドアルド
その者はかつてただの人であった。父と母を持ち、兄弟がいた。平和な世の中ですくすくと育っていた。しかしその生は突然の終わりを告げた。
そんな彼が次に目を覚ましたのは彼にとってはゲームであった世界。名をダークソウルと言う。
その世界で不死人となった彼は火継ぎの使命を託され立ち向かった。
そんな彼の半生をダークソウルの物語と共に語ろう。
古い時代、世界はまだ分かたれず、霧に覆われ灰色の岩と大樹と、朽ちぬ古竜ばかりがあった。
だが、いつかはじめての火がおこり光と闇と、熱と冷たさと、生と死と、
あらゆる差異をもたらした
そして、幾匹かの、闇から生まれた者たちが火に惹かれ、火のそばから、王のソウルを見出した
最初の死者ニト、イザリスの魔女と混沌の娘たち、太陽の光の王グウィンと彼の騎士たちそして、誰も知らぬ影の小人
それらは王の力を得、古龍に戦いを挑んだ
グウィンの雷が岩のウロコを貫き、魔女の火炎は嵐となり、死の瘴気がニトによって解き放たれた
そしてウロコのない白竜シースの裏切りにより、遂に古龍は敗れた
火の時代の始まりだ
だが、やがて火は消え、暗闇だけが残る
今や、火はまさに消えかけ、人の世には届かず、夜ばかりが続き人の中に闇の印、ダークサインが現れはじめていた…
ここからは彼の物語だ。
彼の物語も多くの不死人と同じく北の不死院から始まった。
しかし、彼の物語は順調とは言えなかった。
それもそのはず彼は戦いなど知らない一般人でしか無かったのだから。始まりの地である北の不死院でさえ彼は何十何百と死んだ。亡者はともかくデーモンは彼には難しかった。
だが、不思議な事に彼の心は擦り切れることなく亡者にならずに済んでいた。
普段の彼なら怪しむであろうが数多の死を経験した彼にその余裕は無かった。刺殺、斬殺、圧死、etc……彼がもたらした死と彼にもたらされた死は彼に恐怖を呼び苦しめた。しかし、それでも彼は進んだ。それは彼の正義感故か既に壊れてしまったのか、それは本人にしか分からない。
北の不死院を越え、火継ぎの祭祀場についた彼は少しの休憩の後再び歩み始めた。数多の亡者との戦いを経て道中の牛頭のデーモンを打ち倒し飛竜ヘルカイトも避け太陽の祭壇まで至った。この頃になればソウルで己を強化し更に武器を変え、戦えるようになっていた。しかし、未だに死を繰り返す事に変わりは無い。
城下不死教区を進み彼がたどり着いたのは鍛冶師アンドレイがいる場所だった。アンドレイにより武器を強くし敵をより殺しやすくなった。そんな彼は最初の鐘にたどり着いた。
霊体ソラールの力を借りガーゴイルを打ち倒した彼は鐘を鳴らし再び火継ぎの祭祀場に戻った。
火継ぎの祭祀場で一時の休息を挟んだ彼は次の鐘を鳴らすべく歩みを進めた。次に彼が向かったのは不死街下層。そこで山羊頭デーモンを倒し最下層への鍵を手にした。
彼の持つ万能鍵を使えば鐘の元まで大幅に短縮できるが彼はより経験を積み武器やアイテムを手に入れ魔術に呪術を覚える為にあえてこの道で行ったのだ。さらに言えばここは彼の知るゲームとは違いやろうと思えば鍵を使わずに強引に突破する事も出来るのだ。
少々ズレたが話を続けよう。
彼は最下層へと足を踏み入れた。最下層は言わば下水道とも言える場所、そこは酷く汚く臭う。潔癖症でなくても行きたくない場所だが彼は我慢し歩を進めた。道中で闇霊棘騎士カークを相手にしながら彼は進み、ネズミやバジリスクも殺し進んだ。
そして着いたのは貪食ドラゴンの元だ。ドラゴンとは呼ばれているがその姿はとてもドラゴンには見えない悪魔や化け物と呼ばれるに相応しい姿だ。ここでも彼は霊体の力を借りて貪食ドラゴンを打ち破った。
しかし、ここに来るまでも彼は幾度となく死んだ。この頃には彼の感覚は麻痺し死に対する恐怖は薄れていた。強いて言えば痛みへの拒絶はまだ残っていただろう。
彼はここで手に入れた鍵を使って病み村に向かう前に一度北の不死院へと戻った。病み村の一番下には毒沼が広がっている。そこで足を取られずに進む為にあるアイテムを取りに行ったのだ。
北の不死院に戻ればかつて出た時と変わって黒騎士がいたり再びはぐれデーモンと戦う事にもなった。そして彼を助けてくれた騎士は亡者と化して襲ってきた。彼は少しだけ残った良心に叱責に悩まされながらも騎士に引導を渡しその鎧と盾、剣を剥ぎ取り装着した。彼が今まで使っていた戦士の装備より上等な物だ。そのまま彼は目的のアイテムを手に入れ火継ぎの祭祀場に戻った。
火継ぎの祭祀場で再び休息をとった彼は病み村へと足を運んだ。病み村では不安定な足場で飢えた亡者や巨漢亡者と戦う事になり彼はここで多くの落下死を経験した。混沌の犬に焼き殺される事もしばしば。
そうして辿り着いたのは病み村の一番下の毒沼。ここを毒に苦しみながらも進み足を踏み入れたのはクラーグの住処。
彼はここで少し前に倒した闇霊ミルドレッドの力を借りつつ魔女クラーグを打ち倒し二つ目の鐘を鳴らすことに成功した。
これでやっと使命を知るための使命を果たした彼は世界の蛇、王の探索者フラムトに会い、火継ぎの使命を託された。
……う〜む。ここまで長くなってしまったな少々まいてこう。
火継ぎの使命とは王のソウルを集め最初の火の炉へたどり着き薪の王グウィンを打ち倒しその火を継ぐ事である。
まず初めに王の器を手に入れその中に王のソウルを焚べる必要がある。その為に集める王のソウルの持ち主は、四人の公王、混沌の苗床、白竜シース、墓王ニト。この者らの王のソウルをもって最初の火の炉への道を開く。
そんな火継ぎの使命を彼はやり遂げた。幾重もの死を重ね遂には薪の王グウィンの元まで辿り着きその火を継いだ。
しかし、そこで彼の物語は終わらなかった。何故かって?私にも分からないだが一つ言えるのは彼が北の不死院から再び使命を果たす為に歩みだしたことだ。それこそ何十回も何百回も。……私は彼が発狂しなかったのが不思議でならないね。幾ら亡者にはならなくとも廃人にはなりそうなものだ。
そんな彼は火を継ぐ事もあれば火を継がず闇の王になる事もあった。しかし、それでも彼の火継ぎは終わらない。手を変え品を変え、あれこれやりながらも結局繰り返す事に変わりはなかった。
そんな終わりの見えない旅の中彼は一つの賭けに出た。それは新たな世界の創造だ。数多の繰り返しをする内に彼の中には膨大なソウルが溜まっていた。それこそ王のソウルすらも。もはや最初の火すらも凌駕した光と熱、生命、そしてそれに対応するように膨れ上がる闇と冷たさ、死。これを内包した彼は最初の火の炉にて新たな世界の創造を目指した。彼が目指したのは火が永遠であり闇が永遠である世界、火と闇が共存した世界。これ以上誰も苦しまぬ様、それ以上に自身の運命の円環からの脱却の為。今までの世界の理の破壊を目指した。
火により闇を生み出し、その闇を焼却し火を維持する。それが彼の答えだ。全てのモノにソウルが宿る以上不可能ではなかった。それをもってして彼は世界を作り替えた。
彼を縛り付けていた円環も断ち切れた。
こうして彼ははれて自由の身だ。だが彼は今までの旅の反動かそれから動く事は無かった何百何千何万の時をただ火と闇に身を任せ過ごした。
ん?これで終わりかって?違うとも彼の物語はまだ終わっちゃあいないこれからさ。新たな世界で彼は歩み出すのさ、使命の為ではなく自由にね?
さあ、見守ろうじゃないか彼の旅路を。
転生者について
ダークソウルリマスターの世界に転生した一般人実は神様転生者。本人は気付いていない。ダークソウルの世界を繰り返したのは神のせい。亡者にならなかったのもこいつのせい。
主人公の足掻き藻掻く様を見て楽しんでいたが主人公のダークソウル世界の創造に巻き込まれ焼却された。主人公は妙に多いソウルがいきなり入って来たな?ぐらいで認識している。いたこと自体は知らない。
最近ダークソウルリマスターを買って見事にハマりました。2周目でも全然楽しいわ。あとアイテム増殖バグうめぇ。ソウルが美味しいよ