火の時代を終わらせた不死人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか 作:エドアルド
どれ程の年月がたっただろうか。あの日あの時、この世界に生まれて歩んだ旅路を火と闇を見つめながら思い出す。
幾つもの死を経験した、幾つもの出会いと別れを経験した。苦しく辛い旅だった。しかし、良い思い出もある。太陽の戦士ソラール、彼には何度も助けられた。火防女のアナスタシア、彼女の灯す篝火は私に安らぎを与えた。魔術師グリッグスとビックハットローガンには魔術を、呪術師ラレンティウスとイザリスのクラーナには呪術を教わった。鉄板のパッチには蹴落とされたがその後はちょっとした友のようにたわいない話をした。他にもジークマイヤーやドーナル、エンジー、ロートレク……いや、ロートレクは基本殺すか無視してたからな。まぁ、良いか。
どれもこれも良い思い出だ。
…………どうにもあの円環からの脱却してから過去ばかり思い出す。あれからどれ程の時が経ったのか分からない。円環を繰り返すうちに時を数えるのは辞めたからな。
今の世界はどうなっているのか。だがいまいち見ようとは思わない。歩み続けた弊害か、どうにも燃え尽きた灰のようだ。
そんな事を考えていると足音がした。
闇霊か、それとも偶に出る神を自称する不届き者がまた来たか。そう思って足音の方に剣を持ち視線を向けるとそこに居たのは人であった。
「……ふむ、只人とは珍しい」
「え、えっと……」
戸惑っているのか、ソウルを見ても別段悪人と言う訳でも無いか。迷い人か珍しい、いや、初めてか。故意に入って来る者はいたが。
「まぁ良い、迷い込んだのであろう。火に当たるといい。ここの闇は濃いからな」
「…………」
ふむ、訝しむの無理は無いだろう。しかし、冷たさに耐えられなかったのか火に当たり始めた。最初の火の炉は火と闇の力が顕著だ、只人にはここの冷たさは辛いだろう。
私も再び座り込み火を見つめた。そうしていると迷い人のお嬢さんが話しかけてきた。
「……ここは何処ですか?」
「ここは最初の火の炉」
「最初の火の炉……」
やはり知らないか。世界創造で一度世界がリセットされたのかそのまま続いたのかは知らないから失伝したのかそもそも知らないのかは分からないがな。
だが、あの酷く醜い歩みが人に知られなかったのは良かったのかもしれない。
そんな事を考えているとふと、外の事が少々気になって来た。今はどうなっているのか、どんな世界か。
彼女に聞いてみるとしよう。
「お嬢さん、少し私の話しに付き合ってくれないか?」
「……お、お嬢さん!?え、ええ良いわ。でもここから元の場所に帰る事は出来るのかしら?」
「あぁ、やろうと思えば何時でも大丈夫だ。ここは時の流れが淀んでいるからな。」
「そうなの。それと私はお嬢さんじゃなくてアスフィ・アル・アンドロメダよ。」
「そうか、ではアスフィ殿と呼ばせてもらおう。私の名前は……」
「どうしたんですか?」
―――私の名前は何だったか
あまりの長い年月がたったからか名前が思い出せない。それに、彼の地では私を名前で呼ぶ者など居なかったからな。どうするか。
「……アスフィ殿が名をつけてはくれぬか?」
「え?」
「生憎と名など忘れてしまってな。これも何かの縁だお願いしたいのだが。良いかな?」
「……わかったわ」
「ありがたい」
アスフィはそのまま難しい顔をして考え始めた。名というのは本来親から贈られる願いが詰まった物だ。それを忘れるとは私も親不孝者だな。いや、今更か。
「決まったわ。貴方の名前はレクス。どう?」
「……良き名だ。感謝しよう」
「いえ」
名など今まで必要では無かったが……良いな。
「それじゃあ少し私の話し相手になってくれ」
「ええ」
それから聞いたのは今の世界の事。
ダンジョン、オラリオ、神々、恩恵、ファミリア、極東、モンスター、様々な事を聞いた。色々と様変わりしているようだったが亡者と化け物がひしめく地獄のようなあの時は終わったのか。……そうか
そう物思いに耽っていると今度はアスフィ殿から話しを聞かせて欲しいと言われた。ここの事私の事などを聞かれ、最初の火や伝説の事、神々の話し、火継ぎの使命。無駄な事まで話した気がする。だが、誰かに話したかったのかも知れないな、愚かな私の軌跡を。
そうしているうちにどれ程の時間が経ったのかアスフィ殿がそろそろ帰ると言い出した。かなり話し込んでしまったようだ。
「貴方は外に出ないんですか?」
ふと、思い付いたかのようにアスフィ殿は私にそう問い掛けた。
……外か。良い機会かもしれない。今まで閉じこもっていたが旅するのも良いかもな、今度は使命の為では無く、自由に。
「久方ぶりに外に出るか……」
「えぇ、きっと楽しい事があるわよ」
私があの話しをしたからか妙に優しいな。最初はよそよそしかったと言うのに。まぁ、気にする事でも無いか
外に出る前に番人を置いていくか。また、この最初の火の炉に不届き者が現れるとも限らない。
自身のソウルの一部を切り出し形を与える。私の化身とも言えるそのソウル、〈番霊〉とでも言うべきか。それを置いて行く。もっとも誰かここに踏み入れば私が感知する為、唯の足止め役だがな。
「それでは行くか、こっちだ」
「ええ」
アスフィ殿を連れ最初の火の炉の唯一の扉を目指す。かつて自分が通った道を。
作者はダンまちではアスフィが好きです!という訳で第一ヒロインだ!
私の作品に低評価を押すのは良い。しかし、理由を述べよ!!
という訳で評価を最低5文字にした
好みとかいう奴は評価すんな。そういう時は評価せず二度と見るな。