足跡の先に積み上がる敗者の死骸はいずれ天を貫くのだろう。
「そう...、それでも私は進み続ける。例え行き着く先が残酷な未来でも」
自分も騙し続けた彼は真の幸福とは何かを見定めるため、自分を殺して歪な人格を作り上げてアップデートする。
前世とは反対な生き方をして、嗤いながら奈落の底へ落ち続ける。無限の自己愛を暴力的なものへ変換し続けながら。
ここに化け物を演じ続ける哀れな人間の演目が幕をあげる。
空間に乾いた音が響く。
そこはどこにでもある小学校。
授業間の休み時間というのにその空間だけは静まり返っていた。
静寂の元凶と言えるのは周囲の観衆(クラスメイト)の視線の先にあった。
片方は茶髪でまだ幼げな雰囲気が抜けきっていない少女。表情に含まれるものは怒りや悲しみ、嫉妬など。その目からはいくつもの透明な雫が流れ出ており、この年代の女の子では感情の制御がうまく出来ない子が大半の為、そう珍しい事ではなかった。
ただし、その中でも目立つこともある。
茶髪の少女の利き手である右手が上がっており、相手の頬を張った直後の状態だったため掌は少し赤みが広がっている。
相手の少女は、夜空のような濃紺の髪をしている。雰囲気に幼さは無く、ませている様でも無かった。精神が早熟した子供によく見られるものとも違い、冷たいながらも透明な...そんな異質な雰囲気を纏っている子だ。
彼女の左頬は張られた影響か、若干赤みが広がっている。しかしその瞳は薄暗くて淀んでいて、表情から見ても感情が読み取れない。まさに無感情を体現していた。
通常は頬を張られた痛みで表情筋や目、体のどこかが反応を示すものだが、彼女にそう言った様子は見られない。
淀んだ瞳から発し続けられるのは、人の心を透かし通す様な冷たく、気味の悪い視線。
茶髪の少女に周囲から向けられるのは同情の視線。ただ、もう片方に向けられる視線は攻撃的なものではなく、諦めの視線。茶髪の少女はそんな現状に耐えきれなくなったのか、涙腺がより崩壊して声を上げて泣きながら教室から走り去った。彼女と親しい子は先生に確認を取ってから追いかける。
濃紺の少女はそれでも無感情そのものだった。
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人を傷つける言葉、それは意図してもしてなくてもフィルターをかけずに発すればどこかで必ず出てくるもの。
先程張られた左頬を左手で撫でる。
以前の私なら、感情的でまだ制御の効かない年頃に無情な言葉を吐くことも...吐いたとしてもすぐに自生する精神を持ち合わせたのだろう。
しかし私は自分の中の方針を変更した。
2回目の人生は幸せを味わうものではなく、自分の中で納得する頂点を取る。それだけを意識してこの世界を生きる。
人を見て的確に嘘をつき、忖度を振りまいて、八方美人を演じながら敵を作らない。時に怠惰に生きて妥協する。人を騙して自分すら騙す。同じ生き方をすればまた、素晴らしい人生を送れるのだろう。しかし、自宅で孫や息子、娘に囲まれて瞼を閉じた次の瞬間この人生が始まったものの記憶は穴だらけで空虚な感情が残った。自分がとても幸せな人生を送れたことはなんとなく理解できるが、それがどんな幸福なのかはピンと来ていない。
その答えを探すためにも2回目は容赦をしない。
自分に試練を立て続けに用意してその壁を乗り越えるのではなく正面から突き破ることで解決する。人として重要なことをいくつもかなぐり捨てて頂点を目指したその先は、おそらく残酷で多くの人を不幸にするだろうし自分が満足できるかも不明。方針を変えたばかりのワタシは時折、その輝かしくも暗い未来に恐怖した。それも半年すれば無くなった。この瞬間、ワタシは私になったのだろう。
かつての僕や俺を塗り替え、ワタシになって私に進化する。
未来に恐怖する自分が死んで、今は薄暗い未来すらも楽しみに思う自分がいる。
そのためにも今は改めて2度目の学生生活、失敗と成功のパレードを楽しもう。
なぁんて...流石に私、天才じゃないし。
自分が女の子である様に振る舞うことしかできないなぁ。
やっぱり私の持つ愛って、自己愛だから。
長く連れ添った自分自身を殺すなんて到底無理だよ。
未完
作者はそんな残酷な話書けないです。
主に主人公が苦境に陥る状況とかね。
凡人以下の私だとこれが今の限界です。