終わり良ければ総て良しなんて間違っているだろうか   作:できてな

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第一章
プロローグ


 

 

 

 

『鬼人』

 

 

 

 その種族は、極東出身の者であれば馴染み深いものかもしれない。

 

 千年も昔という遠い昔に廃れたとされている種族。

 

 時代の流れにより忘れられてしまうのがこの世の摂理というものだろう。

 しかしながら、この種族だけは忘れられることなく親から子へと伝われ続けている。

 

 それも極東のみならず、この世界で最も有名である都市、「迷宮都市オラリオ」の人々でも『鬼人』を知っている者がほとんどである。

 しかし、どうしてここまでも世界中に認識されているのか••••それはーーー

 

 

 

 

 

 

『史上最悪の種族』

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「ふぅ、やっと見えてきましたね。迷宮都市オラリオ••••ここまで来るのに随分と掛かってしまいましたが•••」

 

 

 

 私は、今までの過酷な旅を思い出しながら、安堵の気持ちを込めて口に出す。

隣に誰もいないため、唯の独り言なのだが、

 

 門に着くと検問なのだろう列ができていた為、私もその列へと並び順番を待つ。

待っていると•••

 

 

 

「えっと、見た感じ商人の様には見られないけど。冒険者の方ですか?」

 

「い、いや、まだ冒険者では無いのですが。その、冒険者になるためにここへ…」

 

 

 

 門の警備か検問を行っていた人だろうか、青い服を着た女性に話しかけられ、少し驚きながら返事をする。

 列に並んでいる人を見まわしてみると、積み荷を引いていたり大きな荷物を抱えている人がほとんどである。

 それに対して小さくはないリュックではあるが、それ一つである為、商人ではないと判断されたのだろう。それとも、極東で好んで使用されている大小の刀を腰に差してあるためだろうか。

 

 そんなことを考えていると、

 

 

 

「それじゃあ、こっちに来て。冒険者志望なら、所持品とか恩恵も調べなきゃだから」

 

 

 

 青い服の女性に連れられて行く•••

 

 

 

「まずは、所持品から調べるから出してくれる?」

 

「わかりました。」

 

 

 

 言われるままにリュックの中身なり、刀などを出した後問題ないと言われたため、それらをしまい直す。

 

しまい終えた頃に、

 

 

 

「えっと、最後に恩恵の確認を行います。背中をこっちに向けてくれる?」

 

「はい」

 

 

 

 言われたとおりに背中を青い服の女性に向ける。

 何かの魔道具だろうか、良くわからないものを持っていた。

 

 

 

「うん、恩恵はないみたいだね。大丈夫だよ」

 

「ありがとうございました」

 

 

 

 問題、はなかったようだ•••なぜだか少しだけ緊張してしまっていた。

 なんというか•••悪いことはしていないのに突然、母に呼ばれ叱られてしまうかもしれないと思い、記憶の中から自分の行動に問題はないかと思い出している最中のなんとも言えない緊張のような•••

 リュックを背負い直し、青い服の女性に一礼をしてオラリオを囲む大きな壁に空いた門をくぐろうと歩きはじめる。

 

 

 門をくぐると、世界の中心であると聞いた通りに多くの人々がいた。

 しかし、なぜだろうか違和感に感じてしまうことがあった。人の多さから圧倒はされているのだが•••活気?が感じられないように思えてしまう私がいた。

 それも、都市全体が沈んでいるような、怯えているような•••そんな空気に感じられた。

 

 

 

「何かあったのでしょうか?それとも普段からこのような都市なのでしょうか?」

 

 

 

 私は、オラリオを訪れたのはこれが初めてであるために普段のオラリオの様子は知らないのでよくわからない。

 少し期待が外れてしまっていたために気持ちが落ちてしまった気もするが切り替える。

 

 

 

「えっと、まずはギルドに行って•••まぁ、ギルドに行けばどうにかなるでしょう」

 

 

 私は極東出身であるため、オラリオの知識に疎くその上、どうしたら冒険者になれるのですら知らないのである•••

 しかし!! 無計画ではあったが目的地であるオラリオに来ることが出来たため、そこからの謎な自信が今の私には芽生えてしまっていたのである。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 結局、オラリオに入って3時間程掛かりギルドへ着いた。

 (だいぶ時間がかかってしまいました•••)

 

 

 

 ー1時間ほど前ー

 

 私は今迷ってしまっている。2時間ほど前にはあった自信は跡形もなく消え去っていた。

 あの青い服の女性に聞けばよかったと後悔に思いながら、ギルドの場所がわからずにキョロキョロしながら周辺をうろついていたところ、綺麗な緑の髪をしたエルフに声をかけられた。

 

 

 

「そこの極東の貴方、困りごとですか?」

 

「は、はい。ギルドの場所がわからなくて•••オラリオには初めてきたものですから」

 

 

 

 さっきからキョロキョロとしていた私を見て不自然に思ったのだろう。私は彼女に話しかけられて少しビクッとして、それからの彼女の問いに恥ずかしさを覚えながら答える。

 

 

 

「そうですか、ギルドは北西の第七区にあります。外観は万神殿ですので見ればわかると思いますよ。•••ギルドということは、冒険者に?」

 

「ありがとうございます。それと、はい。冒険者になるためにオラリオに来ました」

 

 

 

 ギルドの場所を教えてもらったことにお礼を伝え、冒険者になるのかと聞かれたことに対して肯定の意を伝える。

 その肯定の意を伝えた時に少しだけ彼女が顔を歪めたように見えた。そのあと、

 

 

 

「どうしてこのような時期に?」

 

「•••?」

 

 

 

 彼女の質問の意味が分からずに首をコテンと傾げてしまう。

 意味が分からないという私の意図が彼女に伝わったのだろう。より彼女が顔を歪める。

 そんな彼女を見て私の頭の中の「?」がいっぱいになってしまう。

 

 

 

「•••今、オラリオは闇派閥と呼ばれる組織により安全と言えない状況となっています。力のある冒険者ならまだしも貴方のような新人の冒険者は、危険な目にあってしまうかもしれません•••それも貴方のような女性なら尚更心配です•••」

 

 真剣な顔をしながら私を説得してくれる。

 彼女が教えてくれた闇派閥なるものは初耳だが、オラリオに来てからすぐに感じられたあの違和感の正体が分かり少しすっきりした気持ちになった。

 それでも、闇派閥がどれほどのものかは分からないが、引き返すつもりはない。

 しかし、しかしだ、女性•••女性かぁ、まぁ、こんな見た目ですからね•••しょうがないですか••••。

 

 ちなみに、私の恰好なのだが極東の巫女が着ている巫女装束によく似た服を着ているこの服を着ていたために彼女は極東の者と判断したのだろう。

 髪は長い方だろう背中まで伸びている。また、頭には市女笠と呼ばれる極東の帽子で、笠の周りには互いの顔を認識できる程度の薄い布がかかっているものをかぶっている。

 

 元々女性的な顔立ちでもあるため間違われることはある•••いや、ほとんど間違われる。そう、ほとんど

 まぁいいや(ヤケクソ)

 

 

 

「ご心配感謝します。私は田舎の出である為、オラリオの情報に疎いものでして••••ですが、私には目的がありここまで来ました。いまさら引き返せませんし、引き返すつもりもないです」

 

 

 

 私は真剣に自分の意見を彼女に伝える。すると、私の真剣さに驚いたのか彼女は少しだけ目を大きくした。

 

 

 

「そ、そうですか•••貴方自身がそう決めたのならば私がとやかく言うことでもありません。ですが、困ったことがあれば頼ってください。あ、名乗っていあませんでしたね。私は、【アストレア・ファミリア】、〈リュー・リオン〉です。よろしくお願いします」

 

「はい•••よろしくお願いします。•••あ、その」

 

「?」

 

「私も名乗らせていただきたいのですが、ここは人が多すぎます。•••ので、少し移動して頂けますか?」

 

「ぇ、は、はい」

 

 

 

 相手に名乗らせておいて、自分は名乗らないなどあり得ない。

 名乗るだけなら出来るのだが、市女笠をかぶったままで名乗ることをしたくなかったのだ。困っていたところに親切にしてくれたリオンに。しかし、市女笠を人前ではあまり外したくはないのだ。

 

 

ーーー

 

 

 人気のない場所へと移動したのち、

 名を名乗るために、渋りながらも市女笠を外そうと手をかける。

 そんな私の様子を不思議そうに見つめてくるリオンに、

 

 

「あの•••あまり、まだ言いふらしてほしくはないんですが。リオンさんなら大丈夫だと思うので」

 

 

 

 と、言い市女笠を外す。

 

 

 

「!?」

 

 

 

 リオンの顔に驚愕が張り付く。私の顔を見てだろうか?布に遮られとはいえ顔は見れていただろうだからそうではないだろう。それも、顔のみでここまでの反応を引き出すのは、相当に難しいものだろうと思うが、まぁ•••リオンがここまでも驚いている理由は分かっているのだが・・・

 彼女は、私の•••

 

 

 

 

 

『角』

 

 

 

 

 を見て驚いたのだろう。先端になるにつれて血のような赤黒く濃い色に変化している。不気味にですら感じられるが、どこか美しく魅了されてしまいそうな、その『角』に、

 

 

 この世界には様々な種族が存在している。

 しかも、世界の中心であるこの都市ならば、容易に多くの種族と出会うことが可能だろう。

 だが、この額から伸びている『二本の角』を持っている種族となると、出会うことは大変に難しいものとなるだろう。

 そんな希少な存在と出会う•••未知との遭遇による驚きなのか?

 それとも『鬼人』と出会ってしまった恐怖、嫌悪の表情なのか・・・

 

 

 

「はい、驚いてはいると思いますが、とりあえず名前を。私の名は〈紫苑〉、鬼に姓はありませんので。まぁ、見ての通りの『鬼人』

です。鬼に頼られても迷惑だと思いますので•••ですが、助けて頂きありがとうございました」

 

「ぇ••••」

 

 

 

 まだ目の前の状況が処理できていないのだろう。それもそうだ、目の前に『史上最悪の種族』がいるのだから。恐怖に染められて泣いてしまったり、逃げ出さないだけ比較的良い反応の部類である。

 

 それにしても長くない?ずっと止まったままでいる。

 「まぁ、いいですか」と、私は市女笠を被り直す。

 

 

 

「それでは、失礼します」

 

「••••ぁ••••••紫苑さん!」

 

 

 

 

 リオンが何かを言おうとしたのだろうが聞き流し、人混みに紛れていった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ー現在ー

 

 

 リオンと別れた後、すぐにギルドへと向かいギルドに到着した。

 やはりギルドだけのことはあり、冒険者らしき服装や装備を身に着けている人が比較的多くみられる。

 そのような光景を見ているとワクワクといった感情が湧き上がってくる。

 

 ギルドに入ると、正面の奥に受付らしきものが設置されていて職員だろう人が座している。

 

 適当に受付に座る、

 

 

 

「あの、すみません。冒険者になりたいんですけど、対応お願いしてもらってもいいですか?」

 

「はい、冒険者登録でよろしいですか?

ファミリアに所属していて恩恵を持っていることが条件となるのですが•••」

 

「その••••ファミリアにどうしたら入れるのかとか、恩恵とかもよく良く分かっていなくて」

 

「それでしたら~~~~~~~」

 

 

 

 それから、受付の女性が様々なことを丁寧に教えてくれた。

 例えば、ファミリアに入るためには各ファミリアごとに入り方は違うらしいが、とりあえずそのファミリアの主神に気に入られればいいらしい。

 難しいらしいが•••

 規模が大きく、力のあるファミリアほど入るのは難しくなるため、比較的小規模のファミリアならば入れる可能性が高いとのこと。

 それとどこのファミリアの主神だろうと、恩恵に違いは無いらしい。

 それでも、力を得るため、名声などを得るためには力のあるファミリアに

入った方が良いということは必然である。

 弱いチームに所属するよりも強いチームに所属する方が良質な経験を得られ、効率的に無駄なく自分を成長させることが出来るだろう。

 

 

 受付の女性の説明を聞いた後、ファミリア所属を目指してギルドを出た。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 ここが【ロキ・ファミリア】ですか•••

 




最後まで読んでくださりありがとうございました。
いかがでしたか?
学業の合間で作っているため至らない点もあるかもしれませんが•••
ちなみに、このあとの展開なりは大雑把には考えてはいるのですが、いまいちヒロインが決めかねている部分でして、取り合えず頑張ってまとめていこうと思います。

うっし!寝よ。
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