終わり良ければ総て良しなんて間違っているだろうか   作:できてな

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九話 うぅーん?少し踏み込みすぎたかもしれない・・・ま、いっか!

 

 

 

「ーーっ!」

 

 

 

 襲いかかるのは剣による斬撃。その一つ一つが重く、受けて防ぐことはできても反動によって私は反撃を行う事が出来ていない・・・

 

 「風」を全身と武器に纏い攻撃力、防御力、機動力を向上させる【エアリアル】を使用していてもこの状況である・・・

 

 

 ・・・「風」の優位性を考慮して空中での戦闘に持ち込んだのだが、規格外の跳躍力による対空時間の確保で攻撃の威力や機動性に変化はない。

 

 斬撃を剣で受けるがすぐに蹴りを受け、地面に叩きつけられる。 

 受け身を取り、すぐに起き上がり構えを取る。しかし、確実にダメージが積み重なっていて息が上がる・・・

 

 

 肩を大きく揺らす私に対して女は言う・・・

 

 

 

「便利な風だな『アリア』・・・「その名前をどこで!?」・・・」

 

 

 

 

 彼女の発言に私は大きく動揺してしまっているだろう。彼女は私の問いには答えない・・・私の疑問が晴れないままに彼女は向かってくる。

 

 

 

 先ほどから相対している彼女。私に一度も反撃を与えずに完封していた状況、どう考慮しても・・・

 

 

(・・・私よりも・・・強い!!)

 

 

(だとしても!)

 

 

 正面に跳ぶ・・・彼女は私に向けて横薙ぎで剣を振るう。

 「風」を使い、斜め下に変速移動させて回避する。瞬時に死角への強制瞬間移動を行い、彼女の背面を捉える・・・そのまま剣を振るう・・・

 

 

(この一撃に全てを!!)

 

 

 背後からの攻撃・・・ありきたりであろうが、敵が瞬間に目の前から消えたのであれば実力者であっても動揺は生まれるだろう。

 しかも、私の俊敏のステイタスは高い方であり、さらに【エアリアル】によって更に向上されている・・・であれば、攻撃を与えることは出来る・・・はずであった。

 

 

 

「人形のような顔をしていると思ったが」

 

 

 

 ・・・剣に感触はない・・・私は空を切った。

 

 

 死角であったのにも関わらず一瞬も動揺せずに身体を低くし、攻撃を回避した。

 同時に、私の耳元で囁く・・・

 

 瞬間・・・彼女の足元が砕かれる、剣を振るう時の踏み込みだ・・・

 

 

 私は先ほどの一撃で仕止めようと剣を振った・・・こうでもしなければ殺されるからだ。

 であるからに・・・避けられた後の対処など考慮する余裕もく、今の私は十分に回避行動を行える状況ではない・・・

 

 

 (【エアリアル】最だーー)

 

 

 かろうじて剣で受けることに成功した・・・が、瞬間に伝わる衝撃・・・その威力は腕から上半身に重く伝わり全体を強打された様にも感じてしまう・・・

 意識を持っていかれてもおかしくない衝撃に耐えるも、私の身体は吹き飛ばされ勢いそのままに岩に身体を打ち付ける・・・

 

 力の入らなくなった腕からは剣が溢れ落ちる。

 

 

 

「・・・ぁ・・・・・・ぅ」

 

 

 

 口から溢れるのは細い息のみでしかない。

 

 

(っ・・・・・・!? 身体が・・・動かな・・・!?)

 

 

 身体を動かそうとするが、力の入れ方を忘れてしまったかのように動かない・・・岩に身体を沈ませている私に歩いて向かってくる彼女・・・どうやら勝ちを確信しているのであろう。それもそうだ、今の私は身動き一つ出来ない状態であるから確実に仕止められる・・・

 

 

(動・・・いて・・・動いて!!)

 

 

 自分に言い聞かせても反応することはなく、彼女との距離は近くなっていく・・・

 彼女の持っていた剣は先ほどの一撃によって破損してしまったのだろうか、刀身が無くなってた。それを捨てて拳を握り込む・・・

 

 

 

「やっと終わりだ」

 

 

 

 その言葉と共に振りかぶった拳が私に向かい迫る・・・身構えることも出来ずに直後に訪れるであろう衝撃に恐れを覚えた・・・瞬間・・・・

 

 

 

 

 

 目に映るのは・・・迫っていた拳が腕ごと空中を舞う光景・・・

 

 

 

 

 回転させながら鮮やかな血を吹き出し、放物線を絵描くそれ・・・腕の持ち主はというと腕を欠損したことへの動揺だろう理解出来ていない様子であった。

 瞬間、停止状態であった彼女の頭が大きく揺れ、身体が左方向に飛ばされた・・・

 斜め下方向に飛ばされて地面に衝突したものの、勢いが止まらずに地面を削る・・・

 

 

 彼女と距離ができたところで、私を守るように目の前に立つのは・・・

 

 

 

「・・・し・・・紫苑?」

 

「・・・・・・ぁ」

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

(え!? アイズやばくないですか!?)

 

 

 私がアイズを見つけた時に彼女は岩に向けて飛ばされていた。防御を完全に行う事ができなかったのであろう・・・ダメージによって身体を動かす事ができないようだ。

 

 アイズがここまでも苦戦する相手であれば、それ以上の実力を持っていることは確定だ。最悪Lv6の可能性も考慮される・・・

 

 もしそうであれば防御力は相応に高く・・・上段からの振りでは私の体重が足りずに骨を断つことは難しくなるかもしれない。

 ならば、下段からの振り上げと合わせて脚力を使い、力を増大させれば断つ事が出来る・・・と思う。

 

 

 

 攻撃は決まった・・・が、相手は『人』だ。

 

 

 

 ・・・・・・それが私の中に抵抗を覚えさせる。

 

 

 冒険者同士で殺し合うのは珍しくない。それも、仲間が危険な状況なら考えるまでもなく相手を殺すべきであろう。

 

 そうでなければならないのに・・・手が震える・・・心が乱れる・・・思い出す・・・◾️に染まる・・・・・・

 

 

 

 

 込み上がるそれを押し殺す・・・私が躊躇してアイズが殺されて良いはずがない。

 

 

 精神を落ち着かせる・・・震えは・・・・止まらないが、許容範囲。

 

 

(大丈夫・・・やれる。)

 

 

 幸い彼女(てき)は私の存在に気付いていない様子である。

 

 

 

 

 彼女は動けないアイズに歩くように向かい、拳を振り上げた・・・

 

 

 

(・・・今!!)

 

 

 

 彼女の斜め後ろ方向から低姿勢で跳ぶ・・・両手で持った大の刀を脇構えで持つ。

 

 彼女の腕が伸ばされようとした瞬間に横に着き、刃が入りやすい様に斜め方向に斬り上げる。同時に低姿勢だったために落ちていた腰を瞬発的に上げてより力を加える・・・

 

 

(!?・・・重っ!? でも・・・・・・いける!!)

 

 

 骨だろうか抵抗を感じる・・・が強引にも押し上げて断ち切った。

 そのまま、斬り上げた時の勢いを殺さずに身体を回転させ、足を踏み換えて左足踵で左側頭部を回るように蹴り薙ぐ。

 

 彼女は土煙を上げて地面を抉りながら飛ばされていく。

 

 

 

 

 体勢を元に戻して構え直した・・・時に鼻に『液体』がかかる・・・

 

 

(・・・?)

 

 

 上から落ちてきたそれが何なのか疑問に思い顔を上に向ける。

 すると、顔全体に『液体』が吹きかかる・・・それが眼に入ったが、瞼を閉じることなく・・・視界を赤くしながら美しいそれを視る。

 

 

 

 ・・・血を撒き散らしながら宙を舞う腕ーー

 

 

 

 視ると同時に顔に付着した血の匂いが脳内を駆け巡る・・・

 

 

 

 

 

『ドクンッ』

(・・・ぁ)

 

 

 

 

 

 

「・・・し・・・紫苑?」

 

「・・・・・・」

(やめて)

 

 

 

 

 

 耳に入るのはアイズの声だろう・・・返答した方がいいだろうが、そんな事よりも・・・

 

 

 

 気持ちが高揚する・・・身体が火照る・・・息遣いが荒くなる・・・角が疼く・・・

 

 

 

 私の目を釘付けにするのは未だ血を流す切り落とした腕。

 

 

 何よりも斬った時の感触・・・違和感はあったがモンスターとは違う・・・人特有の・・・・・・そして人を斬ったという「事実」が私を・・・酔わせる・・・

 

 

 

「・・・もっと・・・・・・」

(ちがう、ちがう・・・)

 

 

 

 思考が狂う、本来ならアイズを守らなければならない・・・わかっている、わかっているが麻薬を打った様に◾️が求めてしまう。

 

 ふらつくような足取りで彼女が飛ばされた方向に足を運ばせる・・・と、土煙の中から勢い良く飛び出してきた。

 

 

 

 現れた敵を見て更に気分が高揚する。

 

 

 

 彼女は正面から向かってくる・・・が、瞬間で動きを停止させる、フェイントだ。タイミングをずらしての打撃を仕掛けてくる。

 

 それを冷静に読み、回避を行う。

 

 

 空振りに終わった彼女は次の攻撃に出ようとするが、踏み出せずにいたようだ・・・

 

 腿に深々と突き刺さった小の刀によるものだろう、私が回避を行ったと同時に突き刺した。表情には出してはいないが、機動力を奪うには十分なダメージを負ったであろう。

 

 刺さっていた刀を無機質な表情なまま引き抜き、構えて私に向かい刀を振るう。負ったダメージによりスピードは落ちている・・・

 

 そんな彼女の攻撃に対して・・・人差し指から小指までの4本を・・・

 

 

 

 斬り落とす・・・

 

 

 

 握るための道具を失った手からそのまま刀がこぼれ落ちる・・・彼女が落とした刀を地に着く前に取り・・・胸を狙って突く・・・が、左腕で弾かれてしまう。

 

 

 一度距離を取り彼女の様子を観察する。手から滴る血・・・

 

 それを目に焼き付ける・・・惚れてしまったように心臓が五月蝿く動き、顔に熱がこもって紅く化粧をしてしまう。

 

 火照り、熱くなった身体を自分自身で抱きしめる。

 

 

 

「・・・最っ高!!」

(ちがう!違う!!)

 

 

 

 すぐには◾️さない・・・せっかく出来た素晴らしいこの状況を一瞬で終わらすなんてつまらないから・・・

 

 でも・・・彼女は面白くない・・・・・・泣かないし、叫びもしてくれない・・・でも、まぁいっか。

 

 

 

「気持ちいいし!!楽しいからね!!」

(違う・・・私は、『彼ら』とは・・・)

 

 

 

 

 

 湧き上がる衝動を抑えきれずに彼女の方向へと跳ぼうとしたところ・・・

 

 

 背後に気配を感じて右手の小の刀で横薙ぎに振おうとしたが・・・腕ごと掴まれてそのままに後ろへ回され、地面に押さえつけられた・・・

 

 

 

「!? っぅーーっ!!」

 

「そこまでだよ、紫苑」

 

 

 

 これからなのに!ふざけないで!など頭の中で不満が爆発する。抜け出そうと抵抗するが完璧に関節を決められてしまい動くことは出来ない・・・

 

 快感がすぐ目の前にあるというのに得る事が出来なくなってしまった、その不快感が自分を染め上げる・・・

 

 

 

 「あぁぁぁぁ!!ーーっぁーーー」

 

 

 

 自分の不快感の要領を超えてしまったのか、意識が遠のき・・・落ちた。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

「・・・んっ・・・・・・?」

 

「・・・ぁ! き、気分は大丈夫ですか?」

 

 

 

 目を覚ますと、目の前にはレフィーヤの顔・・・そして普段よりも近くに感じる声・・・頭に感じる温かく柔らかいもの・・・

 

 膝枕をされていることを察する。された事はなかったが、想像していたよりも良いものの様に感じた。

 

 暫く堪能していようかと、私の目と合って顔を赤らめている彼女に「もうちょっと・・・いい?」と聞く。

 更に顔を赤く染め上げて「ひゃ、ひゃい」と了承してくれた。

 

 

 どうやら私はフィンに抑えられた後に気絶してしまったらしい・・・最近多い気もするが?

 彼には謝っておかなければならない・・・そして、見ていたアイズにどうやって誤魔化そうか・・・

 

 ふと疑問に思いレフィーヤに聞いてみる

 

 

 

「私のこと・・・なんか聞いてる?」

 

「・・・? 犯人との戦闘で攻撃を受けて気絶・・・としか聞いてませけど?」

 

 

 

 その場にいたアイズは仕方ないにしても、他の皆んなに何も伝えていないフィンにありがたく思う。

 

  

 

 十分に膝枕を堪能できたので身体を起こす。すると「・・・ぁ」なんて何故か寂しそうに声をレフィーヤが上げたが気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 部屋を出て外へと向かうと皆んなが集まっていた。

 周りの状況を見回すとリヴィラの冒険者達が作業を行っていた最中であることなどから私の寝ていた時間はそう長くは無かったみたいだが、ティオナが「あぁー!やっと起きた!」なんて言ったりしていた。

 

 どうやら、これから下の階層に進むらしい。

 戦闘大好きっ子であるティオナは待ちきれずにいたみたいだ。そんな彼女に「お待たせしてごめんなさい」と丁寧に謝っておく。

 

 

 そして・・・普段の表情でいるフィンの元へ向かう。

 

 

 

「・・・すみませんでした」

 

「いや、あれは僕の采配ミスだったね。謝るのはこちらだよ、申し訳ない」

 

 

 

 彼は私を庇ってくれる・・・が、抑えられなかったのは私の失態だろう。彼は暴走した私を抑えてくれたのだ感謝しかない。

 

 フィンの後ろにいたリヴェリアも私が暴走したことを知っているようで厳しい視線を向けられ、私は肩をすくめてしまう・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・紫苑、あれって・・・・・・なに?」

 

「!・・・ごめん・・・・・・言えない」

 

 

 

 落ち込んでいるところにアイズがいつも無表情の顔を難しそうにしながら聞いてきた。

 その問いを誤魔化そうと考えたが上手く浮かんでこず、濁す事しかできなかった。しかし、彼女は詮索する様子もなく、ただ「・・・そっか」と言うのみであった。

 

 

 

そんな行動に少し救われた気持ちになった気がした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?

やっと二次創作って感じがしてきた気がしますぞい!

レヴィスちゃんってこんなに脆くなくね?って思う方もいるかもしれませんが・・・一応そこを補えるような設定は組んでるんで、今後の話を待っていてもらいたいっす!うっす!

あ・・・バイトしっかり決まりましたよ♪
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