火の時代を終わらせた不死人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか 作:エドアルド
それではどうぞ
「これは……美味いな」
「でしょう?私もこれ好きなの!」
青髪の少女アーディ・ヴァルマにすすめられ屋台でじゃが丸くんなるものを頬張る。
うむ、見た目は完全にコロッケだがかつて食べたコロッケはもう味を思い出せないので比べる必要も無いな。
彼女アーディと出会ったのは少し前だった。ロキのファミリアもダンジョン攻略やギルドから課されるミッションの処理など修行に明け暮れる事が出来る程暇ではなく今日はちょうど修行がない日だったのでオラリオを探索していた。
久方ぶりの地上、いくらでも見る所はある。それにただ見ているだけでも最初の火の炉よりもずっと充実している。
そうして街中に目を向けていると。
「ねぇ、そこの貴方」
「ん?私か?」
突然声を掛けられた。それがアーディだった。
「さっきからキョロキョロしてるけど大丈夫?なんか探し物?」
一割の警戒心と九割の良心……見た事がないレベルで善人だと一目見て思った。一割の警戒心はおそらく治安が悪いが故のものだろう。
そうでなければ彼女は善意100%でこちらに声を掛けていただろう。
「いや、探し物はない。最近オラリオに来てな散策していたところだ」
「今のオラリオに?冒険者みたいだけどわざわざ来なくても良かったんじゃない?」
「遠くから来ていてなオラリオの存在自体知らなかったんだ。闇派閥というやからが暴れているというのもこちらに来てから知ったのでな」
「……え?そ、そうなの!?」
オラリオを知らないとと言えばかなり驚いた様子を見せる。それもそうだろう聞いた話によればオラリオは世界の中心と呼ばれる場所だ今どき知らない人はほぼいないと言っていい。
「ところで君は?」
「あ、ごめんなさい。私アーディ・ヴァルマって言うの」
「私はレクスという」
「レクスさんね、よろしく!」
「よろしく頼む」
「ところでレクスさんオラリオに来たのは最近なんでしょ?」
「ああ、そうだが」
「なら、私が案内してあげる!」
そう言って私の手を引っ張り走り出したアーディになされるがままでじゃが丸くんを食べる事に至った。
「味も色々あって飽きないからオラリオでは結構親しまれてるのよ」
「……まあ、そうだろうな」
ちらりと見た屋台のラインナップには小豆クリームなんて文字もあった。味が想像出来ない。見た限りでは買う人がまあまあいるからおそらく不味くは無いのだろうが字面だけ見ると中々なインパクトがある。
唯一残念なのは前世出会った中濃ソースのようなものが無い事だ。そのうち自作してみるのも良いかもしれんな。
「さ、次行きましょう!」
「元気だな……」
じゃが丸くんを食べ終えれば再びアーディは私の手を掴み駆け出した。ここまで活発な子には会った事がないが、誰かに引っ張られるというのも悪くは無いな。
それから暫く私はアーディに連れられて多くの場所を回った。途中でアーディの主神であるガネーシャ神とあったのだが中々のインパクトというか自己主張が凄かった。
そしてアーディに連れ回されて夕暮れ頃になったころの出来事であった。突然の悲鳴が聞こえた。
「うわぁぁぁぁぁ!?」
「悲鳴?」
「こっちね!」
その悲鳴に私が疑問を抱くと同時にアーディは走り出していた。私も一瞬の思考の後見知らぬふりをする選択肢を頭から追い出しアーディの後を追った。
「い、
「殺せ殺せ!」
「オラリオに破滅を!終わりを!」
「こっ、こっちに来るなぁァァ!?」
「ぼ、冒険者はいないのか!?」
アーディを追いついた場所では人々を襲う冒険者のような出で立ちをしたもの達がいた。先程聞こえた声通りならこいつらがオラリオを蝕んでいるという闇派閥とやらか。
「レクス!戦える?」
「無論だ」
アーディの確認に応えると同時に私とアーディは駆けていた。
私はソウルに変換していたアルトリウスの大剣(聖)を取り出すと一気に加速し纏めて五人ほどの闇派閥の首を飛ばした。
「後25人か……」
「ひっ!?」
「な、なんだコイツ!?」
「こ、殺せ!!」
「……わーお。つよ」
いきなり五人の首を切り飛ばしたから闇派閥たちは浮き足立ちながらも私に敵意を剥き出しにする。それを見たアーディは予想外の強さだったのか驚きの声を出していた。
私はそのまま一般の人々を襲おうとするものを優先的に首をはねていった。ここにいる闇派閥のソウルは人とは思えぬ程に黒く汚れきっていた為、特に手加減はせずに命を絶った。これも邪神や悪神たちの影響なのかもしれぬな。
闇派閥のもの達は全員フィン達よりも弱く、元より今の人々とは良くも悪くも隔絶した力を持っている私には苦では無かった。
アーディも特段苦戦すること無く闇派閥の人間を切り伏せる事が出来ていた。このもの達はあくまでもただの雑兵という事であろうな。
しかし、体に爆発物を巻き付けて諸共に死ぬ攻撃をしてきたものもいた。人間爆弾とは、闇派閥という存在はどうやら私の予想よりも遥かに頭のおかしい連中のようだ。