「星野アイ。私の好きなアイドルです」   作:ネオマフティー

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推しの子二次が増えていて嬉しい……
どうか、これからも平和な世界線が増えますように。


「生存IF√。私の好きな言葉です」 短編集①

 

 

 

 

side アクア

 

夢を見る。あの日。アイが刺された日の夢だ。

アイが死にゆくのを、ただ見ていることしかできない無力な僕の姿。

そして、奇跡なんてあるはずもなく、アイと永遠の別れに至った世界がそこにはあった。

アイを失った喪失感と、どうしようもないほどの後悔と絶望に苛まれ、僕の心は深い闇へと染まっていく。

そうして、復讐の道へと足を踏み出そうとした時だった。

 

『安心してください。私が、彼女を救ってみせますよ』

 

その言葉と共に、踏み出そうとした僕の肩に置かれた悪魔(メフィラス)の腕が引き止める。

 

『今は眠りなさい。星の子(推しの子)よ。

そして、星の輝きを絶やしてはいけませんよ(アイを悲しませてはいけませんよ)

 

僕は悪魔の腕に引き戻され、意識が段々と遠のいていく。そして、ゆっくりと深い眠りに沈んでいった。

 

 

 

「……きて……起きてお兄ちゃん!もう朝だよ!」

 

「…‥ルビー?」

 

「もう!今日は私たちの入学式の日でしょ!」

 

「………しまった!!寝坊した!!」

 

慌てて布団から飛び起きた。

その時、ふと、夢で見た光景が脳裏によぎる。

もしも、あの夢のように、アイがもういない世界だったら。

震えが止まらない。いやだ、そんなのいやだ。

そう思いながら、僕はリビングへと続くドアを開けた。

 

「アクアはおねぼーさんだね。ほら、準備しないと」

 

そこには、いつもと変わらない、日常の光景(アイの生きている世界)があった。

 

 

 

 

 

その1『入学式』

 

 

 

 

 

時が経つのは、あっという間だ。

あれから、アイはどんどんスターの階段を駆け上がっていった。今では国民的アイドルと言っても差し支えないだろう。

そして、時を同じくして、僕とルビーも小学生になった。()にとっては、人生二度目の義務教育。正直言えば憂鬱だ。

 

「どお、似合ってるでしょ!」

 

もっとも、ルビーの方はそうでもないようで、とても楽しそうに笑っている。

 

「なあ、人生二度目だろ。精神的にしんどくないのか?」

 

「……色々あるの!それに、今日はママが来てるんだから!」

 

ルビーはそう言うと、僕達の母親(アイ)のいる場所を見つけて保護者席に手を振った。

 

 

 

「大丈夫、変装したらバレないって!」

 

そう言って、アイは僕たちの入学式に保護者の一人として、ミヤコさんと一緒にお忍びで来ていた。

 

「お願いですから、絶対にバレないでくださいね」

 

「はーい!でも、この溢れ出るオーラは隠せないかも♪」

 

変装しているとはいえ、正直めちゃくちゃ目立っている。

当然だ。どんなに隠そうとしても、アイの輝きを完璧に隠すなんて不可能だ。バレるリスクだって低くはないだろう。

 

それでも。

 

「どうしても見たいんだ。アクアとルビーの晴れ姿」

 

アイの心からの願いだった。

 

『二人が大人になっていくのを、側で見ていたい』

 

そう言ってくれたアイに、小学生になった僕達の姿をしっかり見せてあげたい。

……もしもあの日、あの男が来なかったら(奇跡が起きなかったら)、僕たちの姿をアイに見せる事は叶わなかっただろうから。

 

「写真撮ろっか。アクア、ルビー」

 

「ママ!ママ!どうかな。私のランドセル姿!」

 

「うん!とっても似合ってる!ほら、アクアも笑って」

 

パシャリとカメラの音が響く。

 

「これで、ルビーとアクアの成長記録に載せる写真も撮れたかな?」

 

そう言って写真を確認したアイは満面の笑みを見せた。

 

「うん、バッチリ」

 

「いつか、二人がもっと大きくなったら……その時は、一緒にこの写真を見て懐かしいな〜って思える。そんな写真だね」

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りの車はミヤコさんが運転してくれた。

 

「次は授業参観とか行きたいな。それでね!」

 

「それは流石にダメです!」

 

「けち!」

 

「いいですか!アイさんは、もう誰もが知る超一流のアイドルなんですからね!」

 

ミヤコさんは、未だにイケメン俳優と再婚できていない。それでも、今の彼女はとても充実しているように見える。

忙しいアイに代わって僕達を育ててくれたミヤコさんは、もう一人の母親のようなものだ。

どんな形であれ、ミヤコさんには幸せになってほしいと思う。

 

「……子供の成長ってあっという間だね」

 

ふと、アイが言葉を零した。

 

 

「二人は、どんな大人になるのかな……」

 

 

すると、ルビーがアイに抱きつきながら宣言した。

 

「私はね、ママみたいなアイドルになる!ママみたいにキラキラって輝くアイドルに!」

 

ルビーには才能がある。アイを想起させる天性のルックス。周囲を圧倒する演技力。アイドルとしてやっていけるであろうダンスの才能。

残念なことに歌はからっきしだが、きっと、前世の俺なら、さりなちゃんと一緒に推すような凄いアイドルになるだろう。

 

とはいえ、その勝ち誇った顔でこっちにマウントをとってくるのは、ちょっとどうかと思うけどな。

 

「……なら、僕は役者になるよ。そして、アイと同じ作品に出演してみせる」

 

「あー!アクアだけズルい!私も絶対ママと一緒に出演するんだから!」

 

「アイドルだけでも大変なのにできるのか?」

 

「できるに決まってるでしょ!ねえ、ママ!」

 

そう言って抱きついたルビーをアイは優しく抱き寄せた。

 

「ルビーなら、きっとできるよ!」

 

「アクアもルビーもとっても凄い子だから大丈夫」

 

「私の遺伝だね」と呟いて、アイは僕達の頭を撫でてくれた。

 

「いつか、親子みんなで共演しようね」

 

 

 

 

 

 

 

side アイ

 

 

「がははっ!飲め飲め!今日はアクアとルビーの入学祝いだ!」

 

「ちょっと!二人とも疲れて寝ちゃったんだから、もう少し静かにしなさいよ!」

 

そう言いながら、ミヤコさんもごくりと焼酎を喉へと流し込んだ。

二人ともすっかり酔っぱらってるよ……

 

「にしても、ルビーもアクアも小学生か!アイも酒を飲める年になったし、やっぱり時間が経つのははえーなぁ!」

 

そう言って、ご機嫌な社長は、私の20歳の誕生日の時と同じようにお酒を注いでくれた。

 

「うん、美味しい」

 

あの日、私はもうだめだと思った。

リョースケくんに刺された私は、せめて、最後にアクアとルビーに伝えたかったことを伝えた。

 

『愛してる』

 

やっと言えた、『嘘』じゃない愛の言葉。

その言葉を言えて嬉しかったけど、正直、心残りはあったよ。

 

大きくなっていく二人を、ずっと側で見守っていたかった。

アクアとルビーにもっと『愛してる』って言いたかった。

ダメな方だと思うけど、それでも、二人の母親だったから。

 

 

 

『愛を知り、その輝きは更に増すでしょう』

 

『どうかその輝きをもっと見せてほしい』

 

『星の輝きをもう一度』

 

 

 

「どうだ、アイドルになってよかっただろう!」

 

「………うん!」

 

ふと、社長に言われて我に返る。

私は嘘吐き。

考えるより先にその場に沿った事を言う。

自分でも何が本心で、何が嘘なのかわからない。

それでも、今の咄嗟に出た返事はきっと本心からだと思う。

 

大切な宝物(アクアとルビー)に出会えた。

 

心の底から愛してるって言えた。

 

アイドルになったおかげで、私は、人を愛することができた。

 

だから、今ならはっきりと言える。

 

「私ね、アイドルになって、本当によかったと思ってる」

 

だからね、社長。

 

『私をアイドルにしてくれてありがとう』

 

この言葉は絶対嘘じゃない。

 

「アイ………、立派になったな畜生……よし、今日は飲むぞ!!」

 

私の名前は、星野アイ。欲張りで、嘘吐きの完璧で究極なアイドル。

そして、大好きなアクアとルビーの母親だよ。

 

「愛してるよ。アクア、ルビー」

 

いつか、ファンのみんなにも、この本当の『愛』を伝えられる日がくることを願ってる。

 

「ありがとう。メフィラスさん」

 

みんなは気づいていなかったけど、私は気づいていたよ。私にいのちをくれた、この星(このせかい)で誰よりも『嘘』の上手な、私のファンだったあなたのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃

 

「やっぱりだ。……アイ、裏切ったな!!」

 

この星には、親子の平穏を邪魔するものが存在しなかった訳ではない。

時には、何者かに唆されたのか、彼女達に刃を向けようとしたファンだった者もいた。

 

「おや、どこに行かれるのですか?」

 

しかし、その全てを阻む最強の悪質外星人ファンがついていた。

 

「安心したまえ。殺しはしませんよ。血塗られた手で、彼女の輝きを汚すわけにはいきませんから。ただ、二度と悪意を抱かないように、少し手を加えさせて(記憶を弄らせて)もらいます」

 

時には、某父親の魔の手を徹底的に叩き潰し、時には、スキャンダルに繋がりそうな可能性のある情報を徹底的に改竄して握り潰していた。

抜かりのない男は、既に国とはお話し済み(交渉済み)である。他の外星人の侵略から地球を防衛する事を条件に、外星人としての部分的な特権付与の約束を取り付けていた。

そんなこんなで、裏で色々と動いていた男の名はメフィラス。輝きに焼かれた、どうしようもないアイのファンである。

 

「では、後の事はお願いします」

 

そして、メフィラスの来訪によって、公安のメンバーを中心に後に禍特対と呼ばれる組織が対外星人のために急遽組織されることになった。

しかし、その活動の殆どは、基本的にメフィラスの監視という名の一緒に家族を陰ながら見守る護衛活動であったとか。

 

「本当に侵略しに来たんですかね?この外星人」

 

星野家を中心に、今日もこの世界は平和に回っていた。

 

「嘘は『愛』……私の好きな言葉です」

 

 

 

もしもアクアが恋愛相談するとしたら、誰が一番ベストだと思いますか?

  • 姫川(異母兄)
  • メルトくん(ある意味先輩)
  • 不知火フリル(妹の友達)
  • ???(頭外星人枠)
  • ???(頭日本神話枠)
  • その他
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