よくあるテンプレの話 作:るるぶ
さて、子供を産む決断をした俺達だが、問題は山積みだ。
何より、とりあえずこの事実をまず俺の両親に伝えなければならない。
家族のグループラインに『大事な話があるから彼女を連れて家に行く』と連絡しする。
すると、5分くらい経ってから、両親からは『OK!』というスタンプのみが返ってきた。相変わらず適当な両親だ。
まあ、俺とアイが付き合っていることを伝えた事はないが、ほとんどバレているらしい。その証拠に、仕送りで食べ物を送ってくれるが明らかに一人分の量ではない。これも親の勘というやつなのだろうか、恐ろしいものだ。
うちの両親は、絵に描いたような仲良し夫婦。二人とも30半ばだと言うのに、父が仕事に出かけるときに母はキスをしているし、すぐに惚気るし、いつも同じ布団で寝ているし、たまに部屋から声が聞こえてくる事もある(母親の声で興奮したのは黒歴史...)。
そんな環境で俺は、幼稚園までは同じ部屋で寝ていたが、小学生に上がると部屋が作られ、一人で寝ることになった。また、親のイチャラブ具合に、小2の頃にはコーヒーを頻繁に飲むハメになった(精神的には二人より年齢が上なので、コーヒーを飲むのは別にいいのだが、客観的になった時、無意識にコーヒーを求めてしまう家のヤバさに戦慄する)。
そんな両親の事だから、なんだかんだアイの妊娠もあっさり認めてくれそうだ。
また、アイの母親には報告する必要はない(そもそもしたくもない)。
そして、最大の問題は社長には伝えなければならないことだ。
アイの事務所の社長とは何度か、話した事があるが、あの人はアイを売ることに人生を賭けている。
本来ならそんなに頑張る人間じゃないくせに、必死に仕事をしている。そんな人にこの事実を伝えることはある種の死刑宣告にあたるのではないだろうか。
アイにいつ伝えるに行くのか確認すると、
「え、まだ伝えないよ」
えぇ...と大いに困惑し、理由を聞くと、
「だって隠せるうちは活動続けたいし、引き返せない所まで来れば社長も諦めるでしょ!」
完璧な計画だ!と言わんばかりに胸を張って俺に伝えてきた。
哀れなり社長、強く生きてくれ...(合掌)。
というわけで、俺としては社長に関してはアイに任せるので気にしない事にして、うちの両親にいつ会いに行くかをアイと話し合い、来週末に行く事が決まった。
「いらっしゃ〜い、アイちゃんよくきたね〜」
インターホンを押すと、数秒後に母親が出て来た。
「はい、お久しぶりです」
「本当に大きくなったねぇ、こんなに可愛くなって〜、うちのバカ息子がいつも迷惑かけてるんじゃない?」
何言ってんだよ母さん、
「そんな事ないですよ〜、いつもお世話になってばかりです!」
全くだよ、俺がどれだけ迷惑かけられて来たことか。
二人が雑談に花を咲かせている横を通り抜け、靴を脱ぎ、玄関に上がる。そして、リビングに入るとソファーで横になりながら父親がテレビを観ていた。
「ただいま、親父」
「ああ、おかえり」
父からは素っ気ない返事が返ってきただけだった。
まあ、いつもこんな感じの人だから何か不快になる様な事はない。俺がテーブルに座ったタイミングで、玄関で話していた、母とアイが俺に続いて部屋に入ってくる。
「お久しぶりです、お義父さん」
え?アイさん、今なんて言いました?
「ああ、久しぶりだな」
そして何で我が父は動揺する事なく受け入れてるのか...。
と、困惑している俺をよそに、三人はリビングにあるテーブルに座った。俺の横にアイが座り、父と母は反対側に隣り合って座る。
「それで、大切な話って何?」
母が率先して話を切り出してくれた。
基本的に遠慮が無い人なので、嫌なものはハッキリ嫌がるし、欲しいものは譲らない。イチャイチャしたい時は人目を気にしない。という、ある意味厄介ではあるが、正直なその性格に今は感謝する。
この両親なら大丈夫とわかっていても、打ち明ける事は、やはり少し不安な気持ちが心を蝕む。
すると、アイが机の下で手を握ってくれた。
──相変わらず優しい奴だ。
とアイにも感謝を心の中でし、思い切って事実を伝える。
「数日前にアイが妊娠した事がわかったんだ。今日はその事を伝えに来た」
「「....」」
俺のあまりにもいきなりな発言に面を食らったのか、数秒間、二人は停止していたが、数秒後にはどこか納得した様な表情に二人ともなっていた。
「そうか...」
沈黙を破った父の言葉はその一言だけだった。
その言葉に続いて母も口を開く。
「何となくそうだとは思っていたけれど、やっぱりこれは遺伝なのかしらね」
どこか嬉しそうにしながら話す母。
「そうだろうな」
表情には出ていないが何処か嬉しそうな父。
「やっぱり私達の子供ね」
「ああ」
二人はお互いに顔を見合わせていないが、今の少ないやり取りの中で色々な事を確認しあったのだろう。父の返事が終わった途端、両親は真剣な顔に再び戻り、父から話を切り出した。
「さて、アイ君の意志も聞かせて貰おうか。君は確かアイドルをやっていたはずだが、それはどうするんだい。」
某ロボットアニメのダメ親父を彷彿とさせる様なポーズをとりながら話す父。その言葉に、アイは間を開ける事なく、ハッキリと答えた。
「はい、お腹の子は産むつもりです。アイドルも続けるつもりです」
「わかっていると思うが、それはファンを裏切る行為でもあるし、君にとってもかなりの負担となる。それでもかい?」
「はい、それでも産みます」
再び部屋に沈黙が訪れる。
その間、母と父は何か考えているのか、目を瞑っている。すると、まるで事前に話し合っていたかの様に二人は同時に目を開けた。話を切り出したのは母だった。
「アイちゃんの決意はわかったわ。あなた達は聡明だからね、色々考えた末の決断だと思うの。なら大人として、親として、二人を支えるわ」
その言葉を聞けて肩の荷が少し降りた気がする。
すると、
「なので、今日はパーティをします!!」
当然の母の発言に俺もアイも固まってしまう。父だけが納得した様に頷いている...。
「私達がご飯を作るから、君達はしばらく好きにしてなさい」
そう父が言うと、二人でキッチンに立ち、料理を作り始めた。
夜ご飯にはそれは豪華な料理が並び、食事は大いに盛り上がった。その後、諸々の片付けも終わる頃には23時を過ぎていたので、そのまま泊まっていく事になった。
改めて、最近、全く更新できなくて申し訳ございませんでした(土下座)。
色々してたんです。色々...。まだしばらくは忙しいので、かなり遅いペースの更新になります。コメントでも言いましたが、失踪はしないので、気長に待ってもらえればと...。
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