FGO二次 衛宮士郎みたいな藤丸立香   作:龍川芥/タツガワアクタ

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・作者の独自設定、独自解釈
・オリジナル魔術、設定捏造
・原作沿いの話はダイジェスト
・作者は型月にわか、Fateもほとんどエアプ
・何でも許せる方向け(最重要)


A.D.2004 炎上汚染都市 冬木「グランドオーダー・■■■」
1.オルタナティブ・プロローグ


 

 

「──体は剣で出来ている(I am the bone of my sword. )

 

 荒れ狂う魔力の奔流が、怒涛の暴風となって体を叩く。

 どうして此処にいるのかも、どうしてこんなことをしているのかも曖昧なまま、ただ溢れ出る力の膨大さに(オレ)は圧倒されていた。

 

血潮は鉄で、心は硝子(Steel is my body, and fire is my blood. )

 

 腕で顔を覆い、草原を揺らす豪風から目を守りつつ、視界の端で嵐の中心を強く睨む。

 こちらを庇うように立ち、風に暴れる赤い外套を意にも介さず、直立して呪を紡ぐその大きな背中を。

 

幾たびの戦場を越えて不敗 (I have created over a thousand blades. )

 

 彼が誰かは知らない。知れるハズもない。名を聞く暇など無く、また聞いたとしても恐らく返答は無かっただろうから。俺は何となく、ここに居る彼は本来の姿ではなく、抜け殻のようなものなのだろうと直感していた。

 

ただの一度も敗走はなく(Unknown to Death. )

 

 それでも、彼の声には確かに、俺なんかには想像も出来ない重みを感じさせる「何か」があって。

 

ただの一度も理解されない(Nor known to Life. )

 

「英雄」ってのはこんな声をしているのかも知れない、と、混乱する頭で場違いにも考えてしまった。

 

彼の者は常に独り剣の丘で勝利に酔う(Have withstood pain to create many weapons. )

 

 吹き荒れていた風が、中心に向かって収束を始める。雷鳴も無く紫電が走り、嵐を思わせる風と力の渦が大気を震わせて世界の変革が告げられる。

 その嵐の中心に立つ赤い外套の英雄が、自らの魂をもって見える空間全てを覆い尽くす。

 

故に、その生涯に意味はなく(Yet, those hands will never hold anything. )

 

 早鐘を打つ心臓が五月蝿い。瞬きが出来ず視線は目の前の背中一点に固定され、知らずの内に握りしめた拳は知らずの内に震えていた。

 嗚呼。今、この胸に去来している感情を何と呼ぶか、俺は知っている。

 

その体は、きっと剣で出来ていた(So as I pray, UNLIMITED BLADE WORKS. )!」

 

 錬鉄の、英雄。

 不意に頭に過ぎったその名前は、正に核心を突いているような気がした。

 熱され叩かれ、数多の傷を背負って遂には鋼と成った、強いのに何処か悲しいヒーローの名前──。

 そして、世界が塗り替えられる。

 蒼の空が色を失い、草原は荒野に果て、無限の剣が墓標の様に突き立つ空間が既存の世界を染め尽くす。

 そんな英雄の、正しく人間業では無い所業を目の当たりにしながら、俺は熱くなる胸をぐっと抑えた。

 そうしないと、思わず叫んでしまいそうだったから。

 胸の内を焦がす歓喜に、心の臓を揺らす感動に、耐えきれず泣いてしまいそうだったから。

 

 ──俺はこの日、運命と出会った。

 

 どくん、と俺の中で()()()()()()()が産声を上げるのを感じる。脈打つような感覚が身体中に広がり、視界が白に埋め尽くされるように染まっていくのが分かる。

 けれど、目が離せない。

 赤い外套の英雄。その勇姿、その背中から。

 薄れゆく意識。閉じ掛けの視界。その中で、俺は確かに、自らの胸に去来した感情の名を叫んだ。

 

 

 ──そして、運命は狂いだす。

 

 ──けれど世界を救う者(藤丸立香)は、その時確かに感じたのだ。

 

 ──()()()()()()と。()()()()()()と。

 

 ──何よりも純粋な、心の深奥から響いた想い。夢に劣り、理想に勝る、ただひとつの感情の名前。

 

 ──それが()()()かどうかは別として。

 

 

 

 ──人はそれを、『憧れ』と言うのだ──

 

 

 

 

 

⋯⋯attention. error code 033.

マスター訓練プログラム に エラーを確認.

自動修復 を 実行します.

⋯⋯18%⋯⋯63%⋯⋯100%

シークエンス完了, 成功.

状況確認フェーズ に 移行.

問題発生中の訓練プログラムの使用者を確認⋯⋯特定, 人数1が該当.

該当者をマスター番号48番, 藤丸立香と特定.

メンタルスキャン実行⋯⋯異常検知無し.

問題無しと判断し 通常稼働 を 再開します.

管理者には 報告の確認を行う義務 が⋯⋯

 

 

 

 

 ◆◇◇◆

 

 

 

 場面が切り替わる。

 物語の幕が上がる。

 

 夢を見ていた少年は、夢を見た事がない少女との邂逅を果たす。

 

 藤丸立香。

 マシュ・キリエライト。

 

 世界。

 歴史。

 夢。

 星。

 人。

 その色彩を、描き描かれる二人の出会い。

 

 傍に佇む小さな獣、フォウ君。

 少し離れて見守る技師、レフ・ライノール。

 

 二体はまったく思惑が違えど、それでも同じように微笑んで。

 

 

「よろしく、マシュ」

 

「よろしくお願いします、先輩」

 

 

 今此処に、邂逅は成された。

 

 回る。

 廻る。

 情景が転換する。

 

 

「──特務機関カルデアにようこそ」

 

 カルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアはこう言った。

 

 未来の消失。

 ヒトの終焉。

 2016年をもって、人類は絶滅する、と。

 

「ここは空き部屋だぞ、ボクのサボり場だぞ!」

 

 カルデアの医師、ロマニ・アーキマンは教えてくれた。

 

 未来の観測。

 歴史の安定。

「人理」を守るという大義をもって、人類の絶滅を防ぐのがカルデアだと。

 

 

 そして、全てはようやく舞台に揃った。

 始まりの終わりが遂に始まる。

 

 

 爆発音、悲鳴、揺れる体。

 ロマニの口から放たれる情報。

 

 管制室──世界を救うヒーロー達が一堂に会している場所の、爆発。

 

 ロマニ・アーキマンは叫ぶ。

 優しさと、冷静さと、勇敢さと、怯えと、焦りと。様々な感情と判断が入り乱れた心で叫ぶ。

 

「もうすぐ隔壁が閉鎖するッ。キミはすぐ外に避難してくれ! ボクは管制室に行く──無事で居てくれよ、皆!」

 

 それだけ言って、彼は背を向ける。

 走り出す背中。

 

 ぐるぐると選択肢が頭の中を回っていた。

 何も考えていない訳ではなかった。

 爆発という脅威が怖かった。

 暴力に触れたことはなかった。

 漂ってきた黒煙の匂い、足から離れない揺れの感覚、小さく聴こえた気がする悲鳴……未知である全てが恐怖の対象で、足も手も小刻みに震えていた。

 

 だけど。

 

 藤丸立香は──()()()()()藤丸立香は、1秒だって迷わなかった。

 脚が、床を蹴る。心が、魂が、身体を引っ張って走り出す。

 

 

「俺も行きます、ドクター!」

 

 

 背後から聴こえた声に驚いて、ロマニが振り返るのだって気に求めなかった。

 驚きと迷いで少しだけ足が遅れた彼を追い抜いた時だって、藤丸立香はその走りを片時も緩めなかった。

 

 彼の青い目は確かに捉えたのだ。

 こんな場面で迷わず走る、夢で見た「英雄」の姿を。

 

 

「俺は、俺はっ。俺は──ッ」

 

 

 その時、果たしてなんと言ったのか。

 藤丸立香は覚えていない。

 だが、ここが、こここそが決定的な「分岐点」だった。

 

 

 ──かわる。

 変わる、代わる、替わる。

 世界が、別のものになっていく。

 

 ──これが、死──

 

 どうしようもなくズレていく。

 

 ──「マシュ!」──

 

 一人の少年の運命が歪んでいく。

 

 ──『人類の痕跡は、発見できません』──

 

 どこまでも運命(シナリオ)を離れていく。

 

 ──手を、握って貰えませんか──

 

 世界の根底が揺らいでいく。

 

 ──アンサモンプログラム スタート──

 

 誰も知らない物語が始まる。

 

 ──「大丈夫、俺も一緒にいるから」──

 

 くらくらと、グラグラと。

 

 ──嗚呼、わたしは、美しいものを見た──

 

 揺れて捻れて変わり果てる。

 

 ──ファーストオーダー、実証を 開始します──

 

 原作(ただしいみち)から、この世界は乖離する。

 

 

「絶対に、助けてみせるから──」

 

 

 これは、ありえたかもしれない、けれど存在しない物語。

 破滅への旅路が、少年の決意と共に始まった。

 

 

 

──────────────────

 

特異点F

 

A.D.2004 炎上汚染都市 冬木

序章

「グランドオーダー・■■■」

 

──────────────────

 

 

 

 

 

 燃え盛る町を睥睨するふたつの影。

 血を撒いた漆黒の如き甲冑に身を包み、仮面で貌を隠した騎士。

 その傍らに佇む、浅黒い肌と白髪を持つ弓兵。

 彼らはふと、声でも音でもない「何か」を聞いた気がした。

 

 弓兵が顔を苛立ちの表情に歪める。

 どうした、と短く問う騎士に、弓兵は答えた。

 

「いや、何も。この霊基(からだ)に異常がある訳でも、君に異論がある訳でもない。……ただ、確たる予感がある。

 ──君が言う『漂流者』とやらは、おそらく私が最も嫌悪する人間だろう、という予感が」

 

 ぎしり、と。

 何かが軋んだ音がした。

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