終わり良ければ総て良しなんて間違っているだろうか 作:できてな
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大気を震わせるのは多くの、地面を踏み・駆ける音。甲高い音色を奏で、ひと際目立つその音は金属製のものが別の物体との接触により発生される音であろう。
ダンジョンとは地上とは違い地下に存在している。そのため、広い空間であろうとも周囲を覆われていることは必然である。
ここでは音が反響しこの凄まじい大戦のBGMをより心震わすものとなっている。ここまでも大きな音に囲まれての戦闘となると、どこから聞こえてくる音なのかも分からず、情報処理が追い付かずに少々のパニックを起こしてしまうこともあり得るだろう。
そのような凄まじい大戦劇を演じているのは•••方や隊列を組み理知的な戦術を駆使し、相手の突撃に対応し、耐え抜いている小さきもの•••【人間】。
一方は山羊のようにねじれ曲がった二本の大角、首から上に膨れ上がった馬面とでもいえる醜悪な顔面•••【フォモール】。
盛んに吹き出る鼻息と呼応するように、真っ赤な眼球がぎょろぎょろと蠢き、獲物とみなした人間へと躊躇なく襲い掛かる•••
戦況を見てみると人間側がやや押されているというところ。見る限りでも、フォモールの軍勢は人間の軍勢に対して数倍もの数である。それも、人間との体格さでは比べるまでもない。
それでも均衡状態を維持できているのは恩恵は前提として、指揮の練度の高さ、それに隊の強い連携度が影響しているのだろう。しかしながら、劣勢であることに変わりはなく、いつ隊列が崩れフォモールに蹂躙されてしまうのも時間の問題であろう•••
ーーー
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「きゃっ」
私の、目の前の隊列が崩された。
前から押され、私の軽い体は吹き飛ばされてしまう。吹き飛ばされた衝撃により強打された体の痛みに顔を顰めながらも立ち上がるため、上半身を起こそうとしたその瞬間。
フォモールが私に向かって大きな天然武器を振り下ろそうと迫る。
第二級冒険者でLv3ではあるのだが私自身、魔導士であるために耐久にはそれほど自信がない。しかも此処は深層でありモンスターの強さも比例し強くなっている。
そんなモンスターの攻撃を受けてしまえばただでは済まないだろう。逃げ出そうにも私の俊敏では不可能だ。
この状況の中で私が出来ること•••それは衝撃に耐えようと身をすくめることだけ。
(痛いだろうな••••)
これから来る痛みの恐怖に、嫌悪を浮かべる私。
その時だ•••
まばたきをする前には視界に大きく描かれていた「恐怖」が大きく袈裟斬りになり、塗りつぶされ消えてしまっていた。
「恐怖」の上から描かれたのは••••「舞」だった。
大小の剣を両の手にそれぞれ手に持ち、体全体を回転させながら斬り抜く。回転により腕に垂れた振袖なるものが、ふわぁっとたなびく。同じように長いスカートのような袴も揺れ、すこし捲り上がり•••降ったばかりの雪のようにこもった冷たいでいて美しい足が覗いてしまっていた。
これは戦闘、戦いというには魅力的すぎた•••
どこか儚げでしかし、そこにまた魅了されてしまう。
•••そんな妖艶で美しい『舞』
「レフィーヤちゃん•••大丈夫ですか?」
「•••••••」
「もしもーし」
「!? す、すみません」
どうやら、先ほどの彼女の姿に魅了されてしまっていたらしく、放心状態であったみたいだ。
私は惚けてしまっていた顔の頬を両の手で押さえながら、慌てて窮地を救ってくれた彼女に対して言葉を発する。
すると、彼女は「よかった」と頬を緩ませながら私に言う。
そんな安堵に浸っている中•••
「ちょっと、アイズ!! どこまで行くの!?」
どこからか聞こえた、仲間の驚きの込められた声。その声が聞こえた後、敵側正面左側が何やら周りと比べてもより大きな音を上げながら揺れている。
そんな様子を見てから「あぁ、もう•••」と彼女が呆れのこもった様子で呟く。そしてすぐに揺れている方向へと跳んだ。
あっという間に大戦の中へと吸い込まれる彼女を見つめていた・・・
ーーー
視界を埋め尽くすのは私よりも大きな身体をした黒い怪物(フォモール)。
そんな怪物が密集した場所へと私は単身で切り込んでいる•••
(•••••まだ まだ足りない もっと強く 強くなりたい
限界の頂天を超えて はるか先の高みへ)
そんな思いが頭の中から、心の奥から吹き上がってしまう。
余計なことは考えない、目の前の敵を一掃しようとより敵の中心地めがけて進んでいく。
敵を斬りながら進んでいく•••敵の中心地周辺へと近づいた。
しかし少しの違和感にここで気づく、
(モンスターが少なくなってく)
私は間違いなく敵の密集していた場所に向かって進んでいたはずだ。にもかかわらず、明らかに敵は減少してきている。私が斬った敵もいるだろうが、だとしても数が合わないのだ。
不思議と違和感に少々心を揺らされるものの、冷静になろうと心を落ち着かせる。
敵を斬り続けながらも冷静さを取り戻し始めた頃に耳に入ってきたのはふ、フォモールの大群による大きな音のなかに紛れる「スパンッ」といった爽快な音が重ね重ね響いている音。この音•••。私の武器「デスペレート」といった真っすぐに伸びた剣では出せない音。極東に伝わる武器「刀」のみでしか鳴らすことの出来ない音。そんな音が近くから聞こえてくる。 考えるまでもなく戦闘を行っているのだろうが•••
敵の密集していたこの場所まで来ることが可能であり、私以上に敵を減らすことが出来る。そして、使用している武器が極東の「刀」
ここまでも情報があれば十分すぎるほどに誰なのかが分かってしまう•••
正体が分かり切った彼女が私に大きな声を上げ叫ぶ
「アイズ! そろそろリヴェリアさんの詠唱が済むはずです。引きますよ!!」
「•••うん」
予想よりも敵の数が少なくなっていたために、少し残念な気持ちを残しながらも彼女の命令に従い、自陣へと向かって跳び上がる。
すると、その瞬間にフォモールの大群を囲むほどの巨大な
が出現し、巨大な火柱を立ててフォモール総てを灰へと変えていく。離れていてもジリジリと焼かれる感覚を覚えるほどに高火力である。
焼かれた辺りは何も残っておらず、そんな規格外な光景に少し圧倒されていた。
少しの間、立ち尽くしていたところ•••「ポン」と何者かに肩を叩かれた。
後ろを振り向くと笑顔の表情をした、
(•••なんか、こわい•••••)
ー
49階層でのフォモールを退け一つ降りた50階層を野営地の拠点としてテントを張っている。その中の一つ、周りのテントに比べてひと際大きなテントがある。
そのテントに私はいるのだ•••正座をさせられて•••••
「何故呼び出されたかわかるかい? アイズ」
「••••うん」
【ロキ・ファミリア】団長である〈フィン・ディムナ〉に言い方はまったくもって強くはないのだが、それでいて圧のかかっている声により萎縮しながら答える
私が呼び出された理由。それは、確実に前線維持の命令を無視してフォモールに向かって突撃していったことだろう。
「ならば話は早い。 どうして前線維持の命令に背いたんだい?
アイズ、君は確かに強い。だからこそ君の行動は是非を問わず下の者に影響を及ぼすんだ。 わかるだろ?」
「•••••」
自分自身、上の者(幹部)であるという意識ももちろんある。そして先ほどの彼の話も理解はできている。だからだろう、私は黙っていることしか出来ないでいた。
静まり返ったテントの中、彼がまた喋ろうと口を小さく開く。
「•••窮屈かい? 今の立場は」
「••••••ううん、ごめんなさい」
そう言い、謝罪の言葉を発した。彼の今の言葉にはどこか私に刺さってくるものがあった。わかってはいる。ここはダンジョン、私の一番は仲間を守ること。無茶をしてはいけない•••••わかってる•••のに、止まることができない•••≪どこまでも 私は強くなりたい≫ 、そう思ってしまわずにはいられなかった。
私の反省の色が彼に伝わったのだろう•••先ほどまでの真剣な表情が緩み、
「うん。 大丈夫そうかな。 なら以上だ、キャンプの準備にもどってくれ。•••••そうだ、後で〈紫苑〉にも一言伝えておいてね。だいぶ機嫌悪そうにしてたよ。余り表には出してないけどね」
彼の言葉に「うん」と一言返しテントから出る。
(紫苑にも怒られちゃうのかな•••)
これから起きるだろうことを想像しながら••••
ーーーアイズがテントを出た後
「•••心配だな」
ぽつりと、先ほどテントから出たアイズに向けての言葉だろう。
その言葉を発したのは【ロキ・ファミリア】副団長である、エルフの〈リヴェリア・リヨス・アールヴ〉だ。先ほどの49階層でフォモールを灰へと変えた魔法を放ったその人である。
彼女の言葉に対してフィンが「そうだね•••」と肯定する。
「あの子はひた向き過ぎる。 強さを求めるあまり誰もついて行かれない場所に独りで行ってしまいかねん•••」
「はぁ どうしたものかなぁ•••」
「ふぅ 困ったものだ•••」
そんな二人を少し引き気味にみている一人のドワーフ。彼はフィンとリヴェリアと【ロキ・ファミリア】創設時からの付き合いである。名を〈ガレス・ランドロック〉
アイズについて悩んでいる二人に思うこと•••
「お主らふけとるのー 見た目若いのに••••」
ーーー
「シ•••紫苑さん。先程は助けて頂いてありがとうございました。•••それと、いつも足引っ張ってしまって•••その、すみませんっ」
頭を下げられてしまっている。私は「うん、うん。大丈夫だからさ、頭上げて?ね?」とレフィーヤに伝え、頭を上げさせる。
レフィーヤ、 彼女が【ロキ・ファミリア】に所属した時に指導係としてリヴェリアさんと共に指導している。
私は「刀」を日頃から帯刀していたり戦闘でも接近戦が多いため魔法は使えないと勘違いされがちなのだが•••リヴェリアさんには火力は劣るものの同レベルの上級魔導士には負けないだろうと自信がある程度は魔法が使えたりする。
それでも、都市最強魔術師であるリヴェリアさんがつくのだから十分なように思うのだが、上が決めたことだ、逆らいはしない。
最初こそはこちらが話しかけなければコミュニケーションが取れないような状況ではあったが今では先ほどのように話しかけてもらえるほどに、いや、それ以上に打ち解けられているかもしれない。
レフィーヤが顔を上げると涙目になってしまっていて、今すぐにでも流れ落ちてしまうほどだ。
レフィーヤは少し自分に対してストイックになってしまうことがある。頑張れることは大切で必要な部分ではある。それでもこの様な顔になってしまうまで自分を追い込んでしまうのは良くない。
私はレフィーヤにフォローの言葉を伝える。
「レフィーヤちゃん、あの時はしょうがないように思うよ。前線の隊列の人達が悪いとは思はないよ。彼らも自分にできることを全力でこなしてたと思うからね?でも、それはレフィーヤも一緒じゃない?だから、そんなに自分を追い込まないで?•••ね?」
彼女を泣かせないようにと伝えたのだが、彼女の綺麗な目から涙が零れてしまったため、人差し指を軽く丸め、涙をすくいとる。
彼女はエルフだというのに喜怒哀楽が激しすぎたり•••現在、彼女の目じり辺りを触れているのに嫌がろうとしなかったり•••エルフとして大丈夫なのか?と思ってしまうことが多々ある。ついにはーーーー
レフィーヤがふらっと前へ足を運ぶ。私とレフィーヤ簡単に腕の届く範囲にいたために前へ進まれてしまえば、0距離となってしまう。
とんっ
私の胸にレフィーヤが頭をぶつける。視線を下げると見えるのはレフィーヤの頭、私は黙って左腕でレフィーヤの肩を包み抱き寄せ、右手で優しく頭を撫でる。この時の私の思ったこととは••••
(そういえば•••アイズにしっかり注意しとかないと!!)
話、全く進んでないですね(笑)
今回ですね、初めてルビ?をつけてみたんですねーーー
そんなことは置いときまして•••
どうでしょうか自分なりにアレンジは加えてみたんですが。
分かりにくかったとか、この言い回しなんか背中がムズムズしてきて不快など問題点がありましたら。遠慮なく書いちゃってください!!
前回の初投稿で初評価が9だったんですよ!!
しかもですね、評価してくれた人の作品をダンまちの二次創作を漁っていたときに読んで面白かった作品の方で驚いちゃいましたw
うっし!寝よ。