縁切神社の断ち鋏   作:小町四季

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やほ〜!
小町でござる〜!
ちょっと投稿頻度が下がりますが、これからもどうぞご愛読ください!
てなわけで、本編どぞ〜!


10話【似た者同士に雨降られ】

「…………。あ゛?」

 ムッと顔を膨らませ、見下す様に顎を上げた相心が廃材の纏わり付いた蜘蛛の巣と共に落ちた紅蜘蛛こと糸巻綾人を見下した。

 あまりに緊張感のないそれに一層怒りを覚えた綾人が思わず声を漏らす。そんな二人の間にカシャカシャと音を立てて割り込んだ影が一つ。黒子である。

 黒子は綾人に向くとまるで主人が犬を待つ様に両手を差し伸べて、抱き着く意思を示す。

 

「うん?ど〜してここにいる?お前は今まで動いたことなんてなかったよなぁ?態々…俺の…邪魔をしに来たのか?死にたいのか?うん。死にたいってことでいいんだよな?」

 

 黒子を見た綾人は、ただでさえ鬼の形相となっているその顔に更に皺を寄せた。掌や顔にも血管が浮き出ており、相当な力の緊張が体に走っているのは明確である。ガシャガシャと音を立てて、綾人は、黒子に近づいた。

 そして体を広げる彼女に対して、極限まで引かれた蜘蛛の足の数本の刺突を行う。黒の足がまるで感情を持っていないかの様に容赦無く人形へと襲い掛かる。

 然し、その足が黒子へと当たることは無かった。

 黒く巨大な片刃の刃物が黒子と綾人の間に割り込んだ。鈍い金属音を鳴らすものの形が変わる事は勿論、傷すら一切無い様子の刃物が黒子を守る。

 

「あぁ…どいつもこいつも…。うざいなぁ…。うん。すごくうざいぃぃぃ!何で俺の邪魔をする?俺は人形を作りたいだけなのに…!なんで邪魔をするっ!たかが…呪物の1つ…俺に渡しても変わらないだろう?何故…だぁ!俺はただ…キレイな…キレイな…人形を作りたいだけなのに!アトリエの奥底で眠っていたお前が…立ちふさがるっ!?俺はただ…。夢を叶えたいだけなんだ…!自分に課せられた使命を!うん…!うん!そうだ!使命なんだ!俺は人形を!完璧な人形を作るために生まれた!その使命を全うしてるだけなのにぃぃぃ!!!!」

 

 ノミの様に跳躍して素早く後退した綾人が口を開いた。つらつらと溢れ出て、流れ出て、垂れ落ちる子供の無垢な言い訳の様な言葉の波が相心の耳を痒くする。

 

 自分と似ているのだ。

 使命。責任感。その方向への傾きと重りこそ違っているかもしれない。然し、それを差し置いても似ているのだ。

 自分の気持ちや気分とは違う。常識、日常へと成りつつある言わば"当たり前"となっている怪異狩り。最初こそ怪物とはいえ、一つの命であり、生きてこそいないが魂を持っている生者であるそれ等を殺す感触は生々しく、目に光景を、鼻に臭いを、耳に音を、舌に風味を、手に感触を与え、酷く恐ろしかった。

 

 慣れは、異常を平常にしてしまう。それどころか平常に刺激すら求めてしまう。当時、ドロドロに血がまとわりついていたように見えた自分の手も今やただの普通の手である。

 それも慣れだろう。怪異を救う事は切り殺す事だと教えられた。本当にそうかなのだろうかと考えていた心も今や自分には残っていない。言葉として言い表せない、どうしようもない悲しさとそれを知って尚何もしない虚無の意志しか残っていない。

 

 それもまた慣れなのだろうか?

 

 だから分かるのかも知れない。彼の心が。

 

 突如としてポツリポツリと雫が落ちてくる。雨だ。

 不思議と冷たく感じないのは僕の心が冷めてしまっているからだろうか?そう思うと馬鹿馬鹿しさと共に悲しさが胸を締め付ける。未だブツブツとこちらに言葉を投げ捨てる綾人の声が次第に強さを増す雨の音にかき消されていく。

 あっという間に暗雲が立ち込め、昼過ぎであるにも関わらず夜の暗さを持っている。寂しさや怖さを持った暗さに身が自然と震える。

 

 僕が今すべき事が分からない。

 紘一に危害を加え、家を壊した綾人は殴り飛ばさなきゃならない。蔵に封印された呪物は渡す訳には行かない。そして…黒子の想いを彼に伝えなくてはならない。

 どうこう考えるのも僕の気質には合わないみたいだ。途中で思考が乱れて、ぶつ切りの砂嵐が現れる。

 兎に角、話し合いをする為。

 糸巻綾人を無力化するしかない。

 

 既にザーザー降りとなった豪雨が服を重くする。少し長めの髪を邪魔に思い、後ろへと流す。黒子の方を一度見て、綾人を無力化する事を伝えると頷いてくれた。僕は鋏のリングを強く握り直し、糸巻綾人へ踏み込んだ。

 

 

 

 時は戻り、30分前。

 

 相心は黒子に導かれ、アトリエとは名ばかりの迷宮を駆けていた。どこまで行っても扉と闇と廊下が続くばかりで、体感では既に5時間は走り続けている気さえしている。然し、それはきっと苦痛な心がそう思わせているに違いないと相心は考えを捨ててひたすらに黒子へとついていく。

 時折、急に扉が開いてうじゃうじゃとアリのように人形が出てくるが、それももう慣れてしまう程に何度も斬り伏せている。もはや作業と言っても過言ではない。

 

 人形にも色々とタイプがあるらしい事を相心は知った。

 切った箇所から針金の様な糸でぐるぐる巻にされた時は流石に死を覚悟していたが、すぐに黒子が助けた為一命を取り留めた。

 いつまで走るのだろうか…と先の見えない廊下に半ば憂鬱な気持ちを思い始めた頃、不意に黒子が止まる。

 

 赤信号 急停止は 止まれない。

 

 ドンっ!と黒子に相心が打つかる。黒子はキュッと抱きしめて相心を支えた。幸せを感じながらも黒子の指がソレを指した。

 

 ひゅぇぇぇ!?惚れるぅ…。惚れるぅ…。惚れるぅ…。れるぅ…。るぅ…。ぅ…。

 

 他の木製の扉としての機能を果たす為だけの扉とは大きく異なる扉。白く、周りの石の床や壁とほぼ擬態している。然し、金のラインや削られ、作り上げられた装飾が、ありありと高級感を漂わせている。

 入れってこと?と言う問いに対してコクリと頷く黒子。つくづく相心は、黒子に何故ここまで愛おしさや信頼を寄せているのか自分で自分を不思議に思った。

 怪異の中にも精神に介入する厄介なものもいるのだが、黒子は明らかにそれ等の類とは違う。胸のうちから自然とポカポカと温かくなる。それは、聖母マリア様の慈愛と言っても相心にとっては過言ではない。無条件に安心でき、優しく、癒やされるそんなナニカが黒子にはあった。

 

 長々と考えても仕方がないと扉を開けて中を見る。

 

 天井と床は変わらず石の5m程の部屋。然し、壁だけは違った。右を見ても左を見ても本!本!!本!!!

 1つ特徴があるとすれば部屋の中央に優しく本を照らしている電球とその真下に四角の大きなテーブルや椅子があることだった。

 感動を超え、驚愕する程の本棚と本の量からここが書斎だということは一目瞭然。黒子が扉を締め、本棚へとあるき出すのを見て、相心も本棚へと近づいた。

 黒子が器用に糸を使い3冊の本を手元に引っ張り出し、相心へと渡す。困惑する相心を気にすることも無く、机にあるイスを引き、イスへと手を差し伸べる。

 座れという事である。

 何か意味があるのだろうと席に座り、机に本を横並びに置く相心の横で、黒子は直立で動きを止める。まるで電池が切れた機械の様なそれは黒子もまた1つの人形なのであると言う事をひしひしと伝えるようであった。

 

 改めて本を見てみる相心。

 色で言えば紅い本と茶色の本、そして黒…というよりも掠れ、埃を被り灰色と化している3冊である。

 紅い本は灰色のそれ程酷くないが古びていて、年季を感じる。タイトルがあるらしいが、掠れ読む事もできない。

 茶色の本は異端な程に新品で表紙に日記と書かれている分厚いノートのようだ。左下には糸巻綾人と書かれている。依頼人の日記らしい。

 そして、ある意味一番目をつく灰色基黒の本。歴史民俗資料館等で展示されている書物のようにボロボロで、迂闊に触れよう物なら崩してしまいそうな程の過弱さを放つ黒の本。

 然し、相心には明確に分かる。

 呪いや何らかの術でもかかっているのだろうか、見ているだけで精神を侵されそうな狂気が渦巻いている。危険物である。正直中を見る事以前に、これ以上に触れることすら相心は恐怖を感じていた。

 

 さて、どれから手を付けたものか…。まぁ取り敢えず安全そうなやつから見よう。わざわざ黒子ちゃんがあの距離を歩かせて見せたかったものだ。きっと何か意味を持つのだろう。

 日記。忍びないが、仕方ないだろう。怪異の対処についてのヒントがあるかもしれない。見てみよう。

 僕は日記を開いた。

今後の小説の文の書き方について〜!

  • より状況描写を増やしてくんろ〜!
  • もっとテンポ感よくした方が良い!
  • キャラクターの心理描写、台詞を多く!
  • 今のままの君(書き方)が好きっ!
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