終わり良ければ総て良しなんて間違っているだろうか 作:できてな
【ロキ・ファミリア】は、比較的大規模な組織であるために団員が多く騒がしくしているのがほとんどである。
しかし朝食をとった後からやけにホームが静かになっていた。
それもそうだろう。今日は怪物祭と、呼ばれる。オラリオの祭りであるからだ。
朝食時にレフィーヤから一緒に行きませんかと誘われたが断った。
もし、私の種族に気づいた者が出てきてしまえば騒ぎになってしまうかも知れないし、せっかくの祭りを台無しにしてもらいたく無いためである。
そんな理由を言ってしまえばレフィーヤはきっと気まずそうにしてしまうので、「少し用事があって」と誤魔化しておいた。
すると、「・・・そ、そうですか・・・」と残念そうに下を向いてしまっていた。
静かになったホームで特にやる事もなかった私は書庫に向かうこととした。
一人で落ち着く事のできる読書は私の数少ない趣味となっている。幼い時から物を考えることが苦手であった為、他のことを忘れて没頭できる物語といった書物を好んで読んでいる。
確か・・・文字が読める様になって初めて読んだのはーーー
「鬼退治」
変哲もないただの英雄譚。
私も特に思うこともなかった。悪が正義に倒される、ありふれた物語・・・
良くは覚えていないが、誰かに「『鬼』が退治されてしまって貴方は悲しくなってしまわないの?」なんて聞かれた記憶がある。
そんな問いに(そんなの悲しくなるはずないでしょ)と当然のように思った。
私が『鬼』に関わる種族だから「退治されてしまう『鬼』がかわいそう」だとかそんなものは浮かばない。
なぜならば、誰がどの様に見ても『鬼』が犯した行為は罰を下されるべき事なのだから。
そして・・・『私』と『彼ら』も別なのだ。たとえ同じ『種族』であろうとも『同類』などでは決してない。
そうだ・・・そうなのだ。
それなのに分かってもらえない・・・
それでも、私は諦めない。『彼等』の為に・・・
「・・・んっ?」
ーーー
「うわー 本当に出番なさそー」
「餌を用意されておいて、そのままお預けを食らった気分ね」
私たちは怪物祭の闘技場付近にいた所、何やら騒がしい【ガネーシャ・ファミリア】の団員達を見て、何かあったのかと気になり、ちょうど人の集まっていた場所に行ってみると私達の主神がその中心にいた。
彼女に事情を聞いてみると怪物祭で調教するためのモンスターが脱走してしまったらしい。
想定していた事態よりも大きな物であった為驚いてしまった。
しかし、既にアイズさんが動いてくれているみたいで、脱走したモンスターも一部除いて比較的弱い部類だったようだ。
現在はアイズさんがモンスターを討伐している様子を見ている所である。
アマゾネス姉妹は武器を所持していないのにも関わらず戦闘に参加したそうにしている。
アイズさんの無駄のない戦闘にこの騒動も直ぐに収まりが着くだろうと確信していた時であった。
「・・・? 地面に揺れてない?」
「・・・本当 ですね・・・」
ティオナさんがいった通り地面が揺れ始めたのだが、これは地震といったものではない事が理解できる。
この揺れに警戒を始めた所・・・
少し離れた位置から大きな土煙りを立てて爆音が大気を揺らした。
その位置に視線を送ると見た事のないモンスターが出現していた。
あんなモンスターを【ガネーシャ・ファミリア】はどこから捕獲してきたのかと驚愕するが、街中に出現したソレが人に被害を与える前に!と駆ける。
住民に迫る巨大な触手の様なもの、大きさに似合わず俊敏な動きのソレ。
恩恵の持たない一般人にそれを回避する能力など持ち合わせている事などあるはずもなく、立ち尽くすようにソレの攻撃を受ける・・・殺される、その直前。
轟音と共にソレが地面へと叩きつけられ、へしゃげる。それを放ったであろう二人がソレと距離を取る為に後ろへ飛ぶ。
間合いをとる事のできた二人はソレにぶつけた拳を反対の手で押さえ、
「っー、かったーぁ!?」
「っ!?」
ソレが想定していた以上に頑丈であったのだろう、二人はその痛みに耐えている。
打撃は効かないと判断し、各々の武器を持ってくれば良かったと後悔しているも、モンスターに慈悲など存在するはずもなくソレは彼女達を目掛けて攻撃を仕掛けてくる。
ソレの攻撃に危なげなく対処しているものの、有効な攻撃手段を持ち得ていない為、体力が続くまでの問題であろう。
しかし、この場には魔導士であるレフィーヤがいる。二人によって引きつけられている間にと、彼女は詠唱を始めた。速度を重視した短文詠唱である。
詠唱が済み、ソレに狙いを定めた・・・その瞬間・・・
「っぐっっ!?」
何もないはずであった彼女の地面から触手によく似た何かが彼女の腹を貫き潰す。
その攻撃により彼女は放物線を描く様に飛ばされて地面に叩き付けられ、意識を手放した・・・
その時であった。ソレが痙攣を起こす様に短く揺れた。同時にソレの先が割れるように開き出す・・・現れたのは花のようで真ん中には凶悪な口があった。
ソレは気を失ったレフィーヤに迫り始める。
その様子を見てティオネとティオナが彼女に向かって行こうとするも次々と襲ってくる触手に阻まれてしまう。
目を開く、視界が歪む。意識が確かになり始めて感じる腹部の激痛・・・
「あぁぁぁあっづぁぁあ」
(・・・嫌だ・・・嫌だ嫌だ)
迫ってくるのは私を食すつもりなのだろうか大きく開けた口・・・
それから逃げる為に身体を起こそうとしても動いてくれない脚。
激痛により思考が鈍る。身体が燃えるよに熱くなり始める。
「あっあぁぁぁぁあぁぁぁぁああああああ」
(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
恐怖から叫ぶのか、痛みを和らげるために叫ぶのか・・・きっと両方だろう。叫ぶたびに麻薬のように思考を鈍らせてくれる。
・・・すぐそこにソレの口がある。
「ぁぁぁあああああぁぁあ」
(・・・もう嫌だ!!)
・・・食われる、そう思った。
・・・その瞬間に視界を通り過ぎたのは、弧を描く一閃
見覚えのあるその美しさ・・・
「ぁ・・・・」
(同じ また同じ。 きっと・・・きっと、また私は・・・)
(また私は貴方に助けらる・・・)
(・・・私は・・貴方を・・・・・)
(・・・・・助けないくせに)
(・・・よかった、間に合った。怪我してるみたいだけど・・・)
私は書庫で読書をしていた所、何か胸騒ぎがしてしまい。ソワソワして読書どころで無くなってしまった為に、しっかりと笠を被って町へ脚を運んだところ・・・騒がしい音が聞こえ、その場所へと駆けた。
その場所に近づくと、レフィーヤが謎のモンスターに襲われる目前であり・・・
それで、今のこの状況というものである。
レフィーヤが無事である事を確認しても怪我をしている事に変わり無いため、ポーションを渡そうと彼女に近寄ろうとする。
足を一歩進ませた時にだ・・・地面が大きく揺れ、振り返ると先程のモンスターが三体地面から出現する。
驚きはするが冷静に一番近いソレの首を確認し、その方向へと左足で地面を蹴り、飛ぶ・・・その瞬間に見えるのは目標であるソレの首・・・問題なく斬り捨てる。
切り捨てた屍を蹴り、方向展開を行おうとした時であった。
突然、視界が歪んでしまう・・・脚に力が入らずにそのまま下に落ちる・・・
着地には成功したものの、まだ足が上手く制御出来ていなかった。私の思っていた以上に十分に回復が出来ていなかったようだ。
そんな事を考えていても状況は変わらない。すぐにソレの触手による攻撃が飛んできた為、刀で軌道を逸らすも勢い殺しきれずに数メートル飛ばされてしまう。
未だ脚が使え無いため、脚での着地が出来ずに転がりまわってしまった。
少し厳しい状況だと思い、魔法を使用しようかと考えていたところ、
ソレの標的が私から別の者に切り替わる。
ソレの視線の先を見るとレフィーヤであった・・・
「大丈夫ですか!?」
「ぅっ!・・・あっ・・・は!・・・げほっ」
私は再び意識を覚醒させた。二回目の気絶の前に見た彼女の動向が気になり、未だ激しく打ち付ける痛みを押し殺し彼女の姿を探す。
彼女は現在、ソレの攻撃により吹き飛ばされていた・・・その彼女を見て焦り、勢いで立ち上がる。
いきなり立ち上がった私を見て、「待って下さい!【ガネーシャ・ファミリア】の救援がもうすぐきますから!彼等に任せましょう!!」
と慌てた様子で私に声を掛けてきていた女性がそう伝えてくる。私の怪我を配慮してのことだろう。
立ち上がってしまった事により腹部の激痛がより増す。その痛みに膝を折る。
そして、込み上げるのは
(【ガネーシャ・ファミリア】ならば彼女を助け出せる・・・私がいなくても・・・私がいなければ・・・)
(・・・また、また彼女に助けられたまま・・・・私は何もしないの?)
(そんなの!嫌だ!!)
「私は・・レフィーヤ・ウィリディス ウィーシェの森のエルフ」
「神ロキと契りを交わした」
「このオラリオで最も強く誇り高い偉大な眷属の一員!!」
私は飛び出す。
(仲間を友を・・・『大切な人』をおいて・・・逃げ出すわけにはいけない)
詠唱を行うため、肺に空気を送り込む。それすらも痛みは激しくなる。
それに涙を浮かべる。だが、それを無視して
ソレは魔力に反応する様で、私に標的を変えて襲いにかかる。
(恐れはない みんながいる)
迫る二体をアマゾネス姉妹がそれぞれ地面へと叩き落とす。奥に視線を送ると紫苑さんは無事な様で自力で立ち上がれていた。
そんな様子に安堵を感じながらも詠唱をさらに続ける。
【
これらを条件にあらゆる魔法を行使できる・・・前代未聞の
召喚するのは・・・エルフの王女 リヴェリア・リヨス・アールヴの攻撃魔法。
(・・・紫苑さん 私は貴方を 救いたい)
「ウィン・フィンブルヴェトル!!」
一瞬にして周囲を包む純白の光彩は時間すらも凍らせた。
その光彩を直に受けたソレは体すべてを氷に埋め、微動だにしていない。
レフィーヤの作った最大のチャンスを逃す二人でなく、即座にソレに向けて脳天から踵を撃ち貫く・・・
ヒビが入ったと見えたその後、ソレの体に一瞬で広がり粉砕される。
綺麗にも見えてしまう氷が弾ける光景。
「レフィーヤありがとー!」
「ほんと助かったー!」
ソレを粉砕した二人はレフィーヤに向けてお礼の言葉と共に彼女に抱きつく。
そんな光景を見ていた紫苑も彼女達の元に近づき、
「ありがとうレフィーヤちゃん、助かったよ」
紫苑にお礼を伝えられた彼女はその言葉に喜びを覚える。そして紫苑に何か伝えようとティオナに倒されていた身体をよろけながらも立ち上がらせた。
「紫苑さん・・・私は・・・」
(・・・貴方を救いたい)
「紫苑さん、今度町へ出る時・・・私と一緒に行ってくれませんか」
そんな、何の変哲もないお願い・・・
そのお願いに、問われた本人は表情を変えないまま、少しだけ停止してから・・・「うん、分かりました。今度行きましょうね」といつもの声色で彼女に伝えた。
すると、和んでいた所に彼女達の主神が近づいて来た。
「ほいほいまだ仕事は残っとるでー」
レフィーヤはギルドの者に治療を施して貰う。姉妹は地下に行って先程の新種のモンスターがいないかの確認・・・などそれぞれに今後の方針を伝えた。
「・・・紫苑たんは・・・部屋に戻って、休む!!」
「・・・はい」
怒られる様に言われた彼女はしゅんとしていた。
・・・を・・・に一回書いてみたらやはり読みやすいですわね!
自分の感性だけを意識して読みにくいものとなっては本末転倒ですな!?
多分、全部修正したんで大丈夫だと思いますが・・・
どっすか?読みやすくなりましたかね?
あとですね、本格的に学校が始まりだしたので投稿頻度が減ってしまう気が予想されます・・・
特に毎日投稿するぞ!!とか言って無かったんで許して下さい!!
とりあえず最低週1はこなすつもりでございます。
えっ?もっと頑張れよ?それは僕のモチベ次第ですね!?
焦って内容の薄いものとなってしまうのが私は許せないので・・・
寝るには早いな?