転生したら宇宙世紀悪役グラサンの部下だった件 作:紅乃 晴@小説アカ
宇宙世紀0087年。
地球からほど近い宇宙のどこかで……。
機動戦士Ζガンダム
新たなる希望
新たな危機が銀河に迫っていた!!
開戦前、110億だった人類の半数近くを死に至らしめた苛烈極まる一年戦争からわずか7年。
ジオン公国軍に実質的勝利を収めた地球連邦軍だったが、依然としてジオン公国軍残党による連邦軍への抵抗は続いていた。
そこで連邦軍のジャミトフ・ハイマンは、ジオン残党の脅威を大義名分として、連邦軍内部にジオン残党狩りを目的とする特殊部隊「ティターンズ」を結成。
ティターンズはジオン残党のみならず、コロニーの反地球連邦運動に対しても強硬策を取るようになり、こうした動きに対し連邦軍のブレックス・フォーラ准将は、ティターンズに反感を抱く連邦軍士官や兵士を中心に反地球連邦組織「エゥーゴ」を結成。
アナハイムエレクトロニクス社を中心とする月面都市フォン・ブラウンの軍事産業から新造戦艦アーガマを提供されるなど資金と物資面での援助を受ける。
そして、小惑星アクシズから地球圏偵察のため帰還し、連邦軍籍を得て潜入中のシャア・アズナブルはクワトロ・バジーナ大尉を詐称しエゥーゴに参加。
ティターンズはコロニー再建化計画において新たに整備されたサイド7グリーン・ノアを軍事拠点化しようと目論み、連邦軍の象徴たるガンダムの後継機開発計画を極秘に行っているのだった……。
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「なんか壮大な銀河戦争伝説が始まるような音が聞こえたんだけど?」
「貴様は何を言ってるんだ」
連邦軍の次世代艦の最初期のタイプであり、宇宙世紀0083年に建造された宇宙巡洋艦アレキサンドリアの艦橋で、ふとつぶやいた俺の言葉に隣にいるバスク・オム大佐がそうツッコミを入れてきた。
現在、アレキサンドリアはサイド7に到着。月のグラナダから新素材を携え、えっさほいさと長い道のりを航行してきたわけだ。
持ってきたのはガンダムMk-Ⅱの装甲材と、アナハイムがMk-Ⅱで使用したムーバブルフレームを勝手に採用して作った新型量産機のプロトタイプである。
前者はもともとも持ってくる予定だったけど、後者は眼鏡が素敵なバスク大佐がアナハイムの役員を脅してぶんどってきました。まぁMk-Ⅱはティターンズのフラッグシップ機だし、そこで使用している機体構造を量産化して、最近元気に活動しているエゥーゴに売ろうとしてるのだ。
大佐の大きなグーで殴られなかっただけマシと思っていて欲しい。けど、そんなプロトタイプかっぱらってどーするんすかと聞くと、マニュアルを俺に押し付けて「貴様なら乗りこなせるだろ」とさも当然のように言ってきた。アイエエエ……ハイザック受領したばっかですよ大佐ァ。ハイザックは予備機か部下にでも与えればいいだろ?と言ってくる大佐ほんとに大佐なんだから……。
さて、持ってきた装甲材だが、MS用新素材の研究が進まなかったことで、Mk-Ⅱの装甲やフレームには旧来の「チタン合金セラミック複合材」を使用するという話があったのだが、どうせ複合材にするならカーボン構造にして軽量化すれば?とうっかり溢したせいでチタンとセラミックとカーボンを合わせた新素材が爆誕。
なんでみんな俺の発言に耳を傾けてるんですかね!?
ちなみに俺の乗機となるプロト・マラサイの腕部と脚部は新素材の装甲材が使用されている。おかげで機動性が10パーセント向上したよ!ちゃっかりテストして結果を残すアナハイムェ……。
と、そんなテストという寄り道をしてアレキサンドリアはグリーン・ノアに到着したわけです。
「随分と長旅でしたな」
「あぁ、隣のバカのせいで寄り道を喰ったが、まぁ問題はなかろう」
「大佐、大佐。新素材の研究に俺ぶち込んだの大佐じゃありませんでしたっけ?」
「お前が変なことを言うからだ。少しは加減という言葉を知れ」
ひでぇ。隣にいる副官のジャマイカンもやれやれという顔をしてる。このバスク大佐め。星の屑作戦で艦橋直撃コースのビームをギリギリ受けて命を助けた恩をお忘れか……いや、忘れてないからこうやって高待遇してくれてるんだろうけど!!うれしかねぇんだよ!!(ガチギレ)
はい。隣にいるのはみんなご存知のティターンズの悪人、バスク・オムです。ただ見た目がみんなのイメージと全然違う。まず、髪の毛は生えてるし。
ザクマシンガンの攻撃で視力は落ちたけど、俺が命を張って救出したから治療が間に合って、今は視力補助の眼鏡はかけてる。だから劇中でかけてるような悪人面にぴったりなグラスはかけてない。
バスク大佐を助けてから、本当に色々あった。いや本当に……。
とりあえず、この世界が俺の夢ではないということはハッキリしている。あんな死にそうな目に遭ったというのに目が覚めるどころか、大佐救出作戦後、泥のように寝ても起きてもガンダムの一年戦争の真っ只中だったし。
夢で覚めてくれたらどれだけ良かったか……。逃げたい気持ちはその後の待遇が許してくれなかった。
まず当時少佐でありながら上層部に影響力を持っていた大佐を助けたことから、上層部の人間に顔を覚えられた。とくにジャミトフ閣下とコーウェン中将からめちゃくちゃ覚えられて死にそうになった(精神的に)。関わってたら戦死待ったなしな相手2人じゃんよ。
で、治療を終えて戦線に復帰したバスク大佐の直轄部隊に配属されました。
当時の大佐は、その高圧的な態度から部下からも反感を買っていて、MSに攻撃された際に誰も彼の救助に向かわず、攻撃時の怪我とジオンに捕まった後の熾烈な拷問を受け、満足な治療を受けられなかったことから視力障害に陥ることになるが……俺が単身で救出したことで、ジオンの拷問も受けることなく、頭髪と視力が守られたこともあり、スペースノイドへの差別思想がわずかに軽減されてる。(それでもスペースノイドは大嫌い)
あと、大佐を助けたことで、俺はこの世界で初っ端から強力な後ろ盾を手にした……と、同時に死線もついてきました。いらないんで帰って欲しかったけど許されなかった。
恩を返される形でジャブローでのGMのテストパイロットに選出。そしてジャブローでのテスト中に哀戦士編に突入。ジオン軍の総攻撃に巻き込まれました。もうガウからの爆撃がすごいのなんの……大佐と違って俺はテストパイロットだったから上層フロアにいたんだけど、爆撃の揺れが激しすぎていつ天井の岩盤が崩壊するか気が気じゃなかった。本当は震えて何もしないままシェルターにでも逃げ込みたかった。だって俺はただのガンダムオタク。ガノタと言われるほどガンダムに詳しくもない。よくてニワカだ。そんな奴に何ができるかってんだ。
……でも、俺にはもう仲間がいた。
GMのテストパイロットに選ばれた中で出会ったカクリコン・カクーラーとの出会いである。
まさかの出会いでぶったまげたものだ。
当時の彼はまだ18歳ではあったものの、並外れた空間認識能力とMSの適正もあってか、テストパイロットとして選出されたそうだ。他にもGMのパイロット数名とは戦友である。
まぁ最初の頃はバスクの腰巾着となじられていたけど、途中でブチギレて教官の前で大乱闘。カクリコンの頭に強烈な一撃をぶち込んだり、クロスカウンターをぶち込んだり、掴み掛かってきた奴を逆に持ち上げてノーザンライトボム決めたりとしっちゃかめっちゃかして全員揃って営倉に叩き込まれた……なんてこともあった。それをきっかけに信頼関係ができるあたり、パイロットというのは職人職に近いのかもしれない。
そんな戦友たちが初実戦でGMに乗るのだ。見捨てて1人だけガタガタ震えてシェルターに隠れているわけにはいかない。
そんなわけで俺も先行量産型のGMに乗ってジャブローに侵入してきたジオン軍との戦闘に参加したのだが……なんとそこでアムロとシャアの戦いに巻き込まれることに。
戦友のウィラー中尉の乗るGMに信じられない速度で迫る赤いズゴック。どこからどう見てもシャア専用ズゴックですね!神は死んだ!いや俺に死ねと言ってるのかもしれない!南無三!!
とりあえずウィラー中尉のGMを庇って前へ躍り出たはいいけど、ズゴックのクローでシールドを持っている片腕が吹っ飛ばされた。
【シェイクハンド中尉!?】
「ウィラーは後退!後方支援!この赤いバカは普通じゃねぇぞ!」
【量産型か……!相手はシャアだ!下がれ!】
【なんだ、この機体は……不愉快な感覚にさせる!】
「どいつもこいつも……!横からギャーギャー騒ぐんじゃねぇ!!」
そこからはもう大乱戦。GMなんて当たれば戦死のオワタ式なのでシールドはデッドウェイトだな!と割り切って応戦……と思ったけどシャアズゴック早スギィ!とにかく引き撃ちDAとビームスプレーガンで応戦。
その場に居合わせたガンダムを駆るアムロと協力し、シャアのズゴックを後退させることに成功。
その後、アムロとは別れてウィラー中尉のGMと共にジャブロー本部へと急行。片腕を失いながらもザクとグフを撃破したり、ビームサーベルで敵をぶった斬ったりと……とにかくがむしゃらで、無茶苦茶だった。終わった頃にはジオンは撤退しており、俺とウィラー中尉、そして途中で合流したカクリコンたちも相当消耗していた。
ちなみにこの時、上層部の腰巾着だったジャマイカンを逃すために身を張ったこともあって、初対面でいきなり命の恩人と感謝されることに……。なぜだろう、ティターンズの悪人から好かれるスキルでもあるのだろうか。
以降はホワイトベースと共に宇宙へ……なんてこともなく、俺はアムロやシャアとは関わらず、バスク大佐の部下として地上で一年戦争終結を迎えた。
そして0083。
デラーズ紛争勃発。
当時の俺は大尉となっており、大佐の部下として軍に身を置いていた。
そして過去の実績や、パイロット経験から当時は少尉であったライラ・ミラ・ライラや戦友のカクリコンを部下に、MS部隊の隊長を任せられ、星の屑作戦阻止のためのソーラ・システムⅡの護衛任務を請け負うことに。
死を恐れないジオン残党や盲目的に星の屑作戦を実行しようとするジオン兵に「馬鹿野郎!!」とキンケドゥばりのガチギレしてぶっ飛ばしたり、コントロール艦を強襲してきたガトーのノイエ・ジールと接敵して「げぇっ、アナベル・ガトー!!」と言いながらも死闘を繰り広げてコントロール艦を死守してコロニー破壊を成功させたり……といっても、木っ端微塵にはできず、複数に分裂したコロニーの破片が地球に落ちたので被害は少なからず発生はしていた。
また、狙撃されそうになった大佐の乗艦を身を張って助けたことから更にバスク大佐とジャミトフ閣下に顔を覚えられるうっかりをしてしまったりと……。
本当に、色々あったなぁ……。
「グリーン・ノアに到着し次第、貴様にはMk-Ⅱの面倒を見てもらうぞ。新型をくれてやったのだからうまくやってみせろ」
「あの、大佐。俺には休暇という言葉はないのですか?」
「ふむ、どう思う?ジャマイカン」
「ソーラー・システムの照射に巻き込まれても五体満足で帰ってきた上に機体を乗り換えて出撃した実績があるので問題はないかと」
「改めて聞くが……ジン、貴様は化け物か?」
本当に酷い言い草である。
とりあえずちゃんと人間ですって答えても2人して「ほんとうですか?」って顔するんだもん。クソがっ!
大体、ソーラー・システムに巻き込まれた時も死ぬほど疲れてたし、身体中痛かったし眠たかったのに、着艦と同時にカクリコンやライラから「予備の機体の火は入ってます!」なんて言われたら乗り換えるしかないだろうが!!戦闘終了後、降りるのもしんどくて丸一日コクピットでうずくまって爆睡してたわ。
とりあえず、グリーン・ノア1には到着したけど……多分ここらからだよな。本当のスタートって。
まずはジェリドに、「女みたいな名前の男を見ても絶対にバカにするなよ」って釘刺しておかなきゃ……。