「星野アイ。私の好きなアイドルです」   作:ネオマフティー

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私の推しの一番星 前編

 

 

 

「お、多いね……」

 

「確かに例年に比べて遥かに多いわね」

 

アイドルグループB小町の復活。

その情報はすぐさま拡散され、かつてのB小町のファン達がJIFに集結していた。

 

「B小町は、少し前まであの『アイ』のいたグループの名前なのよ。当然、ファンの注目度は段違いだからね」

 

「そういえば、アイさんは?」

 

「アイなら、みんなを特等席から見守るね!って言ってもう行ったわよ」

 

「……それ、大丈夫なの?」

 

「うちの社長が知り合いに頼んだから大丈夫よ。その知り合いのおかげで、うちの事務所のスキャンダルが過去に一度も出なかった実績があるもの」

 

「なにそれ凄い!何者よその人!?」

 

 

 

 

 

会場に来たファン達は、その全員がアイの全盛期の時と同じ期待をしていた訳ではなかった。

復活の嬉しさとは別に、アイという圧倒的な存在がいない事に、どこか物足りなさを感じていたからだ。

 

「店長から見て、解散する前の全盛期のB小町ってどんなグループだったんですか?」

 

「アイが所属していた時は凄かったな。ドームライブの興奮は今でも思い出すほどだ……でもな、あのグループはアイって言うスターが居たから成り立った訳で、木っ端を三人集めたからといって……」

 

「それなら大丈夫ですよ。今日は素晴らしい日になります」

 

すると、疑念を抱いていたファンの店長の所を一人の男が通りかかった。

 

「…!来てたのかMr.メフィラス!」

 

「お久しぶりですね、店長」

 

「……意外だな。アイ単推しだったあんたが来るなんて」

 

「今日は特別な日ですから」

 

「特別な日?」

 

「ええ。今日はきっと素晴らしい日になりますよ。『アイ』の光を継ぐ私の推しの子がデビューしますから。では、私は待ち人がいますのでこれで」

 

「店長、今の人は?」

 

「Mr.メフィラス……B小町ファンには名の知られた『アイ』単推しの大物だ」

 

あの男は、CDを積みまくってまだあまり有名じゃなかった当時のB小町のオリコンの順位を押し上げたりと様々な伝説を持っている生粋のファンだ。そんなメフィラスがそこまで言うのならとあるいは……とファンの店長は期待感を抱き始めた。

 

「………そういえば、あの人とその隣にいた人の顔どっかで見たような……というかメフィラスって名前もどこかで……あれ?まあ、()()()()()()()!」

 

そして、店長に付き添っていた店員は、一瞬頭の中で何かが結びつきそうになったが、すぐに頭がもやっとして違う事を考え始めた。

 

 

 

 

「また他者の認識への干渉か。

君は、目的のために手段を選ばない事は苦手だったんじゃないのか?」

 

「それは外星人である私の話だ。今の私は、役者をしているただのファンだ。そのような事は気にしないのだよ」

 

過去の発言を棚に上げて、メフィラスは涼しい顔で誤魔化した。

 

「今日の主役はステージの上に立つ彼女達だ。我々が目立つ事などあってはならない。我々は少しばかり名の知れた役者なのだから」

 

「詭弁だな。だが、君は随分と変わったなメフィラス。」

 

「そんな事はない……と言いたいが、もしかすると、私は少しばかり『回帰』したのか、あるいは……」

 

宇宙を生きる生命として、我々は進化を続けてきた。個として完結し、この星の原生人類とは比べものにならない強大な力を手にした我々は、群れる事も、種を繋ぐ事も必要なくなった。『愛』などというものは失われ、その必要性や概念さえ、この星に降り立って微かに存在を思い出した程度だ。だが、もしかすると進化の過程で置き去りにした筈の何かを取り戻したのか、あるいは、まだ我々にも僅かに残っていたのかもしれない。

それに、彼女のファンになって確かに変わった自覚があった。

 

「来ましたか…」

 

やがて、パチンとメフィラスは指を鳴らすと自身とリピア、そして、もう一人の存在に対する会場全体の人間達の認識へと干渉した。

 

「さて、これで万が一気づかれることもなくなりました。久しぶりですね。()()()()さん」

 

そう言って振り向いた先には、星の瞳を持つ、未だ衰え知らずの輝きを放つ女性がいた。

 

「社長の知り合いってあなただったんだね。メフィラスさん」

 

「斉藤社長とは仲良くさせてもらっています。今日は、一ファンとして思う存分ライブを楽しんでください」

 

「ほんとにバレてない?」

 

「バレてないですよ」

 

「凄いね!どうやったの?」

 

「内緒です。人は誰しも秘密を抱えているものですから」

 

そう優しく言って、メフィラスはステージへと視線を戻した。

 

「さあ、いよいよだ」

 

ライブが始まる

 

最初は、アイのいないステージに違和感を覚えるファンも少なくなかった。

 

 

苦節26年。

ついに夢が叶って憧れのアイドルになれたよぉ!

あの時、諦めないでって言ってくれたママ、私を誘ってくれたアクたん、私を受け入れてくれたみんな……本当にありがとぉ!!

 

 

 

前世ではずっとテレビで見ていたアイドルの世界。

そして、今世では近くでそのアイドルの世界で輝くママの姿をずっと見てきた。

この日のために、ずっとママと一緒にダンスの練習をしてきた。

ゴロー先生!私、アイドルになれたよ。ママ!お兄ちゃん!見ていてね。私の初舞台!

 

 

見ていなさい!アクア!

私がアイドルやってる間に、必ずアンタのサイリウムを真っ白に染め上げてやる!

私の事大好きにさせてみせる!

アンタの推しの子になってやる!

 

 

それでも、星野ルビーという眩しい星の原石を中心に、次第にファンの人々の心を掴んでいった。

 

自然と身体が動く。

ああ、懐かしいなぁ。アイの時もそうだった。

どうしようもなく焦がれて、あの光に引き寄せられるんだ。

気がつくと店長と呼ばれていた男はブンブンとサイリウムを振っていた。

 

「店長!?」

 

次々とファン達に熱狂の渦が広がっていく。

次々と心を奪われて、皆がファンになっていく。

アイの輝きに焼かれたファン達や、新たにファンになった者達が推しのためにサイリウムを手に取った。

 

「三人とも、他のグループならエース級の容姿。特に真ん中の子はオタ受けど真ん中だし歌も上手い。人気出るかもなぁ」

 

かつて、アイに魅せられた在りし日のように。

 

「どうですか、B小町を継いだあなたの後輩達は?」

 

「うん、完璧☆」

 

この日、アイドルグループB小町は完全復活を遂げた。

 

「大きくなったね。ルビー…」

 

 

 

 

 

 

 





後編は夕方に投稿します!

もしもアクアが恋愛相談するとしたら、誰が一番ベストだと思いますか?

  • 姫川(異母兄)
  • メルトくん(ある意味先輩)
  • 不知火フリル(妹の友達)
  • ???(頭外星人枠)
  • ???(頭日本神話枠)
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