転生したら宇宙世紀悪役グラサンの部下だった件   作:紅乃 晴@小説アカ

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おなこんにちはです。
思うところがあったので本話を修正いたしました。突然消して申し訳ありません。描きたいシナリオに持っていきたい気持ちを優先した結果、視聴者からの指摘と、自分の中の主人公の基盤がぐらついた描写が入っていてすいませんでした。
バスク(読者)からの平手打ち修正を喰らったので今後は方針がブレないようにしますので、どうかよろしくお願いします。


グリーン・ノア防衛戦(3)

 

 

 

閃光が瞬く。全天周囲型モニターは画期的な外界を検知できるモジュールだと言えたが、その分、知覚できるものも増えた。

 

例えば、敵の微細な動き、ビームの光、スラスターの光……旧来のコクピットモジュールよりも相手の動きをより鋭敏に、よりリアリティに、身一つで宇宙にさらされる恐怖を感じさせる。鉄の壁一つで宇宙とつながるものを、その鉄という防壁すら感じさせない〝映像〟に変えてしまった。

 

それは敵の殺意に似た何かすらもダイレクトに視覚情報として入ってくる。格闘技や、ストリートファイトを経験した者にならわかるはずだ。「あ、コイツはヤバいやつだ」という直感にも似たもの。それは一種の防衛本能であり、人間が天敵と遭遇した時に察知する……人が動物であった時代の頃の名残。

 

それをテレパスだとか、超能力だとか、オカルトな言葉で片付けてしまうから、人はそれを恐れ、畏怖し、拒む。それが人という〝動物的な本能 〟の延長線上であると言うことも忘れて……。

 

光が眼前で走った。くっきりとした殺意がこの宇宙には溢れている。コイツはヤバい……ゲルググの放つそれが、腹の奥底にズンとした重い何かを感じさせた。

 

まともに相手をすれば呑まれる。ビームナギナタを片手に持って、ビームライフルを放ちつつ距離を詰める敵に、体をぐるりと回転させてビームの懐へと機体を滑り込ませた。

 

普通ならできない動きだが、改良したプロト・マラサイの脚部のスラスターポジションは、新型のカーボン装甲材を利用するために高機動ザクの脚部を参考に再デザインしたものだ。強度を維持したまま軽量化に成功したソレは、この機体に抜群の反応性と追従性を付与した。

 

青白い光を放って機体をロールさせる推力は、そのまま俺の体をゲルググめがけて押し上げてゆく。

 

 

【潜られた!?】

 

「迂闊な奴め!!」

 

 

反応しようとしたゲルググだが、もう遅い。スラスターを輝かせて逆に間合いに入った俺は、腕部の黄色いビーム刃を両足めがけて薙ぎ払う。膝下から切断された両足は、スラスターの推力に任せて明後日の方へと飛んでゆく。

 

俺はそのまま下を覗き込むように姿勢を入れ替えて、両足をなくして宇宙を漂うゲルググの背後へビームカービンを叩き込んだ。

 

 

【我らジオンの栄光を汚した大罪者め!!】

 

 

いくつかの光弾によって穿たれたゲルググは、怨念のこもった声を上げて爆散する。怒り、恨みつらみというのは、否応なしに感情に入り込んでくる。その不快感を払うように、斜め前にいた敵のザクがビームによって胴を穿たれた。

 

 

「カクリコン!!」

 

「1人でやりすぎだぞ、ジン!」

 

「エマ機も援護に入ります!」

 

 

狙撃に適したポジションを取りながら援護するカクリコンのハイザック。もう一機、エマの乗るハイザックも120mmマシンガンを放ちながら戦いへと加わった。

 

もう状況は混戦だった。15機中、5機の撃破には成功したが、まだ手練が10機もいる。そう言っている間にドムのジャイアントバズが右往左往していた警備隊のGMⅡに突き刺さった。

 

素人め!とカクリコンが思わず毒付く。別にやられた味方をバカにしているわけじゃない。単純に役割を把握できずに混乱する味方に苛立っているだけだ。肝心の警備隊の隊長が1番最初に戦死したのだ。巴戦を買って出ている俺やカクリコンはMSの相手で手一杯で、エマは自分のことで精一杯だ。警備隊のパイロットの練度は低いとは思っていたが、まさかここまでとは……。

 

ハードウェアが優秀でもソフトウェアがイマイチなら、どれだけ高スペックな機体でも役に立たないのが世の常だ。故にソフトウェアの高性能化が必要だとは言っているのだが……優秀なパイロットは畑から育つとでも思っているのか?上層部は!パイロット育成なら金を厭わないバスク大佐やジャマイカンを見習え!!

 

 

「隊長!6ポイント先から熱源!」

 

 

カクリコンがそう叫ぶと、マラサイのコクピットにも反応が入ってきた。反応が示したのはわずかなデブリ帯。そこは俺が予見した通りのポイントであり、デブリを抜けた新たな敵機は、当初敵を囲もうとしていた隊列の背後を取る形で姿を現したのだ。

 

 

「伏兵だな!!警備部隊は!!」

 

 

後ろを取られたGMⅡは慌てて背後に現れた敵にビームライフルを放つ。しかし……。

 

 

「こいつ!こいつ!やめろ!近づいてく……」

 

「オズワルド4がやられたぞ!!」

 

 

そのどれもが狙いがイマイチで、手練れのザクからすれば怯えているGMⅡはカモでしかなかった。

 

 

「クソ!数は勝ってるが、質がちがう!」

 

 

GMⅡの迎撃をものともせず、背後を取った敵MSは囲い込んだ包囲網を外側から突破して、中で戦う俺やカクリコンへ狙いを定めた。

 

 

【回り込んで落とせばいくら疾風といえど……】

 

 

しかし、それは放たれた黄色いビームの閃光によって阻止される。コクピットを的確に撃ち抜いたそれは、背後から強襲しようとした伏兵たちを驚愕させる。

 

 

【何ぃ!?】

 

 

隊列が乱れ、攻撃も散漫になる。黄色いビームの閃光はGMⅡに持たせている兵装ではない。発射源を探すと、そこにはGMⅡを押し除けて浮かぶビームライフル装備のハイザックがいた。

 

 

「ハイザック!?どこの機体だ!?」

 

「偉そうな口を利いていたくせにその様はなんだ!!」

 

「ジェリド・メサ中尉!?」

 

 

レーザー通信で届いた声に、カクリコンとエマが思わず声を上げる。お前、勾留室から出してもらうように話は通したけど、なんでここにいるんだ!?

 

 

「ジェリド!お前、なぜ出てきた!?」

 

「ここらで汚名挽回しないとな!!」

 

「馬鹿!それを言うなら名誉挽回だろうが!!」

 

 

思わぬ登場にカクリコンがツッコミをいれる。しかし敵はお構いなしに撃ってきた。背面からの強襲が失敗に終わったことで、敵もこの混戦に加わざるをえない状況となったのだ。

 

 

【くそ!今度はこっちの出鼻が……】

 

「正気かよぉ!」

 

 

作戦が乱されたことで一瞬立ち止まったザクに、ジェリドのビームライフルの一閃が突き刺さる。致命的な箇所に打ち込まれたザクはそのまま宇宙を少し漂ってから静かに爆散して消える。あーもうめちゃくちゃだよ。カクリコンも打ち尽くしたロングビームライフルを捨てて、混戦を想定して腰に懸架していた197mm口径ショットガン、ヤクトゲヴェールを装備する。

 

GMⅡは外側から援護をしてくれるが、実質的な戦力は俺とカクリコン、エマ、そして勝手に出てきたジェリドのハイザックくらいだ。

 

 

「ジェリド!出てきた以上はもう引き返せないぞ!!」

 

「もとよりそのつもりだ!!」

 

 

生意気!!その言葉を吐く前にビームが飛来する。各機散開!と、カクリコンが声を上げてそれぞれが巴戦を始める。基本戦術は変わらない。カクリコン、エマ、ジェリドが敵を撹乱し、その間に格闘戦にステ振りした俺のプロト・マラサイが仕留める。翻弄されるドムの横合いから突撃してビームサーベルで胴を引き裂く。

 

ケンプファーと同規格のショットガンで牽制するカクリコンの攻撃に合わせて、ジェリドとエマが敵を仕留める。初戦闘だが、士官学校で教わったMSの連携や戦略構築は上手くできているようだな。15機いた敵はGMⅡをいくつか撃墜したものの、その数を大きく減らしていて、もう一息で……というタイミングで、通信が入った。

 

 

「各機!一機、熱源が違う機体がある!あれは……」

 

 

宇宙を一つの光が切り裂く。全天周囲型モニター越しにヒヤリとした嫌な予感が身体中を走った。避けろ!意識よりも先にそう叫んだと同時にGMⅡが光に飲まれて消し飛んだ。

 

その光にカクリコンが顔を顰める。ビームが飛来するのはわかる。だが、おかしい。なぜ、ビームが……GMⅡの背後から飛んできた?

 

その違和感はすぐに確信に変わる。

 

 

「なんだとぉ!?」

 

 

今度は内側からビームが五本並んで飛んできたのだ。その光はカクリコンのハイザックの片足を飲み込み、過ぎ去っていった。

 

まずい。直感めいた予感が白い影と共に眼前に飛び込んできた。有線ワイヤーで繋がれた腕がガチンッと音をたてて元の腕の形に戻る。

 

 

【ようやく見つけたぞ、蒼き疾風!!】

 

「サイコミュ高機動試験用ザクだと!?」

 

 

なんつー機体を持ち出してきてんだ!?

思わず叫びそうになったが、五本の指それぞれに配置された五連装メガ粒子砲がそれぞれ指向性を持って放たれる。

 

エマの悲鳴が響く。彼女の持つ武装も放たれた一閃で吹き飛ばされたのだ。

 

とにかく退け!退き撃ちだ!!次々と放たれるメガ粒子砲を掻い潜りながらエマとカクリコンに離脱を指示していると、今度はジェリドがスラスターを吹かせてサイコミュ高機動試験用ザクへと飛び込んでゆく。

 

 

「あんなオールドタイプに!!」

 

「ジェリド、下がれ!あれは危険だ!」

 

 

ハイザックのスラスターを駆使してメガ粒子砲を避ける。この程度の弾幕なら……これならいける!そう思っていたジェリドだが、彼の視線がサイコミュ高機動試験用ザクの片腕が無くなっているのを捉えた。警告音が真下から聞こえる。有線ワイヤーに繋がれた五本のメガ粒子砲がジェリドのハイザックを捕捉していたのだ。

 

光を充填する砲口に「やられる……!」柄にもなく身が強張るジェリド。

 

だが、その腕部を青と黒のカラーリングをしたプロト・マラサイが蹴った。軌道を逸らされた粒子砲はハイザックを捉える事はなかったが、代わりにジェリドの持っていたビームライフルに当たり、溶断される。

 

 

「がぁっ……ライフルが……!!」

 

「よくやった、ジェリド。いいガッツだったぞ」

 

 

とにかくコイツはヤバい。ビームカービンで攻撃できたので片腕のサイコミュ兵装は破壊できたはずだ。それでも五本連装メガ粒子砲がやばすぎる。武装を失ったジェリドやエマ、片足を失ったカクリコン機を下げさせて、俺は宇宙に漂う純白のサイコミュ高機動試験用ザクと睨み合った。

 

 

「サイコミュ兵器か!と言うことは……パイロットはニュータイプ……!!」

 

【お前に会えるのをずっと待っていた。これでようやく……仇が取れる!!】

 

 

ヴンとザクのモノアイが光る。五本のメガ粒子砲の光が伸びて、マラサイを食い殺そうと牙を向いた。残る敵はサイコミュ高機動試験用ザクと、ドム2機、そして中破したザクが一機……だが、状況は最悪だ。サイコミュ高機動試験用ザクが現れたことで状況が一変した。迂闊に残る敵を倒そうと後方からの援護をやめて前へと出てくるGMⅡに俺は怒声を飛ばした。

 

 

「守備隊はこっちにくるな!落とされるぞぉ!!」

 

 

その言葉は遅かった。次の瞬間にはメガ粒子の光に三分割されるGMⅡ。腕一本になってもこの殺傷性かよ……!!

 

 

【お前のせいで、俺は父も母も……みんなみんな、死んだんだ!!】

 

「こいつ!!」

 

 

マラサイのサイドアーマーに備わる手榴弾式のビーム撹乱幕を散布。完全に威力を殺すことはできないが、それでも使わないよりはマシだ。半減したビームをマラサイの肩部にマウントされたシールドで受けながら、こちらもビームカービンで対抗する。

 

 

【お前は悪魔だ!!なぜ……あんなことを平然とした!!】

 

 

サイコミュ高機動試験用ザクからオープンチャンネルで垂れ流される言葉。あれに乗るパイロットは間違いなく……〝あの事件〟の被害者であり……そして、その怨念から自分を狙っている。ビームを避けて、俺は小さく言葉を返した。

 

 

「……あれが、俺の任務だったからだ」

 

【任務だと!?それが……30バンチにいた……無実の人々を殺した言い訳になると思うのかぁ!!】

 

 

30バンチ事件……それは、宇宙世紀0085年7月31日に、ティターンズが反連邦デモ鎮圧の為に、当時使用が禁止されていたG3ガスと呼ばれる毒ガスを、サイド1の30バンチコロニーに注入し、民間人1500万人を虐殺した事件だ。

 

 

「30バンチ事件……」

 

 

オープンとはいえミノフスキー粒子の影響で至近距離でしか拾えない声は、エマやカクリコンには聞こえなかった。しかし、偶然にも効果範囲にいたジェリドは、サイコミュ高機動試験用ザクの叫ぶような声が聞こえていた。

 

30バンチ事件は、指揮官であるバスク・オム大佐の独断で行われたものとされており……ティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマン将軍も、事件後のこの報告を受けた時はかなり不快に感じたと言うものだ。

 

その真相はティターンズの中でも最高機密として扱われていたが、30バンチの悲劇は少なからず目撃されており、連邦内やティターンズの中でも噂程度には認知されていた。

 

サイコミュ高機動試験用ザクは青と黒のマラサイを睨みつけ、叫ぶ。

 

 

【俺は、俺はお前を、絶対に許さない!!疾風の悪魔!!ジン・シェイクハンドぉお!!】

 

「そうかい……!!」

 

 

殺意がこもった五つのメガ粒子の間を縫って、マラサイは一気にサイコミュ高機動試験用ザクへと迫る。緑光を光らせるデュアルアイの光が尾を引き、その速度はサイコミュ兵器の速度を上回った。ビームを背後に、ビームサーベルを抜いたマラサイは、サイコミュ高機動試験用ザクの下半身に備えられたスラスターを引き裂いた。爆発が真下で起こり、パイロットは大きな振動に晒される。

 

 

【直撃した!?スラスターが!?】

 

 

身動きが取れなくなったサイコミュ高機動試験用ザク。スロットルを前後させても反応しなくなったザクに、マラサイがビームカービンを向ける。

 

 

「……君の家族が亡くなったことは気の毒だと思う。だから、恨んでくれて構わない」

 

 

ザクのパイロットの前に死があった。明確な死。確実なる死が……そこにある。肝心なところでサイコミュも起動してくれない。体が動かない……。

 

 

(結局……俺も……何もできずに、殺されていった家族と同じ……無価値な……)

 

【レミリオーっ!!!】

 

 

迫り来る死に、死んだ家族に思いを馳せた瞬間、ビームカービンを構えていたマラサイの横合いから中破したザクが突っ込んだ。真横からくる凄まじい衝撃がコクピットに響き渡る。

 

 

「ちぃ……邪魔を……」

 

【逃げろぉ!レミリオォ!まだ……まだお前は何もしてないだろう!?そんな有様で死んで……お前の家族は喜ぶのかぁ!!】

 

【オ、オブリア……さん……!!】

 

【逃げロォオオオオーーーッ】

 

 

接触回線から聞こえる文字通り血を吐くような叫びを上げたパイロットは、スラスターを全開にしてマラサイを押し出していく。そのコクピットの中で、俺は……。

 

 

「お前が……お前たちが……戦いに駆り立てたんだろうが!!」

 

【それしか仇を返す方法がなかったからだ!!偽善者が偉そうに……!!】

 

「お前……っ!まさか……」

 

【30バンチの罪を俺は払っている……ゴホッ……逃げ出したお前とは違う!!】

 

「そうやってお前たちは……理由をつけて!!」

 

【あの子に戦いを教えたのは俺たちだ。だがな……そうしちまったのは紛れもなく……】

 

 

その言葉は、ザクのバックパックに突き刺さるビームによって掻き消えた。マラサイを押し込んでいたザクは、そのまま外側で援護していたGMⅡの前まで出ていたのだ。

 

 

「ざまぁみろ!隊長の敵だ!!」

 

 

GMⅡを駆るパイロットたちの喜ぶ声が聞こえる。致命傷を受けたザクはスパークを起こすコクピットの中で、宇宙にいる遠くなった白いザクを見た。

 

 

【レミリオ……すまな……】

 

 

光を浴びて手をこちらに向けて離れてゆくザクは、耐えきれずに宇宙の片隅に立っていった。

 

誰かの悲鳴が聞こえたような気がした。

 

その悲鳴の先へ目を向ける。そこには生き残った他のMSに牽引される形でサイコミュ高機動試験用ザクのパイロットは遠ざかってゆく。

 

ザクのパイロット……レミリオ・クロッサは、何もできないコクピットの中から、、マラサイを睨みつける。

 

 

【くそ……!くそ!くそくそくそ!くそぉおおお!!よくもオブリアさんも殺したな!!いつか絶対に殺してやる!!俺が、お前を必ず!!】

 

 

サイコミュ高機動試験用ザクを掴むドムやザクは、マラサイを一瞥してから一気に戦線を離脱してゆく。ビームカービンを向けるが、すでに相手は射程距離の外側だ。戦う意志はもうない敵が去っていき、完全に索敵範囲から消えてから、俺はヘルメットのバイザーをあげて水玉になった汗を外へと追い出した。

 

 

「ふざけるな……今さら罪滅ぼしをして……」

 

 

くそ……。スロットルレバーを握っていた手を持ち上げる。ひどく腕が重い。手が麻痺したように動かない。息が乱れる。フラッシュバックする光景に、引き金が重くのしかかる……。

 

 

「引き上げましたな、あれはやはり……」

 

 

片足を損傷したカクリコンのハイザックが接触回線でそう話しかけてきた。海賊だと予想はしていたが……あの様子から見ると、最近、ティターンズに限って襲いかかってくる義勇軍……なのだろう。

 

 

「大丈夫か、ジン」

 

「……あぁ……平気だ、カクリコン」

 

 

息を整えて、バイザーを下げる。

 

思い出せ。

 

あの悲劇を生み出したのは紛れもなく自分であるということを……。

 

それを背負うことが軍人であるということを。

 

たとえそれが……。

 

 

「……ジン」

 

「その話は……するなよ、カクリコン。……帰投する。全機ローゼンビッダーへ集結!RTB!」

 

 

相棒である彼の言葉を遮り、俺は中破したエマやジェリド、そして生き残ったグリーン・ノアの守備隊を連れて、ローゼンビッダーへと帰投する。

 

その隊列の中、ハイザックの中で、ジェリドは静かにつぶやいた。

 

 

「ジン・シェイクハンドが……あの30バンチ事件に関わってるのか?」

 

 

 

 

 

 

 

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