縁切神社の断ち鋏   作:小町四季

12 / 12
こんにちは〜…!
スランプりました!
頑張って書いてます!
速くこのどんよりとした重りを外せるようにテンポよく次回から行くかもしれません。
それでは!本編へGo!


11話【糸巻綾人は人形である】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「2月5日」

新しい人形制作に取り掛かる。

折角だから同様に日記も始めてみることにした。

不定期だが、まぁ…それも一興だろう。

作る人形は木製の等身大のマリオネット。

何でも劇で使わせてほしいとの事だ。

多くの人々の目の前に出るのだ。

人形作りに関して手を抜いた事など無いが、一層心が燃える案件であった。

是非とも良い人形を作ってあげたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「2月15日」

件の依頼を受けてから10日経った。

マリオネットはまだまだ完成していない。

この前、劇団の人達とどんなマリオネットにするか話し合った。

どうやら美しい女型のモノが欲しいようだ。

特に母親のような暖かさが欲しいと熱く語られた。

望むところだ。

普段用意しているヒトガタから作ろうと考えたが、体が華奢で美しさは出るだろうが、それはあくまで人形としての美しさにしかならない。

幸い期間は半年ある。

ヒトガタを作る所から始めよう。

人の暖かさが欲しいのだ。

女性の体の凹凸を巧妙に作り出さなくてはならない。

努めたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「3月2日」

顔と手先以外のヒトガタができた。

肌の塗装こそしていないけれどもいい出来だ。

多少、腹と太ももの大きさが気に入らないが、太く母性的な形となった。

もし気に入らなかったらそこだけ作り変えればいいだろう。

問題は顔だ。

母…。

失念していた。

俺は母の顔を知らない。

母性的にと言われれば大体は作れるが、母をと言われると困る。

知らない物を作れる程に俺は器用ではない。

どうしたものか。

手先も太くした方がいいだろうが、中々に苦行だ。

いつもの人形作りとは全く違う。

言わば挑戦であるこの仕事を心の底から楽しく思う。

それはそうと母を知らなくては。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月2日」

実に一月ぶりに書く。

サボっていたわけではない。

母が見つからないのだ。

手先はこの前劇団の人に参考にしてほしい人を連れてきてもらって何とかなったが、顔だけはどうにもできない。

何故だろう。

何度作っても美しいだけの顔になる。

優しさや生命力がない。

せめて母の写真させ残っていれば作れたかもしれないのに。

そうだ。

写真。

地下の倉庫を見に行こう。

少し暗く不気味で行きたくはあまりないが、それを理由に行かないわけには行かない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月4日」

頭が混乱している。

母が人形?俺も人形?

だが、俺は球体関節でもなければ、ましてや血も出る。

ありえない。

然し、態々こんなことを書いて残すか?

人形の背景を描いたと願いたいが、俺の名前を名指して書かれていた。ふざけている。

非現実的すぎる。ありえない。

俺は人間だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月5日」

気絶していた。

頭が疲れてきた。

なんだか心が無くなって行く気がして、体が固くなる気がして無性に胸が痛くなった。

大丈夫だ。

この思いがある家は俺は人だ。

人形も作りたい所だが、一度その前に方を付けることができてしまった。

提出日は来月末だというのに大丈夫なのだろうか?

いや、このままやった所で良い人形は完成しない。

俺について知ろう。

今日も倉庫に行くことにする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月10日」

初めて知った。

この世に怪物が本当に存在する事を。

そして俺がその怪物だと言う事を。

信じたくない。信じれない。

然し、証拠を見つけてしまった。

考えがまとまらない。

今日はもう寝てしまおう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月11日」

怪異。どうやら俺はそれらしい。

紅蜘蛛。その種族だと記されている。

本棚の奥深くに人形式降霊術のやり方を書いた古い本があった。

そして、それと同時に自らの意思で動く人形が作業室の奥底に眠っていた。

美しい顔だ。

力がない様子で首だけは動くが、肩やその他の場所も全く動かない。黒の服に全身を包んだ人形。

昨日は怖くなって逃げて来てしまったが、恐怖以外の暖かな感情があった気がする。仮に俺が怪異で、人形だとするなら彼女はきっと母だったのではないか?

あの感情は母に対する愛だったのではないかと思う。

確認しに行こう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月12日」

俺は愛を知った。

この感情、温かいこの思い、これが愛なのであるなら今までこの気持ちを知らなかった俺はどれ程愚かだったのか。

昨日までの俺に会えるなら今すぐにでも会ってこの気持ちを伝えたい。

然し問題は母の状態だ。

肩をよく見ると人形式降霊術-零-紅子と書かれていた。

俺の母の名前だと言う事はすぐに察しが付いた。

紅子。美しい名前だ。

いやそれよりも今は母の体の方だ。

体の木材が腐りかけている。

顔と胴体を作り直すことは難しいが、他の部分はなんとか直せるかもしれない。

俺の作りかけのあの人形と同じ手法で作られているからパーツを持ってきてしまえばいいだろう。

依頼なんかよりも私の母だ。

ついでに顔や胴体にはこれ以上に悪化しないように防腐剤を塗っておこう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「4月15日」

母はすっかり元気になった。

二速で歩けるようになり、俺のように声を出す事は出来ないが、コミュニケーションを取るのには問題なかった。

幸せだ。

人形作りも順調で、後は色つけと関門となっていた顔作り。

母を知ったからか不思議な程に自然と手が動いた。

2日間寝る事も食べること忘れて作業していた。

視界が歪む感覚は初めてだった。

死を間近に感じ、恐怖することも無い虚無のひととき。

地獄というよりも何もない虚空。

その感覚を知った。

起きたらこうしてベッドの上だった。どうやってくれたかは分からないが、母が助けてくれたようだ。

明日お礼を言っておかなくては。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月1日」

ヒトガタは取り敢えず完成した。

我ながらいい出来だ。

明日劇の人も来るらしい。

見てもらおう。きっと喜んでくれるに違いない。

強いて言うならば、生気を感じないが、色を塗れば良いはずだ。

うん。その方法でやろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月2日」

ふざけるな!

生気が無いなんてふざけたことを!

俺だってそんなのは分かっている!

だが、それは色を塗ってないからなんだ。そんなことすらもわからないのか。話にならない。認めさせてやる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月17日」

人形が完成した。

明日見せる日だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月18日」

なぜだろう?俺は生きてる。

なのに生気を表現できないなんてありえない。

分からないものが作れないのは仕方ない。

然し、これは知っている。理解している。

生きる事は完璧である事。

それの何がおかしい。

この素晴らしい人形を…。

 

否。自分でもなんとなくは分かっていた。

人形は生きてなんていない。

この前気を失ってから色々とおかしい。

感情とまでは行かないが、不自然な程に気分に変化がない。

ただ淡々と作業している気分になる。

もしそれが生きることだとすれば、俺にどうしろと?

人形が生を望むのはおかしいのか?

落ち着け。落ち着け落ち着け。

僕の体は変わらず肉や骨があって、血が流れている大丈夫。

然し、本当に僕がそれなら。

どうすればいい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月25日」

あれから色々と考えた。

生命と自分の事を。

そして何度も目が腐るほどに2つの本を見た。

分かったことがいくらかある。

人の体を素に行う人形式降霊術があるらしい。

つまり俺はそれなのだろう。

体は作り変えられている。

記憶もないが、もともと存在してない。

俺は俺ではない。

そしてもう1つ。

どうやら死体を用いた人形式降霊術は徐々に人から体を作り変えられるらしい。それは成長と言う名の自己の損失だと言う。

もう何がなんだかだ。

言える事は、糸巻家は人形技師の家系ではなく、呪術師の家系であったという事。

肝心な生きる事とは何かが掴めない。

死への抗い、遺伝子の継続、色々と考えたが、その答えは全て合っているし、間違っている。

そもそも生きる事に意味や理由はないのだろう。

だとするならば、あの人形に欠けていた生きる証とは?

だめだ。頭が回らない。

明日に持ち越そう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「12月25日」

明日。ようやくヒトガタが届く、完璧な人形作りに手を出せる。取引先の組織曰く、金を借りた挙句、ついぞ返さなかった老婆の死体らしい。

そんな生前の罪や経歴はどうでもいい。

大切なのは美しく保たれたままの彼女の体だ。

こう記録しているだけでも興奮してしまう。

使い物にならなくなった母も久し振りに動かしてみるとする。

俺を紅蜘蛛として生んでくれた感謝の気持ちもあるにはある。

せめて、四肢が動く程度にはしてやらないといけない。

早速やってこよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

「1月29日」

母、老婆共々健康。

問題は老婆の体を色々といじってしまった為、紅蜘蛛の力が生まれつつあることだ。俺にとってはどうでもいいが、何をしでかすかわからない。廃棄するか悩みどころである。

母は変わらす部屋の隅で直立している。まるで電源が切れたようだが、何が目的なのだろうか?

それと最近良く月白相心という名を耳にする。

怪異事件を解決している神主だという。

邪魔をしないなら態々こちらから出る必要もないだろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「3月8日」

老婆を廃棄することにした。下半身に蜘蛛の体が生まれつつある。潰して、放ってしまえば、霊気も無くなり、塵となって消えるだろう。

鳥杭町の山にでも捨てればいいだろう。

とっとと片付けて人形式降霊術の練習をしたい。

全く邪魔な老婆だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「5月20日」

人形式降霊術に隠された暗号があり、それを解き明かすことに成功した。糸巻紘之介の日記。それに書かれているらしい。真の美しい人形を作りたくば、以下の住所の蔵を探しにいけと書かれていた。

累月町朱糸4番地-月白神社。

連絡をしてみる事とする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

紘一という男に邪魔された。

神社の宮司だがなんだか知らないが、あの本を返してもらわねば、僕の求めている人形は作れない。

然し、拒否された以上このままでもどうこうするのは難しい。

うん。決めた。うん。うん。盗もう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

相心と紘一。

それが邪魔だ。アトリエを人形式降霊術の応用で怪異そのものに変化させた。ここに誘き出して殺そう。そうだな…。とっておきを使って本当に襲って貰おう。何か変な点があってもいけないしな。嘘を本当にして、嘘を付けば騙しきれるだろう。

問題は紘一だ。

 

殺しても問題ないが、なるべく穏便に済ませるべきだろう。うん。それがいいよ。眠らせるか、気絶させるかして盗ませてもらおう。ううん。それじゃだめだ。やるなら徹底したほうがいい。うん。そうかもしれない。殺そう。隙を見て殺して、本を奪えばいい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6月になった。やってみるかあの計画。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 途中から白紙の数十ページを挟んだり、破かれていたりして読める所を読んだが…。これが本当なら…。じぃちゃんは…。

今後の小説の文の書き方について〜!

  • より状況描写を増やしてくんろ〜!
  • もっとテンポ感よくした方が良い!
  • キャラクターの心理描写、台詞を多く!
  • 今のままの君(書き方)が好きっ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。