勇者のレベルをあげさせてはならない!殺せ!

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レベルをあげさせるな!!!

魔王城にてえらい魔族達が話し合っているところへ、一人の魔族が報告に来た。本来許されないそれは、ある特例のときのみ許される。それは―――

 

「魔王様!()()が現れました!」

 

勇者の誕生を示す、光が空へ上がった時である。

 

 

勇者の誕生に、話し合っていた内容すべてをあとに回し、えらい魔族は話し合う。

 

「勇者!ついに現れたか!すぐさまスライムを!」

 

「待て!スライムだけでは心もとない!ここはゴブリンをつけよう!」

 

勇者への偵察として、様々な案が出され、議論されていく。勇者は、人族の希望となる伝説の存在。下手に戦力となる資材を消費出来ず、まずは失っても痛くない下っ端も下っ端でなんとかしようとするのだ。

 

「いや、ダメだろう」

 

これまでの議論に対し、黙りこくっていたこの場の最高権力者が声をあげた。

 

「ま、魔王様っ!?」

 

これまで、魔王は議論に対して何一つ声をあげることはない。というのも、この国は魔王という王がいるのにも関わらず、民主政として、選挙で勝ち上がったえらい魔族だけで国を回しているのだ。魔王はその際、飾りとしているだけというのを魔王自らが徹底している。しかし、この行為は看過できなかった。

 

「何故雑魚を送るのだ?レベルをあげさせることになるではないか」

 

「レベル…?」

 

魔王の発言を、理解できるものはその場にはいなかった。

 

「ん?レベルを知らんのか?」

 

「え、まあ。魔王様。レベルとは一体?」

 

「ふむ…。レベルとは勇者や勇者のパーティーが戦いの中で成長する際、一際大きく伸びるときに使われる用語だ。勇者は、なぜかは知らんが、経験を積むと突然体が硬くなり力も上がり、新たな魔法を覚えるだけでなく見たこともないであろう特技まで手に入れてしまう」

 

「そ、そんな力が…!」

 

一気にえらい魔族はざわめく。しかし、その中で一人の魔族がこういった。

 

「お待ち下さい。魔王様のその発言の真意はいかほどのもので?」

 

魔王の発言に信憑性がないと言いたげだ。しかし、それはおかしなことではない。なんせ、レベルという概念は本当に一部の者でしか知り得ない。例え一国の主であっても、名の知れた英雄でも、優れた学者であろうとも、知らないのは何らおかしなことではない。むしろ自然だ。だが、偶になんの変哲もない農民や聖職者、盗賊が知っていたりもする。これもまた自然。

 

また、それ程までに知るものが少ない現象なため、証明しろと言われてもという話ではあるため、魔王は答えに窮する。

 

「答えられない?魔王様、この議会の場にそのようなお戯れを持ち込まないでいただきたい。さて、話を戻しましょう」

 

一部議員は引っかかっていたが、結局、戯言というだけで流されてしまった。

 

 

 

まあ、だから何だという話である。

 

「お、お待ち下さい!」

 

「何だ、(じい)

 

魔王を幼き時から育てた爺は、真夜中に出歩こうとする魔王を引き止めた。

 

「何だではありません!何時だと思っているのですか!明日も業務なのです!憎き人族に希望が生まれたこの時の今であるからこそ!業務の効率を落とすべきではありませんぞ!」

 

「うるさいな…。勇者を倒しに行く。それだけだ」

 

「なっ…」

 

爺は絶句し、目を見開いている。それを尻目に魔王は一歩一歩踏み出し始めた。

 

「ぬうっ!」

 

目にも止まらぬ一線――

 

爺の剣は、執事の物とは思えぬほどに血を吸い、成長している。

 

「いや、なぜだ?」

 

「魔王様!そんな危険な場所へは行かせられませぬ!行きたければ爺を倒して行きなさい!」

 

「なんでだよ」

 

突如意味の分からない理論で敵対される。しかも爺思ったより強い。さっきの当たってたら死んでた。

 

「…闇転移(テレポート)闇の渦(ブラックホール)悪夢(ナイトメア)

 

瞬間移動で遠くへ離れ、闇の渦によって拘束。そこを眠らせるだけでなく悪夢をみせ、それを魔物であるバクに食べさせることでバクという魔物へ魅了(チャーム)させる悪夢を発動した。

 

「( ˘ω˘)スヤァ( ゚д゚)ハッ!バク様\(^o^)/バク様\(^o^)/」

 

「よし。これで爺は大丈夫だ」

 

今のうちに、勇者の出たという街へ向かった。

 

「ふむ、ここか。闇爆破(ダークバーン)

 

村すべてを包み込むように、魔法を発動する。外側から包み込み、中のすべてを焼き尽くす。一度ついたその火は消えず、永遠にその物の死を追い求めるのだ。結果、昼でも目立つ大きなキャンプファイヤーが出来た。

 

「…一応、生き残りを確認しよう」

 

流石に生きていないだろうが、それでも範囲内から逃れた可能性は1%程存在する。周辺を観察すると

 

「あ、それっぽいな」

 

光り輝く剣を持った少年が立ち尽くしていたので、燃やし尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「報告!勇者が新たに現れました!」

 

その言葉に、議会はさらなる混乱を見せた。

 

「勇者が二人だと!?どうなっているのだ!」

 

「魔神は我らを見放したのか!?ふざけている!」

 

「今すぐ情報を統制しろ!こんなもの市民に伝わっていい内容じゃない!」

 

「待て!まだ諦めるな!すぐに対応を練るぞ!」

 

「そうだな!まずはあの隊の一番長を一度下がらせるか…?」

 

「いや、彼はあの隊の、それどころか魔王軍の最高戦力だぞ!?いいのか?」

 

「彼を失うのは余りにも痛手だ!」

 

「いや、それもダメだろう」

 

またもや、魔王は口を挟んだ。

 

「その、誰だ?一番長かなんだか知らんが、強いならさっさと勇者の元へ連れて行け。手遅れになるまでにな」

 

「はぁ…またその話ですか?ですから、レベルというものは何も根拠があるわけではないのでしょう?それでしたら、下っ端に情報を探らせて、調べ尽くした上で彼を投入するのが最も良い利用方法では?」

 

「…」

 

「だんまりですか…。魔王様。もう黙っていてください」

 

 

 

 

 

 

「悪夢」

 

「( ˘ω˘)スヤァ( ゚д゚)ハッ!バク様\(^o^)/バク様\(^o^)/」

 

油断している爺を狂わせ、またもや夜の散歩だ。昨日は危うく見逃しかけたから、今回も見落としには気をつけなくてはならない。

 

「うん?」

 

馬車の跡が、誕生したとされた村から伸びている。それどころか、その村には人の気配がない。

 

余りにも、わかりやすい。

 

高いところから見下ろし、人の集団に目をつけた。かなり大人数。恐らくこれは、あの村の避難民であり、止まっている馬車には…

 

キラリと輝く聖剣が見えた。決まりだ

 

「闇爆破」

 

勇者は死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「報告!勇者が現れました!」

 

「3人目だとぉっ!!!!!!」

 

「うわあああああああああああああ!!!!」

 

「なんてことだぁ!」

 

「どうするんだ!!!もう手が尽きるぞ!!!」

 

「ひとまず全軍撤退、いや、下っ端は置き去りにして、勇者たちのヘイトを向けさせろ!即座に近隣の村へ下っ端のみ襲撃させろ!」

 

「そんなことをしては、下っ端に死にに行けと言わせているようなものだろう!そんなんじゃ市民の理解は得られない!それに、彼等の家族にどう説明するんだ!!!ここは、わざわざ責めさせずに、勇者の足止め用に逃げ道にいい感じに散りばめて配置するのだ!我らの命令は正当なものとして――」

 

「待て!もうこんな状況なんだ!いっそ全軍玉砕させてみてはどうだ!」

 

「玉砕させていいわけがないだろう!馬鹿だな?馬鹿だ!馬鹿だろお前!」

 

「いや、それでいいだろう」

 

これまで同様、議会は静まりきり、ため息とともに、

 

「魔王様。邪魔なさるおつもりなら出ていっていただけますか?」

 

「…」

 

「続けるぞ」

 

 

 

 

 

 

「( ˘ω˘)スヤァ( ゚д゚)ハッ!バク様\(^o^)/バク様\(^o^)/」

 

「バク。いつも済まない」

 

「バクバクバク(●´ω`●)」

 

「うまいか。それは良かった」

 

昨日は学習の跡が見えた。しかし、手がかりも何もないのだから、勇者の誕生した村に行く以外他はない。

 

「…なるほど」

 

普段通り村人達は生活している。まるで、勇者なぞ最初からいなかったかのようだ。まあいるだろうから、

 

「闇爆破」

 

聖結界(セイントウォール)!」

 

防がれた。

 

「来たようだな!魔族!」

 

そこには、聖剣を担ぐ勇者と、ローブを身に纏った長身の男性がいた。

 

「2度も俺を殺しやがって!昨日のうちからコツコツとレベルをあげていたお陰で今のレベルは8!そこにこの王宮術士のバフがあればそのレベルでもお前の攻撃は防げるんだよ!いやー!防御強めの設定で良かったぁ!」

 

「闇爆破」

 

「聖結界!効かねえってのwww」

 

「ふふ」

 

「闇の渦、悪夢、闇爆破」

 

勇者とその仲間は死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「報告!勇者が―」

 

「きええええええいい!!!!!!」

 

「ちょああああああ!!!!!」

 

「ぷええええええええええええん!!!!」

 

「ママァァァァァァァ!!!!」

 

「ばぶっ」

 

「おーよちよち」

 

勇者誕生から10日目。遂に全員狂った。

 

「勇者なら9人はもう既に死んでいるぞ」

 

突如静かになり、

 

「議会の邪魔をしないでください」

 

「議会をしているのか…」

 

 

 

 

 

 

「( ˘ω˘)スヤァ( ゚д゚)ハッ!バク様\(^o^)/バク様\(^o^)/」

 

「バクバクバク」

 

「…ゆくか」

 

今回の勇者はどのような力を見せてくるのか…。正直な話、そろそろ積みだ。何度殺そうが、記憶を引き継ぎ、尋常なまでの執念で殺しにくる勇者には、魔族が勝てることなどあり得ない。最後に立つのは必ず勇者なのだ。

 

「今の仲間は…エルフ聖職者と女戦士と女盗賊とあの長身術士か」

 

術士によるバフもさることながら、最近はデバフも覚え、それだけでなく、エルフ聖職者による蘇生と女戦士の身代わり、女盗賊の隠密によってだんだん難易度が上がっている。なぜ、死んだくせに聖剣は一緒で、仲間も当然のようにいるのか。そもそも聖職者は当然のように死者を生き返らせるな、弔え。後盗賊は犯罪者だろう。格好もよろしくないし、捕まれ。

 

「来たな!魔族!」

 

「…なぜわかった?」

 

まるで、待ち構えていたかのように、周囲の物体が魔王を拘束した。

 

「ハッハッハ!新たに預言者が仲間になったんだよ!」

 

「ふむ。女占い師か。予言なぞ、必要ないだろう」

 

「罠にかかってるくせに!よくそんなこと言えるわね!」

 

「いや、予言しろよ」

 

ぶちりと拘束していた蔦を引きちぎり、

 

闇鍋(やみなべ)

 

突如降り注いだアンデッド達に、勇者パーティは押し潰され―――

 

聖波(せいは)!」

 

聖剣から飛び出た光の波が、アンデッドすべてを塵へと変換した。その行動は隙しかなかったので、後隙に、

 

「闇爆破」

 

女の男気(身代わり)!!」

 

本来周囲に広がるはずの炎が、なぜかすべてが女戦士に集結する。なすすべなく、女戦士は焼死した。

 

聖帰路(せいきろ)!」

 

そこを、女聖職者によって蘇らせられる。

 

「感謝するぜ!」

 

「隙あり」

 

透明化した女盗賊の奇襲。隙ありと言ってくれたので、闇転移で避けて闇の渦で勇者以外を拘束する。

 

「くっ!勇者!」

 

「おうっ!」

 

バフを受けた勇者の聖剣が輝かしく光り、正義のもとに振り下ろされる。

 

わざわざ当たる義理はないので、一瞬だけ遥か遠くへ闇転移して戻り、闇爆破で焼き尽くした。

 

 

 

 

 

 

 

翌朝。

 

「よお、魔王」

 

なぜかは知らないが、魔王城に勇者パーティがいた。

 

「四天王は?」

 

「全員殺した」

 

「魔族領は?」

 

「荒らし尽くした。…いやぁ、まさか、お前が魔王だったなんてな。魔族共が余りにも弱くて驚いたぜ」

 

「そうか。で、どうするんだ?」

 

「決まっているだろ。11回目にして、やっとお前を殺せる日が来たんだ」

 

「ふふ。あなたを殺すシュミレーションはバッチリよ!」

 

「勇者よ。君にすべてを託そう」

 

「何度でも私が守ってやる!」

 

「傷ついても私がいるから安心してください!」

 

「世界救うのも悪くないわね。勇者、私を犠牲にしてでも行くのよ!」

 

仲間たちそれぞれが待ちに待ったと言わんばかりに言葉を並べる。お前ら出会って一番長いやつでも8日目だろ。

 

「そうかそうか。じゃ降参」

 

「はぁ?」

 

「いやいや、勝てないから降参」

 

「…許すわけ無いだろ。死ね!」

 

「あっそう。ばいばい、闇転移」

 

※魔王は逃げ出した!

 

 

「えぇ…?」

 

 

 

 

 

 

そうして、人類は魔族との戦争に勝利し、また、別の戦いが始まるのでした。めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

「いや〜、人族の飯うまっ!って客だ」

 

「お〜い、店長!魔族の料理食えるってマジか?」

 

「おう!マジよマジ。一時期旅行行って覚えてきたんだよ」

 

「じゃあそれくれ!嫁にも食わせたいから包んでくれよぉ!」

 

「おおよ!」

 

〜料理店魔クッキングにて〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まあ、コメディだよね?これ。

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