終わり良ければ総て良しなんて間違っているだろうか   作:できてな

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三話 あれ?こんな設定なんてなかったのにおかしいなぁ•••うぉーいぇい!

 

 

 地下迷宮(ダンジョン)50階層 【ロキ・ファミリア】キャンプ地

 

 

 

 フィン、アイズ達が【ディアンケヒト・ファミリア】からの冒険者依頼(クエスト)を達成するために〈カドモスの泉〉を目指し51階層に向け出発した。

 

 

 

 その後、数時間が経過した時であった。

 

 

 

 今まで見たことのない、新種と思われしき芋虫のような形状をしたモンスターが大量にキャンプ地を目指し迫ってきた。

 

 

 新種であるために、モンスターの体液が武器をも溶かすほどの強力な溶解液を持っているなどの情報を知るわけもない。

 

 本来ならば新種など未確認のモンスターに対しては十分に注意をしながら対処するべきなのだが、多くの時間を費やしてしまえば押しつぶされ、キャンプは壊滅し団員達にも被害が出てしまうかもしれないほどにモンスターの数が多かった。

 

 そのような理由もあり情報を十分に得られないまま、モンスターを対処しようと向かって行った魔導士以外の団員、約半数以上がその液を浴びてしまい、戦闘不能状態へと陥ってしまった。

 

 

 

 【ロキ・ファミリア】の魔導士を総動員して大規模な魔法を放てば、視界を埋め尽くすほどのモンスターを一掃することは可能であろう。

 

 しかし、大規模な魔法となると絶大な火力を出せる代わりに相応な時間を消費しての詠唱が必要不可欠なものとなる。

 

 

 それも、いつもならば頼れる【ロキ・ファミリア】の誇る第一冒険者達がいる。

 彼らならば詠唱にかかる時間を十分に稼いでくれることだろう。

 

 

 しかし、現在彼らはいないため頼ることができない。

 さらに、今戦闘可能な団員は大幅に削られてしまっている状況なのである。

 

 

 •••この状況を切り抜けるための方法として挙げられるのは大きく三つ程であろうか、

 

 一つ目、犠牲を出さない手段として撤退を行うこと•••しかしながら負傷者もいる状況での撤退となると厳しいと考えられる。

 

 二つ目、本来ならば戦闘可能な団員達を後のことを考慮しても数十程度は残しておきたいのだが•••惜しんでしまえばモンスターの対処は困難となるため、この状況を切り抜けるためだけを考え、総動員で押し止めてもらう。

 それでも厳しいと考えられるが、その間に彼らが合流することが出来れば切り抜けられるだろうが•••不確定なものを頼りに指示を送るような楽観的な思考は持ち合わせていない。

 

 三つ目、この方法が最も対処に現実的な作戦であるのだが••••

 

 

 

 

 

冒険者依頼(クエスト)遂行するのに作戦会議を行っていた時ー

 

 

 

 私はフィンが「紫苑はキャンプに残ってもらう」の判断をしたことに少し意外な心情を持った。

 

 紫苑は魔法剣士であるために汎用性が高く、「カドモス」の様なモンスターが相手でも安定した戦闘をこなす事が出来るためである。

 

 普段のフィンならば、下手な損害を生まないためにも保険のように、多く紫苑を活用していたりする。

 

 そんな彼が保険を比較的安全なキャンプにかけたとなると、キャンプに何かが起こると感じたのだろう•••彼の勘は良く当たる。信用に値するまでの今までの経験があるからだ。

 

 

 

 今、私はあの時の彼の判断にこの上ない有り難みを持っている。

 

 私には彼の判断のお陰ではっきりとした一本の勝ち筋が見えているから••••

 

 

 

 

 

「【氷は現実(わたし) 花は理想(げんそう)】【どうか氷に咲き満ちて】  リヴェリアさん! 魔法、撃ちます!! •••【氷華散乱】!!」

 

 

 

 

 視界を満たすのは氷の花畑•••細かな花たちは紫苑を中心にして咲き溢れ、まるで花の香りを振り撒く様に小さな氷の粒子を揺れるたびに空気中へと漂わせる。冷やされた空気を肌で感じる。まるで別の世界へと誘われたようにも感じる神秘的な光景に心を奪われてしまう•••

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 (リヴェリア 紫苑、みんな•••!)

 

 51階層から出てから見えた、あのモンスター達に襲われていたキャンプの光景。

 先ほど戦い・体験したからこそ分かる、あれの凶悪さ。

 

 たとえ遠征に参加している冒険者たちが第二級が多く配属されていたとしても対処は厳しものと考えられる。

 

 

 最悪の状況を想像してしまいながらもキャンプへと向かう•••

 

 

 キャンプまで残り僅かな所、私はある光景を目にする、

 

 

 

(••••氷の壁??)

 

 

 

 モンスターがキャンプに乗り込もうとするその前方には盛り上がった巨大な丘の様な氷でできた壁。その壁はモンスターの進行を見事なまでに押しとどめている。

 

 

 それでもモンスター達は前へ前へと同族たちを踏み台にして上へ登り始める。しかし不自然なことに、登り上がったモンスターは動きを止めてしまう•••停止したと思った矢先、そのモンスターは新たに氷の壁の一部となっていく•••

 

 

 

 そこで気づく•••あの氷の壁はモンスターで作られた壁だということに。

 

 

 

 

 

 

ー約15分前 キャンプ ー

 

 

 

 

 いきなり出現してきた新種のモンスター。その新種は凶悪なことに体液すべてが強力な溶解液なのだそう•••

 

 剣などの武器では使い物にならず、剣が使用できたとしても新種を傷つければ体液が飛び散り返って相当なダメージを負ってしまうかもしれない。

 極めつけは、倒し切ったとしても新種の体が爆散し体液をまき散らすといったものらしい。

 

 (ひどい ひどすぎ•••)

 

 新種についての情報を報告してもらった時に私はそう思った。

 

 報告を聞いた後、リヴェリアさんと作戦会議を行う•••

 

 

 

 ーリヴェリアさんとの新種、対処の作戦会議中上がった条件

 

 

 

 魔法でしか有効な攻撃手段しかないこと。

 

 魔法で倒したとしても爆散しては被害が出てしまうため、体全てを消す程の火力であること。

 

 動ける団員が少ないため少人数での対処が可能なこと。

 

 

 

 •••このような条件が上がった。

 

 幸いにも魔導士の被害は殆ど無く、一帯の新種を塵もなく消し去ることは可能であるとのことであった。

 

 問題は詠唱を完成させるまでの時間の確保のみである•••少しの間、考え込んだ後、ある方法が思いつく。

 

 

 

「リヴェリアさん•••時間の確保、私に任せてもらってもいいですか?」

 

「!!•••••聞かせてもらっていいか?」

 

 

 

 私の時間の確保の目途が立ったという発言に驚きの反応を示した後すぐに、いつもの表情に切り替わる。

 いつもの表情となった彼女の問いに簡潔、かつ丁寧に答えた。

 

 

 対処の方法とは、

 

 

 リヴェリアさんとの会議で上がった条件である、新種を倒すためには爆散してしまうことを防ぐために体全てを消し去ること。というものだが、その条件を少しだけひねる。

 

 まず、今必要なのは時間だ。簡単に考えると新種の進行を止め続けるだけ十分ということだ。

 要するに、新種を倒さなくてもいいということだ。その場で動きを止め続ければ事足りるのだ。

 

 それを実行するを可能にさせるのは私の魔法の一つ【氷華散乱】である。この魔法は氷を出現させたり物体を凍らせるといったものだ。単純ではあるが汎用性が高く私のお気に入りの魔法なのである。

 

 

 この魔法でどう対処するのかというと•••

 

 まず、前線にいる新種を凍らせて動きを止める。 前の新種を凍らせたところでそれを這い上がり後ろに続いている新種たちが進行してくるだろう。 それもまた、キャンプ内に侵入する前に凍らす。この繰り返しである。

 

 それならば新種一帯を全てを凍らせてしまえば?と思うだろう•••確かに広範囲に氷を張ること自体は【氷華散乱】でも可能である。

 しかし、氷を張らせるためには私を中心としてしか行えず。範囲が大きいほどに凍らせる為の火力は下がってしまう。

 新種の動きを完全に止めることが出来る火力が出せるのは前線が最大なのである。

 

 

 

 リヴェリアさんは私のこの方法を聞いたときに美しい顔に少し眉間にしわを寄せて何やら考えている様子であった。

 

 そんな彼女の様子に自分の考えに至らない点があったのかと思考を巡らそうとするも、

 

 

 リヴェリアさんに「••••それで頼む」と実行の許可を得る。

 

 

 

 作戦会議が無事に完了した後、私たちはその作戦を直ちに実行に移した。

 

 

 

 

ー現在ー

 

 

 

 

 (うん•••大丈夫そうだね)

 

 私は少し安堵の気持ちを心の中でこぼす。

 

 ここまでは、ほぼ私の想像通りに事が進んでいる。後ろに視線を送るとリヴェリアさんを中心として魔導士部隊が詠唱を唱えている。耳を傾けるとその詠唱も終盤であることに気づく。

 (もうすぐだから•••)、と疲労感で十分に回らなくなり始めてしまっていた頭を気合で働かせるーーー

 

 

 

 

 

 【ロキ・ファミリア】魔導士部隊 一斉砲撃!!

 

 

 

 

 

 私の目の前の巨大な壁もろとも爆炎に包まれ消失していく•••

 

 爆炎により視界を覆っていた煙が晴れ、新種の群れが一掃された光景をとらえた団員たちは歓喜の声を上げはじめ、盛大に盛り上がる。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「チッ! なんだよ終わってんのかよ、」

 

「まぁさ、私も暴れたかったけど•••被害が抑えれたらしいからいいんじゃない?」

 

 

 

 ベートがすでに終わってしまった戦いに対し愚痴をこぼす。それに対し、ティオナが戦いに参加できなかったことに対して残念に思いながらも最悪な状況にならなかったことに「良かった」と思う。

 

 彼らがキャンプに着いた頃、団員達が新種との闘いに勝利した歓喜に盛り上がっている最中であった。

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

「紫苑さん•••本当に大丈夫ですか?」

 

「うん。 ホント少し精神力(マインド)使いすぎちゃただけ••だからっ•••」

 

 

 

 

 

 

 

 

 私がアイズさん達に遅れてキャンプに到着した時、団員たちは集まってワイワイと騒いでいるのだが。紫苑さんの姿を見ていなかったのだ。

 リヴェリア様は団長にキャンプで起こったことの報告をしているのを見た。が、肝心の紫苑さんは居ない。

 

 (•••もしかしたら)と思い至って、紫苑さんのテントへと足を運んだ。

 

 テントの前へ立ち、「紫苑さん、いますか?」とテント越しに声をかける。

 すると、

 

「•••レフィーヤ?」

 

 と、彼女の声が聞こえたため、入室の許可を取りテント内へと入った。

 

 彼女を見ると膝を抱え、ちょこんと座っていて私の方へ上目遣いで私の顔をみていた。

 そんな彼女を見て(つッーーーっ か、かわいいです)なんて頭の中でのたうち回るも表情には出すまいと表情を崩さないように耐える。

 

 紫苑さんに座るように促されたため前に正座で座る。なんだか緊張してしまって•••

 

 彼女に「•••足、崩しても大丈夫だよ?」と聞かれたが「い、いえこのままで」と答えてしまう。

 

 

 

「それで、どうしたの?」

 

 

 

 と彼女が私に質問を投げかける、それに「キャンプに戻ったら、紫苑さんを見かけなかったので•••」と返答する。

 彼女を探していた当初は、ただ彼女と一緒に居たいからといった理由なのだったが、全く見つからない彼女を心配に思っていまい、少しの焦りを感じながらの捜索となっていた。

 結局、見つかったので目的はすでに達成しているのだ。

 

 

 

「ちょっと眠くなちゃってね?」

 

 

 

 私の言葉に彼女はそう答えた。

 そんな彼女の表情を良く見てみると、眠気というよりも疲れだろうか。それもそうだろう先ほどまでモンスターと戦っていたのだから。しかし、普段から疲れさえも表情に出さない彼女のこの様な表情を見たのは初めてかもしれない。

 

 疑問に思い、彼女に問う

 

 

 

「紫苑さんは、あのモンスターの戦闘の時なにを?」

 

 

 

 私の質問に淡々と彼女は答え始める•••その内容に、恐ろしい話をされているかのように驚愕と恐怖を覚えてしまう。

 

 51階層を出た時に見えただけでも相当な数であったモンスターをほぼ一人で詠唱を完成させるまでの間ずっと抑え込んでいた。それだけでも大変に驚愕なものではある。

 

 しかし、それ以上に驚愕よりも恐怖を覚えこと•••それは、抑え込むのに使用したと言っていたのが【氷華散乱】であるということだ。

 

 

 

 何が、そこまで問題なのかというと•••

 

 彼女の【氷華散乱】そのものの火力・能力が極端に低いということだ。

 確かに、ステータスやレベルの上昇によって火力・能力を向上させることは可能である。しかし、火力・能力を補うにも限度というものがあるのである。

 

 

 以前、彼女が普段から多用している【氷華散乱】がどの様な魔法であるのか詳しく知りたくなり、教えてもらったことがある。

 彼女の話によると、【氷華散乱】が発現したのがLv1の後半だったらしい。今では綺麗な花が咲き溢れるが、その頃はただの冷風が吹く程度であったの事。

 この時点でしっかりと発動しない魔法など、言い方は悪いのだが≪欠陥≫のように思えてしまった。

 

 それからLvも上がって火力・能力も上がってはいるようだが、消滅させられるのは中層のモンスターが限界だという。

 

 ならばどの様にして新種のモンスターに対抗できるほどに火力・能力を上げたのか•••

 

 私は詳しくは分からないのだが、彼女が潜在的に持っていたものを使っているとのこと•••スキルや魔法なのではないらしい。実際、彼女自身もよく分かっていないのだそう•••

 しかし、それを行うことにより消費してしまうものがある。

 

 

 

 【大量な精神力(マインド)

 

 

 

 である。元々彼女のマインドの量は相当多いのだがマインドダウン寸前まで使用したのだろう。

 

 

 マインドがあるのならば大丈夫だろうと魔導士以外はそう言うだろう。

 

 

 確かにマインドの量が多ければそれなりの回数、使用することが可能ではあるだろう。

 

 しかし、そこが問題なのではない、問題はそれが一瞬で消費されるときの感覚である。

 

 その時の感覚はというと、腹の中の内臓が浮き上がり、また吐き気を起こす不快な感覚でその上、脳を揺らされるような感覚もあり、その上から重い倦怠感がのしかかってくるのだそう。

 

 

 ちなみに、幸いにも私はそれに陥ったことはない。

 そもそも、この現象を起こすためには相応な大規模の魔法を得ている必要もあるため、起こせる条件がそもそも難しいものなのだ。

 

 リヴェリア様は軽い症状なら起こしたことがあるようで、普通に吐いたらしい•••丸一日倦怠感が抜けなかったようだ。

 リヴェリア様があそこまで嫌な顔をして話す姿はそう見ることはできないであろう。

 

 

 

 

「紫苑さん•••本当に大丈夫ですか?」

 

「うん。 ホント少し精神力(マインド)使いすぎちゃっただけ••だからっ•••」

  

 

 

 紫苑さんが顔を歪ませたかと思ったら••••横に倒れてしまう。

 

 

 

「紫苑さん!?  大丈夫ですか!?」

 

 

 

 慌てながらも、倒れてしまいそこから動かない彼女のもとへと寄り•••急ぎ、息と心拍を確認する•••問題ない。気を失ってしまっただけの様だ。

 

 それでも、私の前では堪えていたのだろうか。気を失った彼女はうめき声を紡ぎ始め、汗もかき始めている。

 

 

 そんな彼女の苦しそうな様子を見ていると••••

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これも•••••『本物』なのかな?••••••••••••え? あれ??)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

「団長命令ーー、撤退だーー、キャンプを破棄  最小限の荷物を持って離脱!!」

 

 号令係である団員がキャンプの総員に向けて団長の命令を伝えるため大声で伝えて回る。

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
やっぱり前話と分けてよかったですね、ここまで長くなると思いませんでしたw

あんまりダラダラ書いてると読み手がつまらなく感じてしまわないか不安で長くしたくなかったんですけど、是非もないよネ!

あと、今回挑戦したのはですね•••「オリジナル魔法」を考えて書かせていました。
中二感を少し加えないと面白くないかなと思ってたら2/3ぐらい中二が突っ込まれてしまいましたね。 
「だぁぁぁぁ!!背中にムズムズが!!」


そだそだ、アイズが、でっかい奴を倒す所は省かせてもらいますね。


ここで!! 急に次回予告!! 【次回】紫苑きゅんのステータスのお披露目会

絶対みてくれよな!!


うっし!寝よ。
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