序章
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時は、某将軍が名を馳せていた頃。現代で言う戦国時代辺り。
占い師の家系に生まれ、柄師、鍔師まで兼任し、刀にまつわる全ての事をたった一人でやってのけた天才的な刀鍛冶である「四季崎記紀」が造り出した「変体刀」の最後の一振りである虚刀流、その前作の話しだ。
虚刀流――――――完了形変体刀「虚刀・鑢」には、前作が有る。否、創造主である四季崎記紀の言葉を借りるならば、『失敗作』が有る。
完成ではなく、完全。創造主である四季崎記紀が目指そうとはしていなかった形に至ってしまった完全なる剣士の血統―――「全刀・錆」。
完全形変体刀。剣士として完全なる流派にして血統でありながら、しかし完了へと至れなかった失敗作。
不完全でなくとも、不完了。四季崎記紀の思惑通りにはならなかったが為に見捨てられた刀。虚刀流の失敗作―――それこそが、全刀流である。
己が肉体を刀として振るう無刀の剣術である虚刀流とは違い、全刀流は棒状のもの全てを己が刀として扱う事が出来る剣術。
この世界に存在するほぼ全てのものを己の剣として振るう事を可能とするそれは、剣士が扱う剣術の完成形と言えるだろう。
それが四季崎の思惑に至らなかったというだけで、しかし剣士が扱う剣術としてはある意味では究極と呼ぶに相応しかった。
何より、全刀流の使用者は揃いも揃って強者ばかりだった。記録にこそ残ってはいないが、歴史上最強の人物と言われた剣聖のなかの剣聖「錆黒鍵」はその最たる例である。
また、その息子である「錆白兵」も、全刀流の血統を持つ剣聖だった。
片や歴史上最強の剣士。片や日本最強の地位に立っていた剣聖。
全刀流を扱う剣士は、皆が強者だった。
そして、時が流れ―――全刀流は、現代においても最も恐ろしい剣術となっていた。
「えーっと…なんか、ごめんな?」
時は現代。国は日本、北海道地方にある田舎町、その高校にて―――否、“更地”にて。
やらかしちゃったなー、と頭を掻きながら申し訳なさそうな顔をする男の目の前には、真っ二つに切り裂かれた校舎。
片方は何とか原型を留めているが、もう片方は完全に瓦解しており、もはや見る影もない。
申し訳なさそうに頭を掻いている男の右手には―――たった一本の“鉛筆”が、握られていた。
【私立愛地共生学園・生徒情報】
私立愛地共生学園・二年生徒
本名:錆灰燼 さび・かいじん
身長:175cm 体重:56kg
■■地の■■高校を何らかの方法で一刀両断し、多くの生徒を負傷させた。警察の力ではどうにもならないと判断された為、愛地共生学園へと強制編入させる。